グループディスカッションはインターンや就職活動において、多くの企業が採用している選考方式のひとつです。
しかし、「実際にどんなことをするのか」「何が評価されているのか」「どのように対策すればいいのか」分からない人も多いはず。
そこで今回は、グループディスカッションについてよく出るテーマや、採用担当者が見るポイント、事前準備のコツなどについてご紹介します。
はじめてのグループディスカッションに不安を感じている方は、ぜひ参考にしてみてくださいね。
グループディスカッションとは?
グループディスカッションとは、3人から10人程度の学生が一つのテーマについてディスカッションをおこなうものです。
制限時間は企業にもよりますが、ほとんどの場合30分から1時間で結論を導き出すものがおおいですよ。
また、結論を発表する時間が別にある時は、パワーポイントや表などを使って説明することもあり、発表準備にもある程度時間がかかる可能性もあります。
グループディスカッションとよく似たものにはグループワークと呼ばれるものもあります。
グループディスカッションは議論や結論までの過程を重視するのに対し、グループワークはおもにアウトプットや結果が中心です。
良い結論にこだわりすぎて、特定の人だけが主導権を持ったり、話しすぎたりすると低評価につながるため注意してください。
グループディスカッションを企業がおこなう目的とは?
グループディスカッションを企業がおこなう目的は、面接や書類選考で評価が難しいとされる本来の個人の内面についてさまざまな評価をするためです。
また、企業の採用担当者としては一度に大量の学生を選考できるといったメリットもあります。
グループディスカッションで評価できる個性や能力には、以下のものが挙げられます。
「グループディスカッションで具体的に何が評価対象になるの?」「グループディスカッションの対策をしたい」と考える方はぜひ参考にしてみてくださいね。
企業がグループディスカッションをおこなう目的
- 積極性
- リーダーシップ
- 協調性、コミュニケーション力
- 論理的思考力
- 発想力
積極性
グループディスカッションでは、「誰がどんなポジションで」「どんな発言をするのか」「どんな意見を持っているのか」「話し方」などを採用担当者はチェックしています。
ですので、与えられたテーマに対してどれだけ積極的に意見や行動ができるかどうかはかなり重要なポイントになります。
企業によっては、自由討論型テーマなどあえて正解が見えないテーマを出すところもあり、そういった状況でもいかに動き出せるかを観察していることも!
ですのでグループディスカッションでは、沈黙になりそうなときに始めに話し出したり、行動を起こしたりするほうが、かえって評価されやすくなりますよ。
リーダーシップ
グループディスカッションでは、初対面の学生同士が集まって「誰が」「どのように」愚論を進めていくのか、結論を出すのかを見ています。
とくにリーダーシップをアピールできる役割としては、リーダーや司会が挙げられます。
リーダーはたとえば、意見を出さない人に話を振ったり、いろいろな意見が出すぎて煮詰まったときに改めてテーマについて振り返るように進行したりする仕事です。
協調性・コミュニケーション力
積極性と同じくらい求められているのは、グループとの協調性やコミュニケーション力の高さです。
自分の意見ばかりを主張するのではなく、他人の意見もしっかりと聞けるかどうか、あまり発言しない人に対しても促せるかどうか。
グループディスカッションでは結論のクオリティの高さよりも、そこに至るまでの過程やあくまでグループ内でどのような雰囲気で進められるかが重要なのです。
協調性やコミュニケーション力に関しては、リーダーなどになれなくても充分アピールできる分野なので、自分と異なる意見があった際にも受け入れる姿勢を意識してみましょう。
論理的思考力
グループディスカッションにおける発言の内容や結論は、以下に論理的に述べられるかがポイント。
とくに大手の企業や人気の業界では、「理路整然と要点を話せているか」「物事を組み立てる能力」など、自分の意見の裏付けや理由、根拠をしっかりと説明できるかが求められます。
ただし、グループディスカッションでは制限時間があるので、どれだけ優秀な意見があっても長々と話しすぎていては意味がありません。
自分の意見を言うときは、誰にでもわかりやすく伝えることや筋が通っているかを考えてみてください。
発想力
現実で問題になっている社会問題などの時事的なテーマ、企業の新サービスの開発などをテーマにしている場合、とくに斬新な発想力や企画力が求められます。
固定観念に囚われない自由な発想やオリジナリティは、一朝一夕ですぐにできるものではありません。
ですので、普段から「自分だったらどうするか」「面白い方法はないか」など深く物事を考える癖をつけておくと練習になるのでおすすめです。
グループディスカッションの一般的な流れ
グループディスカッションでは、おおまかに以下の流れで進みます。
