「販売員」の仕事は字のごとく、自社取り扱いの商品を消費者に販売することです。
取り扱う商品はアパレルからジュエリー、化粧品、食品、携帯、家電など多岐に渡ります。
実務は、ご来店されたお客様に対して自社おすすめの商品やサービスを提供するだけじゃなく、商品の発注や在庫管理、スタッフのマネジメントなど様々です。
販売員の仕事は、「接客業」に部類します。
接客関連のアルバイトをしている学生は多いですが、わざわざインターンに参加してまで接客関連のことを学ぶのは…と考える学生もいるでしょう。
しかし、販売員のインターンでは、アルバイトとして任される実務以上に濃厚で、就活や今後の社会人生活の中で役に立つ経験やスキルを多く学べます。
そこで今回は販売員のインターンの内容とインターンを通じて得られる経験・スキルについてご紹介します。
販売員のインターン内容・形式
ここでは「販売員インターン」の内容・形式について解説します。
説明会形式インターン
まずは「説明会形式」のインターンです。
こちらは主に1dayやオンラインのインターンで実施されることが多いです。
【インターンの内容】
- 会社概要・業務説明
- 質疑応答
- 先輩社員との座談会
上記3つのプログラムが催されます。
会社概要・業務説明では、現役社員が会社の事業内容、自分が取り組んでいる仕事の話し、やりがいについて話してくれます。
説明会後は質疑応答の時間が設けられていますので、業界・企業研究を行って出た疑問点や不明点を聞いて、理解を深めましょう。
ただし、「説明会形式」のインターンは、受け身スタイルでの参加になるため、参加者によってはあまり充実したとは言えない気持ちになりやすいです。
ワークショップ形式のインターン
次は「ワークショップ形式」のインターンです。
こちらも1dayやオンライン形式のインターンで実施されます。
【インターンの内容】
- 会社概要・業務説明
- グループディスカッション
- 質疑応答
- 先輩社員との座談会
などが催されます。
「グループディスカッション」では、司会者が掲げたテーマに沿って企画の立案、マーケティング施策について議論して、最後はプレゼン形式で発表していきます。
限られた時間内で「経営の基礎」「コミュニケーション能力」を積めるほか、業界全体の動き、インターン先の取り組みについて深く理解できます。
ただし、社風や働く社員の様子など、人にまつわる情報が得られないため、業界全体のイメージ像が掴みにくい欠点があります。
以下は、「アパレル職」のワークショップ形式のインターンで、出題された課題の1例です。
【出題された課題:1例】
- 新商品の企画立案
- ショップビジュアルの立案
- ライフスタイルの提案
就業体験形式のインターン
最後は「就業体験」形式のインターンです。
こちらは、1ヶ月以上の長期インターンで実施されます。
以下は、インターン期間中に実施されるプログラムの内容です。
【インターン内容】
- 店頭販売
- ECサイトの梱包
- バックヤード業務
- 経営・営業職体験
プログラム①店頭販売
こちらのプログラムでは、1販売員として実店舗に赴き販売業務に勤めます。
ここで任される実務は主に、以下のことを行います。
- レジ打ち・金銭管理
- 品出し・在庫確認
- 商品の梱包・陳列
- 店舗レイアウト
ただ上からの指示通りに実務をこなすだけでは、インターンに参加する意味がありません。
店頭販売に就いたときは、来店されるお客様年代層や好み、自社商品で何が一番売れているのかなど市場の動向や陳列のやり方など、「接客の基本」を学びましょう。
プログラム②ECサイトで掲載している商品の梱包
2つ目はECサイトで掲載している商品の梱包業務です。
企業によってはECサイトを運営しており、そこから出た利益が会社の全体売り上げの数%に相当します。
実を言えば、自宅に居ながら店舗取り扱いの商品を注文できるサービスは、現代において高い需要をもたらしています。
注文が入れば、その品の梱包業務をインターン生にお願いされます。
梱包業務は、店頭受け渡しの時とは違った気遣いを学べます。
プログラム③バックヤード業務
3つ目はバックヤード業務です。
高額な商品を取り扱っている実店舗の販売員インターンに参加した場合、学生は店頭ではなく、バックヤードでできる業務に徹します。
具体的には
- 在庫管理
- データ入力
- 商品の梱包・配送業務
- お釣りの用意
- 開店・閉店作業
など、表舞台で活躍する先輩社員のアシストをメインにこなします。
またバックヤード業務に徹しながら、先輩社員の立ち振る舞いや業務内容、社風などを深く理解できます。
プログラム④経営・営業職体験
販売員のインターンでは、実店舗の本部に位置する会社に思いて営業や経営、広報などの会社の要とも呼べる業務を体験できるインターンがあります。
たとえば「経営」に関することであれば、新商品の開発やイベントの企画などを話し合います。
このインターン体験で得た経験、考え方は、他業種を志望しても通じるものばかりです。
販売員インターン参加するメリット、得られるスキル・経験は?
