就職活動をするとき
- 志望する業界へのこだわりが「強すぎて」なかなか思うような結果を出せない学生
- 自分が所属する「学部」と結びつきがあるところじゃないといけないと思ってしまい、興味関心が響かない業界ばかりに面接を申し込んで苦労する学生
など、あの手この手で就職活動をしている学生がいます。
よく「就職活動サイト」や「就活を専門とするブログ」上では、あの学部は就職活動に「有利/不利」といった「格付け」をしているものもあります。
しかし、実際「医療」や「薬学」などの特別な免許を必要とする「専門職」じゃなければ、就職活動における「有利/不利」はなく、「学部・学科」によるフィルターも存在しません。
今回は、なぜ就職において「学部・学科」が関係ないのかということを解説していきます。それに先立って就職の「有利/不利」について簡単に解説も致します。
就職の有利/不利
「就職が有利」な学部は「専門的知識・技能」を積んでいる
手始めに「就職」における「有利/不利」について解説をします。
「就職活動サイト」や「就活を専門とするブログ」上で見かける「学部別」でみた「就職」の「有利/不利」というものは、在学中に学ぶ学問領域が、社会に出た時「専門性」を発揮する「実学」の部類に入るか否かで判断をしています。
学部によって学ぶ学問領域は主に「実学」か「教養」のどちらかに分けることができます。
「医学部」や「薬学部」「工学部」「経営学部」「商学」などで学ぶ学問領域がその類に入ります。「実学」は、主に「専門性に長けていること」や「仕事と直結していること」が多いです。
主に「研究」をメインとする学部がこの類に入ります。例えば「教育学部」や「文学部/人文学部」「心理学部」などが当てはまります。「教養」は主に、自身の「思考力」「判断力」など、「人間としての総合力を養う学問領域」がここに含まれます。
特に「仕事との結びつき」があることは、そこに「専門性」が求められているも当然ということから、「実学を学ぶ学部」は就職において「有利」ということになります。
ただし、この「有利」となるのは、「専門性が求められる業界」に限られます。
総合職の前では「有利/不利」は関係ない
どの業界にもある「営業職」や「事務職」など、「専門性」を求めない職種への就職は「学部学科」を問わず、就職することができるため、就職の「有利/不利」というものがありません。もちろん、「専門的知識・技能」を積んでいたとしても、同様のことが言えます。
とはいえ、「ビジネス」に直結する「考え方(マーケティングや経営学など)」を知っているか否かで「仕事」への取り組み方、スタートを切る早さは変わってきます。
就職において「学部・学科」は関係ない
「専門性」を求められる仕事に就く学生を除いて、多くの学生が学部で学んでことと関係がない仕事への応募をするでしょう。
その時、冒頭でも述べましたが、「「就職」において自分が所属する「学部」と結びつき、関係性があるところじゃないといけない」という考えが邪魔をして、自ら選択肢を狭めてしまう学生が多いです。
結論を述べると、そのような考えをする必要はありませんし、企業側は学生に「学部で学んだスキル」を求めていません。
あるのは「仕事」に対する「ポテンシャル」「取り組みの姿勢」を見て採用するか否かを決めています。
よって就職における「学部・学科」は関係ありません。
企業側は、入社後に「業務に必要な知識・技能を身につけて会社に貢献してくれる」ことを念頭に置いています。
そのための「投資」として、「学部・学科」に捉われるのではなく、学生の「ポテンシャル」を重視して採用を行っています。
理由は、「仕事」に対する取り組みの姿勢・意欲が著しくない場合、早期離職に繋がる恐れがあり、最悪の場合高額な教育費をドブに捨てるようなものです。
会社としても余計な損失を出さないため、「新卒採用」では「学業への取り組み姿勢」から学生のポテンシャル、取り組みの姿勢・意欲を判断材料としています。
就職活動の採用では、このような背景があるため、「学部・学科」は関係ないと言い切れます。
学部・学科と関係がないところへの就職
企業は「学部・学科」で判断をしていないから就職はできる!
