グループディスカッションはテーマが予想できない分、「進め方が分からない」という方は多いはずです。
そこで今回は、グループディスカッションの進め方についてテーマ別にご紹介し、評価されるポイントや効率的に進めるコツについても解説していきます。
「いつもグループディスカッションで時間が足りないと感じる」「グループディスカッションに苦手意識がある」「グループディスカッションで高評価を狙いたい」といった方はぜひ参考にしてみてくださいね。
グループディスカッションの進め方
基本的にグループディスカッションは以下の流れになります。
ここでは、それぞれの段階で重要なポイントや概要について解説していきます。
グループディスカッションの進め方
- 自己紹介
- 役割を決める
- 時間配分を相談する
- 課題の定義を明確にする
- アイデアを出し合う
- 内容の整理をしてから結論を出す
- 発表の準備をする
➀自己紹介
グループディスカッションは一般的に5~10人程度でおこないますが、ほとんどの場合は初対面です。
スムーズにディスカッションを進めるためにも、自分の名前や出身校、趣味などを紹介しましょう。
ただし時間制限があって短い場合は、自分の話が長くなりすぎないように1分以内を目途に収めるのがベストです。
また、あまりにもグループディスカッションの内容とはかけ離れすぎる紹介をしてしまうのも好ましくありません。
あくまでここでの自己紹介は、同じグループの方に対して自分の情を開示し、話がしやすい雰囲気を作り出すものだと認識しておきましょう。
②役割を決める
自己紹介が終わったら役割を決めます。
基本的にグループディスカッションで必要な役割とは、「司会進行(リーダー)」「書記」「タイムキーパー」の3つが挙げられます。
司会進行は他の人と比べて自分が話すチャンスが多い分、積極性やリーダーシップをアピールしやすいですが、意見が逸れたときに軌道修正しなければいけません。
書記はパソコンや手書きなどでメモを取る仕事です。
明確な役割があるものの、書くことに集中しすぎると意見を言えなかったりするデメリットがあります。
また、タイムキーパーとはグループディスカッションの議論が制限時間内に終わるように、随時残り時間などを伝える役割です。
必ず何かの役割にならなければいけないと思いがちですが、苦手なのであれば無理に立候補する必要はありません。
苦手なのに引き受けてしまって役割を果たせなければ、逆にマイナス評価につながるリスクがありますからね。
もし何も役割がないのであれば、人の意見をさえぎらない程度に積極的に意見を出したり、ディスカッションの方向性がずれていったら声をかけるなどでも充分評価されます。
③時間配分を相談する
グループディスカッションには制限時間があり、それを意識していないとなかなか意見がまとまらなかったり、発表の完成度が落ちたりして、グループ全体の低評価につながる可能性があります。
例えば、30分のグループディスカッションだと、以下の時間配分が理想です。
- 自己紹介、役割分担、時間配分の相談…5分程度
- アイデアの出し合い…10分程度
- アイデアの整理・まとめ…10分程度
- 結論、発表準備…5分程度
グループディスカッションの目的は、良い結論を出すことや議論をすることではなく、あくまでグループ内で結論を制限時間内で導き出すということです。
時間配分にこだわりすぎると、肝心の中身や結論まで達せないという問題が発生しますので要注意。
また、時間配分を決めていても予定通りに進まない可能性もあるため、必要以上に焦らないように余裕を持ったり、臨機応変な対応ができるようにしておくとなおいいですね。
④議題の定義を明確にする
グループディスカッションでは議題について、全員で定義を明確にしておく必要があります。
なぜこの作業が必要なのかというと、定義やゴールを正しく全員が理解していないと、議論している途中で論点がずれやすくなるからです。
議論の定義をおこなう場合、5W2H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように・いくらで)などを意識しながら進めていくと、よりスムーズに義をんが進められるのでおすすめです。
⑤アイデアを出し合う
課題の定義や話し合いのゴールが明確になったら、いよいよアイデアを出し合う段階です。
採用担当者側にとって、ここは個人の性格や積極性、コミュニケーション能力を判断できる時間。
アイデアを出す時間で、とくに押さえておきたいポイントは以下の通りです。
アイデアを出すうえで押さえておきたいポイント
- 発言する際は結論から理由、根拠の順で話す
- 相手の意見を悪口から否定しない
- 話している時は相槌を打つ
- 発言できていない人がいたら話題を振る
- 制限時間をつねに意識しておく
つい積極性をアピールしたいがために、自分本位に話してしまう人もいますが、相手の意見を聞き入れないと協調性に欠けると評価されてしまうので要注意。
自分の意見を主張することも大事ですが、他の人の意見も受け入れる姿勢も意識するようにしましょう。
⑥内容の整理をしてから結論を出す
グループディスカッションでアイデアがある程度出たら、整理し結論を出さなければいけません。
よくありがちな失敗としては、話し合うのに時間を取りすぎて、中途半端な結論になってしまうパターン。
ですので、内容の整理をおこなう時間は、アイデアを出す時間と同じくらいの時間を確保できるように、進めるのがおすすめです。
難しいと思う人も多いですが、これまで出た意見のなかでも似たものは一緒にしたり、あまりにも議題にそぐわないものや現実的でないものは除くなどして、選択肢を絞っていくと案外まとまっていきます。
ここで注意すべきは、どれだけ時間に余裕がなくても安易に多数決で結論を出さないこと。
確かに多数決は一番簡単な方法ですが、グループディスカッションにおいては多数派よりもいかに議題の結論に沿っているかが重要なので、好ましいやり方ではありません。
また、最終的に「なぜそう思ったのか」を聞かれた際、論理的な根拠や理由が述べられないといったリスクも!
