学生の中には「子ども好き」という理由で、保育園や幼稚園、小学校などの仕事に就く学生が多いです。
しかし、「子ども好き」という理由だけで、これらの仕事に就く学生の多くが結果として「自分には適性がなかった」「保育の現場って、こんなにも過酷だったのか!」などのイメージと現実のギャップに驚いて業界を去っていきます。
このような事態を招かないためにも、保育園や幼稚園が催しているインターンに参加して業界の実態・内情を知ることが大切です。
そこで今回は、「保育士」を目指している学生のために、保育園が催しているインターンの内容とインターンに参加して得られるスキル・やりがい、配慮すべきことをご紹介します。
保育士のインターンの内容
ここでは、保育園が催しているインターンに実施される内容を各期間別にご紹介します
短期・1dayインターンの内容
保育園が催している短期・1dayインターンでは、以下のプログラムでインターンが実施されます。
【インターンの内容】
- 園・業務内容の説明
- 1日実務体験
- 座談会・懇親会
- 質疑応答
上記4つのプログラムをベースに実施されます。
また一部の保育園では、ZoomやSkypeなどのコミュニケーションツールを用いたオンラインインターンを催しているところもあります。
そこでは、360度カメラなどを用いて園児と保育士の様子をリアルタイムでお届けしてくれます。
そのほかにも、園の事務仕事や現役の保育士が参加している研修に参加できるなど、保育園によってインターンの取り組み方が異なります。
長期インターンの内容
2週間~1ヶ月以上にも及ぶ保育園で催している長期インターンでは、以下のプログラムでインターンが実施されます。
【インターンの内容】
- 園・業務の説明
- 保育士の実務体験
- 座談会・懇親会
- 質疑応答
上記4つのプログラムをインターン期間中に実施します。
長期と短期・1dayインターン中に体験できる実務に差はありません。
しかし、実務体験の経験値では「長期インターン」の方が圧倒的に高い経験を積めます。
以下は長期インターン中の1日のスケジュールの1例です。
【長期インターンの1日のスケジュール:1例】
8:00~/登園開始・受け入れ準備
9:00~/自由時間(体操・絵本の読み聞かせ・散歩など)
11:30~/昼食
12:00~/お昼寝タイム・職員会議
13:00~/自由時間(絵本の読み聞かせ・外遊びなど)
15:00~/おやつタイム・自由遊び
~20:00/お迎え・園内の掃除
上記時間に添ってインターンが実施されます。
また長期インターン参加の時期に応じて、インターン生は園の年内行事に参加することもあります。
参加者の声
以下は、実際に保育士インターンに参加した学生の声です。
『初日はやっぱり緊張しました』
保育士のインターン初日は、やっぱり緊張しました。
園児たちが自分のことを受け入れくれるのか、インターン中に任せられた仕事をきっちりこなせるのか…インターン参加日が近づいてくるまでずっと緊張していました。
そしてインターン初日を迎え、午前中は実務研修ということで1日の流れや実務内容を教わっていざ表舞台に立ちました。
研修や授業で学んできたとはいえ、初日は動きが硬くてぎこちない印象でした。
でも日を追うごとに園児たちとも打ち解けられて楽しいインターンになりました。
小さいに気を遣うことが多くて心身ともにヘロヘロにはなりますが、充実した日々を過ごしました。
――大学3年生・男性
『保育士さんってこんなにも大変だったのですね』
私は今回数日間に及ぶ保育士インターンに参加致しました。
参加にあたって不安に思うことはありましたが、授業や研修で得た知識と持ち前の明るさで充実したインターンにしようと思っていました。
そして、待ちに待った実務体験で、私は、保育士さんの苦労や子供との接し方、気配りの大変さをこのインターンで得ました。
保育士さんの仕事ってこんなにも大変なんだよ!
