現代社会では「グローバル化」が進む中で、世界共通語である英語の他、ロシア語、中国語、フランス語などの「外国語」を話せる人材の需要は大いにあります。
特に「海外」の企業と取引を行う「商社」の「外資系」では、「外国語」を話すことができる学生を高く評価しています。
そんな「外国語」を学ぶ学部があることを知っていましたか?
それが「外国語学部」と呼ばれる学部です。
今回は、そんな「外国語学部」がどんなことを学んでいるのかの「基本情報」を抑えつつ、行く行くの就職先ではどんなところに就いているのかなどをご紹介していきます。
外国語学部ってどんな学部
外国語学部の基本情報
「外国語学部」とは、「実用的な外国語能力」を養うと同時で、言語成り立ちに関わる文化や歴史的背景を学ぶ学問です。
「外国語を学ぶ」というと、「文法」や「実践形式に近い会話」を用いて外国語の習得に励むというイメージが強いでしよう。
しかし、当学部では「外国語」が用いられている言語を活用して、国や地域の成り立ち、歴史や文化的背景を研究をしていきます。
つまり、「外国語学部」とは、「外国語」の習得はもちろんのこと、言語そのものの由来、成り立ちに関わる文化・歴史の研究、はたまたその国の社会・経済のあり方といった「社会学の領域」にまで踏み込んで研究をしていきます
外国語学部で学ぶ学問領域
ここからは前節の「基本情報」をもう少し掘り下げて、「外国語学部」がどういうところかをご紹介します。
- 「外国語」の文法・語法習得を目的とする「語学研究」
- 「外国語」が用いられている国、地域の歴史・文化を学ぶ「地域研究」
の2つを中心に研究をしていきます。
「語学研究」で学ぶ「外国語」は、英語やフランス語、中国語、ドイツ語の他、アラビア語やスワヒリ語、ラテン語など「30言語」以上もの外国語を学びます。その中には「日本語」も含まれています。
また当研究では、言語習得はもちろんのこと、言語史、語彙論などをしていきます。
「地域研究」の分野では語源研究、方言研究などをしていくと同時に、国の社会・経済のあり方といった「社会学の領域」を学ぶこともあります。
外国語学部在籍の学生が就く就職先
ここからは「外国語学部」所属の学生が就く就職先を紹介してきます。
金融業界
まずは「金融業界」です。
「金融業界」と言えば
- 都市銀行や地方銀行、信用金庫などの「民間金融機関」
- 消費者にお金を貸す「消費者金融機関」
- 株や投資など金融商品を取り扱っている「証券会社」
- 生命保険や損害保険などの「保険」に関わる業務を行う「保険会社」
を思い浮かべる方が多いでしょう。
しかし、「外国語学部」の学生の多くが、海外との取引を行っている「金融企業」や「外資系」といった在学期間中に習得した「外国語」を活かせる職場に就いています。
最大手の銀行、証券会社の中には、海外に支店を持っているところがあります。入社してすぐとはいきませんが、仕事にも慣れてきたころ合いを見て、上から海外支店へ行ってくれとの出世コースを歩むことがあります。
また海外支店配属とはならなくとも、外国の方と取引をする機会がある部署への配属も可能性としてはあります。
ホテル・旅行業界
次は「ホテル・旅行業界」です。
日本への海外旅行者が年々増加する傾向にある同時に、彼ら旅行者を誘致するようインバウンドが進んでいる現在、当業界では「外国語」を巧みに使える人材の需要が高まりつつあります。
「ホテル・旅行業界」は、「接客業」の枠組みに入っています。
当業界は、観光客とコミュニケーションを図ってこそ、その真価が問われるというものです。
各名所を案内するとき「日本語」で説明したとしても、観光客に伝わっていなければ意味がありません。
「説明」もまた「コミュニケーション」の1つです。伝わっていなければ意味がありません。そこで活躍できるのが、「外国語学部」出身の学生というわけです。
彼らは在学期間中に培った「語学力」を活かして、日本文化、その魅力を相手に伝えられます。観光客も自分たちが普段用いる言葉で話をしてもらえれば、理解が得られます。
翻訳・通訳者
次は「翻訳・通訳者」です。
「外国語学部」で得た「語学力」を存分に活かせられる場として、「翻訳・通訳者」を目指す学生も少なくはありません。
しかし、「翻訳・通訳」をしていくとき注意すべき点があります。
それは、その国、地域特有の「訛り」や「方言」「言い回し」などです。
これらはここ日本にもあります。「博多弁」「大阪弁」「京都弁」などの地方特有の「方言」がいい例です。
「翻訳・通訳」をしていくときは、これらに注意しながら行うのが通です。
しかし、「外国語学部」では「語学習得」はあくまで通過点の1つです。その先にある「地域研究」で培ったことがこの仕事では活かすことができます。
「地域研究」の中には「方言研究」などその国・地域の文化、歴史を学び、研究していきます。
「翻訳・通訳」を行う際も、それらのことを知っていれば、仕事の速さも段違いです。
教育業界
最後は「教育業界」です。
「外国語学部」で培った学びと経験を存分に活かすことができる業界です。
当業界で仕事をする場合、「教員免許」が必要となります。
「外国語学部」で取得できる「教員免許」は、主に「外国語」に属する「英語」「フランス語」「中国語」などであり、中等・高等教育の現場で活用できるものを取得できます。
免許取得には、各大学の「外国学部」が設けている学科に属して、教職関連の所定講義を履修して単位取得が条件となっています。
またこれら「教育機関」に限らず、「一般就職」の場でも教育に関われます。
たとえば、文法や実践的会話を学ぶ「外国語教室」や、学習テキスト制作をしている会社、そのほかにも塾や家庭教師として生徒に「英語」を教えるなど、様々な道があります。
