企業や業界への理解を深めるため、働くイメージや就職活動対策のためにOB・OG訪問は非常に有意義な活動のひとつです。
OB・OG訪問は、メールや電話を使って連絡を取ることから始めるのが一般的。
しかし友人や知人とは異なり、OB・OG訪問を依頼する際は社会人としてのマナーを踏まえた内容にしなければいけません。
そこで今回は、OB・OG訪問のメールの書き方や注意すべき点などについてご紹介します。
メールのやり取りに不安を感じる方や、形式的なメールに対して苦手意識がある方はぜひ参考にしてみてくださいね。
OB・OG訪問とは…
興味・関心のある企業で働いている先輩社員を訪ね、実際の業務内容や社風などの情報を得る行為。
おもに業界・企業研究を目的として、大学3年の秋ごろから始める学生が多い。
OB・OG訪問メールの基本的な書き方
OB・OG訪問時のメールの構成は、一般的に以下の流れになります。
ここでは、基本的な構成になぞらえてポイントを解説していきます。
OB・OG訪問時のメール例文
- 【宛先】〇〇株式会社〇〇様<〇〇〇@〇〇.〇〇>
- 【件名】OB・OG訪問のご依頼*************************************
- 〇〇会社〇〇様初めてメールをお送りします。〇〇大学、〇〇学部〇〇学科の〇〇と申します。
- この度は、大学のキャリア課の〇〇さんのご紹介により、OB・OG訪問のお願いでご連絡させていただきました。現在、就職活動を控え〇〇の業界に大変興味を持っています。ご多忙中のこととは存じますが、ぜひお話をお聞かせ願えますでしょうか。
また、所要時間は、〇〇分ほどを想定しています。唐突なお願いで大変恐縮ではございますが、ご検討いただけますと幸いです。以上よろしくお願いいたします。
- *************************************
〇〇大学〇〇学部〇〇学科氏名 〇〇〇〇メールアドレス:TEL:
*************************************
OB・OG訪問メールの基本的な書き方
- 宛先
- 件名
- 宛名
- 本文
- 署名
➀宛先
宛先は、OB・OG訪問したい企業のホームページにメールアドレスが掲載されていれば、基本的にはそれを貼付するのが無難です。
メールアドレスをイチから入力となるとミスの原因にもなるので、打ち間違い防止のためにもコピー&ペーストのほうが確実でしょう。
②件名
件名には、「用件」「大学名」「自分の名前」をタイトルに盛り込みます。
メールを受け取る相手は社会人であり、常日頃たくさんの人からメールが来るため、件名は一目で概要が分かるように意識することが大事です。
例えば、「【OB・OG訪問のお願い】〇〇大学 〇〇です。」といった表記がベストでしょう。
③宛名
宛名に関しては、OB・OG訪問先の企業を株式会社まで正式名で示し、さらにそこに「部署名」「相手の名前」の順番で記載します。
もし、OB・OG訪問先の相手の役職なども知っていれば、「〇〇部〇〇課〇〇様」といったように表記するとよりいいでしょう。
企業名や人の名前を間違えるのは失礼にあたるため、誤字や脱字には注意が必要です。
④本文
本文では、「あいさつ文」と「名乗り」を入れてから本文に入ります。
あいさつ文では初めてメールを送る場合、「初めてメールをお送りいたします」などを記載し、以降は「お世話になっております。」が一般的です。
また名乗りでは、「学校名」「学部・学科「フルネームの名前」を入れます。
本文メールの文量については長すぎると相手の負担にもなるため、1行30文字以内で3~5行程度が望ましいでしょう。
さらに読みやすさを重視するなら、1行空きなどを利用するとなおいいですね。
⑤署名
署名では、「指名」「学校名」「学部・学科」「連絡先(メールアドレス・電話番号)」を記載します。
署名については何度かやり取りをする場合、あらかじめテンプレートで保存しておくと毎度打ち込む必要がないのでおすすめです。
またなかには、署名部分を記号などで装飾する方もいますが、目立たせる必要性はないのであくまで読みやすさを優先させるようにしてください。
OB・OG訪問のメールは3つのステップがある
OB・OG訪問のメールは大きく3つのステップから成り立っています。
ここでは依頼・確認・お礼のステップについてそれぞれのポイントや、例文などを紹介します。
OB・OG訪問メールの3つのステップ
- 依頼(アポイント)メール
- 確認メール
- お礼メール
➀依頼(アポイント)メール
依頼メールというのは簡単にいえば、希望企業先の相手に「OB・OG訪問をしたい」といった意思を伝えるためのメールです。
業界やOB・OG訪問先の企業のどんなところに興味を惹かれたのか、どういったところに魅力を感じてOB・OG訪問をしたいと思ったのかを書くとより気持ちが伝わる内容となります。