前節でも述べたように、就職において「学部・学科」は関係していないので、学部との繋がりがない業界への就職ができます。
もちろん、専門的なスキルや技能、「免許」を要する仕事に就くのはできかねます。
なぜできるのかは、企業側が学生の「ポテンシャル」を重視して採用していることが挙げられます。そして、入社後の研修体制が整っているというのもあります。
たとえば、「文学部/人文学部」出身の学生が、完全未経験で「IT業界」に入社したとします。
「文系出身者がIT企業に?」
と思われる方がいるかと思いますが、「IT」において数学的要素や理学的要素は全くないため、文理系を問わず入門することができます。
もちろん新卒採用を、積極的に行っている「IT企業」は多く存在します。
入社して数カ月間は「研修」を受けるのが、どの業界でも同じように、「IT企業」でも当然ながら実施されます。完全未経験者ともなればなおのことです。
ある程度の基礎を研修で培うことができれば、以降は現場に入って仕事をしていくこととなります。
というように、入社していきなり現場で仕事をさせるようなところはありません。一旦は「研修」という「教育期間」を経てから現場に行くのがセオリーです。
なので、学部と入社先に関係性がなくても問題はないといえます。
学部と業界が無関係ならば、勝負の場所はココ!
ここまで「就職」と「学部」には「専門性」が問われない限り「関係性はない」ことを解説してきました。
それこそ、多くの学生が出身学部とは関係性がない業界に就職をしているからこそ言えることでもあります。
ここからは学部と志望業界が「無関係」時、気を付けるべきポイントをご紹介します。
志望業界と専攻学問の結びつき
まず学部との結びつきがない業界に属する企業への面接を受けた時
- 「〇×学部だけど、どうしてこの業界を志望したのか」
- 「〇×学部で学んできたことが、うちに入社した時どのように役立つのか」
を問われることが「必ず」あります。
このような質問を受けた時の回答には「自分が専攻している学問や研究」を行って得た経験を絡めて、志望動機を「論理的」に述べることです。
- 「なぜその業界を志望したのか」という動機を話す
- 「所属する学部、ゼミを選択した理由・そこで何を学んだのか」を踏まえて理由を話して裏付け、根拠を取る
- 「学部・学科」との繋がりがない業界に対して、自分の意見を話す
- まとめとして、この企業を選んだ志望動機を話す
回答の流れとしては上記4つに分けて話をしていきましょう。
大切なことは「要点を簡潔にまとめて話すこと」です。
1つの質問に対して長く話していても、「結局何が言いたかったのか」「話の落としどころ」が見当たらず、理解を得ることができません。
その中でも「所属する学部、ゼミを選択した理由・そこで何を学んだのか」と「「学部・学科」との繋がりがない業界に対する意見」の2つは質問を回答として密接なものがあります。それぞれの注意点を解説します。
所属する学部、ゼミを選択した理由・そこで何を学んだのか
この「話の段階」で話してはならないのが「なんとなく選んだ」というような「曖昧さ」「学業に対する取り組みの姿勢が薄い」と受け取れる内容はNGです。
この話をするときは、「大学受験」をする際に抱いた気持ちを旨に回答してみるといいでしょう。
「学部・学科」との繋がりがない業界に対する意見
この話をするときの肝となるのは「専攻している学問領域と志望する業界」が異なるからこそ生じる「ギャップ」に対して自分がどのように感じているかを話すことです。
話し方のポイントは
- 異なる分野同士だからこそ感じた違い
- 異なる分野同士で「共通」と呼べるものがあることを話す
の2点です。
この2点のどちらかを話しの軸として話してみるといいでしょう。
また話す時の注意点があります。
- 自分が学んできたことを「否定」しない
- 「志望動機」に「学問」を絡める必要はない
この2点を心掛けましょう。
以上のことを踏まえて、話の要点を簡潔にまとめ、回答として「何を」伝えたかったのかを意識して話をしてみましょう。
やりたいと思う「理由」を明確にしておく
異業種への就職を志望しているならば、なおのことそこで「仕事をしたい」という気持ちを明確化しておくと、活動におけるモチベーションが大きく変わってきます。
「文学部出身」が、完全未経験で「IT業界」を志望するときも、そこには「入社したあと、こういうことに携わりたい」「こういう開発をしてみたい」と思う気持ちがあるからこそ、現に文系出身者のエンジニアが開発の現場で活躍をしているというものです。
最後まで努力する
