新大学一年生が大学に入学してから前半期が終了する時期には、新しい環境や授業の進み方に慣れてきた頃です。
そして大学生となって初の試験で思うような結果を出せず、単位を落としてしまった方、どうしてそのような結果になってしまったのか分かりますか。それはノートの取り方に原因があります。
今回は、読み返したときすぐに理解ができるノートの取り方についてのポイントをご紹介します。
1.大学の講義はこれまでの授業スタイルと異なる
1-1.大学授業の特色
まず大学の授業の大本、それは教員が行う授業の主体はその教員が取り組んだ「研究」の発表会にほかなりません。
大学教員は「先生」であると同時に専攻分野の「専門家」であり1人の「研究者」です。授業以外の時間はもちろん研究に時間を使い、学術論文の発表を行います。つまり授業の内容は、教員の研究結果を聞いているにすぎません。
さらにいうと話を聞いたうえで理解を深めて、自ら問題に立ち向かい答えを追求していくことを目的とし、最終的に「課題解決力」「問題解決力」といった2つの力を身に着けることが大学授業における大本となっています。
2.大学の授業でまず抑えておくべきポイント
2-1.板書よりも口頭による説明に意味がある
大学授業の形式、やり方は学部学科、さらに教員によってさまざまなやり方で進行していきます。その中で最も多いやり方が「パワーポイント」や「レジュメ」を用いたやり方です。
大学の授業によっては、小中高校のように教科書と呼べるものを一切使わず、授業を進めていく教員もいます。それは大学が「学校」という位置付けではなく、1つの「研究所」という位置にあるからです。
教科書を用いず「パワーポイント」や「レジュメ」を通して行われる授業では、この配布物こそが試験では重要な役割を果たす貴重な資料となります。記されている内容は、授業内容の重要な箇所を要約した形で記されていることが多いです。
併せて多くの授業で一切板書せず、口頭のみ説明で授業が進行していくものがあります。理由は「レジュメ」や「パワーポイント」に授業の内容が書き出されているからです。教員も人間です。同じ内容をわざわざ黒板に書くという手間を取ることはしません。
ただし手元にある資料はあくまで授業の内容が「要約」されたものです。深く理解をしていく場合は、参考資料に使用された書籍を読めば解決するというのは大きな間違いであり、授業に参加している意味がないです。大学の授業で大切なことは「板書」や「手元の資料に目を配る」ことではなく「教員が口頭で説明していること」に価値があります。
とはいえ、教員が話している内容をすべて書き取るのは、不可能なことです。ここでメモを取るべき内容は以下のことです。
- 手元の資料には書かれていない要点や疑問点をノートや資料の余白に書き記すこと。
- 要約された内容の「補足事項」をメモすること。
この2つが大学授業で抑えておくべきポイントとなります。
3.授業内容を復習するときに心がけるノートの取り方
3-1.ノートを取る目的
まず「授業」を受ける過程の中で「ノートを取る目的」とは何かを考えたことがありますか。
「ノートを取る目的」とは、「知識として得た情報を記録する」ことです。そしてそれは誰のためかっていうと、当然「自分」のためです。
人間である以上、その日のうちに聞いた内容というものは時間が経つにつれて忘れていきます。
中には話を聞いただけで全部覚えてしまう人もいますが、それは一時だけにすぎません。ノートを取る目的というのは、その日の授業内容を再現するためのものであり、来る日の試験に備えておくための資料でもあります。
さらにノートはあくまで「自分」使用するものである以上、後から読み返しても理解ができるものであるならば、字が汚くても、授業内容を再現して理解を深めることができるのならば問題はありません。
3-2.読み返したとき「すぐに理解ができる」ノートを取るポイント
上項では「自分が理解できれば」問題はないと言いましたが、読み返しても理解ができなければノートを取る意味がありません。ここからは具体的にノートを取るうえで押さえておくべきポイントをご紹介します。
授業内容の中でポイントとなる箇所を絞る
記録する情報が多ければ多いほど、より理解が深まるというのはかえって情報の整理ができず、結果として何が言いたかったのかが分からないものとなります。
ここでのポイントは「内容の要点トナルポイントを絞る」ことです。そのためにも、「どの情報が重要であるか」「あの情報は書き溜めておくべきか」と常に情報の取捨選択を行いながらノートを取ることです。
情報の中にはすでに自分が知っているものや、一部内容と情報が重複するものなど情報の混乱を招きそうなものは切り捨てて問題はありません。
情報は箇条書きで短く簡潔に書き溜める
教員が口頭で説明している内容を一言一句メモすることや、主語述語を用いてきれいな文章で書き溜めるのは非合理的です。
ここでのポイントは「キーワードや重要な言葉だけを抜き取り箇条書きで書き溜める」ことです。
ノートを取るうえで大切なことは、「如何に素早く内容を書き溜めるか」です。限られた時間の中でその日の授業内容を学生に教えなければならない以上、ノートを取るためだけの時間を設ける教員はまずいません。そのため、ノートを取る際は、素早く簡潔に書き溜めましょう。
記号や略語を用いる
