新型コロナウィルスの影響により、退学を考えている大学生がたくさんいます。
その大学生のうち、多くが経済的な理由で退学を検討せざるを得ない状況になっています。
今回は「コロナ退学」を検討していたり、コロナによって不安を抱えている大学生のために、今後の大学の対応や困ったときの相談先をまとめました。
この記事を読んで分かること
- コロナの影響で大学生はどういった現状を抱えているのか
- コロナ退学を考えている大学生の相談先
今、退学を考えている大学生は全国にたくさんいる
リストラを行う企業が増える中、アルバイトをしている大学生も出勤できず、収入が減少している傾向があります。
また、対面の授業ができなくなったことで、多くの大学でオンライン授業が行われています。
オンライン授業では、学生の学習に対するモチベーション維持が難しい点があります。
大学に学費を払っているのにもかかわらず、満足のいく授業を受けられないことによって、退学を検討する大学生も増えつつあります。
立命館大学では約1割の学生が退学を視野に入れている
新型コロナウィルスの影響で、立命館大学では約1割の学生が、退学を視野に入れています。
傾向として、低学年や学費の高い学部の学生が、退学を考えている人数が多くなっています。
退学を検討している学生は、オンラインではなく対面での授業を希望する人が多く、大学の状況に不満を抱えていると考えられています。
一方、立命館大学をはじめ、9月下旬からの秋学期では、対面の授業の一部再開を予定している大学が増えています。
退学ではなく休学や留年を考えている人も
退学ではなく、休学を考えている立命館大学の学生は2割強いることがわかっています。
休学を検討している学生の多くは、ウェブではなく対面の授業を希望しています。
外国語を学ぶ授業では、オンライン授業では対面の授業に比べて物足りない部分もあるでしょう。
オンラインでも通話を通したコミュニケーションは可能ですが、大学の授業は教授一人に対して数百人の学生がつくことも少なくないため、限界があります。
そこで、休学や留年をすることによって、コロナウィルスの状況が落ち着き、通常の授業に戻るタイミングを待っている学生も多くいます。
しかし、留年をすると奨学金が停止するケースが多く、経済的な問題で退学をする学生も増えてしまう懸念があります。
大学生が「コロナ退学」する理由3つ
大学生がコロナウィルスの影響で退学する理由は以下の3つと考えられます。
- コロナによって経済状況が変わったため
- 対面授業がないため
- 施設などが使えないのに学費の減額がないため
上記それぞれの詳細について、ご説明していきます。
コロナによって経済状況が変わったため
コロナウィルスの影響で、世界的に経済状況が悪化しています。
企業の多くは早期退職を募集したり、休業などを与儀なくされたりしています。
アルバイトをする大学生にも影響があり、店が休業して出勤できず、収入が大幅に減ってしまっている学生も少なくありません。
よって、学費が払えなくなったり、奨学金の返済に目処が立たなくなったりして、退学をするケースが増えています。
また、地方から上京して一人暮らしをしている学生は、家賃の支払いが大きな問題となっています。
オンラインでの授業となり、大学へ出向く必要がなくなっていることで、一人暮らしをすること自体にも疑問があがっているのも事実です。
対面授業がないため
対面の授業がないことで、退学を考えている学生も多くいます。
通常であれば、授業やゼミで生徒同士とのディスカッションを行ったり、教授に質問したりすることが当たり前に可能でした。
しかし、新型コロナウィルスの影響で、オンラインでの授業となったいま、ディスカッションもしづらいでしょう。
また、以前様に教授に気軽に質問することも難しい状況となっています。
上記のように、満足いく授業が受けられないことによって、退学を考えている学生も少なくありません。
施設などが使えないのに学費の減額がないため
学費の減額がないことによって、退学を検討している学生も多くいます。
オンラインでの授業となり、通学する必要がなくなったことで、大学の自習室や図書館などあらゆる施設は使用できなくなっています。
しかし、学費の返還や減額を行っている大学はまだ少ない状況です。
また、オンラインでの授業となり、PCやWi-Fi環境、デスクや椅子など、自宅の設備を整える必要が出てきて、むしろ出費が増えてしまう事実があります。
このような状況に対して、大学側が対応を行っていないことにより、退学を考える学生も多いです。
退学を考える多くの学生が進路を決めていない
退学を考えている学生の多くは、次の進路が決まっていないことがわかっています。
実際に新型コロナウィルスの影響で、経済状況が悪化していることもあり、すぐに働き先を見つけるのが難しい状況です。
職種によればアルバイトでも、求人が見つけづらくなっています。
さらに、一般的には大学を中退すると、就職が困難になるという懸念点もあります。
新型コロナウィルスの影響で、働き先を見つけることは難しいですが、募集をしている企業はゼロではありません。
退学を考える際は、早めに行動をして出来る限り、次の進路を決めたうえで退学をするのがおすすめです。
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大学を退学するデメリットは?進路に影響する?
