奨学金を利用している学生や、在学中利用していたという方は多いと思います。
奨学金制度があることで、経済面に不安がある方も大学等への進学が可能になるので、とても助かるのではないでしょうか。
しかし、卒業すると奨学金は返済しなければなりません。
働き始めてから、奨学金の返済が滞っている方や、返済が難しくなる状況にいる方も中にはいますよね。
今回は奨学金を返済できなくなってしまった場合の対処方について説明します。
不安を持っている方も多いと思いますが、少しでも安心できるようにぜひ参考にしてみてください。
奨学金が返済できないときの対処法
奨学金が返済できなくなり、初めに何をすれば良いか分からないことも多いですよね。
日本学生支援機構では、奨学金の返済が難しくなった方に向けて、救済制度があります。
日本学生支援機構の奨学金は利用者もとても多く、当てはまる方もいるのではないでしょうか。
救済制度について詳しく説明するので、自分が利用できるのか参考に調べてみてください。
減額返還
一つ目は減額返還です。
減額返還制度は、毎月の返還額を減額することができる制度です。
利用するにあたって、災害や傷病、その他経済的理由により奨学金の返還が困難になってしまった人が対象となります。
また、減額した額であれば返還を続けることが可能であることが必要です。
一定期間のみ、本来の二分の一または三分の一に減額した額を返還していきます。
適用期間は、一回の申し込みにより12ヶ月ですが、最長で15年までのばすことができます。
しかし、減額返還を利用する際、返還総額自体は変わることがないということに注意しましょう。
総額は変わらず、毎月の返還額が減額されるため、その分の返還期間が延びることになります。
一時的に払うことが困難な場合や、一定期間を過ぎると通常通り返還を続けることができる方、長期的に払い続けることができる方は利用すると良いでしょう。
また、すでに延滞している場合は減額返還を申し込むことができないため、延滞を解消することを優先させましょう。
返還期限猶予
返還期限猶予制度は、一定期間返還を延期してもらう制度です。
減額返還と同様に災害や傷病、失業、その他経済的理由により奨学金の返還が困難になってしまった方が対象となり、返還の猶予を申し出ることができます。
返還期限猶予制度も、返還する総額は変わるわけではないので、気をつけましょう。
適用期間は通算10年が限度となっています。
また、承認されない場合は返還を続けなければなりません。
一定期間返還を待ってもらうことで、その後順調に返すことができる見込みのある方は利用しましょう。
返還免除
返還免除は、本人が死亡した場合や、精神、身体の障害により、労働することができなくなってしまった場合に利用できます。
返還免除制度により、返還ができていない額の全部または一部が免除されます。
以上の日本学生支援機構による制度は全て申し込み手続きや書類が必要になるため、はやめに相談し、動くことが必要です。
少しでも奨学金の返還に不安があり、延滞しそうな場合は、延滞する前にすぐに願い出ましょう。
債務整理
もし、様々な制度を利用してもどうしても奨学金の返済が難しいとなった場合は、債務整理という手段もあります。
しかし、債務整理はデメリットやリスクも多いため、決める際はよくよく考え慎重に行いましょう。
すぐに決めてしまう前に、他に方法はないのかもう一度考えることが大事です。
債務整理にも種類があるので紹介します。
自己破産
自己破産とは、裁判所に自己破産を申し立てることで、借金返済の見込みがないと認められた場合、借金の返済義務がなくなる、というものです。
自己破産することで、借金返済に追われることはなくなり、以前より過ごしやすい環境になるかもしれません。
しかし、自己破産のデメリットは多く、ある程度の財産は残るものの、高額な財産や価値のある財産は全て処分されるだけでなく、手続き中は一部の職業や資格に制限がかかる、保証人には請求が続くというものがあります。
自己破産をする前に、自己破産をしたらどうなるのか、何が不自由になるのか、しっかり確認しましょう。
任意整理
任意整理とは、債権者と直接話し合うことで、返済額や返済方法を交渉することです。
任意整理は自己破産に比べてデメリットは少なく、本来よりも返済する額を減らすことができます。
しかし、日本学生支援機構は基本的に任意整理には応じないため、あまり向いていないでしょう。
個人再生
個人再生は、裁判所に返済困難だと認めてもらうことにより、借金を原則五分の一と大幅に減額してもらう手続きです。
分割払いは原則三年間で行い、最長で五年での分割払いもできます。
個人再生は手続きが難しく、書類も多いため、行う際は早めにしないととても時間がかかるだけでなく、自己破産同様に保証人には請求が続きます。
債務整理の種類を紹介しましたが、自己破産と個人再生は連帯保証人、保証人に請求が続き、迷惑をかけてしまいます。
連帯保証人は親の場合が多いと思いますので、奨学金が返済できなくなった場合は、自分の考えだけで債務整理を行うのではなく、事前に親ともしっかり話し合いましょう。
債務整理はデメリットも多いため、メリットだけを見るのではなく、多くのリスクを考慮した上で最終手段として決断しましょう。
奨学金を延滞するとどうなる?
