大学生になれば年齢なんて関係ないとは言うものの、実際に遅れて入学するとどのような問題があるのでしょうか?
大学と年齢の関係には、日本特有の考え方が存在しています。
“遅れて入学する”という表現の仕方からも、日本の進学や就職に対する強い固定観念が表れていることがわかります。
この記事では、周りとの年齢差から大学入学を悩んでいる人に向けて、大学と年齢の関係や考え方の工夫について解説していきます。
学びたいという気持ちを大切に、これからの大学生活について一緒に考えていきましょう!
日本の大学は18歳で入学・22歳で卒業が当たり前?
OECD(経済協力開発機構)が発表している『図表でみる教育』によると、2019年度の日本の大学入学者の平均年齢は18.3歳となっています。
OECD加盟国全体の平均年齢は21.8歳。スイスやデンマークにおいては24.7歳と、日本は他の国に比べて、大学入学者の平均年齢がかなり低いことが分かります。
例えば、大学入学時に18歳よりも年齢が上だと分かった時、日本では「浪人したの?」と疑問を持たれることがあります。
日本には進学や就職に対する強い固定観念があるからです。
高校を卒業したらすぐに大学へ進学することが当たり前のように考えられている日本では、4年制大学の場合、入学してから4年後の22歳で卒業し就職するということも当たり前のように課される傾向があります。
このような日本特有の固定観念は、一度そのレールから外れてしまうと、とても生きづらい環境を生んでしまいます。
働き方や生き方の多様性は広がりつつありますが、それでもまだ十分とは言い切れないのが現状です。
まず、一人一人が今持っている自分の価値観や考え方に疑問を持つことが、これからの日本を変えてゆくひとつのきっかけになるのではないでしょうか。
大学では年齢の違う同級生はどう扱われるの?
遅れて入学した時に気になるのは、やはり同級生との年齢差ではないでしょうか?
大学には様々な人がいるとは耳にするものの、周りとの年齢差が人間関係に響いてしまうのではないかと不安になりますよね。
年上の同級生は、周りからどう扱われることが多いのかを解説していきます。
敬語を使われる・気を遣われることもある
いくら同級生とはいえ、年下の立場からすると、
「年上だし敬語を使った方が良いのではないか」
「同い年の同級生よりも接し方に気を遣う…」
などの印象を抱く人もいます。
ですがこれは、今後同級生と“どのような距離感”で“どのような関係を築いていくか”によって、変化していくものでもあります。
とくに始めのうちは、敬語を使われたり、気を遣いすぎて声を掛けられないと思われてしまったりすることも多いです。
数か月前まで高校生だった人達にとって、年上の同級生がいる状況が初めてという人も多く、接し方が分からずに戸惑ってしまうのです。
年齢差を気にせずに関係を築いていきたい人にとっては、もどかしい気持ちになってしまいますよね。
そんな時は、周りの様子を観察しながらゆっくり距離を縮めていきましょう。
焦っていきなりフレンドリーに接してしまうと、相手は余計に戸惑ってしまうこともあります。
こちらから、「敬語を使わずに会話がしたい」という気持ちを伝えることも大切です。
友人関係は同い年としか成立しない、などということはありません。
筆者にも、一回り二回り以上年上の友人がいます。
友人と呼んでも良いのか迷ってしまうこともありますが、人生の先輩としての敬意は持ちつつ、大切な友人として関係を築くことができています。
ちなみに、話すときは敬語を使っていますよ!
同級生として接してくれる人がほとんど!気にする必要はない
始めのうちは、どのように接すれば良いのかお互いに不安になることも多いと思います。
ですが、想像しているよりも同級生として接してくれる人は多いです。
同級生だからといって、必ずタメ口を使わなければならない訳ではありません。
同い年でも、親しくなるまでには探り合ったり時間がかかったりするものです。
焦りや不安から、急に距離を縮めようとする必要はありません。
年齢差を気にし過ぎていると、かえって周りの人は話しかけにくいと感じてしまうこともあります。
年齢や同級生という概念に囚われず、同じ場所で同じ時間を過ごす仲間として、まずはその場の会話を楽しむことから始めてみてはいかがでしょうか?
遅れて大学に入った場合年齢は隠す?
年齢を隠したい、隠した方が人間関係は上手くいくのではないかと思っている人もいるのではないでしょうか?
