「事務職」という仕事を聞いたとき、皆さんは何を思い浮かべますか?
きっと多くの学生が、「毎日オフィスに出社して書類作成や電話応対をしている」や「人事や業務管理などをしている」、「営業として外回りをしている」などを思い浮かべるでしょう。
実際のところ、このイメージ通りのことを「事務職」では行いますが、具体的な業務内容・取り組みは各業界・企業によって異なります。
時には、高い専門性が求められることもあり、非常にやりがいがある仕事の1つです。
しかし、「事務職=簡単そう」など邪な考えを持っていると、後々苦労する羽目になります。
そんなイメージとのギャップ、ミスマッチをなくすためにも、「事務職インターン」に参加して、その実態を知りましょう。
今回は、事務職インターンの内容と合わせて、インターン先で得られるスキル・経験をご紹介します。
事務職インターンの種類・内容
ここでは、事務職インターンの種類・内容をご紹介します。
営業事務のインターン
こちらの「営業事務」では、主に会社に利益をもたらしてくれる営業職のバックアップを行います。
【業務内容】
- クライアントからのメール・電話応対
- 商品の受発注
- 在庫管理
- 契約書・請求書・資料の作成、管理
など、業界・企業によって仕事内容は様々です。
営業事務のインターンに参加する場合、上記業務のアシストに回りますので、インターン先の企業が取り扱う商品内容への深い理解が必要になります。
インターンの1日の流れは、上記4つの業務を1日こなす「ルーティンワーク」になりますが、適宜来る電話応対や質問、トラブル対応など、臨機応変に立ち回ることが業務中求められます。
【余談】
海外の企業と取引を行っている企業の「営業事務インターン」に参加できれば、大学や英会話教室で培った語学力を実務で発揮できます。
一般事務のインターン
「一般事務」は、営業事務や後述する事務関連を含め、企業全体の事務処理をバックアップしています。
【業務内容】
- 書類・契約書の作成
- 電話・来客応対
- 郵便物の仕分け
- 資料のファイリング
など、業務を円滑に行っていく上で欠かせない役割を一般事務が担っています。
一般事務のインターンに参加した場合、上記の業務を中心に先輩社員をアシストする役回りになります。
業務中はWordやExcel、PowerPointを多用しますので、ある程度の操作に慣れておくのがおすすめです。
また企業によっては電話・来客応対を任される場合があります。
応対を通して、基礎的なビジネスマナーが身につきます。
ここで得た経験は、今後社会に出た時、役に立つモノばかりです。
人事事務のインターン
「人事事務」は、新卒や中途採用、労務管理を行っている人事部の業務アシストをしています。
【業務内容】
- 企業説明会で使用する資料作成
- 選考活動のバックアップ
- 社員教育
- 人事評価制度の整備
- 給与・社保の手続き
などの業務を人事事務では行います。
人事事務のインターンに参加した場合、「採用する側」の目線に立って面接を見られます。
加えて、実務を通じて「人事採用」に関する専門知識を得られます。
業務の中には、就活生との面接日程を取り付けたり、社内の労務管理など任せてもらえる業務は多岐に渡ります。
インターン中、人事から高い評価を得られれば、企業説明会のアシストを任される場合があります。
企業の裏側や人材採用に興味がある方には、おすすめのインターンです。
管理事務のインターン
「管理事務」は、提携を組んでいるメーカーや工場に受発注している製品の生産状況や品質管理を行います。
【業務内容】
- クライアントからの受発注
- 原料・資材の在庫量の管理・把握
- 製品の在庫切れ・過剰在庫の管理
- 品質保持
上記の業務を管理時インターンに参加した時に行います。
この業務は会社利益に、大きく関わる重要な仕事です。
インターン参加中も仕事を任された以上は、責任を持って取り組みましょう。
製品管理はExcelや企業独自に利用しているツールを用いて行うので、インターン参加中に一定以上の事務処理能力が身につきます。
会計事務のインターン
会計事務は、税理士や会計士が行う業務のアシストを行います。
【業務内容】
- クライアントの会計情報・財務情報の取り扱い
- 専門的資料の作成
- 決算書・申告書の作成
- 清算表・伝票の作成
- データ入力
など、専門的業務を中心に行っていきます。
会計事務のインターンに参加した場合は、上記業務を任せてもらえることが多々あり、座学だけでは得られなかった知識や経験をこの場で得られます。
ただし、取り扱う書類のすべてが機密情報のものばかりなので、事務所によって業務内容が異なります。
