元々司法書士事務所で働いていて、仕事も次々に入ってくるし、独立してもやっていけるのではないか…と勢いで事務所を構えたのはいいものの、売上に伸び悩んだり、継続的な案件もなく事務所経営が厳しい…という人も多いでしょう。
手遅れになる前に事務所を畳もうかと考えてはいても、司法書士として転職するのか、異業種に転職するのか悩んでいませんか?
この記事では、司法書士からの再就職先と、独立失敗からさらに転がり落ちないための転職方法について紹介します。転職前にこの記事を読んで、事務所を畳んだ後の自分のキャリアについて考えてみましょう。
- 職種
- オールマイティー
- 公開求人数
- 200,034件
- 対応地域
- 全国
- おすすめ年代
- 20代~
司法書士が独立失敗する理由
経営者として「欠けているもの」が多かった
人脈がないのに独立してしまった
司法書士に関わらず、事務所開業するからには同業者や顧客の人脈が欠かせません。同業者からは同じ業界に携わる者として、今の業界の動向や売上向上のための工夫がきけます。
最も重要なのは顧客の人脈です。人脈のある顧客との関わりを持つことで、顧客からさらに顧客を紹介してもらい、案件数を増やすことができます。
ところが、この人脈もないままに、「どうにかなる」という精神で独立してしまうと、地元に根差して運営している司法書士事務所が多い中で孤立してしまい、案件数も減少の一途をたどることになってしまうのです。
司法書士以外の資格でも、資格の所有者なら五万といるものですが、ここから人脈を活かして事務所を経営していく力がある人はほんの一握りなのです。
売上目途がないまま、開業してしまった
司法書士事務所として独立するからには、月の売上がどれくらいで、支出がどれくらいかかるのか…という目途を立てる必要があります。
しかし、元々人口の少ない町や、土地の売買もそれほど行われていないくらい開発が進んでいいない町に「家賃が安いから」などの理由で事務所を建ててしまうと、土地の売買に関する業務のうち、抵当権、賃借権の登記などの手続きの代行などの仕事が入ってきません。
売上目途を建てずに事務所を借りて開業してしまうと、どの土地に事務所を構えるとどの案件が月にどれくらいあるのかも不明瞭なため、すべてその場しのぎになって廃業する結果となってしまうのです。
司法書士としては優秀だが、営業スキルがなかった
仕事のスピードも速く、正確で、知識もあって…司法書士としては優秀だからといって、経営者としても優秀だとは限りません。事務所に所属して司法書士として活躍していた頃は、営業をかける人が他にいて、自分は舞い込んできた案件に関して全力で取り組むことに専念してきたという人も多いでしょう。
しかし、自分で司法書士事務所を構えたからには、営業も自分自身で行い、多くの案件獲得に努めなければ、経営は破綻してしまいます。
司法書士としてのスキルは高くとも、見ず知らずの人に事務所を売り込む能力、頭を下げて頼み込む覚悟、SNSなどを駆使して事務所を告知する力などがなければ、案件数は減少し、独立失敗に終わる可能性が高くなってしまうのです。
専門性やブランディング能力がなく、事務所としての強みに欠けた
司法書士事務所として成功するためには、「他の司法書士事務所にコレだけは負けない!」という専門性や強みが必要です。芸能人が自分自身をブランディングしてキャラクターをつけて売れていくように、司法書士事務所として大成するためにもまた、事務所をブランディングしていかなければ、他の事務所に仕事をとられて、競争に負けてしまいます。
特にこれといった強みもなく、オールマイティに自分のペースで案件を処理していると、顧客の印象にも残りづらく、結果的に案件を獲得できず、独立失敗になってしまうことが多いのです。
迅速な対応、格安な料金、親切な対応、女性に優しい、高齢者や障がい者顧客のためにバリアフリーにしている…など、何かに特化せずに経営してきた司法書士事務所はあまり長続きしません。
「過払い金のご相談」ブームも終焉に
一時期テレビCMなどがよく放映されていた過払い金の請求に関する業務も、司法書士の業務として請け負っていた人が多いのではないでしょうか。
しかしながら、過払い金の請求に関しては、「2008年12月以前、借金の完済から10年以内」という規定があるため、2018年現在では該当件数自体が減っているという問題にぶつかっている事務所も多いのです。
さらに借金や過払い金の請求業務に関して、弁護士が対応できるのが140万円以上であるのに対して、認定司法書士は140万円以下のみが対応可能となっており、請け負うことができる案件も限られてしまいます。
一時期は認定司法書士として過払い金業務で安定した利益を上げていた事務所でも、上記のような事情から過払い金以外の業務で利益を上げる必要があるため、事務所存続の危機に立たされているところが少なくありません。
そもそも「稼げない資格」として認知度が上がっている
