「保育士は労働がキツイのになぜ給料が安いのか」「今よりお給料が高いところに転職したいけど、どうしていいかわからない」
子どもが好きで保育士になっても、給料が低く辞めてしまう保育士が後を絶ちません。保育士が給料を上げるためにはどうしたら良いのでしょうか。
この記事では、保育士の給料が低い理由、私立と公立の給料格差の実態、年収をアップする方法について紹介しています。
高給料の保育士求人を見つける方法も紹介しているので参考にしてください。
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なぜ保育士の給料は安いのか、その理由とは
勤続年数が長くても手取り10万円台は当たり前なのは評価制度がないから
保育士の仕事は給料が安く、正社員でフルタイムで働いても、入社2年目で月収11万円、6年目で月収14万円という例もあり、家賃を払ったら手元に生活費がほとんど残らない、というのが実情のようです。
勤続年数が長くても、一般企業に比べて給料が上がらないのは、もともとの基本給が少ない上に、昇給がほとんどない保育園が多いからです。保育士が長年勤めて仕事に関するスキルがあがっても、それを評価し給料に反映するシステム自体がないため、給料が上がらず安いままなのです。
もともと給料が低く設定されていた
国家資格を持った「保育士」の給料が低く設定されているのには、長いこと保育の仕事に対する偏見が背景にあります。保育の仕事は誰にでもできる仕事で専門知識は要らず、重要度が低いと考えられていました。
そのため賃金構造基本統計調査で保育士の収入をみると、給料は低く設定され、今でも現状はあまり変わりません。
しかし男女雇用機会均等法により、子供が小さいうちからフルタイムで働く女性が増え、保育園のニーズは高まっています。必要な保育職員の数は増加し、低い給与で働かなければいけない保育士が次々と誕生しています。
財源が限られている
保育士の仕事の専門性や重要度について理解されつつあるのに、一向に保育士の待遇が良くならないのには、制度上の問題があります。
認証保育園の収入額は公定価格により決まっていて、保育園側が自分たちで値段を設定することができない仕組みになっています。保育時間が長引いて残業が発生しても、保護者から保育料をその分多く取り保育士の給料に反映させることはできません。
公的価格は、国や地方自治体から支給される補助金と保護者から集められている保育料で賄われています。保育料は済んでいる地域や、子どもの年齢、預かる子どもの家庭の世帯収入によって決まるため、地域によってばらつきがあるのです。
人件費になるべきお金の不正使用
保育園の規制緩和
保育園の数が少なく、待機児童問題が解決しないため、厚生労働省は2000年に事業者の規制緩和に踏み切りました。それまでは保育園の設置ができるのは地方自治体か、社会福祉法人に限られていましたが、規制緩和を機に、運営主体が民間企業やNPO団体、宗教法人の場合も保育園の運営に参入し、基準を満たしていれば認可を受けることができるようになりました。
本来使われるべき人件費が削減、運営費を営利目的で使う
認可保育園と認められる施設には国や地方自治体から補助金が支給されるため、営利目的で運営される施設の数が増えたことで、元々保育園で使われるべき人件費がさらに削減される事態が起きています。
私立の保育士と公立の保育士の給料格差の実態
私立保育園の保育士の給料
保育士の収入は、施設の種類によって大きく変わってきます。一番給料の水準が低いのは私立保育園の保育士です。私立保育園の収入モデルですが、35歳平均月収が約21万円、年収に換算すると平均310万円で、全職種平均より約11万円も安くなっています。私立の保育園は昇給幅も少なく、65歳のベテラン保育士でも月収29万円となっています。
制度緩和のため、最近は少人数制の保育園も増えていますが、大規模保育園にくらべると小規模保育園の給与水準は低めの傾向があります。
公立保育園の保育士の給料
自治体の給与表で決まる
公立保育園の保育士の給与の支給額は、自治体の給与表で決められています。
例えば、練馬区の保育士(公務員)は
平均月収:31万円、
平均年収:646万円
と決められており、練馬区の公立保育園はどこの施設でもこの額の給料が支払われます。ただし、全員がこの金額をもらうわけではなく、勤続年数によって、昇給があり、年功序列制の給与体系となっています。
