各大学が取り持つ学部の中でも「医学部」など「専門性」が高い実学を中心に学ぶ学部があることをご存じでしょうか?
それが「工学部」です。
「工学部」で得られる技術と知識の先にあるものの多くは「モノづくり」にあり、今後の社会を豊かにしてくれるものばかりとされています。
そんな「工学部」が持つ「専門性」を社会は高く評価しています。
ゆえに「就職活動」では医学部に次いで「有利」や「強い」と称賛の声を頂いています。
そこで今回は、工学部とはどんなところであるかの解説と合わせて、工学部所属の学生が大学卒業後どのようなところに就いているのかをご紹介します。
工学部部ってどんな学部?
「工学部」とは、前述したように「モノづくり」を中心にそれに伴う「技術」と「知識」を学ぶ学問です。
当学部で学ぶことの多くは、「実用性・実益性」の側面が高く、在学中に身に着けた技術や知識を就いた職場で大いに振るうことができるとされています。
対極的なものとして「理学部」をあげることがありますが、こちらの学部では「研究対象となる道理を実験や理論証明に基づいて研究・解明していく」学部になります。
その一方で「工学部」は、「既存理論に基づいて、それを応用、利用して社会に役立つモノを作ることを研究」していきます
また「工学部」では、以下の学科を設けています。
【情報工学】
「情報工学」では、主にハードウェアやソフトウェアなどの「コンピューター関連」の開発から「情報通信」を通学的知見から考察して「情報理論」「通信技術」「マルチメディア技術」など「システム的・社会的」側面からの研究を行います。
【機械工学】
「機械工学」では主に、「エネルギーを変換してモノを動かす」つまり「力学」の分野中心に生活・産業の観点から新たに生み出せる機械がないかを研究します。
【電気工学】
「電気工学」では主に、「電気エネルギー」や「電気回路」、「電磁波の原理」を用いて、運輸・通信などに応用活用できないか研究を行います。
【応用化学】
「応用科学」とは主に、物質構成を成す「原子・分子」を学んで、それを生活や産業など社会的場面で役に立つ物質がないかを研究し開発します。
【建築学】
「建築学」とは、名前の通り「建築」に関すること(住宅/ビル/道路などの構造・設計など)を総合的に学んでいきます。当学科は「建築学」「土木工学」「環境工学」の3分野に分けることができます。
工学部が就く就職先
学科で見る就職先
ここからは「学科別」で就く就職先をご紹介していきます
【情報工学】
IT業界
まず「情報工学」を専攻する学生の多くが「IT業界」に就職しています。
在学中に培った技術を存分に震える職場環境ということもあり、現場によってはソフトウェアやシステム開発に着手できるだけでなく、コンピューター周辺やネットワークの構築といった「インフラ整備」に回ることがあります。
そんな「IT業界」への就職を決めた場合、以下の立場となって仕事をしていきます。
【システムエンジニア】
「システムエンジニア」通称「SE」とも呼ばれている職種です。
主にクライアントから要望として受けた案件内容に従って、システム・ソフトウェアの「設計」に携わります。業務上、直接プログラムに触れてシステム内部の設計・開発に携わるというよりも、クライアントをヒアリングしてどのような要望をもっているのかを聞き出す「要件定義」や聞き出した要件を基にシステムの設計を行う「上流工程」に携わる機会が多いです。
【インフラエンジニア】
「インフラエンジニア」とは、企業の「インフラ面」、つまり「ネットワークの構築
運用・保守・メンテナンス」「LAN回線・ルーターは設置・整備」などに携わる機会が多い仕事です。
【Webエンジニア】
「Webエンジニア」は主に、WebサイトやECサイトの設計・開発・運用・保守を担っている仕事です。当エンジニアは、以下の2種類に分けられます。
- フロントエンドエンジニア
こちらはサイトの見た目や動作など、開発者やユーザーから見える部分の開発を主に行います。
- バックエンドエンジニア
上記エンジニアとは真逆で、データ処理やサーバーの運用・保守など開発者の目しか届かない「サイトの裏側」の開発を行います。俗にいう「裏方仕事」というイメージになります。
【機械工学】
製造業
次に「機械工学」を専攻している学生が就職先としているのが「製造業」です。
「製造業」といっても、様々なものがあります。自動車や鉄道、飛行機などの乗り物から電子機器製品、半導体など「製造業」で取り扱うものはその業界によって多種多様です。
整備士
次に「整備士」です。
