高校に進学して2年目ともなれば、高校卒業後の進路を具体的に決めていかなければなりません。
高卒を機に就職をする生徒もいれば、大学・短大・専門学校への進学を決める生徒もいます。その中で「大学」への進学を決める生徒の多くは「経済学部」を選択されます。
選択される理由は様々ありますが、ダントツで多いとされているのが
- 学びたいことが目に見えない
- 経済学部に進んでいれば将来は安定
- 当たり障りのない学部
などです。
そこで今回は「特徴」が掴みにくいとされている「経済学部」のあるある事情をご紹介すると同時に「経済学部」という学部がどういうことをしているのかを解説していきます。
経済学部ってこんな学部
経済学部の基本情報
大学への進路決定時、志望学部の1つとして選択肢に入れられることが多い「経済学部」では、世の中の金銭の流れ・仕組み・影響を学びます。
この学びの軸には「マクロ経済学」と「ミクロ経済学」と呼ばれるものがあります。
「マクロ経済学」では、GDPや投資、貿易など国家レベルでの経済の流れを分析します。
一方の「ミクロ経済学」では、消費者や企業の生産・消費活動の対象を分析していきます。
また「経済学部」は、「文系」の学部に属しています。しかし、経済の流れや仕組みを分析し研究していく上で「数理的思想」を持ち合わせておく必要があるため、文系では珍しく「数学」を必須としています。
おおよそ文系の学部に進学する学生の多くが「数学を苦手」とする方ばかりです。
しかし、「経済学」において「数学」の知識は切っても切り離せない密接な関係にあります。
経済学部に通って何を学んでいる
「経済学部」では前述した「マクロ経済学」と「ミクロ経済学」の2つを軸として「経済史」「財政学」「金融論」などあらゆる業界領域に通じる学術論を学ぶことができます。また「数学」や「統計学」など、論理的思考やその実態を分析するために必要な学術も並行して学びます。
いずれも、就職活動をした時、世の中にあるあらゆる職業に通じる知識の土台を築き上げることができます。
ついては前述でいうどの学びも、下記のことに含まれることとなります。
理論経済学
まずは「理論経済学」です。
この学びには、「マクロ経済学」「ミクロ経済学」そして「計量経済学」など経済活動を数理的に分析していくものが分類されます。
たとえば「ミクロ経済学」では、主に「消費者」と「企業」を分析対象として、物の売買、商品の需要と供給など「受給理論」などを学びます。
一方で「マクロ経済学」では、国全体の経済の流れ・仕組みを分析対象としています。そこに該当するものは、国民所得や失業率、国全体の景気状況「インフレ・デフレ」など巨視的観測が見られるものを学びます。
応用経済学
次に「応用経済学」では、「理論経済学」で培った知識を応用して考察・分析を行っていきます。
たとえば「労働経済学」で「失業率」に関しては「マクロ経済学」の観点から考察ができるように、基礎的内容を理解していれば、それを専攻領域に活かすことができるというものです。
歴史と思想
最後は「歴史と思想」です。
経済の流れは時代のうねりとともに変化していきます。
故に今ある経済の形を紐解いていく上では、過去の経済史と思想を振り返っていく必要があります。
経済学部に通う学生の特徴
みんながみんな「起業」を目指しているわけじゃない?
「経済学部」では、「マクロ経済学」「ミクロ経済学」の2つを軸として、経済の流れや仕組みを学んでいきます。
その過程で得た学びの多くは、この先の雌雄職活動という点で、多種多様な仕事に就くことができる大きな足掛かりとなるでしょう。
それゆえに、学びに対する領域の幅が広いというものです。
ついては経済学部に通われる学生の多くが将来は「起業」を目指していると思われる方もいるでしょう。
その実をいうと、経済学部に通われる学生の大半が起業を目指しているわけじゃありません。そもそも、「経済学部」に通われる学生の多くが、将来自分が何かをしたいということを決めていないがため、行きついた先がここというのが多いです。
つまり、起業を志して進学している学生は、ほんの一握りということでもあります。
また、こと「起業」に関しては学部学科を問わず行うことができますが「ビジネス経験」「起業実現に向けた段取り」など様々な工程を経ておく必要があります。
それでも、学部を通して「ビジネス」とは何なのかを学ぶのに、経済学部はおすすめです。
【大学生のうちに起業するには】起業立案から事業開始までのロードマップをご紹介!「失敗」してもリスタートは可能!
