突然ですが、皆さんは「法学部」という学部を耳にした時、パッとイメージすることは何でしょうか?
- 法律について詳しく学ぶ学部
- 将来は弁護士か政治家
- 学生がみんなお堅い考えを持っている
など、「法律」に対するイメージが先行して、偏った学生像をイメージされる方が多いでしょう。
しかし、実をいうと「法学部」に通う学生の多くが、将来は必ず「士業」や「政治家」「法曹」に就くのではなく、一般企業、公務員に就いている学生もいます。
と、いうと、「法律」と「仕事」には密接な関係性があるということを示唆しています
そこで今回は、「法学部」に通う学生が就く就職先と併せて、当学部がどういうところなのかをご紹介します。
法学部ってどんな学部
法学部の基本情報
「法学部」とは、学名の通り「法」について学ぶと同時に「政治学」も学びます。ついては「法学部」では、社会秩序を律するためのルールを設ける「政治」と、設けたルールを「体系的」なものとして落とし込み、「条文」として制定した「法」の両面から「法的考え方(リーガルマインド)」を身につける学問です。
当学部で学ぶ「法」の多くは、中高時代に学んだ「政治・経済」で触れた「法(憲法・民法・刑法など)」をより深く掘り下げた内容を研究すると併せて、商法や労働法、行政法などの法律も学んでいきます。
いずれも「政治」が絡んでくるため、「政治の観点」から「法律」がどのように解釈されているのかを研究します。
「政治学」では、現在の日本社会と国際社会で起きている現象に関して分析・研究を行っています。
たとえば「日本社会」に関しては、「日本政府」の政治制度や政治思想論について深く掘り下げて研究していきます。「国際社会」では、日本の立ち位置を考察しながら今以上に実りある社会実現をするにはどうすべきかを中心にして研究していきます。
法学の学問領域は広い
「法学部」では、「法学」と「政治学」を基礎としています。
その中でも「法学」は幅広い学問領域を持っています。
「法学」や「法律学」を基本として前述した「憲法」「民法」「刑法」「商法」などといった「基本六法」、「経営法学」「企業法学」などの「法」に関する学びと併せて「政治学」「政策学」「国際政治学」など多角的側面からアプローチしていきます。
「法学部」で扱う学問領域を学ぶときは、「法・法律とは」というところから始まり、「法律によって何を定めるか」といった「法律の観点から見た考え方(リーガルマインド)」を学びの中で得ていきます。
法学部在籍の学生が就く就職先
一般企業への就職
金融業界
まずは「金融業界」です。
当業界と「法律」は関わりが深いとして、法学部出身の学生が多く就職しています。
たとえば、「金融商品」を取り扱う際、金利や担保、物権に関わる法律の知識がここで役に立ちます。そのほか、融資や投資先のリサーチなどでも「法律」の知識が求められます。
とはいえ、業界が求めているのは、在学期間中に身に着けた「知識」よりも「調節力」や「論理的思考力」といった個々の能力を高く評価しています。
コンサルタント
次に「コンサルタント」です。
「コンサルタント」は、企業が抱えている課題解決に尽力すると同時に、発展に向けた手助けを行う仕事です。この仕事では、企業の経営から人事、IT部門、販促など様々な課題解決に努めています。ゆえに課題解決に伴って専門的な知識を要します。
たとえ同じ分野に属する業界のコンサル業務を任されたとしても、対応がその都度変わってきます。
つまり、「コンサルタント」に就くうえでき、専門的な知識がいるというよりも、新しいことを取り込むといった「学びに対する好奇心」と「論理的思考」を持っていることが大切です。
商社
次に「商社」です。
「商社」は主に、国内外を問わず各企業が取り扱っている商材を扱って、この商材を買いたい企業、その商材を売りたい企業との結びつけを仲介する仕事です。
また「商社」には、専門分野に関する商材(医療品や鉄鋼など)を取り扱う「専門商社」とあらゆる商材を取り扱う「総合商社」の2つに分かれます。
特に後者の「総合商社」は、取り扱い商材が幅広いこともあり、一部商社では海外との取引を行っているところもあります。
公務員
最後は「公務員」です。
公務員になるためには「公務員試験」を突破する必要があります。試験に出題される問題では、「憲法」「民法」「政治学」などの問題が多く出題されることから、在学中に学んだことを試験の場で活用できます。
「法学部」出身の学生が就く先としては、地方・国家公務員の他、警察官や消防官などといった「国や自治体」に携わる仕事に就いています。
そのほか、日本への入出国を取り仕切る「入国審査官」や「自衛官」、「国税専門官」などに就く学生もいます。
法学部で得られる「資格」を活かして「法曹界」へ就く
ここからは「法学部」で得られる「資格」を活かして就ける就職先です。
また「法学部」では卒業を機に自動的に得られる資格がほとんどありません。その中でも「法曹界」と呼ばれる業界に行く場合は、法科大学院を修了し司法試験を受ける必要があります。
裁判官
まずは「裁判官」です。
「裁判官」は、日本各地にある「裁判所」にて執行される裁判を執り仕切って、被告人に法に従った判決・決定を下します。
これらを仕切る際は、事前に配られる資料を目に通しておくほか、弁護士や検察官の証言を判決の材料として、最終的に法律に従った「結論」を導き出します。
