志望大学を決めるとき、最も重要視するのが「学部・学科選び」です。
「学部・学科選びで悩んでいる」ため、大学選びに難航する学生は多くいます。
もしかして自分だけ! と思う方もいますが、年を通して誰もが通る道ですので焦ることはありません。
しかし、最低でも受験シーズンに突入するまでには決めておきたいところです。
そこで今回は、まだ「志望する大学」「学部・学科」が決まらない学生に向けて、「学部・学科選び」で抑えておきたいポイントと、これはやってはダメという選び方、そして学部選びがなぜ「重要なのか」をご紹介します。
進路で悩むのはみんな同じ!
進路が決まらない原因
なぜ、学生の誰もが「次の進路が決まらない」という沼に落ちるのか。
その原因は2つあります。
自己分析をしていない
1つ目は「自己分析」をしていないことです。
今の高校生が大学へ進学して3年の月日が流れ、大学生活最後の年には「就職活動」を行います。その時に「自分」という「存在」のことを詳しく分析するのが「自己分析」です。
高校生の皆さんには、なじみ深いものではありませんが、自分のことを知っているか知らないかでは大きく変わってきます。
無論「学部・学科選び」の時に用いる「自己分析」と、「就職活動」時にする「自己分析」とは一部分析するものが異なります。
今回のような「学部・学科選び」では
- 大学生になったとき「何をしたいか」「どんなことを学びたいのか」を書き出す
- 自分が今「興味関心」を抱いていること
- これだけはしたくないというもの
などを「項目」を作って書き出してみましょう。
最初はざっくりとした内容で構いませんが、時間をかけていくとより深く「自分」という存在を知る機会となります。
進路先の分析
次は「進路先の分析」です。
学生の多くが、次の進路先を「大学・学部の偏差値」や「受験科目」だけを判断材料としています。
確かに知っておいて損はない、重要な箇所かもしれませんが、「進路先の分析」として見るべき箇所はそこではありません。
見るべき箇所は、「進路先に進学をした場合、どのようなキャンパスライフを実現できるか」です。
たとえば、
- 授業プログラム
- 在学中に取得できる資格
- 就職実績
- 大学の雰囲気
などです。
これら情報は、大学が実施している「オープンキャンパス」や「資料請求」「大学HP」などから得ることができます。
「学部・学科選びで悩む」のは1つの通過儀礼
冒頭でも述べましたが、「学部・学科選びで悩んでいる」ため、志望する大学選びが難航するのは、年を通して誰でもありえる「1つの通過儀礼」のようなものです。そのため、まだ決まっていないということで不安になったり、焦ることはありません。
仮に「学部・学科選び」を終えている学生の中には、「将来のイメージ」というものがぼんやりとした曖昧なものであることが多いです。
最も、大学に進学をした後で興味関心を抱いたことが影響して、そっち方面にシフトするケースが多いです。
なので、「将来のイメージ」が湧かないことに対して、焦ることでも、不安に思うことは一切ありません。
学部選びのコツ
次の進路「学部・学科選択」の「軸」を定める
ここからは実際に「学部・学科選択」をする際の軸の定め方についてご紹介していきます。
興味関心がある「業界・仕事」を書き出す
まずは「興味関心がある「業界・仕事」を書き出す」ことから始めてみましょう。
たとえば、将来は「医師になりたいから医学部を目指す」や、「ゲームが好きだから将来はゲーム制作・開発に携わる仕事に就きたい」などを書き出してみましょう。
「興味関心がある「業界・仕事」」を書き出したら、その内容に沿って深く掘り下げていきましょう。
では前者の「医師」を例にしてみましょう。
一言で「医師」と称していますが、専門とする診療科や勤務先によって大きく変わってきます。
【臨床医師】
- 内外科医
- 小児科医
- 精神科医
- 麻酔科医 など
【臨床医師以外】
- 研究医
- 公衆衛生医師 など
また後者の場合であれば
【制作・開発】
- プランナー
- ディレクター
- シナリオライター
- プログラマー など
【ゲームに関わる仕事】
- 営業
- 広告・宣伝
- 販売(小売店)
- ゲーム情報メディア など
といったように、「業界・仕事」を1つ書き出して、それを軸として連想ゲームのように細分化していくと多くの仕事が関わっていることが可視化されます。
書き出した情報で自分が何に興味あるのかに的を絞って、それを「学部・学科選び」の軸にするといいでしょう。
何を学んでいきたいか
次は「何を学んでいきたいか」を軸として「学部・学科」を選ぶ方法です。
前節では「興味がある業界・仕事」を軸とする方法として紹介しました。しかし、中には「将来何をしたいが、明確にイメージできない」
