現代社会において今最も社会的需要が高いとされている「情報通信」と呼ばれる分野を日々研究し、技術発展に勤めている学部があります。
それが「情報学部」です。
名前から察して「理系に属する学部」と思われる方が多いでしょう。
確かに「情報学部」は「理系」の学部に所属します。それと同時に「文系」に属する学部でもあります。
そこで今回は、今最も需要が高いとされている「情報学部」の基本情報を抑えながら、当学部に通うことで得られる資格や就職先についてご紹介していきます。
情報学部ってどんな学部?
「情報学部」では、主に情報伝達の仕組みや流れ、獲得、蓄積などを多角的視点から考察して研究する学問です。
インターネットの普及が進む現代では様々な情報が飛び交い、溢れかえっています。「情報学部」では、溢れ出た情報を誰の目から見ても理解ができる形へと変換する役割を持っています。
また「情報学部」と聞けば多くの方が、「システム開発」をメインとした「実学」を学んでいるというイメージが強いでしょう。
あながち間違いではありません。
しかし、「情報」は何も「システム開発」に限ったアプローチを持っているだけじゃありません。
「情報」とは、「伝達」つまり「発信」してこそ価値があります。そして発信をきっかけ社会に様々な影響をもたらす「社会的側面からのアプローチ」も持っています。
ここでいう「情報の伝達」いいかえれば「発信」とは、インターネットに限らず、ラジオや新聞、テレビなどといた「メディア」が絡んでいることを指します。
「メディア」の学術領域としては「社会」に位置付き、文系に属します。
言うなれば「情報学部」は、文理系両方の側面を持ち合わせた学部でもあるということです。
簡単に「情報学部」を文系・理系に分けた時どのようなことを学ぶのかご紹介します。
【理系に属する情報学部】
「理系に属する情報学部」では主に、「プログラミング」や「コンピューターの仕組み・アルゴリズム」「計算機科学」などといった「情報を処理する」ためにはどのような「技術」を用いるべきかを研究していきます。
【文系に属する情報学部】
一方の「文系に属する情報学部」では、「理系に属する情報学部」が研究し生み出した情報技術が「社会ではどのような扱いをされるのか」という観点で情報というものを「理論的」に考察して研究していきます。
- 「理系」の情報学部は、「技術の研究」
- 「文系」の情報学部は、その「技術」を活かす方法
情報が就く就職先
ここからは文理系を問わず「情報学部」の学生が就く就職先をいくつかご紹介します。
IT企業
まずは「IT企業」です。
情報学部出身の学生が在学期間中に身に着けた「実学」とも呼べる「知識」と「技術」を存分に発揮できる場所です。
一言で「IT企業」と言っても様々なものがあります。
たとえば自社開発を行ってそれを顧客に展開している企業「Yahoo!」や「楽天」「Amazon」など「B to C」のビジネスをしているところがあれば、公的機関や他の企業から開発依頼を受託している企業「富士通」や「NTTデータ」などの「B to B」のビジネスをしているところがあります。
また「SES/SIer」と呼ばれる「エンジニア」を必要としている企業に、自社お抱えのエンジニアを派遣する企業もあります。こちらも後者の「B to B」に位置付けられます。
「B to C」では顧客を相手にしているということもあり、技術面に限らず、顧客満足度を得るための「企画面」が重要視されています。
また「B to B」ではチーム単位で開発プロジェクトに臨むのが鉄則です。ついては高い技術面もそうですが、メンバーとの連携が取れるよう「コミュニケーション能力」が個々で求められます。
また「IT企業」の中には様々な職種が存在します。
代表的なものとして
- プログラマー
- システムエンジニア
- ネットワークエンジニア
- セキュリティエンジニア
などが挙げられます。
【プログラマー】
「プログラマー」は、名前の通り現場から指示された「プログラミング言語」を用いてソフトウェアやシステム開発の「内部構造」を担当するのが仕事です。
後述する「システムエンジニア」からいただく設計書に従ってプログラミング作業に入ります。プログラムコードの記入後、実際にそれが設計書通りに動くかを確認し、製品として落とし込める正確さが現場で求められます。
【システムエンジニア】
「システムエンジニア」は、開発案件を依頼するクライアントの要望をヒアリングして、それを基に設計書に落とし込むことから始まり、開発物の外部設計、内部設計など「開発」に伴う一連の流れを担う仕事です。
開発に必要する技術を持ち合わせておくことは当然のことですが、クライアントとのやり取りも行うため、高いコミュニケーション能力が何よりも求められます。
【ネットワークエンジニア】
「ネットワークエンジニア」は、デジタル機器を用いて様々な仕事に着手できるようにするための「基盤」構築を担う仕事をしています。
言い換えればその企業の「インフラ整備」を任されているといってもいいでしょう。
たとえば、1企業が用いるLANケーブルやルーターの設営、そこからサーバーに接続をして、その会社独自のネットワークを形成します。そしてPCを設営したケーブルを伝ってサーバーに接続ができるというような「新規ネットワークの構築」を行います。
またサーバーに不備が生じた場合にはメンテナンスも行っています。
【セキュリティエンジニア】
「セキュリティエンジニア」では、社外ネットワークから侵攻してくるサイバー攻撃や情報漏洩を未然に防ぐために、システム強化と設計・構築を担っています。
特に「サイバー攻撃」のやり口は日々変化していきますので、情報を守護する「セキュリティエンジニア」には迅速な対応と合わせて、新しい技術を学ぶ「向上心」と学びに対する「意欲」が求められます。
メディア/クリエイティブ系
次に映像や音楽などの「メディアコンテンツ」の制作からゲーム開発などの「エンターテイメントコンテンツ」の企画・制作です。
いずれも「クリエイティブ」な仕事という位置付けとなります。
