大学の学部によっては、多くの大学生が次の進路先を決めるために行う「就職活動」が「有利にはたらく学部」や逆に「不利になる学部」があるといわれています。
具体的に、この「就職の有利/不利」というものは、「学部」のどこをどう見て判断しているのでしょうか?
偏ったイメージでいうと
「理系は文系の学部以上に就職先の選択肢が多く、文系は数が少ない」
というのがあります。
そのほかにも
- 理系=今後の就職活動(転職活動)でも向かうところ敵なし
- 文系=選択肢の幅が限られている、フリーターとして仕事をしている人が多そう
などが挙げられるでしょう。
しかし、実際は文理系を問わず、どの学部も行く先数多で「選択肢は豊富」にあります。
今回は、「就職の有利」とはどこを見て判断されているのかを解説すると同時に、実際に就職で「有利」な位置にいる「学部」をご紹介します。
就職に「有利」な学部
就職に有利な理系学部
まずは「理系」に属する学部で就職が有利な学部をご紹介します。
医学部・薬学部
「理系」の学部で、最も就職先が有利と言えるのは、在学期間内で学んだ「知識・技能」がそのまま仕事に役立つ「実学」「専門分野」である「医学部」や「薬学部」です。
これらの学部で共通していることは、「学ぶ内容をまんま仕事に役立てる」という「専門性」を持っていることにあります。
学んでいく中でそのすべてが「資格取得」「仕事」へと直結している分、他学部とは比較にならない量の学習を強いられますが、その分将来仕事を探す難易度はかなり低いです。
工学部・農学部
次に有利な位置にいる「学部」が「工学部」と「農学部」です。
まず「工学部」は、「モノづくり」を専門としている学部です。その中には、「精密機器」や「プログラム」、「建築に関わる知識・技能」など多くのことを学んでいきます。
在学期間中に培った「モノづくり」に関する「専門的技能」を存分に活かす場として「メーカー業界」があります。
「メーカー業界」は、製品開発の工程で「専門的技能」を必要とする場面が多々あります。また在学期間中に「専門的技能・知識」を身に着けている彼らは、不景気ゆえに採用人数を絞ってなかなか就職先が見つからなくとも、持ち前の技能と知識を活かせる場を作り出すこともまた可能です。
次に「農学部」もまた「工学部」同様に「専門的技能・知識」を在学中に身に着けているため、「専門性」が求められる「メーカー業界」でその力を存分に発揮できます。
就職に有利な文系の学部
次は「文系」に属する「学部」で、就職に有利な位置に立っている学部をご紹介していきます。
法学部
まずは「法学部」です。
当学部では「法学」と「政治」を基礎しており、在学中に学んだことを活かすとなれば、「司法」や「弁護士」「裁判官」など、「法曹業界」に就く学生が多いというイメージがあるでしょう。
しかし、学部で得た学びを活かせる場はここだけではありません。「法」に関する知識というものは、あらゆる業界・職種で仕事をしていく中で役に立ちます。
- 消費者に商品・サービスを提供するとき
- 会社に勤めるとき
- 業者と商品の取引を行うとき
など、あらゆる場面で「法律」というものが絡んできています。
「法律」を知っているか否かでは、仕事をしていく上で大きく違います。
経済学部・経営学部・商学部
次は「経済学部」「経営学部」「商学部」です。
この3学部のイメージは、「学んでいること=仕事に直結するもの」という先入観が特に強い学部です。
しかし、実際はそれぞれで「研究対象」として見ているものが違います。
- 経済学部:社会全体の経済活動(国、地域の政治/企業、消費者の経済活動など)
- 経営学部:企業・組織の経済活動(会社運営の関わる管理・運営方法、その仕組み)
- 商学部:企業が組み上げた「物流」、「金銭の流れ」といった企業と消費者の関係性
を見ています。
とはいえ、どの学部でも「ビジネス」に直結する学びを得ていることに変わりはありません。具体的には、売るための仕組みを作るために必要とする「マーケティング」や「経済学」「経営学」など、知識としてというより「ビジネスに対する考え方」をここでは活かしているというべきでしょう。
