就活をしていくと企業説明会や選考面接、はたまた内定先の企業の福利厚生の項目中に「服装自由/ビジネスカジュアルな服装でお越しください」というものが明記されている場合があります。
この項目を見て、当日「何を着ていけばいいのか」悩まれた方も多いのではないでしょうか。
そで今回は「服装自由/ビジネスカジュアル」という項目に頭を悩ませる就活生、新社会人に向けてもこの項目が持つ趣旨や意図、「ビジネスカジュアル」の基礎知識から基本的なコーディネートまでご紹介いたします。
1.ビジネスカジュアルの基礎知識
1-1.ビジネスカジュアルとは
まず「ビジネスカジュアル」というものは「ビジネスシーンにふさわしい私服」のことを指しています。
「私服」というからには、ラフなものをイメージされる方がいらっしゃいますが、「ビジネスカジュアル」はあくまで「ビジネスシーンに適した私服」を示唆しており、派手すぎない無地の襟付きシャツとジャケット、下はチノパン、革靴といった、スーツのように堅苦しくもなく、かといって緩い雰囲気ではない、落ち着きあるビジネススタイルを言います。
1-2. 男性のビジネスカジュアル
ここからは男性のビジネスカジュアルの基本的なコーディネートをご紹介していきます。まず男性の「ビジネスカジュアルの基本的ルール」として「誠実な印象」を相手に持ってもらうことが大切です。
「誠実な印象」って具体的にはどんな服装で行くのがいいのかというと、上記でも明記したように「無地の襟付きシャツとジャケット」を基本とします。色は派手なものでなければ問題はありません。無難に黒や紺、グレーの3色のいずれかを選ぶ方が多いです。同様に「サイズ」にも目を配りましょう。一回り大きいものを選ぶと、かえってだらしなく見えてしまいますので、スーツのジャケット同様、自分の体に合ったものを選ぶようにしましょう。
襟付きシャツはビジネスシャツのワンランク落とした「カジュアルダウンさせたシャツ」を選ぶようにしましょう。ジャケットとは違い、ストライプやチェック模様、水色、ピンクなどジャケットとは違っておしゃれなものを選びましょう。
次に履物です。ビジネスカジュアルでは「チノパン」と「革靴」が基本となります。
チノパンを履くことで、足先までスレンダーに見える効果が期待できます。色はベージュやグレーを基本とします。慣れてきた頃には白やチェック柄などを取り入れていきましょう。
最後に革靴です。革靴の色は着用しているベルトと同系色ものを選ぶようにしましょう。例えば黒のベルトを巻いているならば黒の革靴といったように、チノパンやその時の服装で革靴を選ぶのではなく、ベルトと革靴の色は「イコール」の関係となるように心がけましょう。
1-3. 女性のビジネスカジュアル
次に女性のビジネスカジュアルの基本コーディネートになります。
女性の場合、基本となるビジネスカジュアルスタイルは「ジャッケット、ブラウス、スカートもしくはパンツ(チノパン)のいずれか」を基本スタイルとしています。このスタイルコーデには「清潔感」ある服装であると同時に「仕事がしやすい服装」であることが女性のビジネスカジュアルでは求められます。
ここからは女性の「ビジネスカジュアル」のコーディネートとなります。前提として女性のコーディネートも男性と共通して「派手なもの」「柄物」は避けましょう。
- 上は「ジャケット」もしくは「カーディガン」を羽織ること。
男性同様、女性もジャケットを羽織ることで落ち着きある雰囲気を相手に印象付けます。ただし時として「スカート」や「ワンピース」を季節に応じて着用する方がいらっしゃいます。その時はジャケットとは別でカーディガンを選択するのもポイントとなります。
- 下はスカートかチノパンのいずれかを選択すること。
下に着るものをスカートにした時は、同じ色をしたジャケットもしくはカーディガンを羽織って、統一感を出しましょう。上と下が同色であれば相手から好印象を持ってもらえます。またスカートを選択するときの注意点があります。それは丈の長さです。具体的な長さの基準は「膝上」もしくは「膝下」が隠れる程度を基準とした長さがベストです。
スカート丈が気になる場合はチノパンを履くという選択もあります。
- 靴は「パンプス」を選ぶこと。
ビジネスカジュアルにおいて選ぶ「パンプス」のポイント2つです。
1つは「歩きやすさ」です。
客商売をする仕事であれば常日頃から店内を行ったり来たりと、長時間歩くことが見込まれます。履きなれない物や足に合わないものを選んでしまえば、足を痛めてしまう恐れがあるだけでなく、ケガへと繋がる場合もあります。試着の段階で自分のつま先にあったもの、足にフィットするものが自分にとって「歩きやすい」ものとなります。
2つ目は「持ち前のジャケットやカーディガンの色」とマッチするものを選ぶことです。
具体的には「派手な色」じゃなければ問題はありません。一般的には黒や白、ネイビーブルーの3色が定番の色といえます。
2.就活で問われる「服装自由」
2-1.「服装自由」に正解はないが、NGと呼べるものはある
会社説明会や選考面接の場からインターンシップ、内定を頂いた企業の福利厚生内における「服装自由」という項目を目にする機会があります。
この「服装自由」が学生や新社会人側の見解として「自由と明記されていてもスーツで行くのがベストである」と考えるのが無難です。
しかし、この時企業側から明記されている「服装自由」には「正解」というものは存在しません。つまりスーツで企業に行ってもビジネスカジュアルで言ってもいいということになります。ただし勘違いしないでほしいのは「ラフな格好(Tシャツや短パン)など」大学や遊びに出掛ける時の格好はNGとされています。