また「テレビ局」に勤める「AD(アシスタントディレクター)」もここに含まれます。
近年の「メディア/クリエイティブ系」の仕事は自信が広告塔となって活動を行う「YouTuber」や「ライバー」「インスタグラマー」などが出ています。
「メディア/クリエイティブ系」の仕事をする場合は、「開発スキル」というよりも「配信」することで社会にどのような影響が出るのか、またどの層にどのような需要があるのかを分析する「マーケティング」が必要不可欠といえます。
企業の情報開発部門
次に「企業の情報開発」に携わることです。
今となってはどの企業にも「情報開発」に携わる仕事が多く設けられています。
たとえば「金融業界」では、決済システムやATMシステムの管理やメンテナンスなどを行うために部門を設けています。
また、産業系の企業ともなれば、物流システムの管理・運用のために部門を設けています。
またこれらの企業の多くが自社お抱えのエンジニアと合わせて、エンジニア派遣企業からエンジニアを派遣してもらって管理・運用にあたってもらうことが多いです。
ITコンサルタント
最後は「ITコンサルタント」です。
この仕事は主に、クライウントが抱える問題の解決の糸口となる方法を提案して、状況改善に努めることを仕事としています。
クライアントが抱える問題の多くは「IT」関連のものとなるため、問題解決を紐解くヒアリングと合わせてエンジニアとしての経験が欠かせません。
また問題解決のために導入する、システム開発を行うチームに指示を出す「リーダー」の任も「ITコンサルタント」が受け持ちます。
就職活動を有利に進められる資格
「情報学部」に所属しているとは言え、就職活動を有利に進められるとは限りません。以下は在学期間中に得た学びを通して得るのにふさわしい資格です。
- ITパスポート
- 基本情報技術者
- 応用情報技術者
- 情報処理技術者
- 情報セキュリティマネジメント
などが挙げられます。
「就職活動」を始めるうえで資格取得は必須条件ということはありません。しかし、資格を持っておくだけでも、企業側からの視点では「即戦力」として期待され、高い評価を得られるでしょう。
最も、「基本情報技術者」という資格は、国家資格の1つとして知られており「ITエンジニアの登竜門」とも言われています。
同じ学部に所属する学生よりも一歩前を行くならば、これら資格を取得して損はないでしょう。
就職先の企業で注意すべきこと
「情報学部」にとって「IT業界」への就職は「花形」とも呼ばれています。
しかし、一部の界隈では
IT業界はブラックだからやめておけ
とささやかれています。
いやいや、そんなことを言ったら今ある企業のほとんどが黒です。と言いたくなります。
とはいえ、「IT業界がブラック」と言われるのは、あながち間違いではありません。
「短い納期」「長時間の残業」「無理難題な案件を持ってくる営業」などなど様々な要因が重なってこのような現状を作り出しているといってもいいでしょう。
しかし、一概にもすべてがブラックだとは言い切れません。
中には、労働者への負担を配慮して業務を任せている企業も少なからず存在します。
ではどういう点に注意しながら「IT企業」への就職を進めていけばいいのかをご紹介します。
多重下請け構造/Sierに区分される企業には気を付ける
まずは「多重下請け構造」いわゆる「ゼネコン構造」とも呼ばれる構造です。
この構造が「IT業界」ではよくみられ。特に「SIer」に区分される企業が取っています。
構造ができる仕組みとてもシンプルです。
発注元が大手Sier企業に案件を委託してそれをどんどん下へ下へと仕事を細分化して受け持ってもらう流れです。
こうして「ゼネコン構造」が仕上がっていくわけです。
よくありがちなものとして
「文系や未経験者でもエンジニアになれる」
と言っている企業では積極的に採用活動をしていますが、基本出来に回ってくる仕事案件は、2次請けや3次、4次といった「下位」に当たるものばかりが多いです。
もちろん実力が伴えば上位の仕事を受け持つことも可能でしょう。しかし、会社規模や実力によっては界の仕事を受け持つケースが多いです。
内容によっては雑務が多く、スキルと呼べるものを学ぶことなく終えるということもあります。
客先常駐
「ゼネコン構造」がある企業の多くが、「客先常駐」と呼ばれる形態で仕事をしています。この「客先常駐」では休日や有給休暇取得など待遇・福利厚生がおおよそ「派遣先」に依存することがあります。
たとえば、派遣元では祝日が休みとなっているが、派遣先では祝日は出勤となっているケースがあります。
また必要に応じて土日返上で出勤というケースもあります。この場合は平日のどこかで「代休の取得」が認められています。
一見すればグレーな面もありますが場合によってはホワイトなこともあります。
ただし業務内容によっては下流工程のみや雑務ばかりをこなす日々で成長しているという実感が得られないことがあります。
求人情報を見ただけではその企業が「ブラック」か「ホワイト」かと、いうものは実際に働いてみないことには分かりません。
ただし面接や企業説明会の段階で、その企業がどのような取り組みをしているのか、待遇や福利厚生、過去どのような案件を取り扱ったなどの質問をすることで判断をすることができます。
まとめ
以上が、最も需要が高いとされている「情報学部」の基本情報を抑えながら、当学部に通うことで得られる資格や就職先についてご紹介でした。
「情報学部」は、文理系それぞれの側面を持ち味としてアプローチすることができる学部です。
それゆえに各企業からの需要も高いとされています。
その中で「情報学部」所属の学生が就くとされている「IT業界」は、当学部にとって「花形」とも呼ばれています。
学部学ぶことの多くが「実学」となるため、企業にとっては「即戦力」として大いに期待がされています。
ただし就職先を一歩踏み間違えれば、ブラックに就くこともあります。
そうならないためにも、自身の実力を過信しすぎず、自己分析や業界研究を怠らず行いましょう。