採用選考の際に多くの企業で利用されている「SPI」。多くの人が、一度は耳にしたことがあるのではないでしょうか?
「聞いたことはあるけれど、具体的に何のための試験なのかよく分からない…」
そんな人に向けて、この記事では、SPIとは何なのか、求められる能力や対策方法などを解説していきます。
SPIとは採用選考の際に用いられる適性検査のひとつ
SPIは正式名称を「SPI総合検査」といい、リクルートマネジメントソリューションズが開発した適性検査のひとつです。
応募者の能力や人柄を把握することを目的として、多くの企業が新卒採用時に用いています。
正式名称は「SPI総合検査」
SPI(Synthetic Personality Inventory)と省略されることが多いですが、正式名称は「SPI総合検査」といいます。
“SPI対策”などと書かれた本を、本屋などで見掛けたことのある人も多いのではないでしょうか。
普段はSPIと呼ばれることが多いので、まずは言葉に慣れておきましょう。
リクルートが提供している
SPIはリクルートマネジメントソリューションズが開発した適性検査のひとつで、長年にわたり多くの企業で用いられています。
検査内容は大きく分けて、「能力検査」と「性格検査」の二つあります。
「能力検査」では、働くうえで必要な知的能力を測るのに対し、「性格検査」は人柄を把握するのに役立ちます。
新卒採用で多くの企業が用いる適性検査
SPIは応募者への理解を深めるだけでなく、入社後の配属先を決定する際の参考資料としても役立ちます。
どのような組織の中で、どのような仕事に向いているのか、企業はSPIの結果を参考にしながら、採用者がより能力を活かせる環境を考えます。
SPIの内容は「性格検査」と「能力検査」
SPIの内容は大きく分けて「性格検査」と「能力検査」に分けることができます。
「性格検査」では応募者の人柄を、「能力検査」では企業で働くうえで、必要となる基礎的な知的能力を測ることができます。
性格検査
性格検査は、約300問ある設問を統計的に処理することにより、応募者の普段からの行動や考え方、物事の捉え方、仕事への取り組み方などを、分かりやすく数値化することができます。
応募者がどのような人物で、どのような環境で能力を十分に発揮できるのかを判断することは、優秀な人材を求めている企業だけでなく、応募者にとっても必要なことです。
就活は、企業と応募者とのマッチングで決まります。
どんなに優秀な人材であっても、企業が求めている人材と相違があれば、不採用になることもあるのです。
だからこそ企業は、性格検査の結果と面接を組み合わせて判断します。
採用してから双方が困らないために、あらゆる側面から、目の前の応募者を理解しようとしているのです。
企業の求める人材に合わせるのではなく素直に答える
“検査”と言われると身構えてしまいますし、採用されたいという強い気持ちから、企業が求める人物像に自分を近づけようとしてしまう人もいるかもしれません。
気持ちは理解できますが、性格検査では、ありのままの自分で答えるということが大切なポイントになります。
どんなに自分が思い描く理想の人物像を思い浮かべながら回答しても、面接をすれば、面接官は検査結果と実際の人物との間に違和感を覚えます。
何よりも、自分を偽って回答するということは、自分の能力を活かせる職場で働ける可能性を、自ら低くしてしまうことに繋がりかねません。
活かせる能力も発揮できず、適応しにくい職場で働くことになってしまうのです。
性格検査に正解はありません。
深く悩み過ぎず、嘘をつかず、必要以上によく見せようとしないことが大切です。
普段の自分で、正直に回答しましょう。
能力検査(基礎能力検査/英語検査/構造的把握力検査)
能力検査では、どんな職種にも共通して求められる知的能力を測ることができます。
この場合の知的能力とは、
- ある課題に対して合理的に思考する能力
- 目的に沿って対策を考え行動する能力
- 効率的かつ能率的に物事を処理し、次に繋げる能力
などが考えられます。
これらの能力は、どんな職種においても必要な能力であり、仕事をするうえでとても重要な能力です。
能力検査も性格検査と同様に、高得点が取れれば必ず採用されるというものではありません。
企業によって求められる得点水準は様々です。
企業が能力検査で見ているのは、“自社が求めている能力水準に達しているかどうか”という点なのです。
SPIの能力検査は、「基礎能力検査」「英語検査」「構造的把握力検査」に分けることができます。
企業によっては、「英語検査」や「構造的把握力検査」を扱う場合もあるので、希望している企業のこれまでの出題傾向を把握しておくことが大切です。
基礎能力検査(言語/非言語)
基礎能力検査はさらに、「言語分野」と「非言語分野」に分けることができます。
「言語分野」では、言葉の意味や話の趣旨を的確に捉え、理解できているかどうかを測ります。
語彙力や文章読解能力を問われる問題が多く見られます。
「非言語分野」では、数字を扱った処理能力や論理的な思考力を測ります。
文章問題による数字の計算や、推論、確率などを問われる問題が出題されます。
試験ということで緊張し、ケアレスミスをしてしまう人も多いです。
限られた時間の中で、落ち着いて問題文を読むことが大切になります。
英語検査