一般的なグループディスカッションの流れ
- テーマやルール説明
- 自己紹介
- 役割分担
- 意見の出し合い
- 結論をまとめる、発表準備
- 発表
企業によっては制限時間が異なりますが、おおよそ30分から1時間程度が一般的なので、上記の流れを押さえておくとスムーズです。
グループディスカッションでは初対面の学生同士になるため、どれだけ短い時間でも名前や学校名、出身地などでも自己紹介をするとグループの雰囲気も良くなるのでいいですよ。
また、発表にはパワーポイントや紙に書き起こす作業が必要なものもあります。
その場合は話し合いの時間やまとめる時間を中心に、より時間配分に気を付けなければいけません。
グループディスカッションに必要な役割
グループディスカッションでは、自己紹介をした後に役割を決めておかなければいけません。
グループディスカッションにおける役割は以下のものが挙げられます。
グループディスカッションの役割
- リーダー、司会…議論を進行し意見をまとめる役割。
- タイムキーパー…時間配分を管理し、タイムスケジュール通りにならなければ連絡をする役割。
- 書記…議論の内容を書き留め、グループ全体に共有する役割。
グループディスカッションでよく扱われるテーマ
グループディスカッションのテーマには、いくつか種類があります。
ここでは「自由討論型」「課題解決型」「ディベート型」の3つについて、それぞれの特徴や進めるうえでのポイントについて解説します。
自由討論型
自由討論型のテーマは基本的に答えや正解がありません。
さまざまな意見が出やすいがゆえに、最終的な結論を出す過程が難しい傾向にあります。
自由討論型テーマの場合、グループで意見を出し合う前に全員で前提や方向性を共有しておくことがポイントです。
また、意見をある程度出し終えたら「再現性が高いかどうか」「現実的かどうか」でひとつひとつの意見を選定しておくのもいいでしょう。
課題解決型
課題解決型は、企業の就職活動において最もよく出やすいタイプのテーマです。
具体的には、自社商品やサービスの売り上げを伸ばすための方法や、より普及率を高める手段などについて話し合うことがほとんど。
課題解決型に関しても他のテーマと同じく、定義づけや現状把握、課題などをグループ内で共有することからはじめます。
そしてそこから、「どうすれば問題が解決するのか」について話し合い、結論まで進めていきます。
課題解決型の場合、実現可能かどうかも重要ですが、企業によってはどれだけ斬新な案が出てくるのかを見ていることも!
いくつかの良い案が出れば、それらを組み合わせて解決策として提示するのもひとつですよ。
ディベート型
事前にそれぞれに役割が与えられた状態で議論したり、賛成か反対かの2択で話し合うものをディベート型といいます。
ディベート型では、どうしても相手を言い負かしたり、自己主張や議論が白熱しやすくなる傾向がありますが、実は意見が通ったからといって採用につながるというわけではありません。
喧嘩や言い合いになりすぎないためにも、事前に判断の基準を設定し、あくまで論理的に自分の主張をするように心がけましょう。
このほかにも、「フェルミ推定型」「ケーススタディ型」「選択肢型」などといった特殊なテーマを扱う企業もあります。
またグループディスカッションのテーマには、その年に話題となった社会問題や時事問題、仕事に関するテーマ、自社商品やサービスを絡めたものが出てくる確率も高いですよ。
どのテーマになるかはその時になってみないとわかりませんが、大手では企業の口コミや過去のテーマなどを公開しているところもあるので、ぜひチェックしてみてくださいね。
グループディスカッションでよく出るテーマとは?対策方法についても解説|インターン/就活に役立つ情報メディア|ユアターンPlus
グループディスカッションで気を付けたいポイント5つ
ここでは、グループディスカッションで気を付けたいポイントについて5つご紹介します。
グループディスカッションで気を付けたいポイント5つ
- 議論に行き詰まったら前提を振り返る
- 声のトーンや大きさに気を付ける
- 自分だけ意見を主張しすぎていないか注意する
- 多数決は控える
- 結論をまとめる時間はかかると念頭におく
➀議論に行き詰まったら前提を振り返る
グループディスカッションでは、あらゆる意見が飛び交いまとまらないことも多々あります。
そのような状況に陥ったら、一度原点や前提について全員と共有し直すのがいいですよ。
無意識に本筋からずれていたり、そもそもの共通認識がぼやけている可能性がありますからね。
効率的に議論を進めるためにも、前提を振り返ったり、コンセプトやターゲット層などを固めておくことが大事です。
②声のトーンや大きさに気を付ける
グループディスカッションの人数は決まっておらず、制限時間も決まっています。
そこで小さな声だったりトーンが暗かったりすると、「もう一度言ってください」と聞き返されてしまうことも!
