現在の就活の中でインターンに挑戦する学生は年々増えており、内定率を高めるのに有効な手段の1つともなっています。
そんなインターンの中には「有給インターン」と呼ばれる収入を得られるインターンがあります。
企業の内情や仕事に触れることが出来ながら収入も得られることで人気なのですが、状況によっては「社会保険」への加入が必要になることがあります。
基本的には企業側が対応してくれるはずですが、インターンに参加する皆さんも知っておいて損はありません。
そんな「インターンと社会保険」の知識を、この記事を読み手に入れてください。
インターンでも労働者性があれば社会保険への加入対象となり得る
インターンが社会保険へ加入できるかの一番の関門となるのは、「労働者性の有無」です。
企業側に利益をもたらすことに繋がる生産性のある作業を企業からの指示の元で行っているのであれば、インターン中であっても労働者として認められます。
これは労働基準法でも定められており、企業側が適した対応を行わないなど違反行為があれば、労働基準法によって罰せられる可能性もあるのです。
社会保険への加入条件
労働者性が認められたとしても、それだけで企業側に社会保険へ加入させる義務が発生するわけではありません。
一ヶ月の所定労働日数または一週間の所定労働時間が正社員(常時雇用者)の75%以上
上記した条件を満たしている場合には社会保険への加入義務が発生します。
他にも週の所定労働時間が20時間以上あることや、賃金金額が一定以上などの条件を満たした場合にも社会保険への加入義務が発生します。
ですがこの条件は学生は対象外となっていますので、大学生が就活で有給インターンを行う場合は、あまり気にする必要はありません。
また有給であっても短期の場合は対象となる可能性は低いので、「長期の有給インターン」を行う方以外は社会保険の加入に関してそれほど気にする必要は無いと言えます。
社会保険に加入するメリット
- 年金受給額が増える
- 保険料の負担が軽くなる
若い方にとってはピンとこないかも知れない話ですが、社会保険に加入し保険料を支払うことで「遺族年金・障害年金・老齢年金」の受給額を増やすことができます。
また健康保険の保険料を企業側が半額負担してくれるというメリットもあります。
親の扶養に入っている方は負担額が増える可能性がありデメリットともなり得ますので、その辺りも考慮した上で長期インターンに応募すると安心ですね。
雇用保険への加入は必要?
雇用保険は昼間学生は適用除外となっています。
昼間学生には大学生も含まれていますので、大学生のインターン中に雇用保険への加入義務は発生しません。
ですが現在休学中の方や定時制学生、または大学生の方で卒業後も現在の有給インターン先で雇用されることが確定している場合には、「所定労働時間が週20時間以上」という条件を満たしていると雇用保険への加入義務が発生することになりますのでご注意ください。
労災保険への加入は必要?
業務上や通勤時に起こった災害に対して給付金などによって保証を行う労災保険は、その企業や事業所で働く全ての労働者を対象としています。
ですから、労働者性が認められていればアルバイトであってもインターンであっても対象となるということになります。
労災保険の保険料は事業主側が支払うことになっていますので、皆さんが保険料のことを心配する必要はありません。
もしもの時に助けてくれる制度ですので、労災保険に関する手続きはきっちりと行ってもらいましょう。
社会保険へ加入していないなら勤務先に早めに相談しよう
労働者性があり一定の条件を満たしているにも関わらず、社会保険への加入手続きが行われていないとすれば、早めに勤務先に相談する必要があります。
権利を主張する意味だけでなく、加入義務があるのに手続きを行っていないとなれば勤務先が処罰の対象となる可能性もあるからです。
きちんとした企業であれば手続きを素早く行ってくれるはずですが、何かしら言い訳をしてきたり手続きを行ってくれないとすれば、あまり良い環境とは言えないかも知れませんね。
勤務先への相談が難しい場合の対処法
インターンで勤務している立場としては、勤務先に対して色々と要望を出すのには抵抗を感じてしまっても不思議ではありません。
ですが、そのまま放置しておいて大きな問題になってしまっては本末転倒です。
勤務先に対して相談しにくいと感じる場合には以下の順番で相談する様にしましょう。
大学の担当者へ相談する
インターン先に相談することが難しければ、まず頼るべきは皆さんが通っている大学のインターンに関する担当者です。
大学側としても無用なトラブルは避けたいはずですので、きっちりと対応してくれるはずですよ。
社会保険に関すること以外でも何か心配事が発生した場合には、まずは大学の担当者に相談してみることをオススメします。
労働基準監督署へ相談する
これは最後の手段とも言えますが、労働基準監督署に対して相談してみるという方法もあります。
ですが直接働きかけをしてもらうというのは容易ではありませんし、「自分が社会保険の対象となりうるのか?」などの相談程度にしか役立たない可能性も否定できません。
社会保険労務士も知識が豊富ですので、どうしても不安を感じてしまっていて頼る場所が無い場合には、その様な場所に話を聞いてもらうという方法もあります。
ちなみにインターンでも有給休暇は発生する?