企業によっては、基礎能力検査だけでなく「英語検査」を行う場合もあります。
総合商社や外資系企業、旅行会社などで多く扱われている傾向があります。
英語検査の難易度は、高校卒業程度と言われています。
同意語や反意語、空欄を埋める問題や誤文を訂正する問題、長文問題などが出題されます。
知識があればすぐに解ける問題も多いので、時間配分を考えながら回答することがポイントです。
構造的把握力検査
構造的把握力検査では、物事の共通性や関係性を構造的に把握する能力を測ります。
情報を俯瞰で捉え、整理し、持っている知識や経験から解決策・対応策を考える力が求められる問題です。
基礎能力検査では正しい手順で正しい回答を求められるのに対し、構造的把握力検査では与えられた情報の構造を、自分なりに見直す力が求められます。
情報の構造を立体的に捉える力は、状況に合わせた判断力や問題解決能力、課題を次に繋げる能力に発展していきます。
仕事をするうえで、とても重要な能力と言えるでしょう。
例えば、企業で開発している製品に不具合が生じたとき、これ以上問題を大きくしないための対応策を考え、問題点を整理し、捉えなおす作業が必要になります。
過去の事例を活かしながら、目の前の新たな問題の解決策を考える必要がありますよね。
構造的把握力が高い人は、幅広い職場や職種で活躍できる可能性が高いと考えられます。
問題解決能力があるだけでなく、柔軟性があり、状況に合わせた適応能力もあるからです。
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SPIの重要度は企業によってさまざま
SPIはSPI試験と呼ばれることも多く、試験と聞くと、その出来次第で採用不採用が決定してしまうのではないかと不安に思う人もいます。
人事採用におけるSPIの重要度は、企業によって様々です。
能力検査の結果が高くても、性格検査で企業が求める人材と相違があれば、不採用になることもあります。
だからといって、応募者の特性に問題があるということでは決してありません。
就職活動は企業と応募者のマッチングで決まります。
不採用だったということは、その企業とは縁がなかったということです。
大切なのは、企業がSPIを取り入れる理由を理解し、自分の能力を客観視すること。
自分の強みと弱みを理解することは、今後社会人になってからさらに求められる能力でもあります。
足切りのために用いる企業が多い
多くの企業がSPIを取り入れていますが、そのほとんどが、足きりのために用いている場合が多いということも理解しておきましょう。
人事採用では、限られた時間の中で、多くの応募者の中から企業に合う人材を見つけ出す必要があります。
それは、一人一人に多くの時間をかけられないということでもあります。
だからこそ企業は、限られた時間の中でもその人の能力や人柄を把握できるSPIを取り入れるのです。
そしてその結果をもとに、候補者を絞っていきます。
SPIの重要度は企業によっても異なりますが、就職活動における最初の関門となっている場合も多いということも理解しておきましょう。
SPIを受ける就活生は早めに準備を始めよう
SPIが実施される企業に応募するという就活生はかなり多いのではないでしょうか?
SPI対策で大切なのは、早いうちからSPIの問題形式を把握し、様々な受験形式に慣れておくということ。
就活ではやらなければならないことが沢山あります。
SPIの対策だけに時間を取ることは難しいでしょう。
だからこそ、早め早めの情報収集と準備が必要です。
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SPIの受検方法は4つ
SPIの受検方法は4つあります。希望している企業がどのような形式で受検を指示してくるのかにもよりますが、慣れないパソコンでの受検方法に戸惑うこともあるので、今のうちからその違いを把握しておきましょう。
テストセンター
リクルートマネジメントソリューションズが用意した専用会場のパソコンで受検する形式です。
事前に指示された受験期間の中から、自分の都合の良い日時・会場を選んで予約し受検します。
インハウスCBT
応募先の企業に出向いて、企業内のパソコンから受検する形式です。
WEBテスティング
ネット環境が整っているパソコンから受検することができ、自宅や学校に居ながら受験できるのが特徴です。
事前に指示された受検期間内であれば、自分の都合の良い日時に受験することができます。
スマートフォンからは受験できないので、注意が必要です。
ペーパーテスティング
応募先の企業が用意した会場で、マークシート形式で受検します。
多くの企業で用いられているSPI!準備は早めにしよう!
就活では切っても切り離せないほど、多くの企業でSPIが用いられています。
SPIに限らず、就活突破のポイントは、早め早めの準備をすることです。
そして、誰のためでもなく、自分のために就活しているのだということを改めて意識することも大切です。
他人と自分を比べたり、自分の存在価値を否定してしまったりすることも多い就活ですが、いま行っている就活で人生のすべてが決まるわけではありません。
就活はあくまでも人生の一部分です。
SPIの対策をきっかけに、自分の価値観や考え方に改めて触れてみてはいかがでしょうか?