公立保育士の方が給料は高い
私立と公立では初任給は変わらないが昇給に差あり
私立保育園と公立保育園の保育士の収入ですが、就職したての時期には大きな差はありません。しかし、昇給の幅に差があり、年齢を重ねるにつれて格差が大きくなります。
そのため、勤続年数が長くなれば長くなるほど、私立の施設の保育士の方が年収が低くなる傾向にあります。
都道府県など地域によっても給料の差あり、東京は高い方
また保育士の年収は地方格差があります。東京や大阪など大都市の方が金額面でみると収入が多くなる傾向にあります。
ただし、都市部は家賃の相場や物価も高めなので、出費も多くなり、収入が足りずに生活面で苦労するという点では変わりがありません。
正社員の保育士が年収アップする方法とは
保育園なら私立より公立、認可保育所がおすすめ
正規のフルタイムで働いている保育士が、年収アップを目的として転職するのであれば、私立よりも公立保育園を選んだ方が年収アップの可能性が高くなります。
県立や都立など公立の保育園で雇用される公務員保育士は、採用試験を受け合格する必要がありますが、公務員に準じた給与が支払われ、毎年の昇給が約束されているからです。
私立でも認可保育所なら給与アップ
私立の保育園に就職するなら無認可の施設より認可保育園を選んだ方が、年収アップの可能性が高まります。
認可保育所とは社会福祉法人や株式会社が運営し、自治体によって保育士の数や設備の内容について認可の基準が定められています。認可保育所は公費により運営され、施設には補助金がおります。
同じ認可保育所でも株式会社よりも社会福祉法人が運営する認可保育所のほうが補助金は多く支給されます。補助金は保育園の収入となりますので、保育園に入る補助金が多い社会福祉法人運営の保育園の方が多く給料をもらえる可能性が高くなります。
保育園より企業内保育所の方が年収アップの可能性あり
大手企業なら高待遇、給料アップ、昇給あり
給料面で良い条件の保育の仕事を探している人には、企業内保育所で働くという手段もあります。経営の安定している大企業や大病院の中の保育園で働く保育士の収入は高めで、賞与の金額の水準も保育施設の中では高めです。従業員の福利厚生に対する取り組みもしっかりしています。
企業が経営母体であれば優秀な人材を確保するために、保育士の昇給や福利厚生の充実に柔軟に対応してくれます。
給料以外のメリット
企業内保育所で働くことは、収入以外の点でもメリットがあります。企業内保育園はその性質上、運動会や遠足など大掛かりなイベントが少なめです。立地の都合上、園庭がない所も多く、子どもに外遊びをさせる労力もかかりません。
また、企業内の保育園は、企業のカレンダーに従って運営しているので、土日祝日がしっかり休める施設が多くあります。
非正規雇用ならパートより派遣の方が高給料
パートの時給が派遣より低い理由
保育士は同じ仕事内容でも、「派遣」と「パート」と雇用形態が変わることで時給が変わります。派遣の給与水準はパートよりも高いのが一般的です。
「派遣」と「パート」給与に差が生まれるのは次のような理由があります。
パートは採用にコストと手間がかかる
パート保育士を募集するときは通常施設は求人サイトに広告を出します。そのため施設には、パート募集のために求人サイトに支払う広告費の負担が発生します。
その上、掲載申し込みや広告費支払いなど、求人サイトへの掲載手続きの手間もかかります。
パート採用には社会保険の費用負担が発生
自社でパートを雇った場合、企業はその人員分の厚生年金や健康保険代を従業員と折半して負担します。
パート従業員の雇用には給料にプラスして、社会保険代というコストが施設にかかります。
パート採用で発生する事務作業
また、パート従業員を雇うことで、給料の支払いや保険の手続きなどの事務作業が発生します。企業には人事や経理の仕事が発生し、それらの仕事をおこなう知識や手間が必要となります。
欠員補充のリスク
保育の現場では、保育士の突然の退職で急な欠員が発生することが良くあります。もともとパートで勤務を希望する人は、正社員に比べて離職率が高く、従業員の入れ替わりが多くなります。
急な欠員が出た場合は、通常よりも少ない人数で保育をしながら、欠員の人員分の募集や面接、採用後の研修をしなければならず、保育施設の現場の負担がどうしても大きくなります。