「インターンで有給休暇なんて・・・」と思われるかも知れませんが、労働者性が認められているのであれば、一定の条件を満たすことで有給休暇が発生するのです。
インターン中とは言っても急な私用が入ってしまったり、どうしても参加したいイベントがあっても何らおかしいことはありません。
そんな時に有休が使えるとすれば、気持ち的にもかなり楽になるのではないでしょうか?
有給休暇は労働者の権利の1つですから、正統な手順を踏んで利用するのに余計な気を使う必要はありませんよ。
有給休暇が発生する条件
- 6ヶ月間継続的に勤務していること
- 全労働日数の80%以上出勤していること
この2つの条件を満たした労働者に対して、正社員であってもアルバイトであっても有給休暇を与えなければいけないと労働基準法で定められています。
この条件はあくまで法律上ですので、働き始めると同時に有給休暇を付加したとしても何も問題はありません。
ただ、インターンに対してそこまで手厚くしてくれる企業と出会える可能性は高いとは言えません。
6ヶ月以上の長期で有給インターンを行う方は、有給休暇の対象となり得ると考えて正解です。
取得できる有給休暇の目安
週に30時間以上の勤務をされている方や、短時間勤務であっても週5日以上または年間217日以上勤務している方は、正社員などのフルタイムで働いてる方と同様の日数の有給休暇を取得することが可能です。
この場合は初年度で10日が付与され、その後最大20日まで増加していくことになりますが、インターンでこの条件を満たせることは稀です。
週の労働時間が30時間以下で週4日未満というインターンに多い勤務の場合では、週間の労働日数と勤務期間によって与えられる日数が決定されます。
週1日の勤務の場合は半年後に1日、週4日の勤務で7日が付与されるという様に定められていますので参考にしてください。
ブラックインターンに騙されないように注意しよう
有給インターンとして扱われるべき状態であるにも関わらず給与が支払われなかったりする場合、それは「ブラックインターン」と言わざるを得ません。
無償で働かせているにも関わらず、就業体験と言い張り給与を支払わないのは違法行為になります。
また給与が支払われているとしても、ブラック企業の様にパワハラが行われているとすればブラックインターンと考えるべきです。
ブラックインターンから逃れるには?
不当な扱いをされていると感じたのならば、大学に相談したりインターンを辞退することを検討すべきです。
他にも無料で相談を受け付けてくれるNPO団体も存在します。
一度申し込んでしまったからと言って、ずっと我慢する必要はありません。
無理をして身体や心を傷めないように自衛することも大切ですよ。
うちのインターン先ってブラック!?ブラックインターンの見分け方と対処法を解説
有給インターンはアルバイトと同じと考えよう!
有給インターンの扱われ方について何か気になることが発生した場合には、アルバイトの扱われ方を参考にするのがオススメです。
どちらも正社員とは違う労働者であり、適用される法律なども同様であることが多くあります。
扱いが全く同じとは言い切れませんが、かなり参考にはなるはずですよ。