企業の新卒採用に応募をすれば、「書類選考」の段階で落とされることもあれば、最終面接の場で落ちることもしばしあります。
就職活動をして最終的な結果としては、「内定」の数よりも「落選」する数の方が勝ります。
ここで大切なことは、「企業選考」は一期一会であると同時に、落ちたのは「自分の努力が足りなかった」などと自分を責め立てないことです。
考えることは、「企業に対する想いが届かなかった」「企業の性格と自分の性格が合わなかった」と思い、気持ちを切り替えて次に進むことです。
気持ちが萎えていれば「就職」に対するモチベーションも落ちて思うような結果を出すことができません。
自分が真にやりたいとと思うことを「実現」させたいならば、結果共々真摯に受け止めて前に進みましょう。
「学部」によるフィルターはないが、「学歴」フィルターはある
「就職」において「学部」との関係性はないつまり、「フィルター」がかけられていないことをここまで話してきました。
しかし、一部の企業では就活生の応募が多いため、採用効率を上げるために「学歴フィルター」をかけて応募に制限をかけています。
「学歴フィルター」をかける理由は主に2つあります。
- 採用活動の効率を上げるため
- 「優秀な学生」ではなく「多様な学生」を探し出すため
となっています。
ここからはその理由を1つずつ解説していきます。
採用活動の効率を上げるため
前提として「フィルター」をかける目的の多くは、「採用活動の効率を上げるため」です。
「フィルター」と言えば、特定の条件を満たした方のみが通れるいわば「関所」をイメージされる方が多いでしょう。じゃあこの「学歴フィルター」というのは、「偏差値50以上の大学に通う学生のみが通れてそれ以外は応募不可」のような「偏差値」で設けているわけではありません。
あくまで「確率」の話しとなってきます。
極端な話、例えばAという企業に有名大学に通う学生100名とマイナーな大学に通う学生100名が応募したとします。
計200名の応募書類を確認する作業は、採用する側としても酷なことです。効率を上げるために採用担当者は「会社が設けた指標」に従ってふるいにかけています。
その時の基準としているのが「大学名」など目に見える「学歴」です。
そのほかにも「会社説明会の段階」からふるいにかけているなど様々あります。
「優秀な学生」ではなく「多様な学生」を探し出すため
「学歴フィルターをかけている企業」にマイナー大学出身者は応募できないのは、さすがに横暴が過ぎると思いますが、企業側もそこまで酷なことはしません。
企業側が欲している人材の多くは「優秀な学生」よりも「多様な学生」を欲しています。
これは「学歴フィルター」を設けている企業が掲げている思惑の1つでもあります。
理由としては「優秀だけ」を取柄として採用しても、その資質が入社後も発揮されるとは限らないためです。
最も、インターン採用の場でもメジャーな大学出身の学生からマイナー大学出身の学生まで幅広く採用を行っています。
ただ採用枠としてはやはり「優秀な学生採用を優先したい」という思惑があります。「学歴フィルター」は、メジャーな大学出身者の採用は広く、逆にマイナー大学出身者の採用は狭くなるシステムと考えるのが妥当でしょう。
補足
「学歴フィルター」は、あくまで採用活動の効率を上げるためのものです。
「これがあるから低学歴な自分は応募すらできない」
と、初めから勝負を捨てていては勝てる戦も勝ち星を挙げることができませんし、そもそも応募すらしてないならば、就職活動をしているとは言えません。
「学歴フィルター」の有無を問わず、応募してみましょう。無事に第一の選考を突破したのならば、「面接」に向けて準備を進めていきましょう。
仮に「落選」したとしても、そこから得られた経験を糧にして、前に進みましょう。
また「学部フィルター」がない理由には
- 学部によって偏差値が毎年変動するため
- 学部によって名称が異なる場合があり、それを仕分けするのが手間
- 新設したばかりの学部出身者からの応募が来た場合の対応
などが挙げられます。
まとめ
以上が、就職において「学部・学科」が関係ない理由の解説となります。
「新卒採用」の多くが、「仕事とどう向き合ってくれるか」「入社後の取り組みの姿勢に期待」といった「ポテンシャル」を評価して学生を採用しています。
かといって「専門的知識・技能」「特別な資格・免許」を必要とする業界への就職は、果然無理な話です。
可能とするのは、それらを必要としない「業界・職種」への就職に限られます。
なので、「あの学部出身の自分はあの業界に行けない」という考えに固執せず、選択肢は広く与えられているものと考えて就職活動をしていきましょう。