メーカー業界の仲介に立って、各所に取引を行う商社は、学生から人気を得ていますが、業務内容まで鮮明に理解している学生はそう多くありません。
業界のことを詳しく知るために、各商社が実施するインターンに参加して業界や社風、業務内容を理解しようと動き出します。
しかし、商社が実施するインターンの内容は、その商社によって全く異なり、内容は多岐に渡ります。
また学生からの人気も高い業界なので、インターン選考の倍率は非常に高く、下手をすれば、参加できないまま本選考を迎えてしまうケースもあります。
そこで今回は、商社が実施しているインターンの内容と、参加で得られる経験・メリット、そしてインターン選考対策の各所ポイントをご紹介します。
商社の種類
ここでは、「商社」の具体的な中身について、解説します。
一言で「商社」といっても、企業によって取り扱っている商材が大きく異なります。
その取り扱っている商材で「商社」は2つに分けられます。
【商社の種類】
- 総合商社
- 専門商社
総合商社
「総合商社」では、製品の原料・副原料、加工物資、メーカーサービス・製品など多種多様な分野に精通する商材を取り扱っている商社です。
特徴は、1つのものにこだわらず、様々な商材を幅広く取り扱っている点です。
近年は、従来の商材に加え、企業への出資や人材の派遣、システム開発など、時代にあった商材を取り扱っています。
【総合商社の1例】
- 三菱商事
- 伊藤忠商事
- 丸紅
- 三井物産
- 住友商事
- 豊田通商
- 双日
専門商社
「専門商社」では、総合商社のように幅広い分野の商材を取り扱うのではなく、特定分野の商材に絞って事業・業務を行います。
海外ではこの「専門商社」の形態が一般的とされており、国内でも専門商社の方が圧倒的です。
商社で実施されるインターンの内容
ここでは、商社が実施するインターンの内容と開催時期・期間についてご紹介します。
インターンの内容
商社が実施するインターンの形式は主に3つの形態があり、以下のプログラムに沿って進行します。
【インターンの形式】
- 新規事業立案タイプ
- 既存事業推進・改善タイプ
- 企業訪問などの研修タイプ
【インターンの内容】
- 会社概要・業務説明
- 施設見学・実務体験
- グループワーク・グループディスカッション
- 座談会・懇親会
内容①会社概要・業務説明
インターン先の会社のことを知ってもらうため会社の歴史や行っている事業、業務の説明を行います。
話しの内容の多くは、会社HPに記載されているものを補完できるものが多いです。
また業務説明では、具体的なところまで話してくださるので、聞き耳を立ててメモを残しましょう。
聞いた話は以降の実務体験やグループワーク・ディクカッション、志望動機、業界・企業研究などの場面で役に立ちます。
内容②施設見学・実務体験
3タイプのインターンともに、各部署を見て回る「施設見学」を実施しています。
事業・業務説明で聞き入った情報を基に、社員がどのような仕事をしているのかを、その目で確かめることができます。
研修タイプのインターンや数週間にわたる長期インターンでは、実務体験をさせてもらえます。
体験できる実務内容は会社によって異なります。
しかし、実務を通して得た情報や経験は、後の就職活動で役に立ちます。
さらに、イメージにしにくい商社での仕事の実態を知れる絶好の機会でもあります。
内容③グループワーク・グループディスカッション
商社のインターンでは、グループワークまたはグループディスカッションを催すところが多いです。
内容は時期や企業によって様々ですが、商社のビジネスモデルに即したお題が学生に課されます。
【ワーク・ディスカッションの内容:例】
- 新規事業の立案
- 既存事業の改善
- 業績アップを図るならどのような取り組みをするか
状1例の課題を与えられて、4~6名のグループに分かれ話し合い、終盤で発表します。
内容④座談会・懇親会
インターンを締めくくりとして、座談会・懇親会が必ず催されます。
ここでは、先輩社員との交流を兼ねているので、社内の雰囲気や人的に聞いておきたいことを聞けます。
またインターンを通して出た疑問・不明点を補完する場でもあるので、聞きたいことは先輩社員に質問していきましょう。
どのインターン形式でも、4つのインターンプログラムに沿って進行していきます。
ただし新規事業立案タイプと既存事業推進・改善タイプのインターンでは、会社概要・業務説明の後、グループディクカッションまたはグループワークのいずれかが実施されるケースが多いです。
対して研修タイプのインターンでは、施設見学を通して、商社で仕事をしている先輩社員の様子を観察できるほか、実務体験ができます。
またインターンの開催期間に応じて内容も様変わりしますので、募集要項をしっかり確認しておきましょう。
開催時期・開催期間
開催時期
他業界のインターン開催時期が夏季からの実施が多いですが、商社のインターン開催は秋から冬季、あるいは本選考が解禁される直前にインターンを実施するところが多いです。
一部商社では、他業界同様夏季にインターンを実施していますが、学生からの人気がある総合商社や専門商社では、秋からの実施がメインになります。
開催期間
商社が実施するインターンの開催期間は、1dayインターンが高い割合を占めています。
一部商社では2~5日間の短期プログラムを組んで実施しているところもあれば、数カ月にも及ぶ長期インターンを催すところもあります。