大学を退学する際は、そのデメリットを理解しておくことが重要です。
大学を退学するデメリットは以下の3点が挙げられます。
- 学びたいことが学べなくなる
- 人間関係を築くチャンスが少なくなる
- 就職活動に影響が出る
上記それぞれの詳細について、ご説明していきます。
学びたいことが学べなくなる
大学を退学することは、学びたいことが学べなくなります。
大学の授業はやはり学びとしての質は高く、他では学べないことがたくさんあります。
高校で勉強して、憧れていた分野の学部であればなおさらその授業には価値があります。
大学で学びたいことが他では学べない分野であれば、しっかり検討したうえで退学を決めることがおすすめです。
一方、外国語やその他の分野でスクールやオンライン学習が可能なものもあります。
その場合は、その後の進路に進んでからも学習が可能かどうか、調べたうえで退学を考えるようにしましょう。
人間関係を築くチャンスが少なくなる
大学で出会う友人には大きな価値があります。
学部には、同じ分野に興味がある人が集まっていて、話が合うひともたくさんいるでしょう。
そういった人々と人間関係を築けば、就職活動の情報収集に繋がったり、後々将来のキャリアについて相談できたりします。
実際に、大学を退学すると、このような友人と出会うチャンスも少なくなる可能性が高いです。
大学で出会う人々との人間関係には上記のようなメリットがあることを理解して、大学を退学することを検討しましょう。
就職活動に影響が出る
大学を退学することは就職活動に影響が出ます。
一般的には大学を中退すると、就職活動が不利になると言われています。
一企業の正社員として働きたいのであれば、大学を卒業して新卒入社を狙うのがおすすめです。
一方、大学を退学した場合でも、以下のような選択肢があります。
- アルバイトをしてフリーターになる
- 公務員試験を受ける
- 就職活動を続ける
アルバイトをしてフリーターになることも可能です。
新型コロナウィルスの影響で、求人が減っていますが、正社員で就職するよりは働き手が見つかりやすいでしょう。
ただ一度フリーターになると、正社員での就職が難しくなるので、注意が必要です。
また、公務員試験を受ける選択肢もあります。
公務員試験は大学を退学した人でも受けることが可能です。
大学を退学して公務員試験を受ける場合、高卒が受験できるものと同じになるので、注意しましょう。
最後は就職活動を続けることです。
新型コロナウィルスの影響で、正社員での求人は減少傾向にあります。
しかし、緊急事態宣言が解除されてから、募集を再開し始めている企業が増えています。
また、コロナウィルスによって、経済状況が悪化していても募集を続けているということは、企業として経営が安定していることを意味します。
したがって、大学退学後、就職活動を続けることも選択肢の一つとしておすすめです。
退学を決める前に一度相談をしよう
新型コロナウィルスの影響で、退学を決める前に、一度支援を行う施設に相談することがおすすめです。
相談が可能な施設は以下の通りです。
- 大学の「学生支援課」
- 日本学生支援機構
- 学生支援を行う企業やカウンセラー
上記それぞれの詳細について、ご説明していきます。
大学の「学生支援課」に相談
大学によっては「学生課」と呼ばれているところもあります。
大学の学生支援課は、在学中の学生にとって何事も相談しやすい点でおすすめです。
退学を決める前に今の自分の状況や、今後の予定についても相談を受けてくれます。
例えば、アルバイト先の紹介や、学費の延納などの経済的な面でも、相談が可能です。
在学中の学生であれば、自分と似たような状況の学生はいるので、大学として適切な対応をとってくれることが期待できます。
退学を決める前に、一度在学している大学の学生支援課を訪れてみましょう。
「日本学生支援機構」に相談
日本学生支援機構は、新型コロナウィルスの影響で経済的な問題を抱える学生を支援してくれます。
「新型コロナウィルス感染症に係る影響を受けて家計が急変した方への支援」として、給付奨学金や、貸与奨学金が用意されています。
どちらも一定の受給条件を満たすことで、受給が可能です。
