新型コロナウイルス感染症の影響により、私たちの生活は大きく変化しています。
学生たちの学習環境もまた、変化せざるを得ない状況となっています。
様々な対策や支援活動の動きが見られるようになってきたものの、コロナ禍で困窮する大学生は今も大勢いることに変わりありません。
意欲を持った学生たちの学びの環境を失わないために、様々な機関で学生に向けた給付金支援の動きが広がっています。
この記事では、大学生がもらえる給付金についてまとめました。
進学や修学を諦めてしまう前に、何かの足掛かりとなれば幸いです。
日本学生支援機構の給付型奨学金
奨学金と聞いてまず思い浮かべるのが、日本学生支援機構の奨学金制度ではないでしょうか?
低利子が発生する奨学金のほか、給付型の奨学金、つまり無利子で受け取れる制度もあります。
日本学生支援機構の奨学金を利用するためには、定められた申し込み基準を満たしている必要があります。
返還の必要がない給付型奨学金の概要・申請方法・対象者と締め切りについて解説していきます。
概要
日本学生支援機構の給付型奨学金は、経済的な理由で進学や修学を断念することがないように、学ぶ意欲のある若者を支えるために設立された奨学金制度です。
国費を財源としており、対象者には給付奨学生としての自覚を持って、学業に励むことが求められます。
やむを得ない理由などで、学業成績が著しく落ち込んだり、在学校から退学処分などを受けたりした場合には、返還が必要になることもあるので注意が必要です。
申請方法
必要書類を在学校へ提出して、インターネット(日本学生支援機構では「スカラネット」と呼ばれています)で申し込むのが、申請方法の大まかな流れとなります。
書類の提出やスカラネットでの入力は、決められた期限までに行う必要があります。
以下に、より詳しい申請方法の流れを記載してあります。
どのような手順が必要なのか、あらかじめ確認しておきましょう。
そして、日本学生支援機構のホームページや在学校で、より正確な情報をこまめにチェックしてください。
■申請方法の手順
- 在学校から申し込み関係書類を受け取る。「給付奨学金確認書」を作成します。
- 「スカラネット入力下書き用紙」の記入。提出書類の作成と取得。スカラネットで申し込みを行う際に必要な情報を、あらかじめ記入しておきます。
- 申込書類を在学校へ提出。決められた期限までに、「給付奨学金確認書」と「スカラネット入力下書き用紙」を在学校へ提出します。
- 識別番号の確認。在学校が提出書類を確認すると、スカラネット入力時に必要な識別番号(ユーザーID・パスワード)が交付されます。「スカラネット下書き用紙」も返却されます。
- スカラネットで申し込み。返却された「スカラネット下書き用紙」を見ながら、正確に入力してください。送信ボタンを押したら、申し込みは完了です。
- スカラネット入力の完了。入力が完了すると、受付番号が表示されます。受付番号は「スカラネット下書き用紙」と「マイナンバー提出書」に転記してください。
- マイナンバーの送付。スカラネットでの申し込み完了後1週刊以内に、在学校ではなく、直接日本学生支援機構に簡易書留で郵送します。
- 申請に必要な手続きの完了です。
※マイナンバーカード(あるいは通知カード)を用意しておきましょう。
マイナンバーカードをまだ作っていないという人は、早めの申し込みをおすすめします。
交付には1ヶ月以上かかる場合もあります。
今後、様々な手続きの際に、マイナンバーカードがあるととても便利ですよ!