特に日数が多い短期・長期インターンでは、グループワーク・グループディスカッションのほかに実務体験や営業職の職員に同伴して、営業現場の見学をさせてもらえることがあります。
参加して身につくスキル
以下は、商社が実施するインターンに参加して身につくスキルです。
【スキル】
- マネジメント
- コミュニケーション能力
- 基礎的なPCスキル
スキル①マネジメント
まずは「マネジメントスキル」です。
マネジメントスキルが身につくタイミングは、インターン内容の「グループワーク・グループディスカッション」の時です。
会社側の社員から与えられた課題に対する解決策を見出す場面が多々あります。
【マネジメントのタイミング】
- 議論の方向性
- 制限時間内にグループ内で出た解決策をまとめる
マネジメントスキルは、商社で仕事をするときに欠かせないスキルですが、何も「商社」に限らず多様な場面で必要になるスキルです。
スキル②コミュニケーション能力
2つ目は「コミュニケーション能力」です。
コミュニケーション能力は、あらゆるビジネスシーンで必要になる最重要なスキルですが、学生の中には、意味合いをはき違えている方もいます。
【ビジネスシーンにおけるコミュニケーション能力】
- 表現力
- 傾聴力
- 読解力
- 推進力
- 説得力
上記5つの力をまとめたものが、ビジネスシーンにおけるコミュニケーション能力です。
商社に限らず、どの業界に行っても仕事は「チーム」で行うのがベターです。
円滑に業務を遂行するためにも、コミュニケーション能力は必要不可欠です。
それはインターンでも同じことが言えます。
会社側から与えられた課題を、インターン参加メンバーと協力しながら解決に臨みます。
スキル③基礎的なPCスキル
3つ目は「基礎的なPCスキル」です。
今の時代、PCを用いて仕事をするのが当たり前になっています。
- 取引先に提案するプレゼン資料作成にはPowerPoint
- チームの売り上げ・利益などを集計する場合はExcel
- 記録書・稟議書などの書類や契約書を作成する場合はWord
インターン中は実務体験やグループワークのプレゼン発表などで、PCスキルが求められます。
前向きにインターンに取り組めば、持ち前のPCスキルを高められます。
インターン参加のメリット
ここでは、商社が実施するインターンに参加するメリットをご紹介します。
【参加メリット】
- ミスマッチ防止
- 参加結果が自己PRになる
- 人脈が広がる
メリット①ミスマッチ防止
まずは「ミスマッチ防止」になります。
どんな仕事も憧れの部分だけを見て、厳しい現実的な面を知らずに入社した結果、「こんなはずじゃなかったのに!」や「思っていたものと違う」などのミスマッチを起こして早期離職に至る学生が毎年一定数はいます。
早期離職は企業側にとってもハイリスクなものなので、採用活動は慎重に行っていますが、それでも、毎年一定数が早期離職してしまいます。
インターンは、そんな「ミスマッチ防止」になる絶好の機会です。
どれだけ外を調べ尽くしても、内側の情報を得るのは難しいです。
OB・OG訪問で得ることもできますが、自らの目や耳で情報を得る方が、リアリティが高いので、ぜひインターンに参加しましょう。
メリット②参加結果が自己PRになる
面接やエントリーシートで問われることが多い「自己PR」のテーマは取り組んだ学習内容や研究、サークル、アルバイトなど様々です。
しかし、これらテーマは「学生時代にやった経験」なので、テーマを絞れてもうまく話せない学生が多いです。
しかし、インターンで得られる経験の多くは、「仕事」にカテゴライズされる経験ばかりです。
参加したインターンで何を学び、どんな経験をしたのか、どのような形で会社に貢献できたのかなど参加した「結果」を持ってアピールできます。
さらに、その自己PRがインターン先なら、なおのことリアリティ溢れる経験として話せます。
企業によってインターン参加が、後の本選考で有利になるパターンが多いので、積極的に参加していきましょう。
メリット③人脈が広がる
インターンに参加すれば、当日参加する学生と交友を深められるほか、先輩社員との交流を持って人脈が広がります。
大学生活を送る中で知り合う機会がない社会人の方と築いた縁は、今後の生活の中で大きな刺激になることがあります。
またインターン先で知り合った学生とは、同じ木々用を志望するライバル同士でもありますが、ともに内定を獲得できれば同期として会社で仕事をする間柄になります。
商社が実施するインターンに参加する前にすること
ここでは、商社のインターンに参加する前にやっておくことをご紹介します。
自己分析・業界・企業研究は済ませ、志望動機の作成に励む
学生からの人気が高い商社では、インターン参加前に必ず「インターン選考」を実施します。
選考を設ける目的は様々ですが、「ミスマッチ防止」や「社員にかかる負担軽減」などの意図があって設けていることが多いです。
このインターン選考を突破するためにもまずは自己分析、業界・企業研究の2点を必ず済ませておきましょう。
この2点が終わった後はエントリーシートに記入する「自己PR」と「志望動機」に取り掛かります。
この2つをスムーズに進めるためにも、前準備として自己分析、業界・企業研究が欠かせません。
志望動機対策
会社に自分の熱意を伝える「志望動機」を書く時に抑えておくポイントは2つです。
- なぜ「商社」を選んだのか?