少し長めの文章を簡潔にまとめようとするのは少々手間がかかるうえ、最悪の場合重要な内容を聞き逃してしまうこともあります。要点がまとまった短文を素早く書くためにも「記号」や「略後」を使用して楽をしましょう
例として「ex=例えば」や「Q=なぜ」「☆=ポイント/重要」
などのように、後から見直して情報の意味や論理関係を表現することができます。ただし、「記号」や「略語」を用いるうえでの注意点として「読み返したとき、その記号の意味を理解することができるか」です。一見して時短になるものでも、後から読み返して理解ができなければ本末転倒です。
忘れてしまうと心配な場合は、ノートの隅に使用する「記号」「略語」の意味をメモしておきましょう。
その日に取った内容は時間が経つにつれ忘れてしまうもの
人間である以上、時間が経てばその日学んだことを忘れてしまいます。これはノートを見返したときにも同じことが言えます。
授業を受けた直後であれば、雑に書き殴られた内容でもすぐに理解できます。しかし、ある程度時間が経った頃に、ノートを読み返してもすぐに思い出せるものではありません。ここでのポイントは「ノートを取るときは「忘れること」を前提にしておく」ことです。
つまり、「ノートを取るとき、これを数日後の自分が読み返しても理解できているか」を心掛けてノートに記録を残しましょう。
忘れていた記憶を呼び起こす「きっかけ」となるものをつけておく
授業の復習を行う際、多くの場合が内容を忘れている状態で授業の復習に取り掛かります。忘れている内容を一から思い出すというものはきっかけがない限り、パッと思い出すことはありません。
そこで「パッと思い出せる」きっかけをノートの隅に書き記しておきましょう。きっかけとなる内容はどんなものでも構いません。例えば授業中に教員が話していたこと,話の最中に起きた印象深い話など、どんなことでも構いません。そのほか、図やイラストなどを描いて関連付けておくというのも有効です。
重要なものには印をつけておく。
授業中に得られる情報の中には「最重要なものからそこまで重要じゃないもの」まで情報レベルの重要性を示す重みがあります。ノートに書き記された「文字情報」だけでその重さを見比べるというのは非常に難しいものです。
ここでポイントとなることは「重要度が高いものには「印」をつける」ことです。
具体的には「赤、黄色、青」の3段階から情報の重みを示す「色分け」や、「〇/×/△」といった記号を文字頭に記して、どれが重要なものであるかを判断できるようにしましょう。
3-3.これだけはやってはならないノート取り方NGポイント
上項にて、後から読み返しても授業の再現ができるノート取り方のポイントをご紹介しました。次はこのやり方では後から読み返したとき、授業の再現ができないノートになってしまうNGポイントです。
板書や配布資料をまんまノートに書き写す。
黙々と黒板に書かれた内容をノートに取ることは決して悪いことではありません。しかし、この行為をしているときあなたの脳は「書く」という行為をすることにだけ集中しており、「考える」という行為を並行して行っていません。やっていることは「書く」という作業にほかなりません。もちろん、配布された資料をノートに書き写す行為も同様です。
板書をすることで大切なのは「黒板に書かれた内容を「理解する」と同時に、その内容を一度咀嚼してから「自分の言葉」で板書の内容をノートに書き出す」ということです。ただ書き写しただけのノートを読み返しても、その時どんなことを学んだのかという印象が薄いものに成り果てます。
ノートを別に用意する
「ノートを別に用意する」というのは授業用として使うノートとは別で内容をまとめる洋のノートを用意するということです。復習にもなるし一見していい方法と思いますが、なるべく授業内容は1冊のノートに集約されている方が、試験前の復習に向いています。
それでも清書したいというとき、付箋やメモ用紙、配布された資料の余白にメモを取りましょう。そして授業終了後、付箋やメモ用紙、資料に書き溜めた情報を授業で使用するノートに書きなおしましょう。
映えにこだわりすぎる
今の時代、「映え」を目的とした文房具が多く出回っています。見た目がいいものほど、人は魅了され使用者にとっても学習のモチベーションは上がるものです。
しかし、ノートを取るうえでそのような映えは文房具の「見た目」ではなく、情報が整理された「中身」にこそ価値があり「映える」ものです。
見た目で選ぶことが悪いとは言いません。しかし、それを使用することで自身の学習に役立つかどうかはまた別の話しとなってきます。
ここでのポイントは「ノートを見返したとき、それが役に立つノートである」ことが大切です。
4.まとめ
以上が大学授業におけるノートを取るポイントとなります。
「ノートを取る」という行為は、その日学習したことを何度も読み返して理解を深められるようにするために行うものです。
黒板に書かれた内容や配布された資料に書かれた内容を、ノートに書き写すのは「書く作業」にほかならず「理解する」という行為をしないいわば「思考停止」に等しい行為です。
また後から読み返しても「分かりやすいノート」に定義はありません。前提としていえることは「自分が読み返して、理解できる」ものであるならば、それは「見やすいノート」といえます。