安定した転職先を探している32歳にとって、公務員は魅力的な仕事です。
しかし、「公務員に転職したいけど、もう32歳だから、現実的に考えて無理なのではないか」とあきらめてしまう人もいます。
自分の経験では無理なのではないか、試験勉強が難しそう、といった点も気になるでしょう。
実際、令和4年度「競争試験における受験者数、合格者数、採用者数、競争率の推移」によると、公務員試験の倍率は市区で5.8倍※です。決して簡単ではありません。
ですが32歳未経験からでも、しっかり試験対策をすれば、公務員への転職は可能です。本記事では32歳で公務員に転職する方法や難易度、給与水準などをわかりやすく解説します。
- 32歳でも公務員試験を受けられる地方自治体が増加している。
- 32歳から公務員へ転職するには、公務員試験の民間経験者採用(社会人採用)枠を受験する。
- 公務員試験の難易度は市区で5.8倍。1000時間以上の勉強が必要。公務員試験対策が鍵。
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関連記事:30代から公務員に転職する方法!公務員の詳しい待遇と試験内容・狙いめのポイント
32歳からでも公務員に転職できる
32歳の民間企業で働いていた人が、公務員に転職することは、十分に可能です。もう30代だから手遅れということはありません。
まずは32歳でも公務員に転職できる理由をお伝えします。
公務員試験には実質的な年齢制限がない
公務員に転職する際は、必ず働きたい自治体の公務員試験(筆記・面接)を受験し、合格しなければなりません。
公務員試験には年齢制限があるのですが、今や公務員試験には、実質的な年齢上限がなくなっています。
近年、各自治体で公務員試験を受けられる年齢の上限の引き上げが進んでおり、59歳まで受験できる自治体もあるほどです。
よって32歳でも、公務員への転職は十分に目指せます。30代以降からの転職も可能です。
民間企業で5年前後働いた経験があれば受験できる
32歳が社会人採用枠の公務員試験を受けるには、年齢要件だけではなく、社会人経験年数の条件も満たす必要があります。
公務員試験の受検資格は、自治体によって異なりますが、おおむね以下のような内容です。
- 昭和○○年4月2日~平成××年4月1日までに生まれた人
- 民間経験等における業務従事歴が、○年以上ある人
必要な社会人経験年数は、5年前後であることが多いです。
32歳なら基本的に、必要な社会人経験年数を満たせるでしょう。
なお、自治体によってはアルバイトやパートタイマーとして働いた年数も、社会人経験年としてカウントされます。
32歳フリーターでも、公務員への転職は不可能ではありません。
関連記事:32歳は転職と妊活のどちらが先?優先順位やベストなタイミングを解説
32歳から公務員に転職する難易度
32歳でも公務員試験を受験可能な自治体は多いですが、難易度はどれくらいなのでしょうか。
※参考:人事院の経験者採用試験(係長級(事務))
※参考:試験選考実施状況|試験選考情報|東京都職員採用
公務員試験は1000時間以上勉強が必要
32歳でも公務員試験に受かる可能性は十分にあります。しかし公務員試験そのものは、難易度が高いです。
公務員試験はどれくらい難しいかというと、1000~1500時間の勉強が必要だと言われています。
1日3時間、毎日勉強して、やっと1年で1095時間の勉強時間を確保できる計算です。
市区の競争倍率は5.8倍・町村は4.1倍
令和4年度「競争試験における受験者数、合格者数、採用者数、競争率の推移」によると、公務員試験の倍率は以下の通りです。
- 都道府県
- 4.2倍
- 市区
- 5.8倍
- 町村
- 4.1倍
市役所では5.8人に1人、都道府県では4.2人に1人、市町村では4.1人に1人しか転職成功していません。
公務員試験はしっかり対策しなければ落ちてしまう、難しいものだと思っておくべきです。
なお倍率を見ると、市役所は転職難易度が高く、都道府県や町役場・村役場は比較的難易度が低いとわかります。
試験は難しいが32歳で公務員に転職できた人は珍しくない
「32歳で公務員試験を受けられるとは言っても、転職成功者のほとんどが32歳より若いのではないか」「32歳だと、合格率は下がるのではないか」とお思いになるかもしれません。
確かに、民間企業での実績が乏しい32歳や、専門的なスキルがない32歳は、面接で自分をうまくアピールできず不利になることがありません。
