学生コラム

アルバイトをする学生は社会保険に入る義務がある?注意点とメリットを解説!

大学生なってアルバイトを始める人も多いですよね。そこで気になるのが「保険」です。

学生のアルバイトでも社会保険に加入する義務があるのでしょうか?

この記事では、社会保険の種類と、保険加入時の注意点やメリットなどを解説していきます。

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社会保険は親の負担ですでに加入しているもの

学生の場合、親の扶養で社会保険に加入している場合がほとんどです。

自分の加入している保険の状態を把握していないという方は、これをきっかけに、ぜひ親に聞いたり保険証を確認したりしてみましょう。

親の扶養内で社会保険に加入している場合、働き方に注意が必要です。

パートやアルバイトは、一定の収入を超えると社会保険料が変わります

。収入が増えれば、被保険者である親の負担額が増えてしまうのです。以下の項で詳しく解説していきます。

年間103万円以上稼ぐ場合は「勤労学生控除」を利用しよう

「勤労学生控除」をご存じでしょうか?
これは、働きながら学校に通う学生を対象に、所得税や住民税などの税金の費用を抑えることができる制度です。

「勤労学生控除」を受けるには、以下の条件を満たしている必要があります。

➀勤労による所得がある
この場合、仕事の対価として受け取った給料だけが対象となります。

仕事の他に、アパートの賃貸収入や株の売却などで得たお金は対象外です。

➁合計所得金額の合計が65万円以下であること

収入=給与収入
経費=給与所得控除
利益=所得

以上を参考に解説していきます。
所得とは、収入から必要経費を差し引いた金額です。つまり、

『収入(給与収入)-経費(給与所得控除)=合計所得金額(利益)』

となります。
税金は収入から経費を引いた「合計所得金額」である「利益」に対して課税される仕組みです。

通常、所得控除額は『収入×40%』で計算されますが、控除額が65万円以下となる場合には、一律で65万円が差し引かれることになっています。“合計所得金額の合計が65万円以下”となっているのはこのためです。
また、勤労による所得以外の収入が10万円以下であるということも条件になります。

➂以下のいずれかの学校に在籍している者

1. 学校教育法に規定されている小学校・中学校・高等学校・大学・高等専門学校
2. 国、地方公共団体、学校法人などによって設置された専修学校、または各種学校のうち一定の課程を履修させるもの
3. 職業能力開発推進法の規定による認定職業訓練を行う職業訓練法人で、一定の課程を履修させるもの

