「未経験の仕事に転職したい」と考えている32歳の女性は多いでしょう。
しかし企業は女性の32歳という年齢を、マイナスポイントとして捉えることがあります。
もっとも、32歳の女性でも、未経験の業界や職種に可能です。とはいえ、自分のスキルや市場価値を客観的に理解し、戦略的に転職活動をおこなう必要があります。
32歳女性の未経験転職はどの程度厳しいのか、転職活動を成功させるにはどうしたらいいのか、確認していきましょう。
また32歳スキルなしの女性でも未経験から挑戦しやすい職種や、手に職がつけられるおすすめの資格もご紹介します。
なお、転職サイトのdodaが実施した「転職成功者の平均年齢調査【最新版】」によると、2023年の転職成功者の平均年齢は32.4歳です。
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32歳女性の未経験転職は20代の頃と比較して厳しい
32歳での未経験転職は、20代の頃と比較して厳しくなります。
特に女性は、結婚・出産といったライフイベントを30代で経験する人も多いです。男性と比較して退職・休職したり、仕事に全力で打ち込めなかったりするリスクが高いと懸念されるケースもあります。
独身女性は将来のライフイベントが懸念される
32歳独身女性は、未経験での転職活動において、企業から「採用しても、近いうちに結婚や出産で仕事を辞めるのではないか」と思われる可能性があります。
結婚後に仕事を続ける意志があったとしても、次の2点が心配されるでしょう。
- 産休・育休などで、出社できない期間が生じるのではないか
- 1人だけの出産ならまだ良いが、2人、3人と出産したら企業側の負担が大きいのではないか
転職活動では、結婚や出産を経ても復帰しやすく、かつ未経験OKとしている職場を選ぶのがおすすめです。
既婚女性は家庭・育児との両立が懸念される
32歳既婚女性の未経験転職では、企業から次の点が不安視されます。
- 家庭や育児があると、仕事に全力で打ち込めないのではないか
- 出産によって早期離脱するのではないか
- パートナー都合によって退職するのではないか
特に「子供がいる32歳の女性」や、「専業主婦をしていたブランク期間が長い女性」は、企業にとって採用のリスクが高いです。そのため32歳の既婚女性の中でも特に、未経験での転職が厳しくなります。
32歳既婚の女性は、未経験OKとしている企業の中でも、女性の働き方に理解がある勤務先を選ぶようにしましょう。
- ワーママの先輩が多い企業
- 育休・産休の取得実績が多い企業
- 残業時間が少ない企業
- リモートワークができる企業
さらに、職場への通勤時間が短いと、家庭と仕事を両立しやすくなるでしょう。
32歳女性でも未経験転職できる
32歳女性の未経験転職は、厳しいこともあります。しかし32歳女性でも、未経験の業界や職種に転職は可能です。
パート・アルバイト・派遣などの非正規雇用しか選べないわけではなく、正社員としての転職が目指せます。
30代未経験でも応募可能な正社員の求人がある
30代未経験の女性でも、応募可能な正社員の求人はあります。
大手転職サイト「doda」で、「正社員・職種未経験歓迎・業種未経験歓迎・社会人経験10年以上歓迎」の求人を検索したところ、3,780件の求人が見つかりました。
20代の頃と比較すると、求人数は少なくなってしまいますが、32歳未経験の女性でも正社員として転職が可能です。
30代スキル・資格なしでも人手不足の影響で需要がある
30代の転職では、20代での転職と比べて、即戦力を要求される傾向が強くなります。しかしスキル・資格なしの32歳女性でも、正社員として未経験からの転職が可能です。
これには現在、日本社会全体で深刻化している人手不足が関係しています。
独立行政法人 労働政策研究・研修機構によると、2024年9月の雇用人員判断D.I.は大企業で−28%ポイント、中堅企業で-37%ポイント、中小企業で-38%ポイント不足でした。このマイナスの数字が大きいほど、人手不足の企業が多いことを示しています。規模の小さい会社ほど、思うように働き手を確保できていません。
特に、以下の業界は人手不足が深刻です。
- 建設業
- 運輸業・郵便業
- 医療・福祉
- 情報通信業
- 学術研究,専門・技術サービス業
- 宿泊業・飲食サービス業
これらの業界では特に、「たとえ未経験の30代でも、人手が足りないから採用したい」と考える企業が増えています。
若手不足の影響で30代でもポテンシャル採用がある
