各大学には文理系を問わず様々な学部が設けられています。
その中でもひと際「就活率が低い」と言われている学部があります。
それが「文学部」です。
「文学」と聞いてパッと思いつくことが
「社会に出た時、学部で学んだことをどう活かすのか?」
ではないでしょうか?
確かに社会に出た時役立つ「実学」とも呼べるものを、「文学部」では学びません。しかし、文学部所属の学生は、そのような「不利」な状況にあっても、「行動」と「志」1つ変えるだけで「就活を有利」に進めることができます。
そこで今回は、「文学部」がなぜ、就活では不利と言われている理由と併せて、文学部所属の学生が就く就職先、就活を有利に変える「行動」をご紹介します。
文学部ってどんなことを学ぶのか?
「文学部」は、文学・語学・哲学・心理学など「人文科学」に位置付けられる学問を学ぶ学部です。
とはいえ、「文学部」と聞けば「文学」についてひたすら学ぶものという先入観があります。
あながちそれは間違いではありません。
しかし、「文学」について学ぶ中で、それらを読み紐解いていく上で「人間の営みを多方面から考察することで、人間そのものを総合的に理解する」ことを目的にしています。
「人間の営み」を理解する上で「文学」はもちろん、「哲学」や「心理学」などの学術領域の学習が欠かせません。
最も、これら領域を学ぶことで「人間の営みのすべて」に対する考察を行うことができるといえます。
また「文学部」の系統は、「言語系」「思想系」「歴史系」「行動系」の4系統に分けられます。
【言語系】
日本の古典文学から他国の文学に触れて、「文章理解」を深めていき、「ことば」に関する文化研究を行います。
【思想系】
高校で学ぶ「倫理」をより深く掘り下げた「倫理学」をはじめ、「哲学」や「宗教」など人間の思想について考察し研究を行います。
【歴史系】
「歴史学」や「考古学」など、過去の出来事について学ぶと同時にその当時から現在までに残る建築物や芸術作品など、人間が生み出した諸相について考察していき研究をしていきます。
【行動系】
「心理学」や「社会学」に基づいて、人間の認知・行動を学ぶと同時に、このような場面に遭遇した時人はどう行動するのかを研究していきます。
「就活が不利」って言われる文学部
文学部で学ぶことが原因
「文学部」で学ぶものの多くは「国内外の文学」「語学」「哲学」「歴史学」など、社会出た時役に立つような「実学」よりも「教養」に結びついている学術領域の学びを中心としています。
つまり「ビジネス」や「仕事」といった「職務」に直接活用できる「実学」とも呼べる「知識」がないといえます。
この背景があるため、「文学部所属の学生は、就職活動において不利」と言われるのです。
企業目線から理由
「就職活動」をしていく中で、採用面接時には「弊社を志望した動機・理由」や「ガクチカ」そして「今の大学にはなぜ進学をしたのか」を問われます。
特に「今の大学にはなぜ進学をしたのか」を問われた時、文学部所属の学生の多くが
- 本が好きだから
- 哲学に興味があったから
- 英語が好きで、社会進出を決めた時、活用していきたいから
などと答える学生が多いでしょう。
しかし、会社が求めているものはあくまで「ビジネス視点」での回答を求めています。何ので、この場合の回答として「興味あること」を理由としたものは、かえって不利になる場合があります。
少なくとも、これだけを理由に不採用にするということはありません。
とはいえ、人事採用の中には文学部所属の学生に対して
- ビジネスの感覚が欠けている
- 実学を積んでいないから教育が大変
などと直接口にはしなくともそう思っている方もいます。
しかし、「書類作成」や「物事の考え方」などは、ビジネスの場でも通用するものがあります。
つまり「文学部所属の学生は、就職活動において不利」というは一概には言えないということになります。
就活が不利と言われる文学学部でも就活を有利に進められる
在学期間に取得した資格を活かした就職先
他学部と比べてビジネスに通じる「実学」の学びが乏しい「文学部」ですが、在学中に得られる資格を利用することで、不利な状況を覆すことができます。
教員免許
「文学部」に所属していても「教員免許」の取得は可能です。
科目は主に「現代文・古典」といった「国語」、「倫理」「日本史・世界史」などの「社会」、そして「英語」といつた3つの文系科目の免許取得をする学生が多いです。
「教員免許」を取得しておくだけでも、「教育業界」に就職をする際のアピールポイントになります。