しかし、50代で公務員試験に合格される方も少なくありません。32歳なら、まだまだ公務員に転職可能です。30代の専業主婦でも公務員に合格したようなケースはあるので、試験対策が重要になります。
関連記事:32歳女性の未経験転職を成功させる方法!スキルなしから目指せるおすすめの職種や資格も紹介
32歳から公務員に転職する方法
32歳から公務員に転職する方法としてもっとも代表的なのは、公務員試験の民間経験者採用(社会人採用)枠の受験です。
また、一部の自治体では、公務員試験の大卒一般枠も受験できます。
公務員試験の社会人採用枠を受験する
32歳から公務員に転職するなら、基本的には、市区町村で実施されている公務員試験の民間経験者採用(社会人採用)枠を受験します。
中途採用で民間企業から公務員へ転職する場合、もっとも一般的な方法です。
かつては政令指定都市のような大規模な自治体にしか、民間経験者採用(社会人採用)枠がありませんでした。しかし民間経験者採用枠の採用試験を実施する自治体が、ここ数年で急増しています。
令和4年度は、全都道府県政令指定都市の80%以上の自治体で、民間経験者採用枠の採用が実施されました。事務系以外の職種だけ採用している自治体も含めると、80%以上です。政令指定都市以外でも、全国で約200の市役所が社会人経験者採用を実施しています。
30代からでも、希望する自治体で公務員に転職できるチャンスが拡大中です。
大卒一般枠でも転職できるが30歳までの自治体が多い
民間経験者採用枠の他にも、新卒数年後の人に向けた「大卒一般枠」を受験して転職するという方法があります。
大卒一般枠は、30歳までの年齢制限を設けている自治体が多いですが、たまに35歳まで受験可能な自治体もあります。
大卒一般枠も、社会人採用枠と同様に、昔より年齢制限が緩くなっているのです。希望する自治体の大卒一般枠の年齢制限も調べてみるといいでしょう。
とはいえ、年齢制限の厳しい市では、25~26歳程度が上限ということもあります。
32歳から公務員に転職した場合の年収・給与
32歳から公務員に転職した場合、どの程度の収入が期待できるのでしょうか。
32歳公務員の平均年収は400万円程度
公務員の年齢・学歴別平均年収をもとに考えると、32歳公務員の年収は、おおよそ400万円程度だと推測できます。
総務省の令和5年度地方公務員給与の実態によると、市役所職員の年齢・学歴別平均年収は以下の通りです。
- 28~31歳(大学卒)
- 約385万円
- 28~31歳(高校卒)
- 約372万円
- 32~35歳(大学卒)
- 約432万円
- 32~35歳(高校卒)
- 約419万円
- 36~39歳(大学卒)
- 約484万円
- 36~39歳(高校卒)
- 約477万円
転職後の給与は職歴加算で決まる
中途採用で公務員に転職した人の給与は、「職歴加算」を加味した上で決まります。
「職歴加算(前歴加算)」とは、これまでの経歴が、公務員として中途採用された後の給与に反映される制度です。
具体的には、「民間企業や他の公官庁で働いてきた年数×換算率」で計算されます。
換算率は公務員と関係がある仕事をしていたなら約1.0、公務員の業務と無関係の仕事なら約0.8であることが多いです。
関連記事:32歳の転職は厳しい?未経験だと遅いのか・スキル資格なし30代の転職は手遅れなのか解説
32歳から公務員に転職するときの注意点
32歳でも公務員に転職はできますが、いくつか注意点があります。
スキルがない32歳は若い受験者より不利
自治体は中途採用の人材に対して、経験や専門スキルを期待します。
公務員の仕事で活かせる経験をアピールできないと、32歳の受験者は、若い受験者より不利です。同じスキルを持っているより若い受験生がいると、多くの場合、若い方が優先されます。
若い人なら、スキルが不足していても、今後の伸びしろに期待できるからです。
32歳で公務員を目指すなら、自分の経歴や今までの努力をしっかり伝える必要があります。経験で年齢をカバーすることが重要です。
市役所の社会人採用枠は35歳や40歳までが多い
都道府県や政令指定都市と比較して、市役所の中途採用枠は年齢上限が低いです。
35歳や40歳に設定されることが多くあります。
もっとも32歳であれば、市役所の中途採用枠でもまだ受験のチャンスが広がっていますが、転職を先延ばしにしていると年齢制限に引っかかりやすくなるのです。