特に家計が急変した場合、受給条件を満たし、証明書類を提出することで支援が認められます。
また、既に奨学金を返還中の人でも条件を満たすことで減額返還や、最大12カ月を限度として、返還期限猶予の延長が可能となっています。
日本学生支援機構ではなく、他の機関で実施されている公的支援についても、ホームページで紹介されているのでチェックしてみましょう。
学生支援を行う企業やカウンセラーに相談
新型コロナウィルスの影響で、一般企業も学生支援を行っています。
例えば、アルバイトが見つかりづらい学生に向けて、インターンシップアルバイトの受け入れをしたり、内々定を出した学生への特別奨学金を給付したりする企業もあります。
また、カウンセラーへの相談もおすすめです。
大学によっては学生支援室やサポートセンターに、臨床心理士(カウンセラー)による相談を実施しているところもあります。
カウンセラーへの相談は基本的に個別の相談になるので、秘密保持の面でも安心して相談が可能です。
ぜひ利用を検討してみてください。
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なぜ大学は対面授業を再開しないのか
多くの大学は対面授業を再開していません。
徐々に対面で実施する授業も一部は出てきているところもありますが、通常通り全て対面で授業を行っている大学は、ほとんどないのが現状です。
対面授業を実施するには、3密を避けた教室の整備や、学生が大人数集まらないようにする工夫が求められます。
したがって、その準備が整わなかったり、新型コロナウィルスに対する方針が決まっていなかったりするために、対面授業の再開が遅れています。
2020年後期から早稲田大学や、一橋大学も一部対面授業を再開する予定です。
しかし、基本的にはオンライン授業で、ソーシャルディスタンスがとれる状況であれば、教室利用を行うとしています。
具体的な授業実施については、学部によるとのことで、まだ多くの学生がオンライン授業を受けることになるでしょう。
学費を返還しない大学が多い
コロナウィルスの影響でオンライン授業が一般的になり、学生から学費を返還してほしいという意見が多くあがっています。
しかし、多くの大学は学費を返還していません。
返還しない理由としてはまず、「大学のオンライン設備への投資」が挙げられます。
授業をライブ配信し、それを数百人単位の学生が視聴できるようにするためには、サーバーを増強する必要があります。
また、授業ごとに多くのカメラを用意しなければなりません。
多くの大学ではオンライン設備への投資は、今までにないほどされており、緊急で進められているためそれなりに費用が掛かっています。
また、通信設備が整わない学生向けに、機材貸与を行っている大学もあります。
PCやWi-Fiルーターを多くの学生に用意することにも費用が掛かっています。
さらに、オンライン授業に合わせたカリキュラムや授業内容に変更する必要があり、教師側にも負担がかかっている事実があります。
このような理由により、多くの大学は学費の返還が難しいとされています。
給付金などの支援は大学によってさまざま
大学独自で実施する緊急支援奨学金もあります。
例えば、山梨大学ではアルバイトができず、住居費の支払い、食料品などの購入ができないほど困窮している学生に対して、条件を満たせば5万円または3万円の支給を行っています。
一方、神奈川大学や、日本大学など条件なしで一律給付を行っている大学もあり、金額も30000円~100000万円と様々です。
在学中の大学が給付金を実施している可能性もあるので、ぜひチェックしてみてください。
コロナ退学はひとりで悩まずまずは相談しよう
今回は、退学を決める前に読んでほしい今後の大学の対応や、相談先についてご紹介しました。
新型コロナウィルスの影響でオンライン授業が実施されていますが、少しずつ対面の授業も再開される大学が増えています。
経済的にも厳しい状況が続くことが予想されますが、各大学の学生支援課や、学生支援を行っている施設や企業に相談することも重要です。
大学によっては一律給付金や緊急奨学金制度が実施されているところもあるので、ぜひチェックしてみてください。