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なぜ「有利」と言われているのか
前節で、文理系それぞれに属する学部で、就職に「有利」とされる学部をご紹介しましまた。今回取り上げたもの以外にも「有利」となる学部はありますが、割愛します。
今回取り上げた「学部」は「学問領域」こそ、互いに違いますが、1つの共通点があります。
それは就職先で学んだ「専門的知識・技能」を活かせられる就職先に就くならば、他学部よりも圧倒に「有利」ということです。
つまり、「就職に有利」というのは、就職先で「専門的知識・技能」を活用できるだけの「実学」を積んでいることにあります。
一番わかりやすいもので「医学部」や「薬学部」でしょう。
この学部で学ぶことのすべてが「仕事」に直結している「実学」であり、「専門知識・技能」です。
そのほかにも「工学部」や「法学部」「経済学部」などでは、「医学部」同様仕事に直結している「実学」を積んでいますが、こちらの場合は「知識・技能」を「考える力」として昇華し仕事に結びつけているといってもいいでしょう。
「専門的分野」を取り扱う企業の場合、1から教育するよりも、大学である程度の専門知識・技能を積んできている学生に期待をします。
つまり「就職に有利」というのは、大学で仕事に直結する「実学」を積んでいることにあります。
一般企業の総合職では「大差」なし
「専門職」以外の仕事、俗にいう「営業職」や「事務職」などの「総合職」は、専門知識・技能と呼べる「実学」を持っているかを問わず、どの学部出身者でも就くことができる当たり障りのない「就職先」といえます。
つまり、一般企業の総合職では「大差」なしということになります。
しかし、企業側もしっかりと就活生を見定めて、採用していることに変わりはありません。
見ている点は「学部で何を学んできたのか」というよりも、「学業に対する取り組みの姿勢」や「会話が成り立つか」などを見て判断しています。
たとえば、「学業に対する取り組み」では、これを「仕事」に置き換えて「入社してくれた時真面目に仕事をしてくれるか」を見ています。
要するに、「営業職」や「事務職」などの「総合職」では、学生の「ポテンシャル」を見て決めているといってもいいでしょう。
つまり、専門職以外であれば、学部学科の有利性などは一切関係がないということです。
就職に有利とは言われても本番は「入社してから」
憧れていた、夢にまで見ていた業界企業から「内定」を頂いた時の喜びは、大学に合格をした時以上のモノでしょう。
しかし、「内定獲得」が、ゴールではありません。
「就職活動」「内定獲得」は、あくまで次の進路先を決めるための「通過点」です。本番は「内定」が確定した企業に入社してからです。
憧れの企業で仕事をしていっても、想像していたものと大きく違ったという「齟齬」「ミスマッチ」というものは、入社して見ないことには分からないものです。
また「やりたい仕事」をさせてもらえるかどうかも同様です。
加えて現在「終身雇用」という考え方がなくなりつつあり、「転職」をしてキャリアアップしていくという考え方が通となりつつあります。
つまり働き方に「多様性」が生まれているということです。
ここで言いたいことをまとめると、「就職に有利」と言われている学部出身者でも、必ずしも「楽しい社会人ライフ」を実現できるとは限らないということです。
何事もふたを開けてみないことには、現状分からないということです。
まとめ
以上が、「就職の有利」と言われている学部の解説と、文理系別で「有利」な位置にいる学部のご紹介でした。
今回取り上げた学部で、就職に「有利」と言われている理由の多くが、在学中に「専門的知識・技能」といった「実学」を積んでいることが挙げられます。
ただし、これが発揮されるのは「専門職」に就く場合に限られます。どの業界にもある「営業職」や「事務職」などの「総合職」への就職では、その「有利性」を発揮することはあまりないと考えていいでしょう。
もし「就職を有利」に進めたいと考えているならば、学部で学ぶ「専門知識・技能」を活かせられる業界への就職を目指すのがベストでしょう。