依頼(アポイント)メールのポイント
- 訪問の目的、時間を伝える
- 希望日程の候補を出す
ポイント➀訪問の目的、時間を伝える
依頼メールを書く際は、OB・OG訪問の目的や所要時間などを伝える必要があります。
OB・OG訪問の目的に関しては、「実際に働くイメージを掴みたい」「企業や業界への理解を深めたい」などさまざまあると思いますが、自分自身の経緯や何を聞きたいのかを明示しておくといいでしょう。
また、OB・OG訪問をするにあたってどのくらいの時間をかけたいのか、所要時間の目安を提示しておくことも忘れてはいけません。
やはり相手にも都合や仕事上そこまで時間を避けられないため、あらかじめ聞きたいと思っていることをリストにしたり、全体の時間を伝えておくのはマナーです。
ポイント②希望日程の候補を出す
依頼メールの時点で、自分の希望日程の候補をいくつか出してくと、よりスムーズにOB・OG訪問を進められます。
候補の日程を出す際は、以下のポイントに気を付けながら相手に聞いてみてください。
- 定時後の夜間や休日は避ける
- あくまで就業中内の時間帯にする
- 最低でもメール送信日から1~2週間後先を提案する
希望日程に関しては1つだけではなく、少なくとも3つ以上は提示するようにすれば、より予定が決まりやすいですよ。
また、OB・OG訪問が対面なのかオンラインなのかなどの手段も先に希望を出しておくといいでしょう。
さらに、そもそもなぜOB・OG訪問先の企業の連絡先を知ったのか(キャリアセンターや自分の興味など)も記載します。
突然、知らない相手からメールが来れば迷惑メールだと勘違いされてしまう恐れがありますからね。
ルートを示しておくことで、相手側の警戒心も解け、対応してもらえる可能性も高くなるはずです。
依頼(アポイントメント)メールの例文
〇〇会社〇〇様
初めてメールをお送りします。
〇〇大学、〇〇学部〇〇学科の〇〇と申します。
本日はOB・OG訪問のお願いでご連絡差し上げました。
現在、私は〇〇の業界を志望しており、実際の業務についての理解を深めたいと考えています。
自分で業界について調べていくうちに〇〇様の連絡先を知り、この度ご連絡させていただきました。
ご多忙中のこととは存じますが、ぜひお話をお聞かせ願えますでしょうか。
恐れ入りますが、私の都合のつく日程を以下に記しておきます。
・〇月〇日 終日
・〇月〇日 15:00以降
・〇月〇日 10:00~16:00
また、所要時間は、〇〇分ほどを想定しています。
都合上、当日はオンラインでお話できれば幸いです。
唐突なお願いで大変恐縮ではございますが、ご検討いただけますと幸いです。
以上よろしくお願いいたします。
**************************************
〇〇大学〇〇学部〇〇学科
氏名 〇〇〇〇
メールアドレス:
TEL:
**************************************
②確認メール
訪問の許可を得た場合でも、お断りされた場合でも必ず確認メールを送りましょう。
もし許可を得られれば、当日聞きたいことを改めて伝え、急なスケジュール変更にも対応できるよう電話番号などを明示しておくと相手も安心します。
確認メールのポイント
- 日程、時間、場所を確認する
- 質問内容を事前に示す
- オンラインなら事前にセッティング
ポイント➀日程、時間、場所を確認する
具体的な日時のすり合わせができたら、必ず「〇月〇日、〇〇にて承知いたしました」と確認をおこないましょう。
さらに万が一の行き違いが起きないようにするためにも、OB・OG訪問の全日にリマインドとして再度確認を送ると相手も安心です。
ポイント②質問内容を事前に示す
質問内容によっては相手にも準備が必要なケースもあるため、「当日はこういった内容の質問をしたい」と示しておくとベストです。
しかし質問を全て列挙してしまうと文量も増えてくるため、あくまで優先順位をつけて3つ程度に収めるように意識してみてください。
ポイント③オンラインなら事前にセッティング
昨今では感染症対策のために、OB・OG訪問もオンラインでおこなうケースも増えてきています。
オンラインでのOB・OG訪問を予定しているのであれば、確認メールの時点でミーティング用のURLを記載しておくといいでしょう。
ただしオンラインミーティングには、時間制限がついているものもあるため、不備の内容に準備することが大事です。
確認メールの例文
〇〇会社 〇〇様
お世話になっております。
〇〇大学、〇〇学部〇〇学科の〇〇です。
この度はお忙しいなか、OB・OG訪問の依頼をお引き受けいただきまことにありがとうございます。
〇月〇日 16:00~17:00にて、ご都合がつくとのこと承知しました。
また、当日は以下の点についてお聞きしたいと考えております。
