新型コロナウイルス感染症の拡大により、各大学では、対面授業からオンライン授業へ切り替えるなどの対策をしてきました。
緊急事態宣言が5月に全国で解除されて以降、小中高では徐々に対面授業が再開されてきましたが、大学ではいまだにオンライン授業が続いています。
なぜ大学だけがオンライン授業を継続しているのでしょうか?
その背景には、大学特有の3密を作りやすい環境が関係しているようです。
コロナ禍で、学生たちの学びの場と心身の健康が脅かされています。
この記事では、大学で対面授業の再開が遅れている理由と、大学生たちの現状を解説していきます。
コロナで大学の授業がオンラインに
新型コロナウイルスの感染拡大により、大学だけでなく多くの小中高でもオンライン授業が導入されました。
インターネットに接続されたスマートフォンやタブレット、パソコンを利用すれば、学校の教室や講義室に集まらなくても授業を行うことができるため、人との接触及び3密を防ぐことができます。
オンライン授業は、リアルタイム配信やオンデマンド配信等を授業の内容や学生たちの状況に合わせて使い分けることができる反面、家庭や学生によってインターネットを使える環境に差があることで、教育格差が生じてしまうことが課題となっています。
小中高に比べ、オンライン授業を行う環境が比較的整っている大学でも、「教員とのやり取りがスムーズにできない」「授業が一方通行で、内容を理解できないまま大量の課題だけが出される」といった学生の声も挙がっています。
コロナの感染拡大を防ぐことはもちろんですが、学生たちの学ぶ環境をいかにして守るかということについても考える必要があります。
小中高が対面授業を再開したのになぜ…?
緊急事態宣言が5月25日に全国で解除されて以降、多くの小中学校や高等学校では徐々に対面授業再開の動きが見られるようになりました。
一方で、大学ではいまだにオンライン授業が続いているのが現状です。
文部科学省が1060校を対象に行った調査によると、後期から、ほぼすべての大学で対面授業の再開が決まっています。
19.3%の大学では全面的に対面授業を再開する一方、80.1%の大学では対面授業とオンライン授業を併用しての再開となります。
6割近くの大学で、週2日以上の通学が可能になると言われていますが、オンライン授業が続くことによる学生たちと教員の負担を軽くすることが、今後も課題となっていきそうです。
大学の対面授業再開が遅い理由
なぜ、小中高に比べ大学の対面授業再開が遅くなってしまったのでしょうか。
その背景には、大学という規模の大きさや、そこに集まる人たちの行動範囲の広さが関係していると考えられます。
各大学によりその規模は異なるものの、大学では何十人、何百人という学生が一つの講義室に集まります。
また、講義室から講義室への移動の際にも、大人数が一斉にすれ違うという環境は、感染拡大の危険性を高めてしまうのです。
また、多方面から長距離を移動して通学してくる学生が多いことから、クラスターを起こしやすいということも考えられます。
小中高よりネット環境が整っていることや、学生一人一人がパソコンを持っているということも、大学がオンライン授業を取り入れやすい理由のひとつです。
日本に再入国できない外国人学生などへの対応を考えた時にも、コロナ禍で学習を続けるためにはオンライン授業が欠かせないものとなっています。
飲食店やディズニーも営業を再開している
感染拡大を防ぐためには仕方のないことと分かっていても、毎日家で一人パソコンの画面と向き合うだけの生活は、学生にとって大きな負担となっています。
離れていても授業が行える反面、「オンライン授業に慣れない」「生活リズムが乱れて昼夜逆転している」「教員とのやり取りがスムーズに行えない」といった課題も生じています。
対面授業だからこそできる意見交換や情報交換があり、それによって学生たちの学ぶ意欲は高まります。
慣れないオンライン授業が続いたことにより、不安感や焦燥感に襲われて、悪循環に陥る学生も増えているのが現状です。
1年生の中には、入試以来一度もキャンパスに入れていないという学生もいます。
飲食店やディズニーランドなどのテーマパークが営業を再開する中で、大学だけが閉鎖されたままの状態が続く状況に耐えきれない学生が大勢います。
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対面授業再開を求める大学生の声
オンライン授業が長期化する中、対面授業再開を求める学生たちの声も挙がっています。
大学やバイトにも行けず、生活も困窮し、家で一人授業を受ける生活に、学生たちは限界を感じています。
後期から対面授業が再開されることになりますが、これまでと同じ大学生活が送れるようになるわけではありません。
オンライン授業でのより良い学習環境の改善とともに、学生たちの学習の場をいかに確保していくのか、多くの課題が残っています。
対面授業が再開されても、また新たな課題が生じるでしょう。
状況に応じた柔軟な対応が、一人一人に求められているのではないでしょうか。
友だちがつくれず鬱になる1年生も…
オンライン授業の長期化により懸念されているのが、鬱状態や不眠で悩む学生が増えているということです。
特に、入学してから一度も学校に通えていない1年生は、友だちをつくることもできず相談相手もいない中で、慣れないオンライン授業と大量の課題に追われています。
不安な気持ちを一人で抱えて、体調を崩してしまう学生が増えているのです。
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後期の授業が始まっても、新型コロナウイルスの感染対策はこれからも続きます。
授業の在り方も、これから先ますます変化していくことでしょう。
授業に限らず、就活の形も変化しています。
企業説明会やOB・OG訪問、インターンや面接といったこれまで対面で行ってきたことが、既にオンラインで行われています。
慣れないことばかりで戸惑うことも多いと思いますが、変化する状況の中で、できることを見つけて行動することも大切です。
大学生インターンをオンラインで対応している企業も増えています。
悩み事はひとりで抱えず、周りの人たちの力を借りながら、コロナ禍でも有意義な学生生活を送りましょう!
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