「教員免許」を持っていることは、その道の「エキスパート」ということの証明にもなります。
外国語学部在籍の学生が取るべき資格
ここからは「外国語学部」で学んだことを活かして取得できる「資格」になります。
外国語資格
まずは「外国語資格」です。
学部で学んだことを存武に活かして取得するならば、その言語に通じる「外国語資格」の取得はぜひとも行っておきたいところです。
たとえば「英語」を専攻している学生ならば、「TOEIC」や「実用英語技能検定」の2つを中心に「日商ビジネス英語検定試験」「国連英検」など、「英語」に関わる資格を取っておくといいでしょう。
理想は「英語」以外の外国語関連の「外国語資格」を1つ取得しておくと、「学生時代に培ったことを活かして得た成果・取り組みの姿勢」として企業から評価されます。
以下は参考です。
【中国語履修者】
- 実用中国語技能検定
- 漢語水平考試(HSK)
【韓国語履修者】
- ハングル能力検定
- 韓国語能力試験
【その他】
- ドイツ語技能検定試験
- スペイン語技能検定
- 実用イタリア語技能検
- ロシア語能力検定
- 貿易実務検定 など
全国通訳案内士
「全国通訳案内士」という資格は、「観光庁」が実施している試験になります。取得後には「海外旅行客相手に外国語で観光案内を行って報酬を得る」といった「プロの案内役」ということとなります。
しかし、現在は「案内役」の不足から、海外旅行客への案内を行った場合、資格未取得者でも報酬を得られる形となったため、市場価値そのものが下がりました。
しかし、「旅行業界」からの視点では、当資格を有していることが高い評価へと繋がります。
日本語教育能力試験
最後は「日本語教育能力試験」です。
当資格は「日本語を学びたい外国人を相手に日本語を教える講師」として、仕事をしていくために必要な資格です。
資格取得には3パターンあり、どれか1つでも満たしていれば取得が可能です。
【取得条件】
- 学位があって「日本語教師養成講座」を約420時間以上受講している
- 「JEES公益財団法人日本国際教育支援協会」が実施している「日本語教師能力試験」に合格する
- 大学または大学院で「日本語教育」を専攻していた
また海外で「日本語」を教える場合、当資格を持っていることが問われることはありませんが団体や企業が定める要件によっては必要とするため、取得しておいて損はないでしょう。
就活に不利と言われる外国語学部
「グローバル化」が進む現代では「外国語」が話せる人材に高い市場価値と需要があるように思われる一方で、「外国語学部は就職に不利」などとささやかれています。
「不利」な要素なんてこれっぽっちもないように思われますが、それは今我々が「外国語学部」で学んでいることを知っているからそう言えるのであって、世間の目から見た「外国学部」のイメージとは全く異なります。
では、どういう目線で見られているのかというと
- ビジネスに通じる「専門性/実学」が乏しい
- 語学だけを学んでいるところ
と思われています。
語学を学んだところでそれが社会に出た時、何の役に立つのかと企業側は冷ややか目で見がちです。
ただし、伝えようによっては「外国語学部」に所属したことによって「どのような経験を得たのか」「それがどのような場面で活かすことができたのか」など「明確」に説明ができれば決して「不利」な状況にはなりませんし、「外国語学部」に対するイメージも変わるでしょう。
「不利」な状況を打開する策は「+α」のスキルを身につけることにある
一概に「外国語学部は就職が不利」と言い切れないなら「有利か」というわけでもありません。
「外国語ができる」という理由で、就職が「有利」に働いたのは一昔前です。
しかし、周りよりも「就職活動」を「有利な状況」へ持っていくことは可能です。
ではどのようにして「有利な状況」を作り出すのかというと、「+α」を身につけることです。
たとえば「英語」を専攻履修していたとします。
ここで学んでいる「英語」はあくまでツールの1つでしかなく、活用ができなければ光ることはありません。
大切なのは「学んだ英語をどう活用するか」です。
その活用をするための「+α」のスキルというわけです。
たとえば、「トライリンガル」や「マルチリンガル」となって「語学力」を武器として会社の営業・経営、マーケティング戦略など専門性が求められるコンテンツを操る「ビジネスマン」としてのスキルを身に着けていくのか。
それとも、「プログラミングスキル」や「ビッグデータ解析」などスキルを身につけて、海外のIT企業に就職してみるか。
など、「英語」という語学ツールを活用して、「+α」のスキルを身に付ければ、選択肢の幅は今以上に広がりを見せます。
また英語に限らず、「フランス語」や「ロシア語」「ドイツ語」なども同様です。
まとめ
以上が、「外国語学部」がどんなことを学んでいるのかの「基本情報」を抑えつつ、行く行くの就職先ではどんなところに就いているのかなどをご紹介でした。
「外国語=英語」のイメージが強いとされていますが、当学部では英語はもちろんのこと、フランス語やドイツ語など30言語以上もの外国語を学び、そこから語源、国・地域、歴史、文化的背景から「外国語の由来」を研究していきます。
また「外国語」は、あくまで「ツール」の1つです。
活用してこそ「ツール」というものは、その役割を全うし光り輝くものです。
活用もせずただ「学んだ」で済ますのは非常にもったいないことです。
そのための活用方法として「語学+αのスキル」という考え方をすれば、自ずと活用方法が見えてきます。そして結果として、就職活動を有利な状況へと持っていくことができるでしょう。