・貴社で働くやりがい
・働くうえで必要だと思った能力、スキル
・〇〇様が就職活動をしていた際に意識したこと
併せて、この度はオンラインでの実施のため、会議用URLを用意させていただきました。
当日は、こちらのURLにてよろしくお願いいたします。
それでは、〇月〇日、お会いできるのを楽しみにしております。
以上よろしくお願いいたします。
**************************************
〇〇大学〇〇学部〇〇学科
氏名 〇〇〇〇
メールアドレス:
TEL:
**************************************
③お礼メール
OB・OG訪問が終わったら、当日中か少なくとも相手が次回出勤した際には確認できるように、翌日の朝までには送っておくのがベストです。
メールのない世には、「忙しい中時間を作ってくれたこと」「先輩から教えてもらったこと」「ご飯や飲み物など御馳走になったこと」などについてのお礼をします。
さらに、先輩のアドバイスや学んだことのお礼などを具体的に盛り込むと、相手方も案sんするはずです。
お礼メールの例文
〇〇会社 〇〇様
お世話になっております。
〇〇大学、〇〇学部〇〇学科の〇〇です。
本日はお忙しい中、貴重な時間をいただきありがとうございました。
〇〇さまとお話する中で、今まで以上に業界についての理解が深まり、また〇〇という新たな発見もありました。
今後も企業や業界について勉強し、より理解を深めていきたいと考えております。
重ね重ね、お礼を申し上げます。
どうぞ今後とも、よろしくお願いいたします。
**************************************
〇〇大学〇〇学部〇〇学科
氏名 〇〇〇〇
メールアドレス:
TEL:
**************************************
OB・OG訪問を断られた際のメール
企業や相手先の都合によっては、OB・OG訪問を断られるケースも当然あります。
もしOB・OG訪問を断られた際もメールを受け取ったままではなく、必ず返信するようにしましょう。
メールの文面では、お断りのメールをくれたことに感謝の気持ちを伝える内容にするのがポイントです。
また件名に関しては、「【返信のお礼】 〇〇大学 〇〇」と表記するのが望ましいでしょう。
OB・OG訪問を断られた際のメールの例文
〇〇会社 〇〇様
お世話になっております。
〇〇大学、〇〇学部〇〇学科の〇〇です。
このたびはOB・OG訪問についてご返信をいただき、ありがとうございました。
ご予定がつかないとのご連絡、確かに承りました。
突然のお願いにもかかわらずご検討いただき、誠にありがとうございました。
また別の機会にお話をお聞きすることができれば光栄に思います。
今度ともよろしくお願い致します。
以上よろしくお願いいたします。
**************************************
〇〇大学〇〇学部〇〇学科
氏名 〇〇〇〇
メールアドレス:
TEL:
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OB・OG訪問のメールでおさえておきたいマナー7つ
OB・OG訪問のメールでは通常のメールと異なり、いくつか気を付けなければあらないポイントがあります。
ここでは、OB・OG訪問のメールでおさえておきたいマナーや注意点などについてご紹介します。
メールを送信する前に必ず確認するようにしてくださいね。
OB・OG訪問のメールで押さえておきたいマナー7つ
- メールの件名は簡潔に
- 送信時間に気を付ける
- 適度な改行を心がける
- 署名は必ず記載する
- 失礼のない文章にする
- 誤字、脱字に注意
- 直前の日程や時間変更はNG
➀メールの件名は簡潔に
メールの件名は必ず記載するようにしましょう。
なぜ名前だけではいけないのかというと、送付先は社会人として日々たくさんのメールのやり取りをおこなっており、見落としや迷惑メールとして削除されるのを防ぐためです。
また、大学名や名前を記載する理由としては今後、自分にとっても相手にとってもボックス内の検索をスムーズに検索するためです。
書き方としては、「OB・OG訪問のお願い 〇〇大学〇〇」という形で、できるだけ一目でわかるように表記することをおすすめします。
②送信時間に気を付ける
メールの送信時間は、基本的に平日の深夜や休日など相手の勤務時間外に送ってしまうと、リアルタイムで見れない可能性があります。
ですので、できるだけ相手先企業の就業時間内に送信を済ませるようにしてください。
ただし、当日に関わる自身の体調不良や遅延などといった急を要する場合は、望ましい時間外であっても発覚した時点で早めに連絡するのがマナーです。