「教育業界」は主に高等教育・中等教育などの学校機関から、学習塾・予備校の講師、はたまた教育関連の本を出版している会社や教材アプリの開発を行っている会社まで多岐に渡ります。
学芸員/図書館司書
文学部では「教員免許」のほかにも「学芸員」「図書館司書」の資格取得ができるとういう点です。
「学芸員」や「図書館司書」の募集は少なく、非常に倍率が高い仕事です。しかし、「文学部」で培った知識をフルに活用できる絶好の場でもあります。
資格を得ておしまいとするのではなく、チャンスがあるならば、是が非でも就職するという志で応募してみるといいでしょう。
文学部生が就く就職先
金融業界
まずは「金融業界」です。
「金融業界」では、主に「都市銀行」「地方銀行」「信用金庫」などの「民間金融機関」から「証券会社」「消費者金融」「クレジット会社」などがあります。
いずれも「お金」を取り扱う企業になるため、お客様との社会的信用が必要不可欠なものであると同時に、行く行くは高所得が望める仕事として学生に人気があります。
しかし、業務上「経済学」の知識を要する場面が多いためか、経済学部出身の学生を「即戦力」「育てれば光る」と見られて大いに期待されています。
とはいえ、「金融業界」も、専門的な知識や技術を要する職種を除いて、「総合職」採用を実施しています。
なので、入社して数年間は営業を通して様々な魏用務経験を積んでいくと同時に、自分に合った仕事に就くことができます。
また「文学部」としてのポテンシャルを活かすとなれば、「英語力」でしょう。
「金融業界」に位置付く企業の中には、外資系証券会社があります。
そこでは「語学スキル」を持ち合わせていれば高く評価されますことがありますので、自身がある方は積極的に挑戦をしてみましょう。
出版・広告業界
【出版】
次に「出版業界」です。
「出版業界」では主に、書籍の出版・編集、新聞の出版を行っている企業を指します。
出雲、「文章の制作、評価」といった学部で学んだことを活かせられる場が多くあります。
しかし、「出版業界」を志望する学生は、文学部を含め多数存在します。さらには採用人数も絞られているため、倍率が高い業界として一目置かれています。
採用選考では「筆記試験」「作文」を課すことが多く、特に「作文」のテーマは例年ユーモアあふれるものばかりを取り扱っているため、学生のセンスが問われています。
日ごろから文章を書いて読んでいることが多い文学の学生にとって、文学的センスが問われる場面は専売特許といっていいでしょう。
【広告業界】
「広告業界」もまた「出版業界」同じ位置付けとなる業界です。
こちらでは主に書籍の制作、企業や物販などの広告制作などといった「モノづくり」をメインとしています。
また「モノを売るためにはどうすべきか」など、宣伝方法・戦略を考える「マーケティング」の仕事も行っています。
特に「マーケティング」は、当業界に限らず、あらゆる業界で通用するスキルです。
このマーケティングスキルは主に「経営」や「商学部」所属の学生が一歩先として身に着けていることが多く、文学部の学生から見れば手遅れているといってもいいです。しかし、学部に捉われることなく、独学やビジネス書を通すことで「マーケティング」の基礎知識を身につけることは可能です。
また「出版業界」「広告業界」も最初はコピーライティングやイラスト制作など「クリエイティブ」なことから始めることが多いです。
これを苦と感じる学生はそう少なくありません。しかし、文章を書くことが好きという文学部学生にとって、これら業務は天職といっても差し支えないでしょう。
情報通信業界(SE)
次に「情報通信業界(SE)」です。
「情報通信業界」は主に「ドコモ」や「au」などの「携帯電話会社」、ソフトウェアの開発、インフラ整備などを行っている「IT企業」があります。「IT企業」にも「自社開発企業」「受諾開発企業」「SES」があります。
いずれも「情報」の分野に位置付くものばかりで、文学部には縁がないものと思われがちですが、これらは「文理系」を問わず、完全未経験からでもスキルや知識を身に付ければ誰でも就くことができます。
特に完全未経験の方が就くことが多いのは、「SES」と呼ばれる「エンジニア人材派遣会社」です。
「完全未経験からでもエンジニアになれる」ということで、「文理系」を問わず多くの学生を採用して、研修後はエンジニアを求めている企業に派遣をしています。
しかし、ここで「SES」企業で注意しておくべきことがあります。
それは「案件受諾先の下請け」という点です。