学科で得た技術と知識を用いて、自動車や鉄道、飛行機など「人の命」に係わる機械などに不具合が生じていないかを点検したり、場合によっては製品の分解・整備・組み立てを行います。
【電気工学】
製造業(電子部品など)
次に「電気工学」を専攻している学生が就職先としているのが「機械工学」と同じ「製製造業」です。
ただし、「製造業」と言っても、こちらの場合は「電子機器製品」を主に取り扱っているメーカーや製造所に就いています。
もう少し深く掘り下げると、「電気回路」や「電子機器」などのパーツの開発、設計からこれらパーツを用いた家具家電などの製品企画・設計・開発に携わっています。
エネルギー業界
次に「エネルギー業界」です。
「エネルギー業界」では、電気やガス、石油などから得られるエネルギーの安定供給を主として、我々の生活インフラを支える重要な仕事です。
【応用化学】
メーカー企業
次に「応用科学」を専攻している学生が就く就職先が各種「メーカー企業」です。
就職先となる「メーカー企業」は多岐に渡り、例えば、医薬品の製造・開発に力を入れている企業や、アパレル、化粧品メーカーなど学科で得た知識を活用して品質の向上、新商品の開発に携わります。
【建築学】
建築業界
次に「建築学」を専攻している学生が就く就職先は「建築業界」です。
「建築業界」といっても多岐に渡ります。また、「建築学」も「建築学」「土木工学」「環境工学」の3分野に分かれます。建築業界でそれぞれの専攻が活かせるところに就きます。
たとえば、「建築学」を学んだ学生は「建築士」と呼ばれる建築法に基づいて、住宅やビルなど設計、工事の監修・指揮を執る仕事に就きます。
そのほかにも、高層ビルや商業施設の建築に関わる「ゼネコン会社」や「住宅開発」に関わる「ハウスメーカー」や「都市開発」などに関わる仕事に就きます。
「土木工学」を専攻している学生の場合は、橋やダムなどインフラ設計に関わることが多い仕事に就きます。
総合職で工学部は強い
公務員
次に「公務員」です。
学部学科を問わず、「公務員試験」を突破すれば基本的に誰でも就くことができる「公務員」に工学部出身の学生が就くこともあります。
その多くが「国土交通省」や「経済産業省」「環境省」「農林水産省」などの機関にて「技術職員」として働いています。
いずれも、「工学部」で得た知識と技術を活かせる場でもありますので、非常にやりがいはあるでしょう。
そのほかにも「警察官」や「消防隊」などに就く学生もいます。
技術営業(セールスエンジニア/サービスエンジニア)
次に「技術営業」です。
「技術営業」とは、在学中に得た技術関連の専門的知識を振るって、取引先に営業をかけて商談を行う職種を言います。
この職種に当たる仕事があります。
それが「セールスエンジニア」と「サービスエンジニア」です。
セールスエンジニア
「セールスエンジニア」とは、IT関連の専門技術と営業職の2面生を持った職種です。
主に自社取り扱いの製品に関する情報や開発関連に伴う知識を持って、法人顧客を相手に営業活動をしています。
またクライアントからの案件受注も引き受けています。
サービスエンジニア
「サービスエンジニア」とは、顧客との「保守契約」に基づいて製品の定期点検や、状況に応じて部品の交換を行います。
取り扱う製品の多くが「電子機器製品」「機械製品」が多く、これら製品を取り扱う上で必要となる技術はもちろんのことながら、製品の状況を聞きただすために必要となるヒアリング、言うなれば「コミュニケーション能力」が求められます。
コンサルタント
最後に「コンサルタント」です。
「コンサルタント」は主に経営や財務、人事などで問題を持つ企業に対して、分析・調査を行って解決策を提供する仕事です。
「コンサルタント」は、出向く企業が属する業界・職種によって対応が異なります。
それゆえに、専門とする知識、高い分析力と処理能力、さらに問題解決に努めるための「論理的思考力」から「伝達力」などあらゆる方面に通じる力を求められます。
工学部は就職活動において非常に有利と言われている
特に「強い」と言われている学科が存在する
「工学部」に属する学科の多くが、就職において有利とされていますが、その中でも「機械工学」「電気・電子工学」「情報工学」の3学科は今後の社会的需要的観点から見ても極めて高いといえます。
どういう点でこの3学科が「有利」なのかを1つずつ解説していきます。
機械工学
「機械工学」で学べることの多くが、機能性が高い機械製品の設計・製造です。その中には、各種乗り物に搭載されているエンジンやスマホに搭載されている「カメラレンズ」など大小さまざまなものを製造していきます。
