インターンシップについて調べていると「企業の囲い込みに注意!」なんて文言を見かけることはありませんか?
今回は、インターンシップ参加の際に気を付けるべき「囲い込み」について詳しくご紹介します。
これからインターンシップに参加する人は、参加前にぜひご一読ください。
そもそも「囲い込み」って何?
囲い込みとは、企業がインターンシップに参加した学生を、優先的に採用することを指します。
経団連のルールで禁止されているため非公式ではありますが、インターンシップに参加して評価された学生は、通常の就活とは異なる選考ルートに進み、早期内定を獲得できる場合があります。
早期内定を獲得できるなら学生にとっても嬉しい話ではありますが、悪質な場合は早期内定を出した学生の内定辞退を防ぐ強要行為を伴う場合があります。
囲い込みは、企業が就活中の学生の不安定な立場を利用した推奨されていない行為です。
そもそも、インターンシップは企業の採用活動とは別物として扱われるべきものです。
万が一企業の囲い込みに遭遇した場合は、慌てることなく冷静に対処できるようにしましょう。
インターンシップ後の悪質な「囲い込み」例
では、インターンシップ参加後の悪質な囲い込みにはどのようなものがあるのでしょうか。
いくつかご紹介するので、これからインターンシップに参加する人は注意しましょう。
その①入社意志を明確にしてから内定を出す
インターンシップ参加後の選考が進み、最終選考の段階になってから「君はとても優秀なので内定を出したいが、入社意志が明確でないと内定は出せない。内定を出したら必ず自社に入社するという意志を見せてほしい」と言われる場合があります。
就活が始まる前の選考で入社するかどうかを決めるなんて、普通は無理な話だと思います。
しかし、学生の立場からすれば内定は一つでもあった方が安心ですよね。
そこで「絶対に入社します」と言ってしまうと大変です。
その企業からは「もう就活しない=時間がある」と認識されてしまい、内定者として課題を出されたり、懇親会に呼ばれたりと内定辞退をさせない圧力をかけてきます。
そもそも優良な企業であれば「優秀な学生だから内定を出す、よかったら自社に入社してほしい」と学生に考える期間を与えるのが普通です。
囲い込みを行う企業の言いなりになるのはやめましょう。
その②社員との定期的な交流
囲い込みを行う企業では、採用したい学生を社員と交流させて、自社に勧誘させることがあります。
例えば豪華な食事をご馳走したり学生の悩みを親身になって聞いたりと、学生に「この会社には理想の会社の先輩がたくさんいる」と思わせることを目的に交流します。
もちろん、社員の中にはそういう理想の先輩も本当にいます。
しかし、内定者と交流している社員は、採用担当から依頼されて学生と交流していることを忘れてはいけません。
内定者期間はとても仲良くしてくれたのに、入社したら距離ができた…なんてこともあるので、社員との交流がきっかけでその会社に入社してもいいと思い始めた人は注意しましょう。
その③内定後のインターンシップで他社への就活時間を削ぐ
内定を獲得した後に企業から案内があるのが「内定者インターンシップ」です。
企業に入社するまでの学生期間に、入社してから役立つスキルを身に着けさせるという名目で実施されます。
もちろん内定者育成のために力を入れて実施している企業もありますが、他社への就活にかける時間を減らす目的で行われる場合もあります。
低賃金や無給で雑用をさせられるけれど、内定先の企業だからサボるわけにもいかない…なんて学生に多大な負担をかけることもあるのです。
企業が囲い込みを行う理由
一方で、企業が囲い込みを行う背景にはどのような理由があるのでしょうか。次にご紹介します。
1.「例年通り」の採用活動は難しい
企業にとって採用活動は非常に大切なプロジェクトです。
企業の利益を最大限伸ばすために必要なのが、「人材」だからです。
しかし現状の採用活動は、主に経団連の方針が変更される影響で毎年少しずつ変化しています。
特に就活解禁の時期が定まることはなく、「例年通り」の採用活動を行うことが難しいとされています。
そのため、企業によっては比較的例年通りに開催できるインターンシップに就活の選考と同じくらい重きを置いて採用活動につなげる動きがあります。
2.企業にとっては厳しい売り手市場
現在の就活は人手不足で売り手市場であるため、ほとんどの企業が学生の採用人数を増やしています。
そしてこの売り手市場はさらに数年間続くと予想されています。
企業として採用活動の一番の失敗とされるのが、採用活動後に目標の採用人数を達成できないことです。
売り手市場で学生が就職する企業を選べる余裕がある時代だからこそ、企業としては学生を確保するためにインターンシップで自社をアピールし、早めに学生を確保したいという思いがあります。
3.優秀な学生の引き抜き
学生の多くは、インターンシップに参加することで、自分の志望業界や志望職種を選択します。