行く先によってはいい経験を積むことができますが、何社もの請負が就いており、その下部に位置付く場合、業務内容も雑用がメインとなることがしばしあります。
地方公務員
最後は「地方公務員」です。
「地方公務員」は学部を問わず、公務員試験を突破し採用面接等を合格すれば誰でも就くことができます。
公務員試験では、文学部が学ぶ「教養問題」が多く出題されることがあります。
また仕事は、数年越しに部署異動が行われるため、別文分野について一から学びなおしていくことが多い「ゼネラリスト志向」にあります。
そのため、任された業務をそつなくこなせるだけのポテンシャルが求められます。
行動次第で有利に持っていける
資格取得
「実学」が乏しいとされる文学部が、他学部と対等以上に就職活動を有利に進めるためには、事前の準備もそうですが、何よりも「資格取得」でアピールするのがいいでしょう。
取得できる資格は、「学芸員/図書館司書」「教員免許」が在籍期間中に一定の条件を満たせば、取得が望めます。しかし、これらが通じるのは特定の業界に限ります。
仕事全般を通してアピールするならば、以下の資格取得を目指すといいでしょう。
TOEIC
まずは「英語」資格の定番「TOEIC」です。
当資格は、あらゆる業界で評価を得ることができますが、特に外資系や海外との取引がある商社などでは高く評価されます。
もちろん履歴書に書けるのは「600点」以上のスコアを出す必要があります。加えて外資系なども評価を得られるとは言いましたが、最低でも800点近くのスコアを出して評価されるものです。
日商簿記
「日商簿記」資格は、各企業に必ずある「経理・財務」部署といった会社の経営状況を管理する部署に就く際に役に立つ資格です。
また「日商簿記」は、低コスパかつ基礎・応用をしっかり押さえていれば3級の取得は約可能です。
ただし、企業から評価されるのは「2級」からとなります。
3級はあくまで基礎的な内容であると同時に、2級、1級へと上がるための足掛かりにすぎません。
またここで培った知識は、「経理・財務」に限らず、営業に就いた場合でもその力を発揮できます。
普通自動車免許
最後は「普通自動車免許」です。
定番の資格といえばやはりこれです。
就職をした多くの場合が電車通勤となることがあますが、電車では通勤しにくい場所への配属、就職となった場合自動車が必需品となります。
また営業職に就いた場合、自動車で取引先に出向くこともしばしあります。
また今しばらくは指導者を持たないという人でも、持っておくだけで今後の仕事に幅を利かせられるので、学生のうちに取得を目指しおくべき資格です。
そのほかにも「MOS」や「ファイナンシャルプランナー」「ITパスポート」などの資格があります。
いずれも、文学部で取り扱われる学術領域に触れることがないものばかりですが、勉強する時間を確保すれば独学でも取得できる代物です。
文学部学生にこそプログラミング学習
前述したように「文学部所属の学生」でも「情報通信業界」すなわち「IT」の世界に飛び込んでいる学生が多くいます。
「IT」は今後の生活では欠かせないものであると同時に、需要も市場価値も非常に高いものとして見られています。
でも
- 文系には難しそう
- 独学でやってもどこかで挫折する
と考える学生も少なくはありません。
しかし、そんな考えを解決してくれる方法があります。
それが「プログラミングスクール」に通うことです。
スクールに通うって言って、ただでさえ高い額を支払っているのに、これ以上の出費は政界に支障をきたすと声を荒げる学生もいるでしょう。
しかし、「プログラミングスクール」によっては「学割」を実施しているところが多数あります。
また通う目的や何を学んで将来活かしたいのかが目に見えていれば、通うスクールによっては安く済むこともあります。
時間が取れる大学生だからこそ、「プログラミングスクール」に通って時間を有効に活用してみましょう。
まとめ
以上が、「文学部」がなぜ、就活では不利と言われている理由と併せて、文学部所属の学生が就く就職先、就活を有利に変える「行動」をご紹介でした。
世間からは「就活に不利」というイメージが強い「文学部」ですが、「行動」や「志」を変えるだけで状況を大きく覆すことができます。
もちろん資格取得をして有利な状況に持っていくことや、学部で学んだことを活かせられる業界に就く、アルバイトを通して得た経験を活かすなど方法は様々あります。
統計上のデータに惑わされることなく、自分が将来どうなりたいか、こうありたいと思う気持ちがあれば、選択肢の幅を広げられます。