- その「商社」の中でも、なぜこの会社を選んだのか?
- 「商社」で活かせる「自分の強み」はどこか?
- 弊社に入社したら、どのようなことをしたいのか?
この4点を踏まえて、志望動機を考えていきましょう。
どの点も重要ですが、最も熱意を伝えやすい点が「その「商社」の中でも、なぜこの会社を選んだのか?」と「弊社に入社したら、どのようなことをしたいのか?」の2点です。
返答次第では、「それって弊社じゃなくてもできるよね?」っていう疑問を抱かれてしまうのでご注意ください。
自己PR対策
2点目は「自己PR」です。
自己PRと聞いたとき、学生の多くが、学生時代に経験したことや頑張った取り組みについて話すかもしれません。
PRのテーマはどんなものでも構いませんが、結果として「どうなったのか」「その体験・経験からあなたは何を得たのか」などが伝わっていないと、ただの自慢話で幕を閉じる結果になります。
自己PRを考えるときは、この2点を意識して作成してみましょう。
また商社の中には、「自己PR動画」の提出を求めている場合があります。
自己PR動画では、30秒~3分程度の自己PR動画を撮影して提出すれば問題ありません。
しかし、ただの動画撮影の中でも会社側は「話しての声のトーン」「内容」を聞き入っています。
グループワーク・グループディスカッション対策
商社のインターンに参加するなら、インターン参加内定を頂くことを想定して「グループワーク・グループディスカッション」の対策をしておきましょう。
実際の業務はチーム単位で実施することが多く、インターンで行うこれらは学生の「協調性」と「コミュニケーション能力」の2つを見ています。
商社の中には、このインターンで行う「グループワーク・グループディスカッション」が後の本選考に繋がる前座として学生を評価していることもあります。
学生生活を送る中で「グループワーク・グループディスカッション」を経験する機会は少ないです。
もし大学側が「グループワーク・グループディスカッション」の予行演習を行っていたら積極的に参加しましょう。
- ディスカッションの進み方
- 役割の把握
- 考えをまとめて発言する練習
この3つを演習の中で掴み、本番で活かしてみましょう。
逆に目立つことばかり考えて、メンバーの話しを聞かず自分の意見ばかりを推すなどの行動は「協調性」に欠ける行動として見られます。
夏季実施の他業種のインターンに参加して慣れておく
商社のインターン本番は秋から本選考解禁までの間に実施されます。
その前の夏季に実施される他業界のインターンに参加することや、一足早く実施される商社のインターンに参加して、場の雰囲気というものを肌で感じておきましょう。
「インターン慣れ」しておくと、以降のインターンに参加しても緊張せず「自分らしさ」をキープした状態で実務に望めます。
また、「インターンに参加した」という実績と経験を得られますので、夏季実施のインターンにも積極的に参加しましょう。
まとめ
以上が、商社が実施しているインターンの内容と、参加で得られる経験・メリット、そしてインターン選考対策の各所ポイントのご紹介でした。
商社で実施されるインターンは、秋から本選考が解禁される4月直前まで実施されることが多いです。
時間には余裕があるものの、有効的かつ円滑に時間を活用するためにも、余裕を持って自己分析と業界・企業研究に取り組みましょう。
さらに、夏季実施のインターンに参加すれば、「インターン」の雰囲気を感じられるほか、「インターンに参加した」という実績と経験が得られ、自己PRのテーマにもなります。
また商社が実施するインターンに参加して優秀な成績を収めることができれば、本選考で有利にはたらくメリットだけじゃなく、早い段階から内々定を得ることもあります。
商社志望の学生は、積極的にインターンに参加してみましょう。
今後の就職活動に、余裕とゆとりが生まれます。