【大学生必見】「マーケティング」の勉強方法教えます! 一生もののスキルを身につけて「ビジネス」を楽しもう
経済学部あるある事情
ここからはネット上にある「経済学部あるある」事情をいくつかご紹介します。
授業・学習
数学から解放されたと思いきや学部必修で、できないと省テストや試験で詰む
経済学部は文系の学部に分類しますが、経済学の研究を進めていく中で「統計学」を必要とする場面が多いです。そのため、「数学的知識」を身につける講義が必修となっています。
学部生が多い
「経済学部」に入学する学生は「ビジネスとは何なのか」「将来は金融・商社などの就職」を目指して入学する学生よりも、将来やりたいことが見つからない学生が入学する傾向にあります。
また試験の時、特に必修科目の試験時には1学年全員が集まるため、人数の多さを改め実感するでしょう。
真面目な学生よりも要領がいい学生が単位を取る傾向にある
学生数が多いがため、出席を取らない教授が稀にいます。ついては出席点が単位認定の時の評価に響かないということでもあります。
なので、毎週真面目に講義を受ける学生もいれば、定期的にサボリを入れる学生もいます。
しかし、試験時には後者の学生が単位を獲得するっていうことがあります。
要するに真面目に講義を受けていても、それを理解していけているか「要領の良さ」こそ、試験結果に反映されているということでもあります。
経営学部と間違われる
「経済学部」と「経営学部」って似ているようで、実は全く別の学問なのです。
詳しくは後程後述します。
学生生活
学びを活かして株やFXに手を出す
「経済学」で培った知識を活かして「株」や「FX」などの投資にチャレンジする学生がいます。
しかし、これらは出たとこ勝負によっては、大きな利益を得ることができますが、一歩間違えれば大損する1つの「マネーゲーム」です。
基礎知識があるからということで、手を出した結果大損している学生が多いという話を聞きます。
当たり障りがない学部
「経済学とは××の学問」という言葉が当てはまらないほど、多岐に渡る領域を学ぶことができます。
他の学部・学科のように突出した何かがあるわけじゃないため、「経済学部で学ぶ「経済」って実際のところどのようなこと学ぶのか」ってイメージしにくい側面を持っています。
経済学部は経営・商学は「同じ」分野の学問であると同時に全くの別モノ
「経済学部」には同じ学問分野にカテゴライズされる学部があります。それが「経営学部」と「商学部」です。
いずれも「社会の経済的な事象」という同じ学問分野になるためあながち間違いではありません。
しかし当然のことながら「学びの分野・視点」においてその中身は全くの別モノです。
以下はそれぞれの違いです。
【経済学部】
「経済学部」では前節でも述べたように社会全体の「仕組み」を「理論ベース」で紐解いていく学問です。
その理論のベースとなっているのが「マクロ経済学」と「ミクロ経済学」です。この2つをベースとして、経済事象の一般化・抽象化、そして現在起きている社会問題を考察・研究していきます。
また「文系」に分類される学部の中で最も「数学」を使用する学部でもあります。
【経営学部】
「経営学部」では、社会全体を見るのではなく、「企業や組織」といった経済主体に着目している学問になります。
「企業や組織」を動かすために必要な柱「ヒト・カネ・モノ」そして「情報」の4つの資源を活用して、会社経営の戦略を立てていきます。
具体的にこの4つの資源をどう活用していくかというと、たとえば新商品・新規サービスの売買を始めたいけど、「どの年代層に需要」があってどうすれば売れるのかというような問題に対して解決策を講じていくのが「経済学」です。
こりたとえでは「経営学」の1つ「マーケティング」に位置づいています。
そのほかにも、社員のやる気を引き出すにはどうすべきかといった「人材マネジメント」や会社の財務諸表を読み解いて、その会社が今どのような経営状況にあるかを分析する「簿記・会計」などがあります。
いずれも「理論ベース」というよりも、「実践」に近いことを学生のうちから学んでいく傾向にあります。
【商学部】
「商学部」でも、「経営学」同様に「ビジネスの何たるか」を実践形式で学んでいきますが、「経営の戦略」や「人材マネジメント」などではなく、商品や新サービスなどの売買、つまり「商い」を主に学ぶのが、この「商学部」になります。
とはいえ、「商い」をしていく中でも、「マーケティング」や「財務戦略」「会計業務」などは切っても切り離せない関係にありますので学ぶ内容では、「経営学部」と密接な関係性があるものとみてもいいでしょう。
ただし着目している点では「消費者」と「企業」との関係性について深く学んでいきます。
まとめ
以上が、「経済学部」のあるある事情と、「経済学部」という学部がどういうことをしているのかの解説でした。
経済学部で得られる学びの多くは、「理論ベース」の分析・研究が多いものとされていますが、いずれも社会に出た時役に立つモノばかりです。
大学進学を決めたころには自分が将来的にやりたいことを、見つけられなかった学生も、「経済学部」への進学をきっかけにやりたい分野の領域を見つけることができます。それは「経済学」が世の中にある職種・業界の土台・基礎となっているからというのもあります。
また「経済学部あるある事情」をいくつか取り上げましたが、全大学の経済学部が必ずしもそうであるかというとそんなことはありません。
各大学の「経済学部」ならではの特色があります。
少しでも今回取り上げて事情に共感してもらえたのなら幸いというものです。