自分が「勤労学生控除」の対象になるのか分からない場合は、各学校の窓口で確認してみましょう。

年間103万円以上稼ぐと親の負担額が増える

社会保険において注意しておきたい点は、パート・アルバイトは一定の収入を超えると社会保険料が変わるということ。

税金が増えない範囲で働くことがポイントです。

1年間の給与が103万円以上の場合、所得税がかかります。

すべての人が控除できる対象となる基礎控除額は38万円。給与所得の金額によって控除額が決まる給与所得控除額の最低金額は65万円。

1年間の所得が103万円以下の場合、課税対象となる所得はゼロになります。

所得税を計算する際に基準となる「課税所得」は以下の数式で求めることができます。

『課税所得=給与-(給与所得控除額65万円+基礎控除額38万円)』

1年間の給与が103万円の場合、課税所得は、

『給与103万円-(給与所得控除65万円+基礎控除38万円)』

つまりゼロになるのです。

給与所得控除65万円と基礎控除38万円からなる103万円は、どんな人からでも給与から差し引くことが可能です。

そのため、年収103万円以内であれば、所得税はかからないということになります。

年間103万円以上稼ぐと課税対象となってしまうため、結果的に被保険者である親の負担額を増やしてしまうことになるのです。

年間103万円以上稼ぐ場合は必ず親と相談しよう

中には年間103万円以上稼ぎたいという人もいるかもしれませんね。

親の負担が増えるということを頭に入れて、まずは親に相談することをおすすめします。

年間130万円以上稼ぐと自分で社会保険料を支払うことになる

年間130万円以上稼ぐという場合、自分で社会保険に加入する必要が出てきます。

しかし、基本的に昼間学生は保険加入対象外となるので確認が必要です。

  • 卒業見込み証明書を有しており、卒業後も同じ企業で勤務する者
  • 休学中の者
  • 通信教育・夜間・定時制に在学している者

以上の場合は学生であっても社会保険に加入する場合があります。

不安な方は契約書類を確認するだけでなく、働いている企業に直接確認することをおすすめします。

社会保険は3種類存在する

社会保険には広義の社会保険と狭義の社会保険に分けて考えられます。
広義の社会保険は、

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険
  • 雇用保険
  • 労災保険

以上の5つです。
この5つのうち、

  • 健康保険
  • 介護保険
  • 厚生年金保険

の3つが狭義の社会保険です。
基本的に社会保険は狭義の社会保険を指すことが多く、この記事でも、「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」の3つについて解説していきます。

社会保険(健康保険/介護保険/厚生年金保険)

基本的に社会保険は、狭義の社会保険である「健康保険」「介護保険」「厚生年金保険」の3つを指します。この項では、この3つの保険について解説していきます。

名前を聞いたことがある人は多いかと思いますが、保険の内容は複雑で難しいと感じる人も多いです。

保険の知識は社会人になってからも重要なので、学生のうちから保険について理解を深めておきましょう。

健康保険

病気、ケガ、出産、死亡、それらに伴う休業等、不測の事態に備える医療保険制度です。企業の従業員として保険の対象条件に当てはまる労働時間・雇用契約期間等がある人、加えて、その人の被扶養者である家族が対象となります。

(自営業者や退職者、無職者及びその家族は「国民健康保険」に加入します。)