対象者・締め切り
日本学生支援機構の給付型奨学金の対象となる人は、
- 学業成績
- 家計
以上2点の申し込み基準を満たしている必要があります。
その他の要件も細かく定められているため、年度ごとの募集要項を必ず確認しましょう。
原則として、毎年春と秋に在学校での募集が始まります。
時期を逃さないために、早めに在学校の窓口で相談するようにしてください。
■参考URL
日本学生支援機構のホームページ↓
https://www.jasso.go.jp/
日本学生支援機構の給付型奨学金について↓
https://www.jasso.go.jp/shogakukin/kyufu/index.html
「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』
新型コロナウイルス感染症の拡大は、世帯収入だけでなく、学生たちのアルバイト収入の激減や中止といった事態を引き起こしています。
学生生活にも、経済的な影響が顕著になっているのです。
「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』は、新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い設立された奨学金制度です。
詳しい内容を解説していきます。
概要
文部科学省では、経済的困難な学生などに対し、高等教育の修学支援新制度及び貸与型奨学金の家計急変対応、授業料納付の延期、各大学独自の減免措置への支援対応などを行っています。
今後、さらに状況が悪化すれば、学校を中退せざるを得ない学生たちが、益々増えることも懸念されます。
特に家庭から自立している学生において、新型コロナウイルス感染症の拡大は、アルバイトの減少・解雇など突然の収入減少といった事態を引き起こしています。
このような“学びの継続”が難しい状況を踏まえて、より早く現金が手元に届くようにスピードを重視した奨学金制度が、「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』です。
申請方法
学生の申請をもとに各大学等が審査を行い、日本学生支援機構(JASSO)にリストを提出します。
申請が通れば、日本学生支援機構から対象となる学生に奨学金が振り込まれる仕組みです。
対象者・締め切り
家庭から自立してアルバイト収入で学費等を賄っており、新型コロナウイルス感染症の影響でアルバイト収入が激減しているなどの理由から、修学の継続が困難になっている国公私立大学(大学院含む)・短大・高専・専門学校の学生が主な対象者です。
※日本語教育機関及び留学生を含みます。
学内の締め切りは、各大学等により異なります。
申請を考えている人は、早めに在学校に確認しましょう。
詳しい内容及び最新の情報は、文部科学省のホームページでご確認ください。
■参考URL
「学びの継続」のための『学生支援緊急給付金』~学びの継続給付金~
https://www.mext.go.jp/a_menu/koutou/hutankeigen/mext_00686.html
地方自治体からの給付金
都道府県や市区町村が設けている奨学金制度もあります。
給付型、貸与型の2種類がありますが、他の奨学金を受けている場合には、対象と認められない自治体もあるので確認が必要です。
対象者の条件は地域によって様々ですが、その地域の出身であることや保護者が住んでいることが条件である場合が多く、一般的に各地方自治体の教育委員会が窓口となって相談に乗ってくれます。
全体的に募集人数は少ないですが、学力や所得上限といった応募基準が比較的厳しくないことが特徴です。
まずは、住んでいる地域へ相談してみましょう。
各大学からの給付金
各大学でも、独自財源を利用した学生支援を行っている学校が増えています。
内容は各大学によって異なりますが、一律給付や学費・施設料等の減額で対策を取っている学校も多いです。
条件付給付を行っている大学もあるので、自分が在学している大学での確認が必要です。
給付額は大学によってさまざま
給付金を受け取れると言っても、実際のところ、いくらくらいを支援してもらえるのか気になりますよね。
給付額も各大学でかなりの差があります。
一概にいくらとは言えませんが、3万円~10万円程度の中で給付額を設定した私立大学が多く見られます。
給付方法も大学によって様々なので、こちらも合わせて在学校へ確認しましょう。
財団などからの給付金
多数の民間の団体でも給付金支援を行っています。
返還する必要のない給付金も多いので、どのような財団からの支援が受けられるのか、内容と共に一度確認してみることをおすすめします。
住んでいる地域等の条件を設定している財団もあります。
各大学へお知らせが届いている場合が多いので、募集条件と合わせて在学校の学生支援課へ確認しましょう。
給付金の不正受給はNG!大学生が詐欺罪で逮捕された事例も
コロナ禍で収入が激減し、生活さえも脅かされている人は大勢います。
そのような人たちにとって、給付金は命綱です。
困窮する学生にとっても、同じことが言えるでしょう。
給付金政策が広がる一方で、給付金の不正受給も問題になっています。
これまでにない緊急事態なだけあって、地盤ができあがっていない状態で、それぞれの団体が探り探り対策を考えています。
そういった状況を悪用して、自分の利益だけを考える人もいるのが現状です。
7月には大学生が給付金に関わる詐欺罪で逮捕された事例もありました。
今の状況の中で一人一人が何をすべきなのか、改めて考える必要がありそうです。
こまめに情報をチェックして給付金を受け取ろう
これまでに事例のない状況が続く中で、試行錯誤を繰り返しながらの対策が考えられています。
情報も日々変化しています。こまめな情報確認が、とても大切ですね。
そうは言っても、決して明るくはないニュースばかりを毎日耳にするのは、精神的な負担にもなりかねません。
一人一人の感染拡大対策と同時に、今の自分にとって必要な情報を取捨選択する力が求められているのではないでしょうか?
日々変化する状況の中で、“諦める”ことではなく、“今の時点でできること”を考えていきたいですね。
学生生活を諦めることなく送れるように、必要な情報をこまめにチェックし、大切な給付金を受け取りましょう!”