公務員に転職するなら、早めに行動を開始したほうが、さまざまな自治体を転職先として検討できます。
社会人経験者採用は大卒一般枠よりも高倍率
32歳でも、民間から地方公務員への転職ルートは確立されています。
しかし社会人経験者採用は、大卒一般枠よりも高倍率です。本命の自治体に受かるとは限りません。
公務員試験に落ちてしまったときの対策としては、できるだけ多くの自治体を併願するといいでしょう。
公務員試験の受験料は原則として無料なので、たくさん併願しても、費用の心配はありません。
年収が下がる可能性もある
公務員は退職金を受け取れる、福利厚生が充実している、年功序列で順調に給料アップするというメリットがあります。
しかし一方で、 給料が特別高い職業ではありません。民間企業から公務員に転職すると、年収が下がる可能性もあるでしょう。
総務省の令和5年度地方公務員給与の実態によると、32~35歳(大学卒)の平均年収は約432万円です。
32歳から公務員に転職するコツ
32歳の公務員転職では、即戦力が期待されます。社会人経験が不足している32歳は不利になることもあるでしょう。
さらに、公務員試験は難しいので、入念な対策が必要です。
コツを押さえて、32歳の公務員転職を成功させましょう。
即戦力をアピールする
公務員の中途採用では、専門知識・技能を備えた、即戦力になれる人材が求められています。
そのため、公務員の仕事は未経験でも、前職で培った公務員の仕事でも活かせるスキルのアピールが重要です。
「何も活かせるスキルがない」と思うかもしれませんが、たとえば事務職の経験がある人はワード・エクセル・タイピングなどが得意なこと、お客様対応や電話対応に慣れていることなどをアピールできます。公務員の仕事でも活かせる経験は、必ずあるはずです。
複数の自治体を併願する
公務員試験は、併願できます。
ひとつの自治体だけ受けて落ちてしまったら、転職できなくなってしまうので、複数の自治体を併願しましょう。併願すると、本命試験の練習にもなります。
公務員試験の併願数は、3つから6つ程度が一般的です。併願数に上限はありません。
しかし公務員試験の一次試験は、多くの自治体が同じ日程で実施しています。そのため、たくさんの自治体を併願することは難しいです。
試験の日程を見ながら、受験したい自治体を絞り込みましょう、
なお、面接試験では併願状況がよく聞かれます。試験の状況は正直に回答しましょう。
公務員試験の対策を入念に行なう
32歳で公務員に転職できるかどうかは、試験の対策次第です。
公務員試験に必要な勉強時間は、1000~1500時間といわれています。たとえば1日3時間、毎日勉強すれば、1年で1095時間の勉強時間を確保できる計算です。
関連記事:31歳で転職4回目は多い?厳しい現実や30代の平均転職回数・成功のコツを解説
32歳の公務員転職に関する質問
最後に、32歳の公務員転職に関する疑問を解消しておきましょう。
32歳女性の公務員転職は不利?
公務員試験では、女性だから不利になる、ということはありません。女性でも男性と平等に評価されます。
したがって、32歳の女性でも、公務員への転職は十分に可能です。
しかし実際は、「近いうちに結婚や出産で離脱するのではないか」と懸念されることも考えられます。
結婚や出産の予定は、聞かれない限り答える必要はありません。もし聞かれたら、結婚や出産を経ても、長く仕事を続けるつもりだとアピールしましょう。産休や育休を利用するだけして退職することは好まれないため、仕事に対する前向きな姿勢が重要です。
既婚・子持ちの32歳でも公務員に転職できる?
既婚・子持ちの32歳でも公務員に転職できます。
公務員への転職は、家庭を持っている・子供がいるという理由で、大きく不利になりません。
公務員は比較的子育てと両立しやすい仕事です。出産や育児を経験しながら働いている人が多くいます。
関連記事:31歳で転職3回目は多い?厳しいと言われる理由や30代の平均転職回数・成功のコツを解説
32歳の公務員転職は十分に可能
32歳の公務員転職は十分に可能です。しかし、受験可能な自治体が限られてくる点や、同程度のスキルだと若い人が優先されやすい点に注意してください。
32歳が公務員への転職を成功させるためには、複数の自治体を併願する、即戦力をアピールする、公務員試験の対策を入念に行なうことが鍵です。
32歳の公務員転職を成功させましょう。