「公務員にも、民間企業同様にインターンって実施されているの?」
「そもそも実施している情報は、どこで手に入れればいいの?」
将来は地方の自治体、あるいは国のために仕事をしたいと考え、「公務員」を志望される学生がいます。
民間企業とは異なるため、就業体験の一環であるインターンは実施していないと思っている学生も少なくないです。
しかし、実は学生のためにインターンを実施している自治体はあります。
つまり「公務員」にも、インターンがあるというわけです。
そこで今回は、公務員が実施するインターンの内容と、インターン参加の申し込み方法、民間企業とは違う「留意」すべき点をご紹介します。
公務員が実施するインターンの内容
ここでは、公務員が実施するインターンの内容と併せて、開催時期・実施期間、申し込み方法についてご紹介します。
インターンの内容
公務員が実施するインターンの内容は、「実務体験」を中心に多岐に渡ります。
【インターン内容】
- データ入力・管理アシスト
- 書類管理アシスト
- イベントや施設の管理
- 地域インフラの管理
インターンで配属されるかによって、体験できる実務内容が大きく変わります。
たとえば、通う頻度が高い「住民窓口」にインターン中の配属になった場合、データ入力・管理・書類作成など裏方回りの一部業務を体験できます。
またインターンを実施している自治体の多くが、学生を受け入れる体制が整っているため、当日実施されるプログラム内容は充実しているものがほとんどです。
さらに、公務員インターンは地方自治体のみならず、中央省庁などの「国家公務員」でもインターンが実施されています。
なお、インターン内容は地方・国家ともに差異はなく、配属された課が行っている実務を体験します。
開催時期・期間
開催時期
公務員インターンの開催時期は、長期休暇に差し掛かる夏季と秋冬に開催されることが多いです。
参加応募はインターン実施の2カ月前から参加者を募っています。
たとえば、夏季に実施するとなれば、5~6月の間に募集して、実施前までに「インターン選考」を行います。
また民間企業と被らないようズラして複数回実施するところもあれば、専攻する課によって時期が異なるなど、自治体によって開催時期が大きく異なります。
開催期間
インターン開催期間も、自治体によって異なります。
1日だけ実施するところもあれば、2~14日前後の短期間実施するところもあります。
インターンは基本月~金曜日の平日に実施されます。しかし、配属先によって土日出勤を求められる場合がありますので、募集要項の確認を怠らないようにしましょう。
申し込み・選考の流れ
申込方法
民間企業のインターン申し込みの際に使用する「就活サイト」から、公務員インターン参加の申し込みはできません。
基本は所属大学の就職課(キャリアセンター)を通して申し込みを済ませます。
インターン参加申し込みを済ませるにあたって、就職課から3枚の書類を受け取る必要があります。
必要な書類はインターン参加の申し込み用紙と、学校側からの推薦状、そして法令順守や守秘義務、参加姿勢に関する「誓約書」の提出です。
この3枚を揃えて、大学の就職課窓口に提出します。
選考の流れ
公務員インターンの参加人数は、自治体によって人数がかなり絞られています。そのため、倍率が非常に高いです。
なので、民間企業同様、実施前に「インターン選考」を行い、参加者をふるいにかけます。
【インターン選考の流れ】
- エントリーシートを用いた書類選考
- 面接
自治体に提出するエントリーシートは、申込用紙と併用していることが多いです。
【質問内容】
- 自己PR・志望動機
- 現在取り組んでいる研究・学習内容
- 就職に対する考え方
など、馴染み深い質問に加え、その自治体独自の質問をエントリーシートでは問われます。
国家公務員の場合は、地方公務員以上に参加人数を絞っています。
提出物は地方公務員のインターンに参加する際に出す書類3枚に加え、「論文」の提出など厳しい選考を突破する必要があります。
インターン参加のメリット
ここでは、公務員のインターンに参加するメリットについてご紹介します。
【参加メリット】
- 業務内容への理解(所属化別に観察できる)
- インターン参加が、後の公務員試験で役に立つ
- 人脈拡張
- 本選考を想定した志望動機が後に書ける
メリット①業務内容への理解
インターン最大のメリットといってもいいでしょう。
インターン内容の多くは、実際に公務員が取り扱っている実務を体験できることです。
行っている業務は「内務」が多く、仕事をしている様子をうかがう機会はほとんどありません。
インターンでは、その様子を「体験」という形を通して、理解できます。
また、公務員の業務内容は、配属する課によって大きく異なります。
「公務員」という職業の先入観だけで就職すると、ミスマッチを起こす可能性が高いので、インターン参加は「ミスマッチ防止」にも繋がります。
メリット②インターン参加が、後の就職活動で役に立つ
公務員インターン参加で得た経験は、今後の就職活動で役に立つものが多々あります。
業務を通じてビジネスマナーの基礎を身に付けたり、先輩公務員との関わりから自身のコミュニケーション能力を養えるなど、就活で活かせるものをたくさん吸収できます。
メリット③人脈拡張
公務員のインターンに限らず、民間企業のインターンでも同様のことが言えますが、インターンで関わりを築いた先輩公務員の方々との人脈を築けます。
時として、公務員試験終盤にある「面接」で、インターン参加時に知り合った方がたまたま面接官を担っていることもあります。
インターン時の態度や仕事ぶりを知っている人が、面接をしてくれるならあの時の印象を面接に考慮してくれる場合があります。
最も試験そのものを突破しない限り、面接へはいけませんのでご注意ください。
メリット④本選考を想定した志望動機が後に書ける
インターン参加で体験した業務を通じて、自分が得意とすること・苦手とすること、仕事として取り組みたいことなどが明確になります。
過去の経験から膨らんだイメージや、HPで得た情報だけでは、説得力がある志望動機を書くのは難しいです。
しかし、「インターンで実務体験をした」となれば、話は変わります。
実務体験を通して、得た経験や見聞きした情報を基に、具体的かつ説得力のある志望動機を書き上げられます。
民間企業との違いはある?
