ほとんどの大学生が就活前に参加するインターンシップですが、残念ながら企業の中には学生を利用する目的で違法のインターンシップを行うところがあります。
インターンシップをなんとなく選んで参加してしまうと、違法インターンシップに遭遇してしまう可能性があるのです。
今回ははじめてインターンシップに挑戦する人に向けて、違法インターンシップへの参加を予防する方法と、参加してしまった場合の対処法をご紹介します。是非参考にしてみてください。
違法インターンシップとは?
違法インターンシップとは、その名の通り「法律を守らずに行われるインターンシップ」のことを指します。
インターンシップとは、学生が自分の進路を納得して選択できるように、キャリア教育の一環として文部科学省が推進している業務体験活動です。
企業がインターンシップ活動に協力する目的としては、学生に会社の仕事を教えたり会社の魅力をアピールしたりすることによって、最終的に優秀な学生を企業に入社させることです。
しかし違法インターンシップを行う場合、企業には人件費を抑えて仕事を手伝わせたいという腹黒い考えがあります。
要するに、将来を考えて行動している学生をインターンシップという口実で利用しようとしているのです。
そんな企業のインターンシップに参加しても、学生にまともな教育をするとは思えませんし、社会人になってから役立つ経験をするのも難しそうですよね。
そんな違法インターンシップの具体例を次にご紹介します。
1.無給の長期インターンシップ
長期インターンシップとして参加し、会社の業務を担当しているにも関わらず給料が支払われない場合は、違法インターンシップです。
長期インターンシップは「体験」という名目ではありますが、実際に会社の業務を担当します。
労働基準法では、企業の利益や生産活動に関わった場合は、「労働」となり給料が発生すると定められています。
そのため、長期インターンシップに参加した学生も労働者とみなされ、給料の支払いが発生する仕組みになっています。
もし長期のインターンシップに参加しているにもかかわらず、給料の支払いがなかった場合には、違法インターンシップの可能性が高いので注意しましょう。
2.時給が低い・残業代がない長期インターンシップ
前述したように長期インターンシップに参加する場合は、給料の支払いが当たり前ですが、その給料の金額についても法律を守らないといけません。
最低賃金法で労働者の最低賃金は保証されているので、その最低賃金を下回る時給で働かされることは違法になります。
同じように、残業代が出なかったり諸経費が自腹になったりした場合も違法とされます。十分注意しましょう。
不当に長時間労働を行うインターンシップ
給料だけでなく、不当な長時間労働についても、違法インターンシップとみなされる場合があります。
現在は「働き方改革」などで残業時間も調整されていますが、決められた残業時間を超えてしまい、長時間労働を強要された場合には違法になります。
社員が残業規則を守らなかった場合でも違法となるのに、インターンシップで参加した学生に長時間労働をさせるのは呆れる行為です。
もしそのような会社のインターンシップに参加してしまった場合は、会社の雰囲気に流されず落ち着いて対処しましょう。
ノルマを課すインターンシップ
前述したとおり、インターンシップはあくまで学生の業務体験を目的とした活動であり、企業の利益追求の手段ではありません。
そのため、ノルマなど大きな負担を学生に与えることはできません。
学生のなかには、業務体験をさせてもらえるのだから、ノルマがあるくらい大丈夫と考えている人もいるかもしれませんが、会社はそういった学生の心理を利用しているだけです。
違法になる可能性が高いことを忘れずに対処しましょう。
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違法インターンシップがどうかを判断する方法
次に、違法インターンシップだと自分で判断するための基準をご紹介します。
ここまで、違法インターンシップについてよくある具体例をご紹介しましたが、自分の参加したインターンシップに違和感を感じる場合でも、明確に違法だと分かるまで自分から動き出すのは難しいとおもいます。
これからインターンシップに参加する人や、今のインターンシップに不安を感じている人は、次にご紹介する判断基準を参考にして、自分のインターンシップが該当するかを確認しましょう。
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自分が「労働者」に該当するかどうか
違法インターンシップになるかどうかの前提は、まず自分が「労働者」とみなされるかどうかが重要になります。
例えば、インターンシップに参加したのに給料の支払いがない場合でも、自分が労働者とみなされないなら合法のインターンシップです。
では、参加した学生が労働者になる基準は何かというと、以下のように定められています。
- 実習生が企業から指揮命令を受けているなど、使用従属関係が認められる場合
- 実習生が本格的に業務を遂行するなど、生産活動に従事している場合(作業による利益・効果が会社に帰属する場合)
このように企業の指揮系統の中で、企業の生産活動に関わり利益や効果を生み出していると判断されると、インターンシップに参加した学生も労働者とみなされます。
