皆さんは「社会学部」と聞いて、どのようなことを学ぶのかというイメージができますか?
たとえば
- 「社会全体」のことを学ぶ
- 政治や経済、憲法など中高で学んだことを深く掘り下げて学ぶところ
- 社会研究がメインで「実学」に乏しい
- 研究がメインとなれば、やはり「就職には不利な立場」
などが思いつくのではないでしょうか?
「社会学部」で学ぶ学問領域は多岐に渡り、研究対象となる物事を多角的視点から研究していきます。
そこで今回は、「社会学部」がどのような学部なのかという「基本情報」を抑えつつ、当学部所属の学生が就く就職先などについてご紹介していきます。
社会学部ってどんな学部
社会学部の基本情報
「社会学部」では、「我々が身をおく現代社会の構造・仕組み、現代社会が抱える問題・事象などを取り上げて研究していく」学問です。
もう少し深く掘り下げて説明をすると、「個人と社会の相互関係の視点から、現代社会が抱える問題・事象、社会的生活を研究」していきます。
当学部が研究対象としているものには、国や地域、都市、家族コミュニティから労働や産業などの観点から「社会全体」を研究していきます。
それゆえに学問領域が幅広く、研究によっては他分野の学習も行います。
社会学部で学ぶ学問領域
前節のことを踏まえていうと、「社会学部」では、時代を経るごとに変わる社会の形態、集団との関係性を学んでいきます。
具体的には「社会学」の基礎・応用・体系的な学問領域から学んでから、「社会学概論」「思想史」「組織論」などを学んでいきます。
たとえば「社会」の移り変わりは「東洋社会史」や「西洋社会史」などの「史学」に属する学問領域から学び、地域や文化圏は「民俗学」や「文化人類学」から学んでいきます。
また世の中の出来事を報じる「マスコミ」関連の授業も行われます。
これら「社会学」から得られるデータと併せて、科学的に解明を進めていきます。具体的には、フィールドワークやコンピューターを用いた「統計処理」を実施していきます。
- 歴史や文化など「伝統」と呼べるものの考え方
- メディア
- 人間心理と社会の関係性
- 家族や福祉、教育のあり様
- これらを総称して「人間社会を構成している社会」のあり方
社会学部在籍の学生が就く就職先
ここからは「社会学部」に所属する学生が就く就職先についてご紹介していきます。
マスコミ業界
まずは「マスコミ業界」です。
「社会学」では、国や地域、都市など「社会全体」を研究対象としており、学問領域において「マスコミ論」や「メディアと社会の関係性」を学ぶ機会があります。
その領域内で得た学びを活かして、当業界に就職する学生が多くいます。
また「マスコミ業界」と総称しても、情報発信に用いるメディア媒体によって異なります。
テレビ局・番組制作会社
「マスコミ」といえば、「テレビ局」を連想されるかたが多いでしょう。
テレビ局で取り扱っている番組を1本制作するに、ディレクター、プロデューサー、AD、アナウンサー、カメラマン、番組編集者など様々な業務を担っている人たちの手によって製作されており、世の中に報道されています。
テレビ局への新卒受け入れの倍率は、非常に高く設定されていることが多いです。そのため、新卒で選考落ちを期した学生の中には第二新卒・既卒としてもう一度求人応募する学生もいます。
また「番組制作会社」に勤めて、テレビ界隈に携わるという手もあります。
現在テレビ局が報道している番組の多くが、この「番組制作会社」によって製作された番組が高い割合を占めています。
番組のジャンルは制作会社にニュース番組の制作が得意だったり、バラエティ番組の制作が得意であったりと、会社によって得意ジャンルが異なります。ゆえに、自分が作りたいと思える番組ジャンルに携わることができる機会を得られます。
新聞社
次に「新聞社」です。
「新聞」界隈には「ビジネス職」「技術職」そして当界隈の花形と呼ばれる「記者職」の3つの職種に分けられます。
「記者職」の内定倍率は非常に高く、筆記試験段階で多くの学生が落とされます。また特定の資格を有しておくと「試験免除」が適用されることもあります。
また「記者」になるまでに「模擬取材」というものがあり、そこでは企画から取材、記事作成といった一連の流れを1人で行います。ここでは、「記事制作」に関わる1人の記者としてのセンスが見られています。