内容の整理は、全員が納得する結論を出すことが大事なのです。
⑦発表の準備をする
結論が出たら、その内容を他のグループや採用担当者に伝えるために発表の準備をおこないます。
企業やテーマによっても異なりますが、パワーポイントなどで発表をするのか、口頭で説明するのかによっても時間のかかり具合が変わってくるので、あらかじめ余裕を持たせておきましょう。
採用担当者は発表者のみを見ているわけではありません。
発表する時間が指定されている場合だと、タイムキーパーやパソコンを操作する人なども責任重大です。
また、質疑応答の時間があるのなら、「どんな質問が来そうか」「どのように答えるか」などの相談も必要となります。
テーマ別グループディスカッションの進め方
グループディスカッションのテーマはさまざま。
ここでは、課題解決型・自由討論型・選択肢型の3つのテーマについて、それぞれの進め方を紹介していきます。
課題解決型テーマの場合
課題解決型テーマは、ひとつの問題や課題について解決策をグループで話し合うものです。
課題解決型はおもに、売上アップするための方法や企業や社会が抱える問題に対する解決策について話しあうことが多いですよ。
現状解決型テーマの進め方
- 目的を明確にする
- 現状を把握する
- 解決策を出す
➀目的を明確にする
まずは、メンバーのテーマに対する認識の違いがないか、議論の前提条件や目的について確認します。
先にも述べたように、実際に議論する前に目的を明確するときは、5W2H(いつ・どこで・誰が・何を・なぜ・どのように・いくらで)を軸にするのがポイントです。
②現状を把握する
目的を明確にしたらつぎは、現状分析をおこないます。
やはり解決策を提案するには、「今どんな状態なのか」「何が問題なのか」現状を把握しましょう。
現状分析をおこなう際は、問題の全体像を細かく理解し、問題となった原因や要因について明らかにすることが必要です。
③解決策を出す
現状分析が終わったら、洗い出された原因や要因の解決策について考えていきます。
解決策を提示するときは以下のポイントを押さえておくと、質疑応答の際にも困りませんし評価にもつながるのでおすすめです。
解決策を提示するときのポイント
- 解決策がもたらす効果(メリット)
- 解決策のリスク・コスト(デメリット)
- オリジナリティがある解決策
- 目的や問題を解決するのにかかる時間
自由討論型テーマの場合
自由党論型はテーマ自体が抽象的なものが多く、ひとりひとりが異なる意見を持ちやすいため、結論がまとまりにくい傾向があります。
意見の斬新さと、そこに論理的かつ現実的な根拠や理由が必要となります。
自由討論型テーマの進め方
- 目的を明確にする
- 意見を出して評価する
➀目的を明確にする
自由討論型のものでもはじめは、前提の確認や目的を明確にしておくとスムーズにディスカッションが進みます。
テーマによっては細かい設定やターゲットなどが明記されていないケースも多いので、「誰が」「どんな目的で」「どこをゴールとするのか」など、ある程度ニーズを決めておけば全員が目指すべき方向性が見えやすくなります。
②意見を出して評価する
目指すべき方向性が固まったら、意見を出していきます。
ここで注意すべきは、自分ばかりが意見を主張しすぎたり、たくさんの意見を提案しすぎないこと。
グループディスカッションでは積極性が評価されると考え、つい自分のアピールの場だと話し過しすぎる人はよくいます。
しかし、同じようにグループディスカッションでは協調性やチームワークの良さも評価対象になるので、たとえ自分と異なる意見があっても真っ向から否定することはないように心がけましょう。
また意見がある程度出し終えれば、当初の議論の目的や評価基準に合わせてあらためて意見を評価します。
それぞれバラバラの方向性の意見の場合、どの意見が一番現実的か、リスクが少なくメリットがあるかどうかなどを考えれば結論もスムーズに出るのでおすすめです。
選択肢型テーマの場合
選択肢型テーマの場合、事前に答えがいくつかあるうちのひとつを絞るディスカッションとなります。
一見選択肢が決められているので簡単だと思いがちですが、それだけに制限時間が短い傾向にあり、理由などもまとめる必要があるので気を付けなければいけません。
選択肢型テーマの進め方
- 目的を明確にする
- メリット・デメリットを洗い出す
➀目的を明確にする
選択肢型テーマのディスカッションでは、「誰が」「手段」などがすでに決定しているケースが多いので、目的では「なぜこれを選んだのか」を明確にする必要があります。
②メリット・デメリットを洗い出す
目的や方向性が決まれば、選んだもののメリットやデメリットを洗い出します。
メリット・デメリットが挙がれば、テーマの設定に合うものはどれかを見定める基準になります。
選択肢型テーマだと制限時間も短い傾向にあり、答えだけをまとめればいいと考えがちですが、それだと時間も持て余しますし浅い答えに!