年齢をどう扱うかは人によって様々ですが、今後の自分が苦しくならないための選択が大切です。
嘘をつきとおす人もいれば最初から打ち明ける人もいる
遅れて入学した人の中には、嘘をつきとおす人もいれば最初から打ち明ける人もいます。
一概にどちらが正しいとは言い切れませんが、嘘をつくのであれば、最後までその嘘をつきとおす覚悟が必要です。
嘘をつくことで自分を守れる場合もありますが、その場しのぎの嘘が、かえって今後の自分を苦しめてしまうこともあります。
嘘をつくことで周りがどう思うのかを考えることも大切ですが、その嘘が誰のための嘘なのかということも考えたいものです。
嘘がめんどくさいなら最初に言っておくのがオススメ
嘘をつきとおすのは、想像以上にめんどくさいもの。
時間の経過とともに、自分のついた嘘に自分が疲れてしまうこともあります。
嘘がめんどくさいと感じているのであれば、嘘はつかずに最初から正直な年齢を伝えることがオススメです。
同級生の間で年齢を偽り続けることはそんなに簡単ではありません。
何よりも自分が自分のついた嘘に疲れてしまう可能性が高いので、せっかくの大学生活を楽しむ余裕が無くなってしまいます。
年齢をどう扱うかは自分の自由
年齢に対する考え方は人それぞれです。
自分の年齢をどう扱いながら大学生活を送るのか、それを決められるのは自分自身です。
同級生との年齢差があっても、自分が大学に通いたいと思った気持ちを大切にしてください。
その嘘が自分にとって必要なものなのかということを考えたうえで、自分なりの判断して欲しいと思います。
遅れて大学に入ることは悪いことではない
進学や就職に対する日本特有の固定観念は、周りと足並みを揃えられない人がまるで悪いことをしているような錯覚を引き起こすことがあります。
学びたいという気持ちに年齢は関係ありません。
遅れて大学に入ることは決して悪いことではないということ、周りと足並みを揃えることがすべてではないということを忘れないでください。
社会人が大学に入学することもある
私達が普段生活している範囲は自分が思っているよりも狭く、生活環境によって考え方や価値観は偏りやすくなっています。
ネットで簡単に世の中の動きを知ることはできますが、私達は自分の価値観の中で情報の取捨選択を無意識に行っているのです。
大学に入学するのは18歳が当たり前という考え方も、日本の固定観念というフィルターを通して考えれば当たり前ですが、それを外せば当たり前ではなくなります。
日本特有の考え方を一概に否定することはできませんが、見る角度や視野が広くなると、これまで当たり前と思っていたことが、自分の価値観の中だけの話だったことに気が付くことがあります。
大学に入学するのは高校を卒業したばかりの18歳だけではありません。
数年かけて入学する人もいれば、社会人を経験してから大学に入学する人もいます。
本来、大学は年齢や経験に関係なく、学びたい人が学びを深めることができる場所です。
目の前の大学だけでなく、日本全国にある大学や世界中の大学に目を向けてみると、社会人が大学に入学することは決して特別なことではないということが分かります。
あなたの存在が、あなたの周りの同級生に新しい価値観を広げてゆくのです。
就活では浪人・留年の理由を問われることもある
大学に入学したは良いものの、気になるのは卒業後の“就職”ではないでしょうか?
就活をしていると、浪人や留年の理由を問われる場面はどうしても出てきます。
社会人になってから大学に入学した人も、卒業後に再就職を考えている人であれば理由を問われることもあるでしょう。
日本の企業には“長期雇用”と“人材育成”が念頭にあるため、今後を考えて若手を採用する傾向が多く見られます。
22歳の新卒者と、35歳の職種未経験者が同時期に面接を受けたとします。
どちらもこれから新たに仕事を覚えることに変わりはありませんが、これまでほかの企業で社会人として働いてきた35歳の応募者は、自分の仕事のやり方や考え方がある程度構築されていると想像できます。
これから社会人として働き始める22歳の新卒者の方が、企業としては人材を育成しやすいと考える可能性は高いです。
理由を問われると、答え方に戸惑ってしまったり、就職に不利になってしまうのではないかと不安に感じたりすることもありますよね。
大切なのは、その理由をきちんと相手に伝える準備をしておくことです。
浪人や留年をする理由は人によって様々です。
引け目を感じて嘘をつくよりも、自分がその時に何を考えてその選択をしたのかということを相手に伝えることが大切です。
理由をきちんと話せれば問題ない
前述したように、浪人や留年をする理由は人それぞれです。
社会人になってから大学入学を決めた人の理由も同様です。
人とは違う生き方に自信を無くしたり引け目を感じたりすることはありますが、就活で大切なことは、
- 自分がどのような考えからその道を選択し、そこから新たに何を考え学んだのか
- その選択から学んだことを、今後どのように活かしていきたいのか
ということをきちんと企業に伝えることです。
そこで見栄を張って嘘をついてしまうと、後々自分が苦しくなるだけです。嘘を考える時間を、自分がこれまでの選択から得てきたことを整理する時間に当てましょう。
人生のペースは自由!大学で年齢を気にする必要はない
同じ時期に、同じ地点からスタートをきることが多い日本ですが、スタートラインが同じでも皆がみんな同じ生き方で同じペースで人生を生きられる訳ではありません。
レールの上で生きられる人もいれば、そのレールのは生きられない人、レールから外れたいけれど勇気が出ない人…世の中には沢山の人がいて、それぞれの葛藤があります。
生き方に正解はありません。自分の人生のペースは、自分で決めて良いのです。
人の数だけ生き方があり考え方があると思ったら、大学での年齢差も違いがあって良いのではないかと思いませんか?
むしろその違いは、自分だけでなく、周りにいる同級生にとっても貴重な経験になるのではないでしょうか。
一度きりの人生です。
「学びたい」
その気持ちを忘れずに、勉強も人との出会いも楽しみながら大学生活を送りませんか?