また「ビジネス職」の中には、紙面販売に携わる「販売職」や「広告枠の営業」を行う「営業職」などに振り分けられます。
出版社
次は「出版社」です。
「出版社」で取り扱う書籍は会社によって異なります。
たとえばライトノベルやコミック本などのエンタメ向けの書籍を取り扱っているところや、学習テキストや資格取得参考書などの書籍を取り扱っているところなど様々あります。
取り扱い書籍によって自分がどこに就職したいかが見えてきます。
また「出版社」に就く多くの学生が「編集者」として活躍をしています。
この仕事は書籍の企画立案を行うほか、ライター、クリエイターの派遣、仕上がった原稿のチェックを行って印刷業者に依頼までを行います。
今は「電子書籍化」が進んでいることもあり、この領域を専門として活躍している編集者もいます。
これら「3つの界隈」で共通して求められているのが、世の中の流行を知る「広いアンテナ」を持ち合わせていることです。
時代を得るごとに社会が求めるものは大きく変化していきます。その変化を何一つも見逃さず情報を集められる方は、当業界に向いています。
中学・高校の教師
在学期間中に培った学びや研究成果を活かして、「社会科」担当の教師になる学生もいます。
「教師」になるためには、「教職」に該当する講義の単位取得など様々な条件をクリアして卒業と同時に得られる「教職免許」を持っておくことで就くことができます。
また「教師」になるための試験倍率は実施する自治体によって、倍率が大きく変動するほか面接や模擬授業など様々な選考過程をクリアしていく必要があります。
「教師」といっても、「学校機関」に属する「中学校」や「高校」のほか、一般就職先として「学習塾」や「予備校」「家庭教師」「学習テキスト制作会社」など「教育」を専門とする業種に携わることで、学んだことを活かす機会が得られます。
IT業界
次は「IT業界」です。
「IT業界」と言えば、主に開発やインフラ面を整備する「技術職」に携わるイメージが強いでしょう。
しかし、「社会学部」の学生が当業界で就く職種の多くが、「企画」や「マーケティング」などを行う「営業職」や「コンサルタント職」に就いて活躍をしています。
現在において「ITの普及」は目まぐるしい勢いで進んでいます。それと併せて新技術の流行、廃れも早いとされています。
また「IT業界」の需要は今後ともに高いものとされていますので、就職先の1つとして見ている学生もいます。
メーカー業界
最後は「メーカー」業界です。
「メーカー」業界は取り扱う「商材」によって大きく異なります。例えば、化粧品メーカーや自動車メーカー、飲料メーカー、お菓子メーカーなど多種多様あります。
そんな当業界こそ取り扱う商材は違えで、多くの職種に携わる方々の力があって支えられています。
その中でも「社会学部」の学生が就くとされているのが、「営業職」と「商品企画」「宣伝・広告」といった3部門に就いています。
社会学部在籍の学生が取るべき資格
ここからは在学期間中に取得しておきたい資格をご紹介します。
教員免許
将来「教職」に就くことを目標にしている学生ならば、ぜひとも取得をしておきたい資格の1つです。
当免許を取得することで中学・高校の教師として仕事ができるのはもちろんのこと、塾や家庭教師、学習テキスト制作会社など「教育」に携わる一般企業に就く際、高い評価を得られます。
「社会学部」の学生が取得できる「教員免許」の科目は主に「社会科」に属する「地理」「日本史・世界史」「公民」が一般的とされています。
取得には、学校側が設けている教職関連の講義を受講して単位を獲得することとなっています。
社会調査士
「社会調査士」という資格は、「社会調査に関する基礎的な知識と技能を持ち合わせていること」を証明してくれる資格です。
当資格取得は、学校側が設けている「社会調査科目」に属する科目を受講して単位を取得。そして卒業後大学側に申請をすることで得られます。
他の資格と異なり、資格取得のための「受験勉強」を不要としているため、余力があれば取得を目指してみましょう。
認定心理士
「認定心理士」とは、「公益社団法人日本心理学会」が認定した心理学の資格で、取得者には「心理学に関する基礎的な知識と技能があること」を証明してくれます。
当資格の取得を目指す学生の多くが、「心理学」を専攻しており、所定の単位を得たうえで上に申請をすると取得ができます。