全員で答えを絞ることに注力しすぎると、いざ発表する際にきちんと説明できなかったりするので、理由もまた一緒に案を出すことを意識してみてくださいね。
グループディスカッションを効率的に進めるコツ3つ
グループディスカッションでは、自分ひとりが活躍すればいいというわけではなく、メンバー全体で結論を出すのが重要です。
ここでは、グループディスカッションをより効率的に進めるコツについてご紹介します。
ぜひ参考にしてみてくださいね。
グループディスカッションを効率的に進めるコツ3つ
- 簡潔に話す
- 少し大きめの声で話す
- 聞く姿勢にも気を付ける
➀簡潔に話す
グループディスカッションは制限時間がひとつのネックです。
いくら全員がバランスよく話し合えたり、議論が白熱したとしても時間内に結論が出なければ意味がありません。
タイムキーパーがいるといっても、ひとりひとりが意見を分かりやすく簡潔に話すことで、より効率的に議論を進められます。
②少し大きめの声で話す
グループディスカッションの人数は厳密に決められていないことが多く、最大では10人近くで話し合わなければいけない場面もあります。
とくに、緊張しやすいタイプやグループディスカッション自体に慣れていない人だと、声が小さくなってしまいがち。
しかし、小さい声はなんとなく自信がないイメージに伝わったり、大人数だと「もう一度言ってもらえますか」と聞かれるなど二度手間になるため、時間の無駄遣いになってしまいます。
ですので、自分が発言する際はメンバー全員に一度で聞いてもらえるように、いつもより大きめの声で話すようにしてください。
③聞く姿勢にも気を付ける
グループディスカッションでは、話すだけではなく相手の話を聞くときの姿勢も重要です。
話している時は多かれ少なかれ緊張しますし、初対面なのでとくに周りの反応が気になるものですからね。
髪の毛をいじる、肘をついて話を聞くなどといった癖がある方は、自分だけではなく相手の集中力を下げたりグループ全体の雰囲気を悪くする原因Iなるため注意しましょう。
話を聞くときは、適度に相槌をうったりメモを取ったりすることで、話を聞いているアピールになるのでおすすめです。
グループディスカッションでのNG行動とは?
では、グループディスカッションを進める上でやってはいけないことはどんなものがあるのでしょうか?
まずは、議論の最中にまったく発言しないというのは避けたほうが良いでしょう。
黙ったままだったり、反応も薄いと「参加しようとするやる気が感じられない」「熱意がない」という評価につながります。
緊張したり、テーマが難しすぎてなかなかすぐに意見が思いつかないという人は、他の人が話していることに対して大きくリアクションをしたり、「いいですね」と同調するように意識してみてください。
また反対に、自分だけ目立とうとメンバーの意見を真っ向から否定したり、ディベートでもないのに言い負かそうとするのもNGです。
グループディスカッションでは最終的にひとつの結論にまとめなければいけませんので、上記のような行動を繰り返していると、「協調性がない」と採用担当者の目に映ったり、グループ内の雰囲気も悪くなってしまいます。
グループディスカッションで大事なのは、ひとりが大きく目立つのではなく、チームの連携具合やどれだけ個人が貢献できているかです。
より効率的に、そして全員が納得できるような良い結論に至るにはどうすればいいかを考えて、積極的に行動することを意識してみてくださいね。
~まとめ~グループディスカッションは練習することで進め方が掴める!
今回はグループディスカッションの進め方について解説してきました。
グループディスカッションはなんとなく対策がしにくいと思いがちですが、段取りが頭に入っていれば怖くありません。
また、流れが入っていてもどうしても不安な方は、友人と一緒に普段からグループディスカッションの練習をおこなったり、企業のインターンシップに参加してみるのもおすすめ。
制限時間を設定して実践的な練習を重ねれば自信にもつながりますし、色々な役割を経験すれば本番でも慌てる心配はありません。
さらに、時事問題的なテーマを扱うグループディスカッションもあるため、就職活動中などは普段からニュースやグループディスカッションでは本を読んだりして、情報や論理的思考を養うのもひとつです。
自分の意見を発信する力と聞くスキルがあれば、採用担当者の評価にもつながるはずですよ。