理系の学生は研究と並行して就活を進めなければいけないので、「理系就活はいつから始めればいいの?」と悩む方も多いのではないでしょうか。
また理系学生といっても、学部卒から社会人になるケースや大学院に進学してから就活をするケースなどもあります。
そこで今回は理系就活の始め方や就活のスケジュール、就活のポイントについてご紹介します。
「研究と就活を両立させたい」「就活をうまく進めるためにはどうすればいいの?」と気になる方はぜひ参考にしてみてくださいね。
理系就活生はいつから就活が始まるの?
理系就活生といっても、時期によって就活開始時期は異なります。
とくに理系は大学院に進学する人も少なくないので、それぞれのケースについて把握しておくといいでしょう。
ここでは以下の3つのパターンに分けて就活開始時期について説明していきます。
理系就活生のパターン
- 学部卒
- 修士卒
- 博士卒
学部卒は大学3年の春から
学部卒は一般的な就活と変わらず、大学3年の春ごろから始める方が多いでしょう。
大学4年の3月を就活解禁日として大学3年の夏や秋ごろにインターンに参加したり、就活が本格化する前に院進するかどうかを決める人もたくさんいます。
学部卒から院進せずに就活するメリットとしては、社会人としてのキャリアをいち早く積めることや安定した収入を早い時期から得られることです。
若いうちから会社で勤務しスキルを得ることで、院に進んだ学生よりも業務に慣れ、その分昇進や昇給が見込めるいい面もあります。
反対にデメリットとしては、ほかの院生と比べると職種の選択肢が限られる可能性があることが挙げられます。
とくに大手の研究職を目指すのであれば、「修士以上」を募集条件としているところも少なくありません。
学部生のときから「将来は研究職に就きたい!」と強く考えているのであれば、院に進んでからのほうが良いといえるでしょう。
修士卒は修士1年の春から
修士卒の学生の場合、修士1年の4月から動き出す人が多いでしょう。
企業では、インターンは夏だと6月中、秋だと9月中、冬のインターンだと12月中にエントリーを締め切ることがほとんどです。
とくに修士1年の9月から10月にかけては学会への参加などでかなり忙しくなるため、比較的時間に余裕がある春ごろから就活を進めておくことをおすすめします。
修士とは…
基本的に2年間の大学院での研究を終えた人が取得するもの。
また、6年制の「医学部」「獣医学部」「薬学部」「歯学部」なども修士相当として認められることも多い。
博士卒は博士1年の10月あたりから
博士卒の学生の場合、基本的に選考時期の制限はありません。
しかし、博士2年の3月ごろにはほとんどの企業では選考を締め切っているので、秋の学会が終わる10月ごろから選考を始めるのがベストでしょう。
またインターンに関しては研究で忙しくなることが予想されるため、希望度の高い企業のインターンだけなどを春ごろに応募するのがおすすめです。
博士とは…
大学院の博士課程や博士後期課程を終えた人が取得できる学院。
博士課程の修業年限は修士課程や博士前期課程と合わせて5年とされており、すべてを終えると30代になる人もいます。
おもに大学教員になる人も多いですが、最近では一般企業に就職する人も増えてきています。
大学修士・博士卒から就職するメリットとしては、自分が学んできた分野の専門性や研究内容の知識やスキルをアピールしやすいところにあります。
つまり、一般企業でも研究職や専門職に就きたい人であればより有利に進められやすいということですね。
また学部卒よりは社会人になるタイミングは遅れますが、企業によっては学部卒の学生よりも基本給が高くなるケースも!
就活でも具体的な研究内容について話せたり、研究で培ってきたプレゼンテーション能力なども活かせます。
反対にデメリットとしては、大学院に進むことで学部生よりも社会人としてのスタートが遅れ、実務経験や人間関係の構築に差がつく可能性があります。
理系は文系よりも就活が有利?
大学生の就活において理系学生は文系学生よりも有利だといわれています。
なぜなら理系学生は「機械」「電機」「情報」「建築」「薬学」「医学」などといった業界とかかわりが深く、いわゆる自分の専門分野や研究分野に就職する理系就職であれば内定が決まりやすいからです。
とくに研究開発系の職種や企業であれば、「理系学部であること」「修士もしくは博士課程を修了しているか」などを必須条件としているところもあります。
また理系学部やゼミによっては、「学校推薦」や「教授推薦」と呼ばれる大学や教授に寄せられた推薦求人の中から選んで就活をおこなうパターンもあり、一般応募よりも早く決まる面も理系が有利だといわれる理由のひとつです。
工学部の学生が就く就職先!専攻を活かして就活を有利に進めよう
理系でも文系就職できる?