実際に奨学金を延滞してしまった、いつのまにか延滞していた場合はどうなるのか説明します。
奨学金の返済が難しくなっても延滞することはできるかぎり避けましょう。
延滞金
延滞すると延滞金がかかります。
自分が借りている奨学金によって、延滞金は異なりますが、最終的な支払総額がふえてしまうため、さらに経済的負担が重くなるでしょう。
約束の返還期日に間に合わず一日でも過ぎてしまうと、延滞金がかかるので、期日前に相談することや、支払えているか、確認する必要があります。
督促
延滞すると、自分本人だけでなく、連帯保証人、保証人に対して督促が行われます。
文書や電話での督促であり、無視することがないようにしましょう。
督促の際、返済が難しい自分の現状を相談することで、制度の案内をしてもらえることがあります。
督促が行われた場合はすぐに対応することが必要です。
個人情報信用機関に登録
返還開始後6ヶ月時点で3ヶ月以上の延滞がある場合は、個人情報信用機関に登録されてしまします。
個人情報信用機関に登録されることで、経済的信用が低い人とみなされます。
そのため、クレジットカードの審査が通らないことや、利用が止められてしまうこともあります。
また住宅ローンなどの各種ローンが組めなくなることもあり、とても不便です。
延滞者として一度登録されてしますと、返還完了の五年後まで消されることがないので、長期間登録リストに残ります。
個人情報信用機関に登録されることで、制限がかかることが多く、日常生活で順調にいかないことが増えてしまうので、登録される前に、延滞を解消することが必要です。
登録前でも登録後でも延滞を一日でも早く解消するために行動しましょう。
奨学金を返済するときにしたほうがいいこと
奨学金を返済している社会人の方は多いですよね。
返済中にしたおいた方が良いことを紹介するので、知らないことがあれば、すぐに確認しましょう。
返済プランを練る
自分の今後の返済プランを細かく立てることは重要です。
自分が借りた額と返済総額を確認し、最初のうちに計画を立てましょう。
無計画でいると、急に返すことが難しくなったという状況に陥るかもしれません。
現在の状況を把握する
自分が毎月いくら返済しているのか、残りの金額がどれくらいなのか、奨学金の詳細を把握している方は少ないのではないでしょうか。
なんとなく、毎月奨学金が引かれているだけで詳しく知らないこともあると思いますが、あとどれくらいで返済が終了するのか、年利がどれくらいか、など奨学金についてしっかり知ることで、不安もなくなります。
繰り上げ返済をする
繰り上げ返済をすることで、支払期間が短くなり、利息や保険料が大幅に減ることがあります。
長期間の支払いや将来に不安があるかた、現時点で経済面に余裕があるかたは、繰り上げ返済をすることで、支払総額も減らすことができるのでおすすめです。
しかし、その分急な出費や、いざというときに手元にお金がない、という問題も生じる可能性があるので、事前に調べることが大切です。
まとめ
奨学金が返済できなくなってしまった場合の対処法を紹介しましたが、全てに共通して、返済できない可能性が出てきたら、すぐに相談するということが重要です。
延滞してしまう前に、救済制度などを利用することで、無理ない返済を続けましょう。
奨学金を借りるか悩んでいる学生も多いと思いまが、利用する際は、卒業した後のことをよく考えて決めましょう。