近年は少子高齢化が加速しています。「将来的に長く働いてくれる若手を採用して、育成したい」と思っても、新卒や20代を十分に確保できていない企業が多い状況です。
そのため、32歳未経験の女性でも、ポテンシャル採用される可能性があります。
32歳という年齢は「若手」ではありません。しかし、転職市場全体ではまだまだ長く働ける年齢です。
32歳女性が未経験転職を成功させる方法
32歳の女性でも、自分の市場価値を知り、戦略的に準備を進めれば、未経験の仕事に転職できます。
自分の強み・弱み・スキルに合った仕事を選ぶ
32歳女性の未経験転職では、まずどんな仕事を選ぶのかということが問題になります。
自己分析やキャリアの棚卸しを通じて、自分の性格的な強み・弱みや、これまでの職歴で身につけたスキルに合った仕事を選びましょう。
未経験の業界・職種への転職だとしても、これまで培ってきたスキルを活かせる仕事を選んだほうが、企業の採用担当者はあなたの採用後の活躍をイメージしやすくなります。
たとえば飲食店で店長をしていた人が、百貨店の求人に応募する場合、「接客」という共通点があるため、比較的有利に転職活動を進められるでしょう。
しっかり自己分析をしておけば、書類選考や面接で「転職理由」「自己PR」などをするときにも役立ちます。
転職理由を明確にする
32歳女性の未経験転職では、転職したい理由を明確にしましょう。
企業の採用担当者は、あなたが32歳で未経験の仕事に転職しようと思ったきっかけや、背景を知りたいと考えます。なぜこの仕事なのか、その業界・職種の中でもなぜこの企業に魅力を感じたのか、エピソードを交えて伝えましょう。
「なんとなくの興味で応募している」「今の仕事を辞めたいだけ」と思われてしまうと、採用には繋がりません。「すぐに辞めるのでは」と思われてしまうからです。「転職後にどう活躍していきたいのか」まで話せるようにしておきましょう。
早めに転職活動を開始する
未経験の仕事に転職したい30代女性は、早めに行動を開始しましょう。
未経験での転職は、若ければ若いほど、ポテンシャル採用を狙いやすくなります。ポテンシャル採用とは、経験やスキルが不足している人を、将来の伸びしろに期待して採用することです。
ポテンシャル採用に明確な年齢制限は設けられていませんが、20代後半~30代前半までが多いと言われています。「そのうち転職しよう」と思って先延ばしにしてしまうと、どんどん未経験での転職が不利になっていくので、注意しましょう。
今の仕事は辞めずに転職活動をする
今の仕事が嫌で、すぐにでも辞めたいと思っている32歳女性でも、できれば在職中に転職活動をしましょう。すぐに内定をもらえるとは限らないからです。
無職の期間が長引くと、企業からの評価が下がり、転職活動がどんどん不利になっていきます。さらに、無職の間は収入がなくなるため、転職先が決まらないと焦ってしまうでしょう。その結果、妥協して転職先を選んでしまう可能性もあります。
今の仕事は辞めないほうが、経済的にも精神的にも余裕がある状態で転職活動ができます。32歳女性の未経験転職は可能ですが、簡単なことではありません。思いのほか転職活動が長引いてしまうリスクも考慮しましょう。
転職エージェントに相談する
未経験での転職を成功させたい32歳の女性には、転職エージェントの利用がおすすめです。
転職エージェントは、無料で転職活動を手厚く支援してくれます。
- キャリア相談
- 希望条件に合う求人の紹介
- 履歴書・職務経歴書の添削
- 面接対策・模擬面接
- 面接日調整の代行
- 内定後の条件交渉の代行
- 退職・入社手続きのサポート
- 入社後のフォロー
「在職中に転職活動をしたいけど、時間的余裕がない」という人でも、転職エージェントを利用すれば、求人探しや企業とのやりとりを代行してもらえます。
なお転職エージェントは、1社だけではなく、3~4社ほど登録しておくといいでしょう。求人の選択肢を増やせるだけではなく、相性の良い優秀なキャリアアドバイザーと出会いやすくなります。
32歳女性の未経験転職におすすめのスキルなしでもOKな職種
以下の職業は、特別なスキルがない32歳の女性でも、未経験での転職が可能です。
事務職
- 未経験者歓迎の求人が多い。
- 簡単なPCスキル(Word、Excel)があれば始めやすい。
- 残業が少ない求人も多く、プライベートとの両立がしやすい。
事務職はデータ入力、電話対応、書類作成などを担当します。パソコンの操作に問題がなければ、スキルなしの32歳女性でも未経験で始めやすい仕事です。