私が学生時代の時も、周りの学生はインターンシップでは色々な業界を見たいと考えている人が多かったです。
そのため、インターンシップには就活本番よりも多様な学生が参加します。
語弊があるかもしれませんが、その企業には「もったいない」学生がインターンシップに参加している状況が生まれることもあるでしょう。
インターンシップに参加した優秀な学生が、就活の選考も受けてくれる保証はありません。
そこで企業によっては、インターンシップの時点で採用したいと思った学生に早期内定を出すところもあります。
囲い込みの対処するために覚えておくこと
囲い込みを行われた場合に、一番良い対処法は、その企業に対して「あなたたちの会社に入社する可能性は低い」と伝えることです。
企業側も、入社意志が明確に低い学生に対して過剰な囲い込みを行うことは少ないです。
なかには入社意欲が高まるまで待ってくれるようになる企業もあるかもしれません。
ただ、学生の気持ちを考えずに囲い込みを行う企業なので、内定を取り消される可能性ももちろんあります。
そんな時に困るのは「他に良い会社がなければ入社したい」と思っている場合ですよね。
もしかしたら他の会社からは一つも内定をもらえないかもしれない…そんな不安の中で囲い込みを行う会社に強い態度で接することができる学生はあまり多くないと思います。
だって「他に良い会社がなければ入社しよう」と思ってるのに入社前から揉めたくないですよね。
その場合は企業に「私は入社する」と思わせて、ある程度は企業の言いなりになるしかありません。しかし、次のことを忘れないようにしましょう。
内定辞退はいつでもできる
例えば、内定が出ると企業から「内定承諾書」や「誓約書」を書かされる場合があります。
もしこの書類にハンコを押してしまったとしても内定辞退はできます。
日本の憲法には「職業選択の自由」が明記されているため、学生には内定を断る権利が保証されており、それは入社する直前まで有効なのです。詳しく知りたい人は内定辞退について調べてみましょう。
また、直前に内定辞退をすると会社に迷惑がかかるとよく言われますが、迷惑がかかるからという理由で入社しても働き続けられる人はほとんどいませんし、どうせ退職するのならば内定辞退した方が会社にも迷惑がかからないということも覚えておきましょう。
インターンを辞退したい!就活に悪影響を与えない正しい辞退の方法
他社選考・内定辞退の強要はできない
囲い込みを行う企業は他社への就活を学生の裏切りのように捉えています。
企業のなかには他社選考にエントリーしているのを確認した場合、選考や内定を辞退するよう強要してくる会社もあるのです。
もしそんな強要行為を受けた場合には、断固拒否しましょう。
拒否してもほとんどの企業は内定を取り消したりしません。
そんな強要はできないと企業側も自覚しているからです。
そもそも内定者にそんなパワハラまがいのことをする会社に入社して大丈夫なのか考えなおしてください。
内定取り消しになっても、困らないのではないかと個人的には思います。
入社しても納得できるのかを考えてみよう
これは就活を経験した筆者の個人的な意見ですが、インターンシップ参加後に囲い込まれて「困る」と感じた企業には入社しない方が良いです。
一般的には、インターンシップに参加して入社したいと思った会社に囲い込まれたら、嬉しくなるはずです。
企業が採用したいと言ってくれて、その後の就活もしなくて済むのだから嬉しくなって当たり前なのです。
しかし嬉しいよりも「困る」という感情が勝つということは、その会社に疑問や不満があるということです。
入社する前から疑問や不満がある会社が働いてみたら「良かった」「自分に合っていた」ということはあまりありません。
内定という安心材料がほしい気持ちはとてもよく分かりますが、そのために入社する気のない企業の言いなりになる必要があるのかきちんと考えましょう。
また企業から囲い込みを受ける学生はほとんどが優秀な学生です。
内定は他社からももらえるはずなので自信を持って企業と接した方が良いと思います。
インターンシップが採用に直結するのは主流に
2019卒までは、経団連のルールでインターンを採用選考に直結させてはいけないとされていました。
しかし、2021卒からそのルールがなくなったため、今までは非公式で行われていたインターンシップを採用活動につなげる行為が主流化します。
それに伴って企業の囲い込みも激化すると予想されています。
満足のいく就活を行うために、学生も囲い込みに対しては冷静な判断と毅然とした態度で対応できるようにしましょう。
そのために必要なのが、インターンシップの期間中に「その企業に自分が入社したいか」「自分と合っている仕事かどうか」を見極めることです。
インターンシップに参加する際には、自分が企業を選ぶ立場であることを頭に入れておくと良いでしょう。
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