そのほかにも、インターン参加時期によって、確定申告や年末調整などの業務に携われたり、電話応対などの一般事務の仕事を振られることもあります。
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事務職インターン参加で得られるスキル・経験
ここでは、事務職のインターンに参加して得られるスキル・経験、その得た経験を就活でどう活かすかを解説します。
事務職インターン参加で得られるスキル3選
前節でご紹介した事務職インターンの種類を問わず、参加することで、以下のスキルを身に付けられます。
【得られるスキル】
- 事務処理能力
- ビジネスマナー
- コミュニケーション能力
スキル①事務処理能力
事務職では、「書類・資料作成」などの事務処理が切って切れない関係にあります。
業務中はWordやExcel、PowerPointを適宜使用していくので、実務を通して徐々にレベルが上がっていきます。
また企業によって独自のツールを使用する場合があります。
取り掛かる業務の形式上、ルーティンワークになりがちで、モチベーションの維持が難しい側面を持っていますが、取り組んだ数だけ、どんな仕事にでも対応できる能力をインターン中に身に着けられます。
スキル②ビジネスマナー
事務職のインターンでは、事務処理のほかに、電話やメール応対、来客対応も任せてもらえます。
このやり取りを通じて、どの企業が催しているインターンや就職活動、社会人になったときでも役に立つビジネスマナーを習得できます。
インターンを通して習得したビジネスマナーはこの先の就活でも、非常に役に立つモノばかりなので、得て損はありません。
スキル③コミュニケーション能力
事務業務は、クライアントからの依頼や要望に応えるのが基本なため、常に社内の方と交流をする機会が多いです。
この交流を得て、自然と自身のコミュニケーション能力が高まっていきます。
学生の中には「コミュニケーション=会話ができること」と思っている人がいますが、ビジネスの場で挙げられる「コミュニケーション」はそういう意味合いじゃありません。
ビジネスでいう「コミュニケーション能力」とは
- 相手の悩みや要望を聞き出す「ヒアリング力」
- 問題解決を提示できる「アウトプット力」
の2つを指しています。
インターンに参加した際は、ぜひともこの2つを高めていきましょう。
事務職インターン参加で得た経験3選
事務職のインターンに参加することで、以下の経験を積むことができます。
【得られる経験】
- 自身の価値を上げられる
- 語彙力
- 契約書関連の知識
経験①自身の価値を上げられる
事務職のインターンを含め、どんな職種・業界に属する企業が催しているインターンには必ず「学び」があります。
学びえたことは、必ず自身の血肉となって、価値を高めてくれます。
学生にとって「働くこと」を具体的にイメージするのは難しいです。
しかし、インターンは「就業体験」の機会で、会社側から実務をお願いされます。そ戸で得た経験が「自分の働く姿」として印象深く残り、「仕事とはこういうモノなのか」とイメージがしやすくなります。
経験②語彙力
電話やメール応対などに用いられるビジネス文章には、あいさつや結びの言葉など「型」と呼ばれるものが存在します。
その型に添って文章を考え、作成していくうちに正しい日本語、語彙力を身に付けられます。
時候のあいさつや結びの言葉を鍛えるなら、メール応対やインターン・合同説明会参加後に送るお礼メールを作成するときがおすすめです。
また誤入力や変換ミスをすると、意味合いが変わってきますのでご注意ください。
このようなミスを防ぐためにも、一筆添えたら一度、声に出して読み返してみましょう。
経験③契約書関連の知識
事務職のインターンでは、「法務関連のインターン」に参加することもあります。
法務関連では事前に用意された「契約書」の雛形の一部項目を書き換える、契約書の作成・チェック業務をメインに任せてもらえます。
書き換えと書類のチェックと、一見地味にも見えますが、手にした契約書はビジネスの場で使用される正式なものです。
一読するだけでも、その書類がどのような効果を持っているのかが、実務を通して理解できます。
これは、経理インターンや会計士・税理士インターンでも同様のことが言えます。
事務インターンで得た経験を就活で活かす
事務職インターンで得た経験は、スキルは就活のある場面で活かせます。
【経験を活かす場面】
- 自己PR
- 面接
- 志望動機
場面①自己PR
まずは「自己PR」です。
ここで抑えておきたいポイントは、自分を軸にして、事務職インターンを通して得た経験、学んだこと、乗り越えたことのいずれかに的を絞って話すことです。
【自己PRの構成:例】
- なぜ「事務職」なのか?