っていうのを、昔保育園に通っていた私に伝えたいほどでした。
でも、園児たちの無邪気な笑顔に、このインターン中救われました。
――大学3年生・女性
インターン参加のメリット、得られるスキル、やりがい
ここからは、保育士のインターンに参加するメリット・インターンを通して得られるスキル、やりがいについてご紹介します。
参加のメリット
以下は、保育士のインターンに参加するメリットです。
【参加するメリット】
- 保育士の適性判断
- 子供の指導方法や配慮すべき点を学べる
- 社会貢献ができているという実感
メリット①保育士の適性判断
学生の中には、「子ども好き」と理由で、保育士を目指している学生もいるでしょう。
しかし、「保育士」は、これだけの理由で勤まるほど、優しい職業ではありません。
大学や専門学校で学んだ知識やインターン初日に設けられている研修で得たことだけでは、「保育の仕事」は務まりません。
【保育の現場で大切なこと】
- 子どもの目線に立って、臨機応変な対応ができる方
- 誰とでも円滑な関係性を築ける方
の2点を待ち合わせていることです。
前提として子どもに大人の常識は通じず、考えることや行動のすべてが自由です。
時には間違ったこともするでしょう。
そんな時、頭ごなしに否定から入るのではなく、1度その考え方を受け止めて、考えを改めさせるなど、その場その時に適切かつ柔軟な対応ができることが現場では常です。
2点目は円滑な関係性を築けることです。
保育園では、「保護者」との関係性が欠かせません。
保育士と良好な関係性を築こうとしてくる保護者もいれば、行き過ぎたクレームをつけてくる保護者もいます。
保育の仕事も大切ですが、保護者との良好な関係性を築くのも保育士の勤めに含まれています。
メリット②子供の指導方法や配慮すべき点を学べる
保育士インターンでは、大学や専門学校の授業ではまず教わらない現場ならではの「指導方法」や「配慮すべきこと」を学べる機会です。
授業で得た知識は、あくまで前知識にすぎず、現場に出れば、その場その都度で適切な対応をしなければ務まりません。
ベテランの保育士の誰もが教科書通りの指導や対応をしているわけではなく、状況に応じた適切な対応を長年の経験に基づいて行っています。
メリット③社会貢献ができているという実感
保育士の仕事は、女性の社会進出、共働き世帯の増加を陰で支えている重要な存在です。
その観点から、保育士の仕事は社会貢献性の高いものとして見られます。
また保育士の仕事内容に「正解」と呼べるものはなく、園児の成長を支えることが自身の成長・キャリアアップに結び付いています。
つまり保育をする側・受ける側という関係性ではなく、お互いが手を取り合って高め合うというバランスが取れています。
得られるスキル
以下は、インターンを通じて得られるスキルです。
【得られるスキル】
- 保育実技力
- コミュニケーション能力
スキル①保育実技力
「保育実技力」は、保育士にとって欠かせないスキルです。
スキルの中身は、ピアノ演奏や読み聞かせ、手遊び、お絵かきなど、「園児と楽しく遊ぶ」ために欠かせないスキルを指しています。
また「保育実技力」には「言葉遣い」も含まれています。
子どもは汚い言葉や誤った日本語の区別ができないうえ、何度もその言葉を口にして覚えていきます。
園児が就学児となったとき、上記のような言葉で同級生を傷つけないためにも、今この時から「正しい日本語」を覚えさせるのも保育士の仕事です。
また子どもは耳で聞き入った言葉をすぐに真似しますので、言葉遣いには十分気を付けましょう。
スキル②コミュニケーション能力
保育士は園児と接するのはもちろん、保育士同士や保護者との関わりも大切です。
良好な関係性は、保育園そのものの雰囲気にも影響を及ぼします。
園の雰囲気を良好なものにするためにも、コミュニケーションがカギになります。
良好な関係性を築くためのポイントは、以下の6つです。
- 目線を合わせる
- 話し方のトーンやスピードを相手に合わせる
- 相手の話を最後まで聞いて、受け止める
- 相手の立場になって物事を考えて、話をする
- 謝罪や感謝の言葉をちゃんと伝える
- 挨拶は自分から積極的にする
の6つを心掛けて良好な関係を築けていけば、自身のコミュニケーション能力を養えます。
感じられるやりがい
以下は、保育士インターンで感じられるやりがいです。