理系学生のなかでも、研究職や技術職といった理系就職ではなく文系就職を選ぶ人もたくさんいます。
具体的に文系就職とされているのは、銀行や保険会社といった金融、商社、コンサルティング、マスコミなどの業界などです。
理系学生が文系就職をするメリットにはいろいろありますが、ひとつは同じ文系学生と比べて理系学生は採用担当者から印象を残しやすいものが挙げられます。
なお企業側も最近では多様化が進んできており、文系学生にはないスキルや考え方を取り入れたいといった目的で理系学生をあえて採用するケースも増えてきました。
ただし、理系学生が文系就職するとなると文系就職にはさまざまな選考段階があるため、準備に時間をかけられない理系学生にとってはややハードルが高いといったリスクがあります。
理系就活生の就活スケジュール
研究などで忙しい理系学生にとって、内定を獲得するにはいかに綿密な就活スケジュールを考えるかが重要です。
そこここでは、理系就活生の就活スケジュールについてご紹介します。
理系就活生の就活スケジュール
- 就活準備
- エントリー
- 本選考
- 内定式
➀就活準備
就活は事前準備が何よりも大事です。
就活準備にはおもに、OB・OG訪問、業界研究、自己分析、インターンへの参加などが挙げられます。
とくにインターンの募集やOB・OG訪問などは春ごろから始まるため、学部生であれば大学3年、修士であれば修士1年の4月あたりから始めるのが良いでしょう。
またインターンの中でもサマーインターンに参加する場合、インターンの専攻は6月あたりから始まるので、自己分析や企業研究なども4・5月におこなっておくのがおすすめです。
②エントリー
学部生なら4年、修士なら2年次になる3月1日から就活解禁日となります。
もちろんもっと早い時期から募集を始める企業もありますが、ほとんどの企業ではエントリーの開始や会社説明会・合同説明会などがぞくぞくと始まってきます。
③本選考
学部なら4年、修士なら2年の6月からは本選考が始まります。
1次面接から最終面接まで6月に集中する企業が多く、なかには内々定が決まる就活生も増えていきます。
次々に採用枠が埋まっていくため、夏までに内定獲得したい方や希望度の強い企業や業界がある方は6月を目標として計画的にはやめに行動することが大事です。
④内定式
一般的には10月ごろから各企業で内定式をおこなうところが増えてきます。
しかし、文系就職や一部の理系就職でもまだ内定をもらえていなかったり、納得いかない就活生が就活を続けているケースも少なくありません。
企業側も内定辞退などの関係で枠を埋めるため、追加募集をかけるところも。
ただし理系就活生は秋ごろに研究発表が集中する傾向にあるので、忙しい日々のなかで研究と就活を両立しなければいけません。
理系就活生の就活の進め方
文系就職の場合のほとんどは自力で就活をおこなう「自由応募」ですが、理系学生のなかには「推薦応募」で内定を獲得する人もいます。
そこでここでは、「自由応募」と「推薦応募」の違いやメリット・デメリットについてそれぞれご紹介します。
理系就活生の就活の進め方
- 自由応募…自分から企業に応募する就活方法。
- 推薦応募…学校やゼミの教授などから企業に推薦してもらう就活方法。
自由応募
自由応募とは多くの就活生が経験する、説明会からエントリーシート、面接といった選考を全て自分で計画し応募するやり方です。
自由応募のメリットは、自分の裁量と意志によって自由に業界や企業を選べることです。
したがって、自分の専攻分野外の業界や複数企業の選考なども並行して受けられるので、「いろいろな業界や企業を受けてみたい!」「自分の可能性を試したい」といった方には向いています。
ただし自由応募にはデメリットもあり、たとえば理系学生が文系就職も視野に入れているのであれば、それだけ競争率が高くなることが考えられます。
なぜなら、文系学生のほとんどは自由応募で就活しているため、とくに就活生に人気の商社やマスコミといった業界や企業だと倍率は高めに。
理系就活と文系就活とを並行しながらおこなっていると、ほかの理系学生よりも就活自体が長くなる可能性もあるため注意が必要です。
なお最近では、自分から企業に応募するパターンのほかに、就活生のプロフィールなどで興味を持った企業から直接スカウトが来る「逆求人型」と呼ばれるものもあります。
公開している自分のプロフィールや経験内容などをあらかじめ企業が評価したうえで連絡してくれるので、内定獲得しやすく効率的に就活を進めたい方にはおすすめです。