- 自分の強み
- 事務職のインターンに参加して「何」を得たのか
- 結果どう感じたのか
- 貢献する気持ちを述べる
の5段構成で具体的かつ簡潔に考えてみましょう。
場面②面接
次は「面接」です。
面接では、入室してから数秒であなたの第一印象が決まります。
ここで肝となるのが「ビジネスマナー」と「コミュニケーション能力」の2つです。
【ビジネスマナー】
身なりや話し方、言葉遣いなど社会人の視点ではできて当然のことが学生のうちからできていると、相手からプラスの印象を持ってもらえた時です。
【コミュニケーション能力】
面接官から来る質問の意図を組んだ受け答えができたときです。
大学の就活セミナーや面接練習を積んできた学生よりも、インターンに参加して生の現場で経験を積んだ学生の方が頭一個分飛び抜けて写ります。
場面③志望動機
最後は「志望動機」です。
事務職の志望動機を考えるときのポイントになってくるのが、「なぜうちなのか?他企業の事務職じゃダメな理由」を交えて話すことです。
典型的なもので「事務職のインターンで培ったことを御社で活かせます」だけではインパクトに欠けるほか、「それはうちじゃなくても他の企業さんで活かせるよね?」っていう話になります。
【志望動機で盛り込むこと】
- 事務職のインターンで培った経験・スキルを志望する企業の事務職でどう活かすか
- なぜ御社の事務じゃないといけないのか「理由」を簡潔に述べ、差別化を図る
の2点を持ってインターンで得たことを、ぜひ志望する企業で活かしてみましょう。
事務職インターンへの参加を前に「事務職」の現状と仕事への適性を見てみよう
ここでは、事務職の現状と、事務職に適性がある学生の特徴について解説します。
事務職の現状
事務職を志望する場合、企業から「一般職」への採用を頂くのが通です。
しかし、近年は「一般職」への採用枠そのものはありますが、「正規雇用」に至る採用数を絞っています。
その背景には、「雇用形態の代替」があります。
正規雇用で職員を採用するよりも、派遣社員やバイトに業務委託する方が利己的と考える企業が増加しているほか、急速なIT化による業務効率の向上でバックアップなしで業務を完遂できるようになりました。
また「雇用形態の代替」の裏には「終身雇用の崩壊」や「働き方改革」があると考えられます。
また今は仕事に「多様性」が求められる時代です。
「人を支える仕事=事務職」に固執するのではなく、他の職種から「共通するもの」がないか探してみましょう。
事務職のインターンで得た経験・スキルは他業種でも通じるものが多いです。
事務職に適性がある学生の特徴
以下の特徴がある方は、事務職に適性があります。
【事務職に適性がある学生】
- 細かいことをコツコツできる方
- 人を支えることが好き
- 明るく人当たりがいい人
特徴①細かいことをコツコツできる方
事務職では、作成した書類や資料、契約書に誤字脱字、変換ミスがあるだけで意味合いが変わってきます。
場合によっては、自社にとって大きな損失を招くこともあります。
そのため事務職では、細かい作業を継続的にコツコツできる方に適性があると考えられます。
データ入力や確認・修正など、小さなミスすら見逃さない根気と正確性は事務処理をするときに輝きます。
特徴②人を支えることが好き
2点目は「人を支えることが好き」「サポート気質」を兼ね揃えている方です。
事務所は、他部署の一部魏用務をサポートする「縁の下の力持ち」的ポジションにいます。
会社全体を下から支え、社内外の方と円滑なコミュニケーションが取れる方に向いています。
また、来客があれば、お茶出しや清掃など、誰の指示もなく、気配りができる人も向いていると考えられます。
特徴③明るく人当たりがいい
3つ目は「明るく人当たりがいい人」です。
常に笑顔でいる人に来客対応や電話応対をしてもらえた時、相手もうれしい気持ちに満たされます。
「事務職=デスクワーク」のイメージが強いですが、来客応対や電話対応なども業務に含まれています。
明るく人当たりがいい人が来客対応、電話応対、業務の一部アシストをしていただけたなら会社全体の雰囲気もいい方向に行きます。
また「人当たりがいい人」にも様々です。
言い方を変えると、「初対面の方を含め、人と接することが苦にならない人」が向いています。
事務職のインターン参加に伴って得ておくこと、積んでおく経験はある?
事務職インターンに参加を考えている学生は
- WordやExcel、PowerPointの基本的使い方
- 基本的なPC操作
- ビジネスマナー
の3つを得てから参加するのがおすすめです。
事務職インターンの募集要項は「未経験者歓迎」と書かれていることが多いです。
しかし、長期インターンともなれば、実務を任せられます。
円滑な業務遂行を実現するためにも、officeソフトの使い方、PCの基本操作、来客や電話応対に備えてビジネスマナーの3点は基礎レベルで学んでおくのがいいでしょう。
また、インターン先によって「日商簿記3級以上」などの有資格者のみを対象にしているものもありますので、ご注意ください。
まとめ
以上が、事務職インターンの内容と合わせて、インターン先で得られるスキル・経験のご紹介でした。
一言で事務職といっても、業界・職種、企業の規模・特色に応じて働き方は様々です。
事務職インターンで培った経験やスキルは、どの業界・職種を志望しても活かせるものが多く、高い専門性をも実務を通して身に付けられます。
今回の記事を読んで事務職に興味がわいた方は、ぜひ事務職インターンに参加してみましょう。
きっと有意義なインターンを過ごせます。