ワークライフバランスを取りやすく、体力的な負担も少ないため、女性から人気があります。家庭や育児と両立しやすい仕事を選びたい32歳女性におすすめな職種です。
さらに事務職は、営業職やマーケティング職と違って、売り上げ等の成果を要求されません。精神的にゆとりをもって働けるでしょう。
ただし働き続けても、年収アップやキャリアアップは、あまり期待できません。「稼ぎたい」「出世したい」と考えている女性には不向きです。さらに、事務職は人気があります。競争倍率が高いことも知っておきましょう。
なお事務職には、病院や薬局で受付をする医療事務や、営業職のサポートをする営業事務などの種類があります。仕事内容や、自分に合っているかどうかを見極めて応募しましょう。
販売職
- コミュニケーション力を活かせる
- 特別なスキルが不要
- アパレルや化粧品販売など女性向けの求人が豊富
販売職は、接客が好きな女性におすすめの職種です。特別なスキルがなくても挑戦できます。32歳未経験で応募できる求人が多いです。
販売職のメリットは、アパレルや化粧品販売など、女性向けの求人が多いことでしょう。自分の興味に合わせて、「華やか」「楽しそう」と感じる仕事に応募することも可能です。正社員からパート・アルバイトまでさまざまな雇用形態があるほか、シフト制のため、ライフスタイルに合わせた働き方もできます。
ただし立ちっぱなしで体力的な負担が大きい、土日に休みにくいといった面もあるため注意が必要です。
コールセンター
- 未経験歓迎の求人が多く、研修制度が充実している
- シンプルな業務内容で、スキルなしからスタート可能
- 正社員から派遣社員まで、多様な働き方が選べる
コールセンターでは、お客様の問い合わせ対応や、簡単なデータ入力などを行ないます。女性が多い職場です。研修制度が整っているので、スキルなし32歳女性でも、未経験で転職できます。
コールセンターは受付時間が決まっているため、定時に帰れることが多いです。中には24時間稼働しているコールセンターもあり、その場合は働きたい時間やシフトを選べます。
服装や髪型の規則が厳しくないため、おしゃれを楽しむことも可能です。最近では、在宅勤務が可能なコールセンターの求人も増えています。
営業職
- 未経験OKの求人が豊富で、結果次第で高収入を目指せる
- コミュニケーション力が武器になる
- さまざまな業界で募集があり選択肢が広い
営業は、物やサービスを個人・団体に販売し、企業の売り上げに直接貢献する職種です。新規顧客の開拓、既存顧客のフォローアップ、提案資料の作成などをおこないます。コミュニケーション力があれば、32歳の女性でも未経験で転職しやすい仕事です。
数字で成果を出すことが求められるため、精神的には大変な面もあります。しかし、年収アップを目指す女性にはおすすめです。
32歳女性の未経験転職におすすめの手に職がつけられる資格
手に職をつければ、安定した収入が見込めます。
- 将来性: 介護福祉士や登録販売者は需要が高く、長期的に安定した職業。
- 短期間で取得可能: 登録販売者や日商簿記は比較的短期間で取得が可能。
- 興味や適性を考慮: 看護師やFPは、興味や適性があるとより活躍できる。
32歳未経験からでも目指せる女性におすすめの資格は、以下の通りです。
介護福祉士
介護福祉士とは、介護に係る知識や技能を証明する資格です。介護業界にはさまざまな資格がありますが、その中でも国家資格は、介護福祉士のみとなっています。
高齢化社会のため、介護福祉士は需要が高いです。なお、介護業界に転職する際は未経験でも問題ありません。「働きながら資格を取得し、手に職をつけたい」「安定した職業を選びたい」という32歳女性におすすめです。
なお介護福祉士の主な活躍分野は介護施設やデイサービス、訪問介護などです。
登録販売者
登録販売者とは、持っているとドラッグストアや薬局などで、医薬品の販売ができる資格です。具体的には、風邪薬や鎮痛剤などの第2類医薬品、第3類医薬品の販売ができます。2009年の改正薬事法により誕生しました。
薬剤師と違って、処方箋に基づく薬の調剤や、第一類医薬品の販売はできません。しかしドラッグストアや薬局は全国各地にあるので、登録販売者の資格を取れば、希望する地域で職場を見つけやすくなります。年齢・性別・学歴・実務経験などの制限がなく、誰でも取得を目指せる資格です。
宅地建物取引士
宅地建物取引士は、不動産取引に必要な国家資格です。宅建業者は「従業員5名のうち、1名以上が宅地建物取引士でなくてはならない」と義務付けられているので、不動産業界ではメジャーかつ需要も高い資格です。