ここでは、販売員インターンに参加するメリット、実務から得られるスキル・能力について解説します。
参加するメリット
販売員のインターンに参加するメリットは、以下の3点が挙げられます。
【参加するメリット】
- 実務や社風が、理想とする働き方かどうか
- やりたいことが本当にこれか判断できる
- 有給インターンはバイトの代わりになる
メリット①実務や社風が、理想とする働き方かどうか
就職活動をしていく中で、自分と相性がいい企業に出会えることは大切です。
しかし、「相性がいい企業」とは、実際に仕事をして、社風や理想とする働き方ができないと、「本当にこの企業と自分は相性がいい」とは言い切れません。
販売員のアルバイト経験から、就職先を販売員の仕事をしてミスマッチを起こす学生がよくいます。
このよう事態を防ぐためにも、企業が催すインターンに参加して、社風や働き方をリサーチして企業との相性を見極めましょう。
メリット②やりたいことが本当にこれなのか判断できる
インターンで任される実務を通して「イメージしていたものとなんか違う」っていうことに気づく学生もいれば、「想像とは違った楽しみや、やりがいを感じた」という学生もいます。
そこから「自分が本当にやりたい仕事は、これなのか?」という問いに対する、回答を導き出せます。
結果、自分がしたい仕事ならば、適性ありの判断を出していいでしょう。
ここで得た経験は、後の自己PRや志望動機を書く時に役立ちます。
メリット③有給インターンはバイトの代わりになる
長期に及ぶ販売員のインターンの中には、インターンに参加しながら給与がもらえる「有給インターン」があります。
時給単価は企業によって異なりますが、平均して1,000円以上です。
そのほかにも、契約件数に応じて特別報酬を支給するインセンティブ制度を採用している企業もあります。
ただし、長期に及ぶインターンでは、「週何日、何時間の出勤」などの出勤指定がされています。
参加を検討している学生は、授業と本命のアルバイトのスケジュール調整を行ってから参加するようにしましょう。
得られるスキル・能力
販売員インターンに参加すると、以下のスキル・能力が身につきます。
【得られるスキル】
- コミュニケーション能力
- ビジネスマナー・作法
- ヒアリング力
スキル・能力①コミュニケーション能力
販売員インターンでは、社内の方よりも、来店されるお客様とのコミュニケーションが多いです。。
来店されたお客様との良好な関係を築くうえで、コミュニケーションは必要不可欠です。
この能力は販売員に限らず、営業職や経営職などあらゆる職種に就いても役に立つものです。
就活では、面接の場でその力を発揮します。
スキル・能力②ビジネスマナー
2つ目は「ビジネスマナー」です。
販売員は、来店されるお客様を相手する機会が多く、ビジネスマナーや礼儀作法などを身に付けられます。
【身につくビジネスマナー】
- あいさつ・言葉遣い
- メール・電話応対
- 名刺の受け渡し方
など、基礎的なことを実務の中で吸収します。
インターンで身についたビジネスマナーは、今後の就職活動や社会人になってからも役に立ちます。
スキル・能力③ヒアリング力
3つ目はヒアリング力です。
実店舗に来店されるお客様は、そこで自分が抱える問題解決につながるものがあるから来店されます。
販売員は、来店されたお客様が抱える問題を会話の中で引き出し、それを解決する商品を提案することで、商品の売買が成立します。