ここでは民間企業が実施するインターンとの違いをご紹介します。
申し込み方法
民間企業が実施するインターンへの参加申し込み方法と、公務員インターン参加申し込みの方法は大きく異なります。
違いをまとめると以下のようになります。
民間企業 | 公務員 | |
---|---|---|
インターン申し込み方法 |
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|
インターン情報の得方 |
|
|
民間企業の場合、インターン参加申し込み手続きはすべて「個人」で行えます。
対して、公務員の場合、大学の就職課の職員を経由して「申込用紙」「推薦状」「誓約書」の3つを揃えて参加申し込みをします。
希望通りの課に行けないこともある
公務員インターンでは、希望する課に行けないことがあります。
理由は様々ありますが、有力なものとして「人数の都合上希望は違う課に配属される」ことが多いです。
希望していた配属課とは異なる課に入っても、「市民の暮らしの為に」という目的に変わりはありません。
また、希望していない課だからこそ、狭まった視野を広げるチャンスとして前向きにとらえましょう。
募集人数がかなり限られている
3つ目はインターン参加人数が限られていることです。
民間企業でもインターン受け入れの人数は絞っていますが、公務員インターンでは、さらに人数を絞っていることが自治体によって多々あります。
結果、倍率が高くなり、前持った準備が必須になります。
交通費等は実費かつ無給
公務員インターンは、配属した課の実務を体験するプログラムを設けていることが多いです。
しかし、公務員インターンでは、「インターン=就業体験の一環」として捉えられているため、インターン中は無給で仕事をこなしていきます。
これは、インターン開催期間を問わず共通です。
そもそも公務員に支払われている給与は、日々私たちが収めている税金から支払われています。
そのため、インターン先までの交通費や昼食代もすべて学生持ちになります。
自宅や大学から近いところなら、負担しませんが、遠方やはたまた県外のインターンともなれば、相応の負担がかかるものと思っておくのがいいでしょう。
公務員のインターン参加前に知っておくこと3選
ここでは、公務員インターン参加前に留意すべきことを3つご紹介します。
【参加前に知っておくこと】
- 情報の取扱い
- 内定には直結しない
- 開催時期は自治体によって異なる
留意①情報の取扱い
公務員の職場である市役所や官公庁に度には、市民のあらゆる個人情報がそこに集約しています。
取り扱われている情報は様々です。
- 年収
- 各種税金
- 運転免許所
- 保険証
- 年金番号
など、その気になれば知りたい情報があります。
当然、これら情報を持ち出した場合、法に抵触しますので絶対に情報に触れてはなりません。
そのため、参加前に法令順守や守秘義務、参加姿勢に関する「誓約書」にサインをします。
実務によっては、学生の判断に委ねられることもありますので、情報の取り扱いには重々気を付けましょう
留意②内定には直結しない
2つ目はインターンに参加しても、今後の公務員採用に直結する優位性やメリットがあまりないということです。
公務員として仕事をする場合、後に行われる「公務員試験」に合格しない限り公務員にはなれません。
先の「参加メリット」における「人脈拡張」による優位性で述べたことに付け加えると、インターン中に知り合った方が、当日の面接官として起用される確率は低く、何より公務員試験を突破しない限り、以降の選考へは進めません。
しかし、インターン参加で得た情報を基に、説得力がある志望動機や経験そのものをアピールすることはできます。
留意③開催時期は自治体によって異なる
公務員のインターン開催時期は夏季と秋冬の間に実施されるのが常ですが、各自治体によって開催時期が大きく異なります。
「この時期に開催されるからまだいいよね」
と、安心しきっている間に募集終了になることもあります。
公務員志望の学生は、定期的に就職課の掲示板を確認したり、職員に相談、自治体HPを確認するなどして情報を集めましょう。
まとめ
以上が、公務員が実施するインターンの内容と、インターン参加の申し込み方法、民間企業とは違う「留意」すべき点をご紹介しました。
公務員も民間企業同様にインターンを設けています。
しかし、その申込方法は民間のものとは全く異なります。
公務員インターンに参加を検討されている学生は、いつ募集がかかってもいいように情報収集と自己分析や業界研究などを怠らず準備しておきましょう。
スタートダッシュに成功すれば、倍率が高いインターン選考の突破も可能です。
またインターンで得た経験やスキルは、今後の就職活動やインターン参加、志望動機を考えるときなどで役に立つものばかりです。
公務員1本に絞るのもいいですが、他業界が催すインターンに参加してみるのもおすすめです。