図書館司書・学芸員免許
図書館司書
「図書館司書」は、図書館にある資料の選定や書籍の貸し出し、絵本の読み聞かせなどを行っています。
「図書館司書」の資格取得は、大学側が設けている司書講習の受講と司書資格に必要な所定講義の履修・単位取得が条件となっています。
学芸員
「学芸員」は博物館など「歴史的遺産物」を展示する場で、働くために必要な「国家資格」です。業務は主に展示品の保管や整理、展示品の資料提示など様々な業務を担います。
「図書館司書」同様、大学側が設けている司書講習の受講と司書資格に必要な所定講義の履修・単位取得が条件となっています。
就職に不利と言われる社会学部
「不利」と言われる理由は学びの広さ
「社会学部」は「文系」に属する学問の中では「文学部」同様に、「就職では不利」と言われている学部になります。
その理由の多くが、取り扱う学問領域が広すぎて、学びの多くが「中途半端」なもので終わってしまうケースがあるためです。
「社会学」は「社会全体」を研究対象としています。
「社会全体」といっても、対象が国や地域、都市、文化など様々なものの視点から「社会の構造・仕組み」を考察していきます。
広い分野を取り扱うからこそ、何を学んでいるのかがイメージしにくいことが原因で「就職が不利」という立場を築いてしまっています。
「就活に不利」と言われていても、「有利」に持っていく方法はある
専門性を活かす
「社会学部」で学ぶ学問領域は多岐に渡るため、「就職が不利」と前節で言いましたが、逆に「専門性が活かせる」就職先に就いた場合はどうでしょうか?
たとえば、「教職」。
「教職」の場合、学んだことをまんま学校教育の場で活用することができます。また「学習テキスト制作会社」に就くことができたならば、専門家としてテキスト制作に意見することができます。
このように「専門的な」業界に通じる知識や技能を活かすことができる場に就ければ、社会学部もまた「有利」な立場へとなります。
ガクチカで自身のポテンシャルをアピールする
前節の場合は「専門的な業界に就ければ」の話しとなります。
では真の意味で「有利」に持っていくにはどうすべきか、ということになります。
それは「ガクチカ」で自分のポテンシャルをアピールすることです。
選考面接の場では「ガクチカ(学生時代に力を入れて頑張ったこと)」を問われることが多いです。
この時の回答の題材となるのが、自分が取り組んだ「研究」や「ゼミ活動」を軸として答える学生が多いでしょう。
しかし、ただ自分がどんな研究をしてきたかというような「研究内容を説明する」といった答えはNGです。
ここで大切なことは、「研究を行って成果を出す過程でどのような姿勢で取り組んできたのか」を話すことが大切です。
「研究に対する取り組みの姿勢」を話すことによって、その姿勢が入社してくれたならば、仕事を頑張ってもらえる」と企業側は評価してくれます。
自己分析
最後は「自己分析」です。
学部による「有利/不利」の有無は問わず、「就職活動」という活動状況をスムーズなものとして進めていくほか、自分と相性がいい就職先の業界・職種を絞り軸として定めるうえでも、「自己分析」は欠かせないものです。
「自己分析」は「就職活動」をしていく中での「基礎」です。
これをするかしないかで活動状況は大きく変わってきます。
それは「就職が有利」と言われている学部でも同様な状況になります。
まとめ
以上が、「社会学部」がどのような学部なのかという「基本情報」を抑えつつ、当学部所属の学生が就く就職先などのご紹介でした。
「社会学部」ど学ぶ学問領域の幅は広く、どの学問分野を対象にして研究を進めているのかなかなかイメージがしにくい側面を持っているため、自分が興味関心を抱いている分野を絞ることができない学生ほど負のスパイラルに陥りやすいです。
しかし、見方によっては様々な専門分野に手を出せることから、選択肢の幅があり、一度興味関心が掻き立てられたその分野に絞って研究を行うことができます。
「社会学部」は、大学が持つ知的好奇心を刺激して勉強の楽しさを教えてくれる学部でもあります。
また「社会学部」は、「就職では不利」と言われていますが、一概に言い切れる根拠はありません。
「不利」となる状況にあったとしても、活動に対する取り組みの姿勢や専門性を活かしきれるならば、状況は大きく好転するでしょう。