不測の事態が起こったとき、高額な出費だけでなく、収入が減り(場合によっては無くなり)生活が不安定になることが予想されます。

そこで、日頃から保険料を支払っておくことで、いざという時に備えておこうというのが健康保険の役割です。

健康保険は保険加入者の保険料を財源に、必要な時に必要な人が給付金を受け取れる仕組みで成り立っています。

保険料は被保険者と事業主、両方で負担し合います。

介護保険

介護が必要な人(要介護者及び要支援者)に介護費用の一部を給付する介護保険。

介護が必要な人とその家族を、社会全体で支える仕組みで構成されています。

全国の市区町村が母体となり、40歳以上の人が被保険者となります。

介護保険料は、被保険者から支払われている保険料や税金で運営されています。

給付を受け取るには要支援・要介護認定の審査に通る必要があり、各市町村の介護保険担当窓口からの申請が必要です。

介護保険サービスを受ける人の自己負担額は基本的に1割ですが、年収によっては2割、3割まで上がることもあります。

申請してから認定結果が分かりサービスを受けられるようになるまでに約1ヶ月以上はかかるため、注意が必要です。

厚生年金保険

厚生年金保険は、国民年金に追加で給付金を受け取ることができる年金です。

基礎年金(国民年金) + 厚生年金の給付金 → 受取金額

となります。

保険を考える際、家の階層に例えられることがあります。

三階 → 「退職年金」
二階 → 「厚生年金保険」「国民年金基金」
一階 → 「国民年金」

上の階の年金を支払っている人は、支払っていない人と比べ老後の保障が手厚くなるという保険の仕組みから、このように例えられるのです。

支給額は加入期間やこれまで支払ってきた保険料の金額により決定されます。

対象となるのは、企業に勤める会社員や従業員5人以上の個人事業主。

従業員数が4人以下の場合でも、従業員のうち半数の同意があれば任意での加入が可能です。

アルバイトをする学生は「労働保険」にも加入する

アルバイトをしている学生の皆さんにはぜひ覚えておいていただきたい保険が「労働保険」です。

労働者が加入対象となる労働保険は、アルバイトの学生も条件次第で加入対象となります。

労働保険は「労災保険」と「雇用保険」の2種類。

すべての労働者が加入対象となる労災保険に対し、雇用保険は休学中・夜間・定時制などの学生が対象です。

労働保険は2種類存在する

労働保険は「労災保険」と「雇用保険」の2種類あります。

二つの保険のうち、雇用保険はすべての学生アルバイトが加入対象にはならないため注意が必要です。

「労災保険」はアルバイト先が全額支払ってくれる保険

労災保険は労働者やその遺族の生活を守るための社会保険です。

勤務中や通勤時に起きたケガや病気、障害、死亡した場合に給付金が支給されます。

労災保険は雇用形態に関わらず、すべての労働者の加入が義務付けられている保険です。

そのため、アルバイトの学生も労災保険に加入することになります。保険料は全額事業主負担です。

健康保険と似ていますが、労災保険は、

  • 業務や通勤が原因で起きたものだけが対象
  • 療養費の自己負担がない
  • 休職時の手当てが健康保険の傷病手当てよりも手厚い

などの特徴があります。

「雇用保険」は休学中・夜間などの学生が加入する可能性のある保険

雇用保険は国が行っている社会保険制度のひとつです。

労働者の生活や雇用の安定と就職の促進、失業者・教育訓練受講者を対象にした失業給付等の“雇用安定事業”と、失業予防・雇用状態の是正・雇用機会の増大・労働者の能力開発及び向上・労働者の福祉増進等の“能力開発事業”の二つで構成されています。

被保険者の条件は、

『雇用保険の適用事業所に雇用されている者であり、原則として一週間の所定労働時間が20時間以上かつ、31日以上引き続き雇用される見込みのある者』

とされています。

この条件に当てはまる学生であっても、学校教育法第1条で規定されている学生・生徒は、雇用保険の適用外となります。

これは、学生の本業は学業であり、アルバイト等の就労であっても臨時内職として判断されるためです。

しかし、卒業見込み証明書を有しており卒業後も同じ事業所で勤務する人や休学中、夜間学生、定時制等の学生は雇用保険の対象となる場合があります。

基本的に昼間学生は対象外の保険ですが、加入条件に当てはまる人は必ずアルバイト先に確認しましょう。

社会保険の条件は家庭によって違う

社会保険の条件は、各家庭の状況によって異なります。

「この保険に入っているから良い」ということではなく、それぞれの家庭に合わせた保険に加入することが、本人だけでなく家族を守ることに繋がります。

アルバイト先や家族と社会保険について話そう

保険のことは難しくてよく分からないという人も多いのではないでしょうか?

「種類がありすぎて違いがよく分からない」
「自分がどの保険に入っているのか把握できていない」

気持ちはとても理解できますが、保険は自分だけでなく、自分の大切な人を守るためのものです。

アルバイトを始める際は必ず保険について確認しましょう。

そして、自分が労働者となることを機会に家族とも社会保険について話し合ってみてはいかがでしょうか?

アルバイトで年間103万円以上・130万円以上稼ぐ場合は注意しよう

アルバイトをする際にぜひ頭に入れておいていただきたい数字が、「103万円」と「130万円」です。

パートやアルバイトは、一定の収入を超えると社会保険料が変わります。親の被扶養者である学生は、支払う税金が増えないように働くということがポイントになるのです。

つまり、「扶養控除の範囲内」で働くということになります。

103万円は、所得税等の税金を考える際に重要な数字です。

103万円を超えてしまうと、被保険者である親の負担額が増えてしまうことになります。

130万円は社会保険に関わる数字です。

年収が130万円を超えてしまうと、社会保険に自分で加入する必要があります。

決して安くない保険料を自分で支払うことになるため、働き方には注意が必要です。

保険について理解を深めておくことは、損をしない働き方をするということでもあります。

必要な保険に必要な保険料を支払うことが、自分の収入を安定させ、生活や大切な人を守ることになるのです。

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