パートを雇うためには、施設にコストと手間がかかってしまうため、支払える給料も下がってしまい、パート保育士の時給は1000円~1200円の水準の給料が平均となっています。
派遣社員の時給が高い理由
厚生年金、健康保険は派遣会社が負担
派遣社員の場合、パートとは異なり、従業員の厚生年金、健康保険は派遣先(保育園側)でなく派遣会社が負担します。
そのため、派遣社員を雇うことでも、社会保険費の負担がなく保育園側としても気楽です。
派遣社員の採用で施設に事務作業は発生しない
派遣社員に支払われる給料や保険の手続きは派遣先(保育園側)ではなく、派遣元が負担しています。
そのため、保育園側にコストや手間がかかりません。
派遣社員の欠員補充は施設にとってローリスク
派遣された従業員の退社によって急な欠員が出た場合、その欠員補充については派遣会社が責任を持ちます。
保育園は派遣元に欠員補充依頼を出し、応募してきた保育士と面談し、採用が決定したのちも、簡単な研修を行うという最小限の負担で欠員補充が完了します。
採用に伴う施設負担のコストと手間がパートよりもかからないため、派遣社員として保育園で働く場合、時給の相場は1000円~1500円とパート社員よりも高めになります。
これはパートではなく派遣社員して働く一番のメリットです。パートだとキャリアはなかなか時給に反映されませんが、派遣の場合は、保育士の経験者はキャリアを考慮してもらえ、時給2000円以上の好時給で働けるケースも珍しくありません。
派遣登録には保育士資格が必要
保育士の派遣社員として働くためには、保育士の資格が必要です。
保育士以外の民間の資格を持っている場合は、さらに優遇されるので、派遣登録の時に持っている資格を申告するようにします。
稼ぐならパートより派遣がおすすめ
職場が合わず、転職したいとき
派遣で保育士として働くことは収入以外の点でもメリットがあります。
パートの場合、職場が合わず退職した時、勤務先に事情を伝え、自分ひとりで退職の日時を勤務先と交渉して決めなければいけません。退職後は次の就職先を見つける必要があります。
派遣社員の場合、派遣元に言えば手続きはすべて派遣会社がおこなってくれるため、派遣で働いていると簡単に職場を変えることができます。
紹介予定派遣の利用で正社員になれる
派遣は雇用が不安定なので、正社員として働きたいという人は、紹介予定派遣の仕事を探すのがおすすめです。
紹介予定派遣は一定期間、派遣社員として勤務しますが、勤務先との合意が得られれば、派遣期間終了後に、正社員として働くことができます。紹介予定派遣には派遣社員の期間中に仕事内容や、職場の内情を詳しく知ることができるというメリットがあります。
保育士は正社員より派遣の方が稼げるのか
残業代を考慮すると派遣社員の方が稼げるケースも
派遣という雇用体系は正社員より不安定とみなされることが多いのですが、残業や休日出勤時に支払われる賃金など、正社員よりしっかり守られている側面があります。
コストの面からみて、派遣社員は正社員のような長時間の残業や、持ち帰り仕事が発生しにくくなっていますが、派遣社員に残業や休日出勤が発生すると、時間に応じた残業代だけでなく割増の賃金が発生します。
正社員の場合、持ち帰り仕事やサービス残業なども日常茶飯事だとは思いますが、派遣社員ではそのようなことがないため、残業代などを考慮すると、結果的に残業代が満額出る派遣社員の方が稼げるケースもあります。
正社員より派遣の方がメリットが大きい
保育補助なら無資格OK
保育の仕事に興味があるけれど、保育士の資格を持っていない場合、保育補助という仕事があります。派遣会社で紹介される求人の中には、無資格や未経験でも応募できる保育補助の仕事も含まれています。
保育士資格を勉強しながらキャリアを積んでおける
派遣には保育士を目指して資格取得のための勉強をしている人でも、応募できる求人があります。勉強の時間を確保しつつ、保育の仕事のキャリアを積めるという働き方ができます。
保育補助の仕事は、無事保育士の資格をとって就職する際に「経験あり」とみなされるため、競争率の高い条件のよい施設に応募した時に、有利になります。
職場の悩み相談を派遣先に相談でき、勤務先と交渉できる
保育士の離職理由で大きなウェイトを占めているのが「職場の人間関係」というデータがあります。正社員の場合、職場での対人関係でパワハラなどのトラブルが起きた場合、自分で対応しなければなりません。勤務歴の浅い保育士は対応しきれず、泣く泣く自己都合で退職してしまうケースが多く見られます。