一方で短期インターンシップに参加した場合は、学生は労働者とみなされない可能性が高いです。
短期インターンシップの内容は業界・企業説明会やワークショップを行う場合がほとんどであり、企業の生産活動に関わりがあるとは判断されないためです。
法律に基づいた給料の支払いや労働条件であるか
インターンシップに参加した学生が労働者とみなされる場合に、労働基準法などの法律に基づく給料の支払いがなければ違法になります。
前述したとおり、無給のインターンシップや最低賃金以下の給料、残業代がでない企業は違法インターンシップを行っていることになります。
長時間労働やノルマを課されることも違法にあたる可能性が高いです。
本記事のなかで違法インターンシップに参加してしまった場合の対処法をご紹介するので、
是非参考にしてみてください。
違法インターンシップへの参加を予防するために確認すること
違法インターンシップは参加してしまった場合でも、落ち着いて対処すれば何とかなりますが、お金や時間はロスしてしまうでしょう。
そのため、違法インターンシップは事前に気づいて参加を避けることが鉄則です。
次にご紹介する方法を是非参考にして、違法インターンシップに参加してしまわないよう自分の身を守りましょう。
また、次の確認方法は、インターンシップに参加した学生が労働者とみなされやすい長期インターンシップを想定しています。
求人の確認
まずインターンシップの求人広告を確認するところからはじめましょう。
インターンシップで給料を支払う場合、ほとんどの求人には給料についての記載があります。
記載がない場合は違法インターンシップの可能性があるので注意しましょう。
インターンシップを開催する場合、企業は複数の媒体で求人募集を行います。
気になる企業があれば複数の媒体で対象の企業を確認してみましょう。
会社口コミの確認
次に会社の口コミサイトで評価を調べましょう。
インターンシップだからといって評判を調べることを怠るとあとで後悔します。
口コミサイトに書かれた悪い評判は本当のことが多いので、見なかったことにせず参考にしましょう。
もちろん口コミでブラック企業だと分かった場合には、インターンシップにも参加しない方が良いでしょう。
雇用契約書の確認
求人に応募して選考に通過した後は、インターンシップとして働く前に契約書類を確認します。
インターンシップの給料が支払われる場合には、契約書類のなかに雇用契約書もあります。
雇用契約書には時給金額や残業についての決まりなど、詳細に記載されているので確認しましょう。
そもそも雇用契約書がなかったり、時給が低かったりする場合は安易にサインせず、担当者に確認したり書類を一旦持ち帰りましょう。
その場の雰囲気に流されず、違法インターンシップには参加しないことが大切です。
違法インターンシップに参加してしまった場合の対処法
残念ながら、気をつけていても違法インターンシップに参加してしまう場合もあります。
一人で会社に立ち向かうのは不安だと思いますが、きちんと対処した方が自分のためになります。
そのまま働き続けるのではなく、行動を起こしましょう。
次に違法インターンシップの対処法をご紹介します。
違法かどうかの見極めを適切に行う
まずは参加した企業が本当に違法インターンシップを行っているのかを確認してください。
前述したとおり、自分が労働者にあたるかどうか、労働者である場合に法律で定められた労働や給料支払いが行われているかを判断しましょう。
また、自分の判断に自信がない場合は周囲の人に相談して聞いてみるのも良いでしょう。
会社の雰囲気に流されない
違法インターンシップだと分かった場合でも、社員や同じ条件でインターンシップに参加している他の学生に遠慮して行動できず、そのまま働き続けてしまう人がいます。
もちろん一人で行動を起こすことはとても不安でしょうが、給料の支払いを求めることも労働環境の改善を求めることも当然の権利です。
労働者として正当に扱われてはじめて責任のある仕事ができるので、給料はきちんともらった方が自分のためにもなるということを覚えておいてください。
一人で行動することが難しければ周囲の人やキャリアセンターなど専用の窓口を探して、相談してみるのも良いでしょう。
改善を要求する
インターンシップとしての働きに見合う給料や労働条件を要求しましょう。
例えば、時給が最低賃金を下回っていた場合には最低賃金以上の支払いを要求しましょう。
すでに数日働いている場合は、その分の正当な給料も請求しましょう。
請求は、内容証明郵便や労働審判、少額訴訟などの方法によって請求することができます。
他にも残業代の支払いや諸経費の支払いも請求できます。
退職する
以上のように、違法インターンに適切に対処した後は退職をおすすめします。
改善要求をしたのに改善されない場合は言語道断ですが、改善されたとしても、その会社が社内の人材を大切にしていないブラック体質であることは明らかです。
これ以上、自分の時間やお金をロスしないよう退職するのが良いでしょう。
インターンシップを開催している企業は他にもたくさんあるので、別のところを探しましょう。
まとめ
いかがでしたか。違法インターンシップは、将来をまじめに考える学生を利用した悪質な行為です。
違法インターンシップに参加してしまう前に、労働条件や給料についてはきちんと確認しましょう。
また、違法インターンシップに参加してしまった場合にも、泣き寝入りせず行動することが大切です。