推薦応募
推薦応募というのは、学校や自分が所属する専攻やゼミの教授などに企業から寄せられた学校推薦枠の求人に応募する就活方法です。
推薦応募のメリットはいろいろありますが、ひとつは自由応募に比べて内定率が高く、早期内定につながりやすいことが挙げられます。
もちろん100パーセント内定するわけではありませんが、推薦応募の多くはエントリーシートや筆記試験といった選考の一部が免除されたり、優先的に面接に案内してもらえる可能性が高いです。
つまり、推薦応募では比較的短期間で就活を終えたい方にはおすすめです。
ただし、推薦応募にはデメリットもあります。
推薦応募のデメリットは内定を一度もらったら、ほかの企業に応募したり簡単に辞退できないこと。
なぜなら推薦応募はそもそも、大学や学科、教授との信頼関係のもとで推薦枠が来ているから。
万が一、推薦応募で決まった企業からの内定を断れば、今後の後輩などにも影響を与えてしまうため注意しましょう。
さらに、自分が所属する学科や学部に関連した業界や企業しか基本的には求人がこないため、「もっといろいろ挑戦したい」といった人にはおすすめできません。
推薦応募は学部だと3年、修士だと1年の2~3月あたりから受付が始まるため、もし興味のある方は事前に情報収集をしておくといいでしょう。
理系就活生の就活のポイント6つ
文系就職も視野に入れているのならもう少し業界は広がりますが、理系学生の場合はメーカーやIT企業、医療系、建築・建設、研究職といった就職先が挙げられます。
しかし実際、「どの企業を選べばいいの?」「早期内定を獲得するにはどうすればいい?」と悩む方も多いのではないでしょうか?
そこでここでは、理系就活生の就活のポイントについていくつかご紹介します。
理系就活生の就活のポイント6つ
- 応募数を絞りすぎない
- インターンに参加する
- 専門外の業界や職種も視野に入れる
- 就活サイトを利用する
- 大学院生なら強みをアピールする
➀応募数を絞りすぎない
理系学生の多くは、研究との両立で時間自体がなかなかさけないことや自分の専門や知識を活かせる理系職種のみに絞っていることから、エントリー数がかなり少ない傾向にあります。
実際に同じ就活生でも文系学生の場合は約20社程度は選考を受けていますが、理系学生の場合は10社程度だと言われており少なめ。
確かに、エントリー数を絞って希望度の高い企業を目指すことで集中しやすかったり、スケジュール管理がしやすいといったメリットはあります。
しかし自由応募の場合はとくに落ちてしまう可能性もあるので、絞ってしまうことで取り返しがしにくいといったリスクも。
万が一、内定が決まらなかったときに備えて、第一希望のほかに第二・第三の選択肢も用意してエントリーしておくと安心でしょう。
②インターンに参加する
「企業とのミスマッチを少しでもなくしたい!」といった方は、実際の仕事を経験できて社風も把握できるインターンへの参加がおすすめです。
インターンに関しても企業の応募と同様、比較的理系学生は文系学生よりも参加人数は少なめだとされています。
インターンに参加する具体的なメリットには以下のものが挙げられます。
インターンに参加するメリット
- 志望業界や企業への理解が深まる
- インターン選考によって本選考でも通用する面接やグループディスカッションの場数を踏める
- インターンへの参加がそのままガクチカや自己PRに使える
- 入社後のミスマッチを防げる
- 企業によっては特別選考や一部選考を免除されるところもある
- ネットでの情報や口コミ、企業説明会では得られない実情について聞ける
インターンは夏季インターンの場合だと6月中にはエントリーが締め切られますので、春ごろには興味のある業界や企業を絞っておくとスムーズです。
また夏の時点ではまだ就活の軸が固まっていなくても時間的余裕があるタイミングなので、専門外の分野や短期間のものをいくつか受けるという方法もおすすめです。
しかし秋や冬におこなわれるインターンだと、それなりに業界などを絞り込まなければいけない時期であり、さらに学会や研究なども忙しくなっていきます。
もし秋や冬にインターンに参加するのであれば、希望度の高い企業でそのまま選考に進められるようにアピールするといいでしょう。
インターンで印象や実績を残せられれば、実際に企業の社員がリクルーターから面談を案内され、そのまま選考につながるケースもあります。
メーカーが催すインターンの内容は?インターン参加のメリット、実務体験の内容をご紹介!