もし夜間になる場合は、「夜分に失礼いたします」などの一文を添えるといいですね。
またメールの返信についても、なるべく当日中や遅くても翌日には済ませるようにして、相手を待たせないのがルールです。
もしすぐに返信するのが難しい内容であれば、「〇〇日までにお答えさせていただきます」など、自分から期限を提示するなど、簡潔なものでも何らかのリアクションを取るようにします。
③適度な改行を心がける
OB・OG訪問に関わらず、就職活動やビジネスメールに関しては、1~2文ごとに改行し、1文は20~30字程度におさめて書くと読みやすさがアップします。
反対に、大学生が書く論文のように長々と文章を書き連ねてしまうと、どうしても読み手にとっては負担になってしまいますからね。
内容ごとに空白を作って段落にしたり、スマートフォンで読む可能性なども想定して書くとより良いでしょう。
④署名は必ず記載する
署名とは、送信者の所属や連絡先などの情報を記載する部分で、主にメールの最後の結びとして記します。
「メールを送ったのは何者か」を明確にするためのものなので、最低でも自分が通っている大学や学部・学科、自分の名前、連絡先(メールアドレス・電話番号)を記載するようにしましょう。
また珍しい名前の方は、フリガナをつけておくとより丁寧です。
⑤失礼のない文章にする
社会人として働く年上の方に贈るビジネスメールでは、敬語表現が適切かどうか、文章内に失礼なところがないか確認するのが大事です。
あまりにも不適切な表現や、大学生同士で使うような言葉でやり取りをしていると、「常識のない学生」「OB・OG訪問に来られるのは迷惑」などと、マイナスな印象に受け取られる恐れが!
ただし、敬語や表現にこだわりすぎると、返信が遅くなったりすることもあるので、もし迷う方は身近な社会人に相談するのもひとつです。
また、キャリアセンターや学校のキャリア相談などができる場があれば、そういったところもおすすめですよ。
OB・OG訪問のポイントは、相手にとって読みやすい文章にすることと、「OB・OG訪問でこの企業を訪れたい」「業界についての学びを得たい」といった熱意を伝えること。
メールの内容からも誠実さが伝われば、今後のやり取りも円滑に進められます。
⑥誤字、脱字に注意
失礼のない文章にするのも大事ですが、それと同様に誤字や脱字にも注意しなければいけません。
文章内で誤字や脱字が頻発していると、「不注意な人」「大雑把な人」「仕事ができない」のような印象を与えてしまいます。
実際に対面であったり、オンラインでもマイナスイメージから始めるのはもったいないため、必ずメールを送る前に送付先だけではなく、文章の校正や推敲をおこなうようにしてください。
⑦直前の日程や時間変更はNG
基本的に、OB・OG訪問の確認メールを送った後に日程・時間変更をするのはNGです。
直近になっての変更だと、相手がそのメールに気づかずそのまま準備をおこなってしまう可能性がありますからね。
ただし感染症といった体調不良など、どうしても変更をせざるを得ない状況になったら、その時はできるだけ発覚した時点で早めに伝えるようにしましょう。
また遅刻や予定延期などといった場合は、メールではなく電話の方が確実です。
もし相手先の電話番号などが分かれば、こちらもメールの送信と同様に勤務時間内に連絡をするようにします。
OB・OG訪問で不安なときは就活エージェントを利用するのもひとつ
初めての就職活動やOB・OG訪問では、誰しも不安に感じるものです。
もしOB・OG訪問やビジネスマナー、質問内容に関してわからないことがあれば、就活エージェントを利用するのもおすすめですよ。
就活エージェントではプロから客観的なアドバイスをもらえますし、OB・OG訪問だけではなく今後の就職活動においても長期的にサポートしてくれます。
また、OB・OG訪問に特化した学生向けのサイトなどもたくさんあるので、そのようなものを事前にチェックし対策するのもいいでしょう。
~まとめ~OB・OG訪問のメールは順番さえ気を付ければこわくない!
今回は、OB・OG訪問のメールの書き方や注意すべき点などについてご紹介してきました。
OB・OG訪問で作成するメールに対してなんとなく苦手意識を持つ方も多いでしょうが、基礎的な手順やメールマナーに気を付ければ問題はありません。
OB・OG訪問のメールは基本的に、依頼・確認・お礼の3つの手順を踏んで随時連絡します。
またメールマナーに関しては、たとえまだ学生であっても、社会人としての意識や一般常識を忘れてはいけません。
「質問事項の共有や手段などをあらかじめ記載する」「相手方の予定を尊重する」など、くれぐれも失礼のないように気を付けましょう。
OB・OG訪問のメールの書き方については、社会人として実際に働くうえでも必要になる場面があるため、この機会にしっかりと身につけておくといいでしょう。