という学生が多いでしょう。
そんな方は「何を学んでいきたいか」「「大学でしかできない学び」「興味関心がある学問」を軸として「学部・学科」を選んでみましょう。
ここで大切なことは
「学んだことを必ず将来の就職で活かす必要はない」
ということです。
つまり、「学びたいこと」が就職先で役に立つか否かは、いったん別モノとして考えることです。
軸が定まったら志望大学選び
「学部学科選び」の軸が定まったらいよいよ「志望大学」を選んでいきます。
とは言いますが、学部1つ選択したところで、その学部を抱えている大学というものは日本の至る所にあります。
ここでは志望大学を決めるときのポイントをご紹介します。
通学時間
まずは自宅からの「通学時間」から選んでみる方法です。
やはり大学に通うならば「自宅から近いところ」あるいは「通学許容時間・距離範囲内にある大学に通う」のがいいでしょう。
また公共機関の混み具合を鑑みて通学を快適なものにするのもいいでしょう。朝自宅の最寄り駅から大学最寄り駅まで座って通えることは大きなアドバンテージと言えます。
この方法は、大学進学をきっかけに「1人暮らし」を始める際にも役に立つ方法です。
この場合の考え方は大学を起点として、通学できる範囲内から自宅探しをしてみることになります。
自分に合う大学かどうか
次は「自分に合う大学かどうか」を見定めたうえで決める方法です。
今通っている高校やクラスに「個性」や「雰囲気」があるように、大学や学部にも「個性」や「雰囲気」というものがあります。
落ち着いた校風と思いきや、かなり派手目な校風であったり、実際に見て知っているのと知らないのとでは違いが大きいです。
もしも、自分の性格と合わない学校に通えば、そこに留まることがストレスとなって通うことが億劫となりえます。
学生の本分は「学業」ですが、大学生活で得られる経験というものは今後の人生で大きな財産となります。また学業に身を投じるのであれば、やはり自分に合った環境下で雌雄中したいものです。
早い段階で「学部学科」が決まったら、一度オープンキャンパスや学祭に参加して校風を調べに行くのもいいでしょう。
費用・立地について
最後は通学にかかる「費用・立地」についてです。
「大学に通う」といっても、通学にかかる「費用・立地」問題は時として家庭の経済状況に大きく響くことがあります。
国立か私立の大学に通うか、そこから文系か理系に属する学部に通うか、さらに実家から通うか家を出て一人暮らしを始めるかでかかる費用は大きく変わってきます。
「志望する学部・学科、大学」が決まっても、独断で進路決定を済ませてはなりません。決定したならば一度親御さんに相談をしてみましょう。
相談をして、保護者から「NG」と言い渡されてもあきらめるにはまだ早いです。
親の負担を減らす策を提示してみましょう。
- 返済不要な給付型奨学金の対処に慣れるほどの成績を有しているか
- 条件をクリアすれば誰でも受けられる貸与型奨学金を利用する
- 国立で同じようなことが学べないかを調べてみる
- 公共機関ではなく、自転車で通学するなど少しでも負担額を減らす
- バイトを始めて、支払われた給与の半分を学費に当てるなど
逆にこれはやっちゃダメな決め方
ここからは「学部・学科選び」でしてはならないコトをご紹介します。
第三者の意見だけで決める
まずは「第三者の意見だけで決める」ことです。
前提として「志望大学、学部・学科選び」は、自分の人生の中における1つのターニングポイントです。
進学先に関する情報を先輩や学習塾の講師などから頂いたアドバイス、情報を「参考」にして自分の中で吟味するまではいいでしょう。
しかし、頂いた情報の信憑性を疑わず、鵜呑みにして進路を決定するような行為は、非常に危険です。
たとえば、学校の先生から「この学校がいいのでは」と勧められたとき、疑いもなく進学した結果ミスマッチを起こして楽しくない学生生活を送るなんてオチがあります。
「志望大学、学部・学科選択」といった「進路選択」は、今後の自分の人生を大きく変えるターニングポイントです。
第三者の意見をただただ受け入れるだけでなく、自分の手で情報の信憑性から下調べまで行いましょう。頂いた意見・情報はあくまで参考レベルとして扱うのがいいでしょう。
「役に立つ」という理由で「興味関心」がない学部・学科の選択
次は「考え方」の問題としてです。
巨額な教育費用を支払ってもらって大学へ行くのならば、せめて将来「役に立つことが学べるところに行こう」という考えは悪くありません
しかし、入学してから卒業するまでの4年間は携わる学問です。
もし、「役に立つ」という理由で「興味関心がない学部・学科を選択」した時、学習に対する「モチベーション」を維持するのは非常に難しいです。