【感じられるやりがい】
- 子どもの成長・笑顔を見たとき
- 園児にとって「特別な存在」になったとき
やりがい①子どもの成長・笑顔を見たとき
子どもは日々成長しています。
その一瞬一瞬に立ち会えるのは、保護者よりも子供と接する機会が多い保育士だけの特権です。
また保育の現場は、子どもたちの健康管理から安全面への配慮など、気を遣うことが多く、常に目を光らせていないといけません。
そんな気疲れしやすい現場で癒しになるのが、園児たちが時折見せる「無邪気な笑顔」です。
保育の仕事は大変と言いますが、「子どもたちの成長のため」「笑顔で楽しい街日を過ごしてもらうため」を思えばこそ、俄然やる気に満ち溢れると思います。
やりがい②園児にとって「特別な存在」になったとき
長い時間を保育園で過ごす園児たちにとって、「保育士」という存在は、保護者の次に安心できる存在です。
限られた期間しか園に在籍できないインターン生もまた、遊びを通じて深まった絆から園児たちにとってかけがえのない存在です。
そんな園児たちから「○○先生ありがとう」や「○○先生と遊べて楽しかった」などの言葉をもらえた時、保育士のインターンに参加してよかったと思えるはずです。
インターン参加中に配慮すべきこと
保育士のインターンでは、園児たちの安全に配慮して気を遣うことが多々あります。
以下は保育士のインターンの1日の実務で配慮すべき点を挙げていきます。
【配慮すべき実務内容】
- 登園
- 昼食
- 自由遊び・降園
配慮①登園
登園の時間は、保護者の出勤時間にも関わってくるので、園児によって来る時間はバラバラです。
登園開始の時刻に来る子もいれば、朝の会が始まる直前に来る子もいます。
ここで配慮すべき点は「休み明け、園児の多くは休みの間にこんなことをした」などの話しをします。
園児1人1人の話しに耳を傾けて、楽しい思い出話に共感してあげましょう。
配慮②昼食
2つ目は昼食の時間です。
この時間は、ただ食事をするっていうだけじゃなく、お箸やフォークの持ち方などを学ぶ食育の場でもあります。
園児の中には、お箸やフォークなどの食器をうまく扱えない子もいます。そんな子たちはよく、食べ物を床にこぼしたり着ている洋服を汚したりします。
うまく食器が扱えない子には、保育士が食べさせてあげたり、お箸ではなく、フォークやスプーンを使って食べるなど優しく扱い方を教えてあげましょう。
また小さい子ほど好き嫌いが激しいです。
嫌いなものが出た時は、無理やり食べさせるのではなく、何切れ食べられたら大丈夫など、「食べることができた」という達成感を味合わせて少しずつ克服させていきましょう。
配慮③自由遊び・降園
15時以降から保護者のお迎えが始まります。
1人また1人と時間が経つにつれて園児の数も減っていきますので、園児が寂しくないように笑顔で接してあげましょう。
園児の中には、早くおうちに帰りたいとワガママを言い出す子もいれば、またお迎えに来てほしくないという子もいます。
保育士はそれぞれの主張を受け止めて、前者の早く帰りたい子には「時計の長い針が3を指したらお迎えに来るよ」などの目安を教えてあげたり、後者の帰りたくない子には、「時計の長い針が3を指したら、お片付けしようね」など声をかけてあげましょう。
まとめ
以上が、保育園が催しているインターンの内容と、インターンに参加して得られるスキル・やりがい、配慮すべきことをご紹介しました
インターンは、就業体験を持って現場の状況や働き方、そして自分はこの仕事が向いているかどうかを判断できる場でもあります。
保育の仕事は、苦労が絶えない過酷な環境と揶揄されていますが、園児の成長や笑顔のためを思えば、できないことはありません。
「子ども好き」という理由で保育士を目指している学生は、いきなり長期のインターンから参加していくのではなく、1dayや数日単位の短期インターンに参加して現場の実態・内情を知ることから始めてみましょう。
実務や子供たちと接していく中で、自分には、保育士が向いている・向いていないの発見ができます。
また「向いてない」と感じても諦めるにはまだ早いです。
インターン終盤にある「振り返り・反省」で得たことを糧に、保育士を目指してください。
インターンはそのような至らぬ点を補完する場でもあります。
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