裁判官は、公正中立の立場から物事を判断する重責を伴います。
裁判官が取り仕切るものは「民事裁判」「刑事裁判」のいずれかを執り仕切るわけですが、それぞれで対応が異なってきます。
「民事裁判」では、個人や企業間といった私人の間で起きたトラブルの解決を行います
一方「刑事裁判」では、事件を起こした被告人に有罪/無罪判決を下し、有罪ならばその償いに値する量刑を課します。
弁護士
次に「弁護士」です。
「弁護士」と聞けば法廷にて被告人の弁護をするイメージが強いでしょう。もちろんこれも「弁護士」としての仕事の1つです。
しかし、「弁護士」の仕事はこれだけではありません。
刑事や民事トラブル発生時には、「法律の専門家」として相談・解決に務めるほか、企業の顧問弁護士として社内トラブルの対応に勤めるなど様々です。
つまり「弁護士」の仕事は多岐に渡り、法律事務所に所属する方もいれば企業や国、地方自治体など各所に所属して仕事にあたっています。
検察官
次は「検察官」です。
「検察官」は主に「刑事裁判」に関わることが多く、事件の捜査から犯人を起訴して裁判所に求刑します。
犯人逮捕は警察官の役割ですが、それ以降の手続きは「検察官」の管轄となっています。
具体的には、捜査書類と押収した証拠品、被疑者の身柄が送致されれば、被疑者本人の取り調べ、関係者各位への聞き込み、証拠確認などを行います。被疑者が犯行に及んだとなれば、検察官は裁判所に起訴します。
この「起訴」は、「検察官」のみが持つ権限です。
そのほかにも「法曹関係」には「行政書士」や「司法書士」などの仕事があります。
いずれも「国家試験」合格が前提となる仕事です。
とはいえ、「法曹関係」の仕事等に就く場合に必要とする資格学習の内容の多くは、「法学部」で学ぶ学問領域が多いです。
学びを活かしつつ受験対策を強いていれば、取得は可能といえるでしょう。
法学部だからこその「強み」
ここでは「法学部」だからこその「強み」をご紹介します。
論理的思考
まずは「論理的」に物事を考えて、解決策を導き出せる思考を持ち合わせていることです。
こと就職活動における「エントリーシート」や「自己PR」「面接」の場では、「論理的」な受け答えが大切とされています。それは仕事をしていく上でも大切なことです。
この「論理的思考」とは、どこで身に着けられるのかというと「法律の考え方」「リーガルマインド」から来ています。
法律ではまず初めに「条文」や「学説」を述べて「根拠」を吟味したうえで、「結論」を下すのが大まかな流れとなっていることが多いです。
つまり「法学部」では、この考え方を「常に」行っているため、就職活動では「強い」といえます。
「仕事」と「法」の結びつき
「法」は何も「行政」や「裁判」に限らず、あらゆる場面に敷かれ適用がされています。それは仕事の中でも同様のことです。
各業界の所属する企業が行っている「経済活動」は、「商法」や「労働法」などに従って執り行われています。
活動の内容は企業によって大きな違いはあれ、いずれも「法律」に則っていることに変わりはありません。
また「法学部」で得た知識は「法曹界」に限らず、「金融」や「保険」「公務」など多種多様な仕事と深く結びついています。
「仕事」と「法律」の関係
仕事をしていく上で、トラブルなく平穏無事に乗り切れるということは意識して回避することはできません。
たとえば機器トラブルによって個人情報が外部に流出してしまった、良かれと思っていた営業方法が実は法に抵触していたなど、「知らなかった」じゃ済まされないことが多々あります。
「仕事」をしていく上で、「法律」というものは「基礎」であり「土台」です。また自分を守る「防具」でもあります。
また仕事をしていく上で知っておくべき「法律」がいくつかあります。
それが以下のものです。
- 消費者に自社の商品・サービスを提供する場合は「民法」「消費者契約法」
- 自社製品の船団をする場合は「景品表示法」
- 業者と商材の取引をする際は「商法」「下請法」
- ブログやメルマガ発行時などは「著作権法」
- 会社に勤めるならば「労働法」
など様々あります。
「仕事」の手法が様々あるように、それに適用される「法律」も様々あります。つまり、「仕事」と「法律」の関係は切っても切り離せない「密接なもの」であるということです。
まとめ
以上が、「法学部」に通う学生が就く就職先と併せて、当学部がどういうところなのかのご紹介でした。
「法学部」に所属する学生は、「弁護士」や「検察官」などの「法曹業界」に勤める場合か、他学部のように「一般企業」に勤める場合の2パターンに分かれます。
どちらに就いたとしても、学部で培った学びが役に立たないということはありません。特に「論理的思考力」は、就職活動をしていく中でも、仕事をしていく中でも重要な考え方の1つとして企業側からは高く評価されています。
また「法学部」も就職活動をしていく中では「有利」な学部として見られています。
「有利」とはいえ、それは本人の頑張りによって実現した「状況」に限った話です。
「就職活動」では、どれだけ下準備に時間を費やしたかで、活動の行く末が大きく変わってきます。
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