そうなると時間のロスになってしまうため、なるべく一度で聞こえるくらいの大きさで話すように意識してください。
③自分だけ意見を主張しすぎていないか注意する
議論の妨げにまではならなくとも、自分ばかり話過ぎていないか、必要以上に意見の正しさを主張しすぎてないかはつねに気にしておく必要があります。
グループディスカッションではひとりひとりが発言できる時間は限られているため、自分が話し終えたら他の人にも「どう思いますか?」と話を振るなどをしてみましょう。
また、仮に自分と異なる意見を他の人が言ったり、議論の主旨とずれた発言をしたとしても頭ごなしに批判するのはNGです。
もし否定する場合は、「なるほど」と一度意見を受け入れてから自分の主張をおこなうなど、慎重に発言するようにしてみてください。
④多数決は控える
まとまらないグループディスカッションでは、どうしても多数決で決めてしまいたいと思いがち。
しかし、多数決はグループディスカッションにおいて議論の放棄だと捉えられる、やってはいけないことです。
もし多数決になってしまいそうなときは、「これまでのデータやアイデアを踏まえてもう一度考え直そう」と呼びかけるようにしましょう。
⑤結論をまとめる時間はかかると念頭におく
グループディスカッションでは話し合いの時間が一番かかると思われがちですが、結論やまとめるのに時間がかかることもあります。
どれだけ優秀な話し合いがおこなわれても、結論がまとまらなければ意味がありません。
はじめの時間配分を決める際に、前もって結論やまとめの時間も余裕ができるように考えておきましょう。
さらに口頭ではなくパワーポイントや表を使って発表する場合は、まとめと並行しながら作るか事前にゴールを見据えた時間管理を意識することがポイントです。
グループディスカッションでははじめに役割を決め、そこで役割をえられないとついアピールできる場がないと諦めてしまう人も多くいます。
しかし、何かしらの役割があるからといって必ずしも採用に直結するわけではありません。
役割がなくてもできることはたくさんありますし、グループ内で中立的な立場であることを武器に、その分意見出しや同意などに注力すればいいのです。
また、役割が与えられている人が充分に活かせていないと思ったら、さりげなく発言をしていない人に話を振ったり、「こういうことですよね」とまとめるのもいいですよ。
グループディスカッションのコツとは?オンラインでの対策についても解説|インターン/就活に役立つ情報メディア|ユアターンPlus
グループディスカッションにおける注意点
グループディスカッションでは無意識にグループの雰囲気を悪くしたり、不快にさせてしまう行動や振る舞いをしていることも。
ここではグループディスカッションにおいて注意すべき点についていくつかご紹介します。
クラッシャー行為をしていないか注意する
グループディスカッションでは、クラッシャー行為をしていないか注意しましょう。
クラッシャー行為とはグループ全体で話し合いをする際、自己主張の強さにより議論の妨げとなる行為のことです。
具体的なクラッシャー行為には以下のものが挙げられます。
クラッシャー行為の例
- 強引に自分の意見を押し通そうとする
- 他の人の意見を聞かない、すぐに批判する
- 聞いている時の態度が悪い
- グループの雰囲気を悪くする
- 進行を妨げる
クラッシャー行為をおこなってしまうと議論の妨げになるだけではなく、グループのメンバーが委縮して意見を出しにくくなる、グループ内の雰囲気が悪くなるといったデメリットも!