法務省の平成27年のデータによると、10年前と比較して不動産登記は33%、商業登記は27%減少しています。不動産登記も商業登記も、インターネットの普及によって、わざわざ司法書士に依頼しなくとも法務省の無料相談に行ったり、インターネットを使って自分で調べたりと、司法書士として稼げる時代は終わったといっても過言ではありません。
認定司法書士も、弁護士のように法廷に立てるのは限定的であり、業務の幅があまりに狭いため、請け負うことができる案件が弁護士に比べて少ないことも「稼げない資格」として認知される一因になっています。
さらに司法書士に対する案件数のバランスが悪く、廃業するものが増えています。2013年の司法書士白書によると、「業務廃止による取消者数」は平成16年度以降増加し、平成24年度では536名と急増、20年前の平成4年度には200名だったにも関わらず2.7倍の司法書士が、業務廃止による資格取り消しとなっているのです。
これだけ多くの司法書士が資格を取り消していることから、司法書士業界がいかに衰退しつつあるかを如実にあらわしています。
司法書士で独立失敗した人におすすめの再就職先
では、廃業した司法書士はどこに再就職しているのでしょうか。司法書士のスキルや資格を活かすことができるおすすめの再就職先について解説します。
【悲報】独立失敗した司法書士を雇ってくれる事務所はほぼない
独立に失敗したけれど、司法書士として事務所に勤務するという選択肢を思い浮かべる人は多いでしょう。しかし、残念ながら事務所を構えた経験があり、一度でも「所長」として人を使う立場になったことがある司法書士を積極的に雇用したいと考えている事務所は少ないのです。
一度経営する側になった司法書士は、独立しようと思うだけの自分だけの仕事のスタイルを確立していることが多く、雇用しても事務所の方針に従ってくれるとは思い難いからです。
また、一度経営者になったことがあると、元経営者としてのプライドがあって、事務所側の指示を素直にきいてくれるとは想像できず、事務所的に使いづらい印象が強いため、司法書士事務所に勤務するのは難しいといえます。
元司法書士のスキルが重宝されるのはバックオフィス
司法書士の資格が活かせないとなると、司法書士として勤務してきた中で得てきたスキルを武器に転職するという方法があります。
司法書士時代に培った書類作成や書類チェックなどのスキルは、ミスが許されない事務的な仕事で存分に活かすことができます。
元々依頼者の困りごとを解決する業務を担っていた司法書士にとって、誰かのサポート業務を遂行するのはお手の物です。具体的な転職先としては、たとえば企業の一般事務や営業事務として勤務し、社員全体や営業担当者のサポートを行うにあたり、司法書士の上記のようなスキルを活かすことができます。
登記書類作成などでは、一切のミスが許されない中、多くの仕事をこなしてきた司法書士にとって、請求書や領収書の不備に気がつきやすく、同時にトラブルシューティングスキルもあるため、転職後に即戦力として活躍することができます。
法律知識を活かすなら不動産業界
司法書士としては法律に関する知識も得てきて、実際に司法書士の業務として法律相談も請け負ってきたという人も多いでしょう。
弁護士と違って、司法書士が可能なのが簡易裁判所での訴訟手続の対象となる事件に限定された法律相談だったとしても、司法書士の国家試験では法律に関する勉強を深く行ったはずです。
このような法律知識を活かすなら、不動産業界への転職がおすすめです。不動産業務には不動産法といった法律が関わっているため、法律の知識がある司法書士のニーズは高いのです。
また司法書士時代はクライアントや同業者と関わることが多いため、コミュニケーション能力、人間関係構築力を生かし、不動産営業、不動産事務として活躍することができます。
独立失敗からさらに転がり落ちていかないための転職方法
畳んだ事務所とつながりのある職場は避ける
司法書士事務所を設立したものの、人脈がなかった、営業力がなかったなどの理由で独立失敗に終わる司法書士も多いのが現実です。
独立失敗によって事務所を畳み、転職を決意した場合、独立で失敗したことが転職においてマイナスイメージになることは必ず避けたいですよね。
そのためには、畳んだ事務所とのつながりがある職場を避ける必要性があります。たとえば元依頼主の企業、解雇した従業員がいるかもしれない企業などが挙げられます。
自分だけでは新たに転職先を探す、情報を仕入れるのには限界がありますが、廃業後からの職探しでは間に合わないため、効率的に転職活動を行う必要があります。
転職エージェントを経由して転職先の内部事情を探る
大手の法律事務所とも取引がある総合型転職エージェントであれば、転職先の内部情報を効率よく収集できるため、独立失敗の過去を知っているか、過去に関わりのあった企業や人物との関連がないかどうかを転職前に知ることができます。