自社サービスを提供するときも同様です。
この時、自分の意見ばかりを相手に発信するのではなく、お客様の話に耳を傾けることが重要です。
このような業務を行っていくことで、ヒアリング力が自然と身についていきます。
この力の引き出しは、「コミュニケーション能力」があってこそです。
販売員インターンのやりがい
ここからは販売員インターンに参加して感じるやりがいについてご紹介します。
実務を通して販売スキルが学べる
販売員インターンのメインに当たる実務は「店頭販売」です。
アルバイトとは異なり、インターンに参加しているという点から
- 商品やサービスを受けてもらうためにはどのようにアピールするのがいいのか
- どの年代層をターゲットにすれば売れるのか
- どのような販売トークをすれば、商品の魅力が伝わるのか
などを、考える機会が多々あります。
上記のような販売スキルは、実践してこそ学び甲斐があるものです。
接客関連の参考書や研修で基礎となる販売スキルを身につけても、店頭でアウトプットできなければ意味がありません。
商品やサービスを売買することに興味がある方は、ぜひ販売員の長期インターンに参加して販売スキルを会得しましょう。
給与をいただきながら実践的な販売スキルが身につくので、やりがいを感じられるはずです。
お客様との関わり合い
販売職は、他業種とは異なり、お客様と関わる機会が多いです。
実務の中では、クレーム対応に追われることもありますが、自分が提案した商品やサービスを受け入れてもらった時に見られる笑顔は、他業界で味わえない格別なものです。
この表情を見られた時や、商品を購入して頂いたとき、販売員の多くが「この仕事をしていてよかった」と思える瞬間です。
経営者視点で仕事ができる
販売員インターンでは、そこで仕事をする社員1人1人が「経営者」という視点で仕事をしています。
仕事をしながら、市場の動きや商品の売れ行きなどを社員1人1人に課されている「売上ノルマ」や「売り上げ予想金額」の数値から読み取って今後の経営戦略を立てていきます。
「販売員=自社商品やサービスを顧客に売買して売り上げに貢献する」イメージが強いでしょう。
しかし、ただ商品を陳列させていれば、いつかは売れるという考えは通用しません。
大切なことは以下のことを社員1人1人が経営者という立場で仕事をしていくことです。
- 商品を売るためにはどうすべきか?
- どのような方法でお客様に知ってもらえるか?
販売員のインターンに参加される学生の中には、将来経営者として仕事をしたい学生や起業を考えている学生がいるでしょう。
経営のノウハウを学ぶならまずは、販売の仕事に就いて現場の動きや戦略立てを学ぶのがおすすめです。
まとめ
以上が、販売員のインターンの内容とインターンを通じて得られる経験・スキルについてご紹介します。
学生の中には、販売員としてアルバイトをしている学生がいます。少なくとも、そこでアルバイトをしている学生の少数が「将来は販売員の仕事には就かない」と考えているはずです。
しかし、販売員の仕事の中には、他業種に通じる経営の考え方や、就職活動や今後の社会人生活で役に立つ経験・スキルがたくさんあります。
学生がイメージしているものよりも、「販売員の仕事」は奥深く、やりがいを感じるかもしれません。
販売の仕事に興味・関心がある学生は、ぜひ一度インターンに参加してみましょう。
きっとアルバイトとして行う販売員の仕事以上に、充実した時間を過ごせるはずです。