最初のうちは「新しいことを学ぶ」ということから楽しいと思えます。しかし、回数をこなしていくうちにモチベーションが低下、最悪の場合、講義そのものを投げ出したくなるということもあります。
勉強もですが、何をするにしても「モチベーション」がなくては、人間行動に移すことは難しいものです。
ネームバリューで決める
最後は、「ネームバリュー」で決めることです。
学生の中には、「あの有名な某大学に行きたい」という理由で、進路先を決定する学生がいますがおすすめはしない方法です。
大学の名前が「有名」というだけを理由にした決定する考え方、「ネームバリュー」ではは、その大学に「入学すること」が最終目標となってしまい、入学後「何を目標として学業に打ち込めばいいのか」という学習の方向性を見失ってしまいます。
「ネームバリュー」はあくまで補助的要素として見て、本質としては「その大学に入学したその先は何をしたいのか」を主軸とすると入学後、学習の方向性を見失うことはありません。
大学の学部選びが重要な理由
ここまで大学の「学部・学科選び」の軸の定め方と、やっちゃダメな決め方をご紹介してきました。
ここでは「学部・学科選び」がなぜ重要なのか、その「理由」をご紹介します。
大卒前にある「就職活動」で「なぜその学部に入ったのか」が問われる
大学に入学をして3年の月日が流れ、大学4年生へと進級する時期から多くの学生が「就職活動」を始めます。
この時多くの学生が、大学で学んできたことと結びつきがあまりない業界を選択していることが多いです。
そして選考面接の場では、企業側から「なぜ、某大学の某学部に入学を決めたのか」という質問をされます。
- 好奇心などの内面を知りたい
- 計画的に目標を立てて行動した経験があるかどうか
- 勉学に力を入れているかを知りたい
の3つの意図が隠れています。
たとえば「興味関心」がある「学問領域」を専攻している学部学科への入学を決めた学生であれば、その時の心境と趣を思い返して質問に答えられるでしょう。
逆にあやふや気持ちで学部学科を選んで入学してしまった場合、前者のような心境や趣で答えることができません。
つまり、「学部学科選び」は、「就職活動」などの場で問われる質問の返答に困る恐れがあります。
モチベーションの維持が難しい
「学部学科選び」の時にも説明しましたが、「興味がないことをする」という行為は、学習に対するモチベーションの維持が非常に難しいです。また反って大きなストレスとなって勉強や大学に通うことそのものに嫌気がさしてしまうことになります。
億劫に感じることを淡々とこなしていても、身につくものも身につかず、ただただ時間とお金だけを浪費していくだけの寂しい学生生活を送る羽目になります。
それでも「進路が決まらない」場合はどうすべきか?
大学だからこそ学べる事に目を向ける
「学部学科選び」の軸をやりたいこととして定めた場合、あまりにも「やりたいこと」「やってみたいこと」が多くてなかなか進路が決めきれないという学生もいるでしょう。
そういう学生は
「大学だからこそ学べる事は何か」
を考えて「学部学科」を選択してみるといいでしょう。
簡単に言いましたが、実はこの考え方をするのって、意外にも難しいものです。
たとえば「外国語」を学びたいとなれば、「外国語スクール(英会話スクール、中国語スクールなど)」に通えばいいです。
しかし、「外国語」を学びながら、その国や地域の歴史・文化の研究に触れられるのは大学だけです。
このように、なかなか答えを導き出せないパターンが多いでしょう。
しかし、冒頭でも言いましたが「焦る」必要はありません。
じっくり時間を考えて答えを導き出すことが大切です。
大学以外の選択肢に目を向ける
高卒後は必ず「大学に進学しなければならない」という、決まりはありません。
選択肢としては
- 専門学校に通って「専門的な技能」を身につける
- 短期大学に進学する
- 就職する
など、様々な道があります。
どれが自分にとって最善策なのか、じっくり検討をして道が決まったらゴールに向けてしっかりと下調べを行って受験の準備を進めていきましょう。
まとめ
以上が、「志望する大学」「学部・学科」が決まらない学生に向けて、「学部・学科選び」で抑えておきたいポイントと、これはやってはダメという選び方、そして学部選びがなぜ「重要なのか」のご紹介でした。
高校から大学への進学は、人生における1つの「ターニングポイント」ですが、進路先を間違えたからと言って、そこで人生終了ということにはなりません。
そこからいくらでも巻き返しができます。
高卒後は必ず「大学に進学しなければならない」という、決まりごとはありません。選択肢の例として「専門学校」や「短大」「就職」を上げましたが、それ以外にもたくさんの道があります。
今自分が興味関心を抱いていること、やってみたいことを旨に進路実現をしてみましょう。