さらに、独立で失敗したという経歴についても、書類や面談の対策段階でキャリアコンサルタントからサポートを受けることができるのです。
doda
dodaはさまざまな年代・業界の求人を取り扱っている転職サイト・エージェントです。
司法書士の資格がある旨を伝えておくと、担当のキャリアアドバイザーが資格を活かして働ける求人を優先的に紹介してくれます。
年収についても希望を元に求人の提案を行ってくれるので、転職で求める条件に即した求人が見つかる可能性が高いです。
専門性を活かした転職をしたいのであれば、活用して損はありません。
dodaにはハイクラス専門のdodaXというサービスもありますので、より司法書士としてハイクラスな求人を探したい方にもおすすめです。
\長く続けられる理想の職場探しを無料サポート/
MS-JAPAN 管理部門特化型エージェント
25年以上の豊富な転職ノウハウと、最新の求人・転職情報をもとに、専任のキャリアアドバイザーが求職者に最適な転職をサポートします。会計・税理士事務所や監査法人はもちろん、大手上場企業や外資系など管理部門から資格のスペシャリストまで求人を抱えている。公開されている求人はたくさんありますが、それよりも多いのが非公開求人です。
企業は、より良い人材を求めて、非公開にしている求人情報がたくさんあり、キャリアアドバイザーとの直の交渉によりそれらの求人情報を提供してもらうことができます。キャリアアドバイザーは、求められる人材と求める仕事のマッチングをしっかり行ってくれるので、転職後のミスマッチを防ぐことにもつながります。
職種に特化したセミナーや相談会を随時開催。転職関連のコラムも掲載している、管理部門特化型の転職エージェント。行政書士求人は800件ほど公開しています。
弁護士ドットコムキャリア
登録弁護士数17,000人を超える弁護士ドットコムが運営する、弁護士業界を知り尽くしたキャリアコンサルタントによる弁護士・法務担当者のための転職エージェント。
日本最大級のネットワークによる、キャリアプラン、面接対策、求人相場、求人紹介までスピーディーで強力なサポートと代表弁護士の人柄や法律事務所の特徴など、求人票からは分からない職場のリアルな情報も把握できます。
全国対応、秘密厳守です。
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、転職成功率NO.1の転職エージェントです。業界最大手で企業の信頼も厚く、公開求人以外に20万件以上の非公開求人を抱えています。各業界に精通したキャリアアドバイザーのサポートを受けられます。
具体的には、転職イベント・企業セミナーなど、無料セミナーも充実しており、転職希望者に有利な選考や年収交渉ができます。
大手リクルートならではの総合力で、大手法律事務所とのつながりもあるため、内部事情にも精通しているという点も魅力的です。
さらに全国各地に拠点を構えており、土日対応も可能のため、地方在住の人や、今も司法書士事務所の所長として勤務中で土日しか転職活動ができない人でも活用することができます。
エグゼクティブ専門 リクルートダイレクトスカウト
マネジメント職や弁護士・行政書士などの専門職といった即戦力・ハイクラス人材に特化した、国内最大級のハイクラス・エグゼクティブ専用、会員制の転職エージェントです。
リクルートダイレクトは、会員制であることによって、紹介できる非公開案件の数もかなり多く、非公開求人の中には公開求人ではまずお目にかかれないような弁護士・行政書士の資格を活かせるハイクラス求人が含まれています。
ハイクラス専門だからこその手厚い支援によって、スキルに自信のある人や、実績に自信のある人は、よりハイクラス転職が実現しやすくなります。
※年収800万円以上の求人情報を49,000件以上保有しています。(2022年9月時点)
※直近年収600万円以上の方限定です。電話・オンライン面談対応。
弁護士・弁理士の転職におすすめの転職エージェント・転職サイト30社を比較してランキング形式で紹介しています。弁護士・弁理士として年収アップ転職したい人、弁護士・弁理士から異業種転職したい人、未経験で弁護士・弁理士に転職したい人それぞれおすすめの転職エージェントを紹介します。
まとめ
せっかく司法書士事務所を立ち上げても、営業ができなかったなどの理由で廃業する人も多く、事務所への再就職も難しいという現実があります。
このような場合、司法書士のスキルや知識を活かせる転職先は以下の通りです。
・一般企業のバックオフィスで一般事務、営業事務としてサポート業務にまわる
・不動産業界で法律知識を活かし、不動産営業や事務職として勤務する
独立失敗から年収をできるだけ下げずに転職するためには、転職エージェントに相談した上で独立失敗の過去がマイナスイメージにつながらないような応募書類を作成する必要があります。
できるだけ大手の総合型転職エージェントを活用し、転職活動を有利かつ効率的に行いましょう。