③専門外の業界や職種も視野に入れる
先にも述べたように理系学生は基本、自分の専攻分野や研究内容に近い業界や職種のみに絞って就活をする人がほとんどです。
しかし絞りすぎてしまうと、それだけ受けられる企業数も少なくなり、万が一決まらなかったときにすぐに切り替えられにくいといったリスクもあります。
「必ずこの業界や職種につきたい!」といった強い気持ちがあるのなら別ですが、「なかなか内定が決まらない」と悩む方はあえて専門外の業界や文系職種なども視野にいれてみるといいでしょう。
文系職種といっても、理系学生の考え方や価値観を取り入れたいと募集している企業もたくさんありますし、統計などの数字を取り扱うような研究を活かせるところもあります。
④就活は早い段階から始める
理系学生は研究や学会などで忙しくなりやすく、どうしても就活をスタートする時期が遅れてしまいがちになります。
しかし、早期内定獲得している就活生や就活に成功した実感がある学生は、早めに就活している方がほとんどです。
とくに企業研究や自己分析などの事前準備をおろそかにしていると、自分が目指すべき業界や職種が見えなかったり、不採用につながる可能性が高まるので要注意です。
理系学生は秋ごろに忙しくなる傾向にあるため、「ちょっと早いかも?」と思うかもしれませんが春から夏にかけて準備をしておくとちょうどいいでしょう。
⑤就活サイトを利用する
「より効率的に就活を進めたい」「内定率を上げたい」といった方は、就活サイトを利用するのが一番です。
就活サイトを利用すメリットはいろいろありますが、自分の性格や希望に合わせた企業を紹介してくれるだけではなく、業界に強い就活コンサルタントから書類や面接対策を受けられるものが挙げられます。
基本的に学生が使える就活サイトは無料で利用できますし、最近ではオンラインでの相談の受付も対応してくれるので地方からの就活生にとってもおすすめです。
また就活サイトには、自分から企業に応募したり紹介してもらうもののほかに、「逆求人型(スカウト型)」のスタイルも徐々に人気になってきています。
逆求人型では自分から企業を探すのではなく、企業から直接オファーをもらえるので少しでも手間を省きたい方は、大手就職サイトと並行して利用するのがいいでしょう。
⑥大学院生なら強みをアピールする
理系学生の中には大学院生から就活を始める人も多くいます。
もし理系大学院生なら、院生ならではの強みをアピールしながら就活を進めていくとよりスムーズです。
おもに大学院生がアピールできる強みには以下のものが挙げられます。
理系大学院生がアピールできる強み
- 論理的思考力
- 分析力
- 研究内容の専門性や知識の高さ
- プレゼンテーション能力
大学院生が学部卒よりも長い時間学んできたからこそ、具体的な実績やエピソードなども盛り込めば、より説得力も増します。
~まとめ~理系学生は推薦応募がおすすめ!
今回は理系就活の始め方や就活のスケジュール、就活のポイントについてご紹介してきました。
理系学生は文系学生と異なり、学校や教授などに来た推薦枠から就活をおこなう推薦応募といったものがあるのが特徴です。
しかし推薦応募になると一度決めた内定先からは変えられなかったりするので、利用する人は慎重に判断しなければいけません。
また理系学生は、とくに就活が集中しやすい時期である大学3~4年にかけて忙しくなるため、ほかの学生よりも早いと感じる春ごろから自己分析・企業研究を始めておくのがいいでしょう。
さらに、「研究職にこだわりがない」「なかなか内定が決まらない」といった方は、思い切って文系就職や理系に特化した就活サイトに登録するのがおすすです。
今回の記事を参考に、早めに準備や対策をおこなってくださいね。