これらを製造していく中で1つの軸に沿う傾向があります。
それは「地球環境」に配慮した製品の設計・開発からその製品が環境にどのような影響をもたらすのかを研究することです。
学問的観点でいえば、新規製品を作ってこそ真価を発揮するといいますが、現代社会が求めていることを考慮した製品作りこそに需要が高まっており、その素養を今の機械工学学科では身に付けられます。
電気・電子工学
次に「電気・電子工学」です。
こちらの学科では「電気」を定義としてさまざまな研究を行っています。
一般的に「電気」とは、モノを動かすうえで必要不可欠な「エネルギー」の1つとして見られています。しかし、当学科では「電気」を「エネルギー」と見ると同時に「情報」の2つの観点から考察して研究をしていきます。
1資源とした「電気エネルギー」の活用方法から新規発電システムの開発など、「エネルギー」としての電気を研究する分野としています。
また「情報」の関電では、「光ファイバー」を用いた「情報通信」の分野として研究されています。
情報工学
最後に「情報工学」です。
当学科では、言わずもがな「ハードウェア」や「システム」などの開発・研究を主軸として電気回路の理論を学んでいきます。
研究を進めていく中では「コンピューター」の制御こそが欠かせないとされていますが、今後は「人工知能」の分野が大きくかかわってくるとされており、そちら研究に着手する大学もあります。
それに伴って人間の思考能力の学習、研究も等しく行う必要があります。ゆえに「情報学科」は、総合工学とも呼べる広い裾野を持っているといってもいいでしょう。
文系の総合職に就く時に注意すること
就職において工学部所属の学生は非常に有利な側面を持ち合わせていますが、一度「文系の総合職」に進路を決めた場合は要注意です。
最も工学部所属の学生の多くが、将来は「製造業」や「IT業界」など自分が持つ技術や知識が活かせる場を求めて就職をする学生が多い中で、「文系の総合職」に就こうと考える学生は少数でしょう。
対策として就職マニュアル本に手を出す学生もいますが、その本の視点は「文系学生向け」とされていることが多く、話す内容も「サークルやバイト」が中心でしょう。
仕方なく、そのテーマを中心に話したとしても、面接官には印象に残りません。
文系学生と差をつけるうえでの理系らしい持ち味となれば、やはり「研究」でしょう。
しかし、ここで注意すべきことがあります。
取り組んだ「研究内容」を事細かく説明したとしても、相手が仮に「文系出身者」だった場合、理解を得られることはまずないでしょう。
なので、「研究内容」を軸としてものはNGです。
では「研究」をテーマとした場合、何を話せばいいのかというと、「自分を中心として人間関係がどうあり、その結果どのようなことを得たのか」などを話してみるといいでしょう。
面接官の視点でいうと、学生が取り組んだ「研究内容」は正直どうでもよく、印象に残ることはありません。あくまで見ているのは「研究をしていく中で、周りとの関係性がどうあり、その結果どのような変化を自分にもたらしてくれたのか」です。
要点をまとめると以下のようになります。
- 文系視点で書かれた「就活マニュアル本」は参考にしない
- 文系学生の真似はしない
- 面接で話す内容は「研究」をテーマとして、その内容は「研究の中身」ではなく、「自分を中心にした人間関係」や「研究に取り組んだ結果、自分がどう成長したのか」を話すこと
まとめ
以上が、工学部とはどんなところであるかの解説と合わせて、工学部所属の学生が大学卒業後どのようなところに就いているのかをご紹介でした。
学部学科を通して専攻する学術領域のすべてにおいて、「実学的要素」を多く得られる工学部は、その高い技術力と知識を買われ、多くの企業から期待されています。
その中で文系の総合職に就こうと考える学生もいます。
学部内では少数に区分されますが、在学中に得た知識が決して無駄になることはありません。
すでに他学部の学生と戦えるだけの武器と素養をすでに身に着けているので、どんな仕事に就いても対等に渡り合えます。
ただし、面接時では要注意です。
文系の総合職に就こうものならばその職場には、文系出身者の方が多く在籍しています。面接の場でも同様です。どれだけ言葉をかみ砕いて回答に臨んでも理解してもらえないことが多々あります。
文系出身者の学生と違った考えを持つ理系だからこその持ち味を武器として、それを文系出身者でも「理解」できることを話せば、自ずと結果はついていきます。