しかし、派遣社員として働いているのであれば、職場で起きたトラブルは派遣会社に相談することができます。派遣会社に間に入ってもらって勤務先に交渉してもらうことで、泣き寝入りすることなく問題が解決する可能性が高くなります。
保育士は離職率が高く派遣の需要は増えている
保育士は離職率が高いことで有名な仕事です。また、女性保育士が産休をとることも多く、保育施設は急な人員確保のため、派遣会社を利用する割合が増えています。保育施設にとっても、すぐに現場のニーズに対応できる派遣保育士の雇用は大きなメリットがあります。
さまざまな施設でキャリアを積むことができ、自分の時間を確保しつつ、働き方によっては派遣のほうが正社員より稼げる可能性あるため、あえて派遣保育士として働く保育士も増えているのが現状です。
高給料の保育士求人を見つけるには
高給料の求人を見つけるためには相場を事前に知る
高給料の求人を見つけるためには、事前にその地域の保育士の時給の相場を調べて把握しておく必要があります。その地域の相場を知らなければ、自分の見つけた求人の給料額が適切な額か判断できないからです。
拘束時間が長く、低賃金が社会問題になっている保育士の時給ですが、保育士専門の転職エージェントであれば無資格であっても時給1000円以上の求人を簡単に見つけることができます。
長時間労働を避けたい人であれば、派遣やパートの求人も豊富な保育士専門求人サイトで都合よく働ける勤務時間を選ぶことも可能です。勤務時間を早朝や遅い時間帯を選択することで、さらに時給アップが期待でき、効率よく収入を得ることができます。
保育士専門の転職エージェントの利用がおすすめ
保育士の仕事を効率よく探すには、保育士専門の転職エージェントの利用がおすすめです。保育士の求人は保育士の専門サイトやエージェントに集中していますし、エージェントであれば、一般向けに公開されている求人以外にも、独自で保有している非公開求人を多数取り扱っています。
非公開求人には条件の良い優良求人が多く含まれているため、高給料や労働環境のよい保育士求人が見つかる可能が高いです。
また、保育業界に精通したプロのコンサルタントに相談し、フォローをもらいながら転職活動を進めることができます。条件面の擦り合わせや交渉などもすべてエージェント側が対応してくれます。
高時給の求人が豊富な保育士求人サイト
保育士さんが認める保育士ワーカー
保育士ワーカーは、キャリアアドバイザーに元保育士の女性も在籍しており、悩みの共感をしてもらえ、相談しやすいと定評があるエージェントです。
全国に拠点があり、登録者の住まいに詳しいアドバイザーが担当してくれるため、希望する地域の詳しい情報を得ることができます。面談は保育バンクの拠点でも可能ですが、電話とメールでも完結できるため、現職を続けながらでも転職活動しやすいです。
業界の中でも取り扱い求人数が多く、保育バンクのみの非公開求人も多数取り扱っています。
全国の保育施設、関連施設の求人を多数取り扱っていて、全国10拠点の営業所で日本中の保育士さんの転職サポートを行っています。
※資格を保有している方のみご利用できます。
保育士に人気の転職サイトの評判やおすすめの転職サイト・転職エージェントのランキング、転職サイトを一覧で比較した表をまとめています。保育士からの転職、保育士への転職を考えている人は参考にしてください。
まとめ
保育士の給料が低い理由は、もともとも水準が低いだけでなく、キャリアを評価する制度がないこと、財源が限られていること、運営費を営利目的に使い人件費が削減されていることなどが考えられます。
また、公立の保育士に比べ、私立の保育士の方が給料が低く、私立の中でも大規模保育園よりも小規模保育の方が給料が低い傾向にあります。よって、保育士が年収アップを狙うなら、私立よりも公立の保育園を選んだ方が良いでしょう。
また、保育園よりも企業内保育所の方が年収が高い可能性があります。非正規雇用ならパートよりも派遣社員の方が時給が高く、残業代や休日手当ても満額発生し、割増賃金も発生するため正社員よりも稼げる可能性もあります。
高給料の良い条件の保育士求人を見つけるには、自分の地域の相場を事前に知っておくことが大切です。そして、保育士専門の転職エージェントを利用して非公開求人を紹介してもらうことで、よい良い条件の求人に出会う可能性が高まります。
この記事を参考に転職活動を成功させてくださいね。