ニュアンスとしては「当日、弊社に赴く際の服装は「スーツ」もしくは「ビジネスカジュアル」のいずれか」という認識でいるのが好ましいです。
2-2.スーツとビジネスカジュアルの違い
次に「スーツ」と「ビジネスカジュアル」の違いです。
1つは「ジャケパンの組み合わせに自由なコーディネートができるか否か」です。
基本的にスーツもビジネスカジュアルも店頭には上下セットで売られていることが多いです。しかし、ここで大きな違いがあります。
スーツの場合、基本として「ジャケットとパンツ」は同色であると同時にピシッとしたお堅い雰囲気があります。
一方のビジネスカジュアルも同様な販売をしていますが、他のコーディネートで使用していたパンツと組み合わせることができる点です。もちろん色合いやその場その時の雰囲気を尊重することが大切です。とはいえ、フレキシブルにジャッケトやパンツを着まわせるのはビジネスカジュアルならではの利点です。
2つ目は「着用する場面」です。
どちらも「ビジネスシーン」にふさわしい服装という共通点を持っていますが、場面別で分けるとどっちの服装がよりふさわしいかが見えてきます。
例えば営業先と重要な商談をするときやカンファレンスなど、会社にとって重要な出来事に赴く場合は、スーツのようにかしこまった雰囲気がある服装こそがふさわしいです。
一方で結婚式や恋人とのデート、会社でのオフィスウェアなど、和やかな雰囲気がある場ではビジネスカジュアルな服装こそが場の雰囲気に適しています。
このように一言で「ビジネスシーンにふさわしい」といえど、場面別でみる雰囲気で着回すことで相手に誠実な印象を与えます。
3.企業がビジネスカジュアルを求めてくる理由
3-1.リラックスして存分に個性を出して面接に臨んでほしい
会社説明会や面接の場で企業側が明記している「服装自由」という項目には、様々な意図があります。
主に企業がこのように明記しているのは、「かしこまった雰囲気で話すのではなく、リラックスした状態のあなたらしさ」を見たいという意図があります。
確かに企業説明会や面接の場というものは、どこか重みがある雰囲気と緊張感漂う雰囲気がある厳粛な場という先入観が学生たちの間では刷り込まれています。それゆえに量産されたかのような没個性の学生たち1人1人と話しても「その人らしい個性」というものを見極めることできません。採用する側としても、やはり採用するならば個性あふれる学生を採用したいと考えます。
そこで企業側も没個性を漂わせるスーツ着用ではなく、その人を表現する「カジュアルな服装」「私服」という趣旨を踏まえて「服装自由で」と明記しています。
3-2.自由な社風であることをアピールしている
もう一つの理由として応募者の服装が、社風とマッチしているかを見極めるためや、うちは自由な社風であることをアピールして自社の魅力を伝えています。
中でもクリエイティブな仕事をする業界では、社内業務をメインとしているため、私服で勤務するのが通です。その中には「スーツに縛られない自由がある」「新しいビジネススタイル」であることを応募者にアピールしています。
またカジュアルな服装とはいえど、「ファッション」は着用者の個性を表現する1つの手段です。中でもアパレル業界では当日着てきたコーディネートでその人の「ファッョンセンス」を見極めるための判断材料にしている企業もあります。
4.ビジネスカジュアルの注意点
4-1.NGな服装
「ビジネスカジュアル」はあくまで「ビジネスシーンにふさわしい恰好」であることが前提です。この意味をはき違えて知らず知らずのうちにそれはビジネスシーンにふさわしくない格好をしていることもあります。NGな格好というものは以下のことを指します。
- チノパンではなく、ジーンズを着用している
- デニム生地の服装
- スニーカーやサンダル
- ピアスや指輪などのアクセサリー
- ストッキングを着用しないスカートとのコーディネート(女性)
そのほかにも共通認識として「派手な色」や「ブーツ」「過度な装飾」などデザイン性が際立つものは、ビジネスの場においてふさわしくはありません。
4-2.服装のみならず身だしなみも整えるべし
服装にばかり気を遣わず、「身だしなみ」にも気を配ることを忘れてはなりません。
ビジネスの場で最も大切なことは「清潔感」漂う容姿と、落ち着きある服装です。性別別に注意する点をあげます。
男性であれば「頭髪」「ひげや眉毛」「体臭」の3つです。中でも、「ひげや眉毛」の手入れ1つでその人の印象が左右されるといっても過言ではありません。ひげの剃り忘れから、眉毛の形が崩れるだけでも、不衛生、近寄りがたい人など負のイメージを相手に持たれます。
女性であれば「頭髪」はもちろんのこと、「メイク」「ネイル」「ストッキング」と男性以上に気を遣う場面があります。その中でも「メイク」「ストッキングの着用」はビジネスマナーの場において、重要なことです。しかし、中にメイクをすると肌が荒れるなどの事情を抱えた方もいらっしゃいます。そういう方は地肌の負担にならない程度のメイクを心掛けるようにしましょう。
5.まとめ
以上がビジネスカジュアルの基礎知識と基本的なコーディネートとなります。
スーツとは違い「ビジネスカジュアル」は私服を装ったラフなビジネススーツとイメージがぴったりです。それゆえに着用シーンもパーティーやデート、オフィスウェアといったお堅い場面ではなく、ラフかつリラックスできる場で着用するのがふさわしいです。
同様に説明会や面接の場で企業側から「自由な服装で」と明記された時も、この装いで赴くのがベストです。企業側もあなたの「個性」を見たいという趣旨があって明記しています。決して「スーツ姿でかしこまった雰囲気で話がしたい」ということを企業側は望んではいません。お互いにリラックスした状態かつ雰囲気の場で、面接を行いたいという意図もあります。