また自分ではなく、グループ内にクラッシャー行為をする人がいる可能性もあります。
もしグループ内にクラッシャー行為をする人がいた場合、リーダーではなくても「今はなすべきことを明示する」「他の人にも意見を求める」などで対策するのがベストです。
議論中の態度や振る舞いに注意する
グループディスカッションでは、発言だけではなく他の人が話している時の態度や振る舞いにも気を付ける必要があります。
もし、以下のような態度を取っていれば気を付けなければいけません。
こんな振る舞いをしていたら要注意!
- 腕組をする
- 脚を組む
- 頬杖をつく
- ペン回しをする
- 髪をいじる
- 肘をつく
- メモしか取らない
- まったく発言しない
- 貧乏ゆすり
上記の態度や振る舞いをしていると、採用担当者からのイメージが悪くなる可能性があります。
また、グループ内でも「きちんと話を聞いてくれているの?」と不安がられたり、グループ内の雰囲気が悪くなるため早めに改善するようにしてください。
グループディスカッションに向けてできること3つ
グループディスカッションは、1週間前などテーマが知らされているわけでもなく、一緒に議論するメンバーも見知った人というわけではありません。
ですので、対策のしようがないと諦めてしまう人も多いはず。
そこで今回は、グループディスカッションに向けて事前にできることを3つご紹介します。
「いつもグループディスカッションで落とされてしまう」「グループディスカッションに苦手意識がある」という方はぜひ以下を参考にしてみてくださいね。
グループディスカッションに向けてできること
- 普段からニュースをチェックしておく
- 自分の意見を持つ癖をつけておく
- インターンやイベントでグループディスカッションの練習をする
➀普段からニュースをチェックしておく
グループディスカッションでは時事問題や社会問題を取り扱うケースも多くあります。
知識や情報がないとそもそも話しにくい場面もあるため、日頃からニュースを見るなど世間を知っておくようにするとより自信をもって話せます。
②自分の意見を持つ癖をつけておく
グループディスカッションで求められるのは、オリジナルのアイデアや意見です。
そのためには、日頃から自分の意見や考えをしっかり持っておくことが大事。
例えば、ニュースや新しい情報を得てもそれで終わりではなく、「自分はどう思うか」「なぜ同意できるのか」などの理由や根拠までを掘り下げる練習をしておくといいですよ。
論理的な説明が頭のなかでイメージできれば、今度は紙に書いたり誰かに話してみるといいでしょう。
また自分の主張を述べる練習だけではなく、日常会話のなかでも他の人の意見を聞く練習をしておくのもポイント。
普段から「あなたはどう思う?」と聞く立場になることで、グループディスカッションでも生きるはずです。
③インターンやイベントでグループディスカッションの練習をする
キャリアセンターや企業のインターン、各種イベントでは、グループディスカッションを体験できる場所もたくさんあり、それを利用するのもひとつです。
初対面などかなり本番に近いリアルな状態を再現しているので、何度か繰り返していると徐々に慣れてきます。
その際はできるだけさまざまな役割を経験しておくことで、臨機応変にどんなポジションでも対応できるのでより自信にもつながります。
~まとめ~グループディスカッションは日常から対策ができる!
今回はグループディスカッションについて、目的や対策方法、ポイントなどを紹介してきました。
グループディスカッションは多くの企業でも採用されているため、事前準備がかなり重要になってきます。
1人でできるものでは、最新のニュースや社会問題となっているものについて触れて置くことが大事!
また、グループディスカッションの練習まではいかなくても、日常生活のうちから自分の意見を言ったり、他人の意見を聞くことを意識することはできます。
グループディスカッションではある程度の積極性が求められるため、何事に対しても「自分はどう思うか」「同意できるか反対なのか」「なぜそう思うのか」などをつねに考える癖をつけておくといいでしょう。
意見を出したり聞いたりする練習をしておくと、本番のグループディスカッションでも気負いせずスムーズに言葉が出てくるはずですよ。