この資格を持っていると、不動産業界・金融業界・建設業界などへの転職で有利になります。合格率は約15~17%ほどなので、簡単ではありませんが、30代からでも不動産営業等の仕事をしながら取得が目指せる資格です。
不動産業界で長期的なキャリア形成を目指す32歳女性に向いています。
日商簿記検定2級以上
日商簿記検定2級は、会計・経理の基本を理解するための資格です。事務職や経理職への転職に役立ちます。主な活躍分野は一般企業の経理・財務部門、税理士事務所などです。
民間資格ですが、競争率が高い事務職に携われるチャンスが増えるため、女性から人気があります。未経験から事務職への転職を目指す女性は、取得を検討してみてください。
なお簿記の資格には、日商以外にも「全商」「全経」があります。日商は1番難易度が高い検定です。取るなら日商簿記の2級以上をおすすめします。
FP(ファイナンシャルプランナー)
FP(ファイナンシャルプランナー)は、個人や企業の資産運用や保険設計、年金相談などを行う際に役立つ国家資格です。いわばお金に関するプロフェッショナルであることを証明する資格で、女性から人気があります。
保険・銀行・不動産・証券などの業界に興味がある32歳女性におすすめです。難易度はそこまで高くありません。
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32歳女性の未経験転職に関する質問
32歳女性の未経験転職に関する、よくある質問に回答します。
32歳女性に多い転職理由は?
厚生労働省の「令和3年雇用動向調査結果の概況」によると、30代前半の女性に多い転職理由は以下の5つです(「その他の個人的な理由」を除く)。
- 給与など収入が少なかった
- 労働時間、休日などの労働条件が悪かった
- 職場の人間関係が好ましくなかった
- 出産・育児
- 会社の将来が不安だった
特に「労働時間・休日などの労働条件が悪かった」や、「出産・育児」は、他の年代と比較して多い回答です。
結婚や育児といったライフイベントと仕事の両立に悩み、働き方を変えたいと考える女性が多いと言えます。
32歳女性が未経験転職するメリットは?
32歳女性が未経験転職するメリットは次の通りです。
- 30代後半よりも応募可能な求人数が多い
- 転職に失敗しても年齢的にまだチャンスがある
「未経験者の応募は35歳まで」と年齢制限を設けている求人もあります。32歳のうちに行動を開始すると、30代後半になってから転職活動をするより、求人の選択肢を増やすことが可能です。
さらに転職に失敗しても、32歳ならまだ挽回のチャンスがあります。もっとも、人生は何歳からでも挽回できるでしょう。しかし30代後半、40代と年齢が上がるにつれて、転職で失敗したときの再就職が難しくなっていくという現実があります。30代前半のうちに挑戦することで、失敗してもリカバリーしやすくなるのです。
32歳女性が未経験転職するデメリットは?
32歳女性が未経験転職するデメリットは次の通りです。
- 応募できる求人が20代より少ない
- 経験者より不利
- 未経験OKの求人でも、異業種での実績をアピールできなければ苦戦する
- 年収が下がりやすい
- 20代後半~30代前半は転職希望者が多いため、ライバルが多い
32歳女性の未経験転職では、応募できる求人の少なさや、ライバルとの競争に勝ち抜く難しさがネックになります。
たとえ30代未経験OKと書かれている求人でも、異業種での実績を上手にアピールできなければ、転職活動が難航するでしょう。
何も実績やスキルがない32歳女性や、ずっとニートやフリーターをしていて正社員経験がない32歳女性でも、転職そのものは可能ですが、企業から厳しく判断される覚悟が必要です。
さらにまったく経験がない仕事への転職では、多くの場合、最初の給料が新卒社会人並みに下がります。前職の収入を考慮してもらえるケースもありますが、活かせるスキルが何もない場合は、収入が大幅に下がる確率も高いと知っておきましょう。
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32歳女性の未経験転職を成功させよう
32歳の女性は、結婚・出産などのライフイベントやスキル不足などが、転職活動で不利になることもあります。
しかし32歳の女性でも、しっかり対策をすれば、未経験の仕事に転職が可能です。
32歳女性の転職事情を理解し、未経験の仕事への挑戦を成功させましょう。