うまくいけば年収1000万円、2000万円も夢じゃない!という高収入に惹かれて、または知的財産に興味があって…などの理由で弁理士になって、特許事務所に勤務したのはいいものの、さまざまな理由から弁理士を辞めて転職したいと考えている人も多いでしょう。

そこでこの記事では、弁理士の経験・スキルを活かして有利に転職できる仕事について紹介します。
弁理士としての経験・スキルをまるごと捨てて新しい仕事に転職するのはもったいない!
年収面、キャリアアップ面からも、弁理士であった過去を有利に活かせる転職先を探しましょう。

特許事務所を辞めたい理由は?

ひとりで抱える案件が多すぎて残業がきつい

零細の特許事務所では、事務所に所属する弁理士の数が限られているために、ひとりあたりの業務量が多くなってしまいます。
かといって、案件をとってこなければ事務所の存続にもかかわるため、経営者としてはどんどん仕事をとってくるので、業務時間内ですべての仕事を終えるのは不可能…。

大手の特許事務所でも、ブラックだと次々に弁理士が辞めていくため、空いた穴を埋めるために、これもまた残された弁理士に仕事がふりかかってしまうので、残業が増えるどころか、休日出勤が普通という勤務形態になってしまいます。
特許庁が休みのため、基本的に土日は休みのはずの弁理士なのに、人員不足のために結局は時間外労働が増えて土日もサービス出勤しなければいけないのが辛いところですよね。

外国案件が多すぎて対応できない

文系よりも理系出身者が多くを占める弁理士の仕事は、知的財産関連の仕事で昨今急増している外国案件に対応しきれずに辞めたいと思う人が増えています。
外国案件を扱うには、外国の法制度はもちろんのこと、審査に関する実務においてもその手続き・文化にかなりの差が生じるからです。

そもそも理系出身者の多い弁理士にとって、外国語をビジネスレベルに自由に操るところまで持っていくことすら大変なのに、さらに行ったこともないような国の法制度関連まで熟知しなければならないわけですから、一度に複数の国の案件が入ってしまうと自分の手に負えず、辞めたい!と強く感じてしまうのです。

事務所の規模が小さいと人間関係の闇が深い

特許事務所には、大手、中堅、零細…というように、その規模にかなりの差があります。
特に小さな規模で経営されている零細の特許事務所の場合、事務所に勤務する職員が、事務職員を含めて10名以下であることが多く、所属する人間が少ないからこそ生まれる閉鎖的で複雑な人間関係の温床でもあります。

権威をふりかざす所長、新卒で入ってから年だけ重ねたようなお局の事務職員、いじめられて数か月ともたずに変わり続ける事務職員、プライドだけ高くなっていく先輩弁理士…。
毎日このような閉鎖的な空間にいて、さらに人間関係がこじれるようなことがあれば、居心地は本当に最悪で、すぐにでも辞めたいと思ってしまいます。

特許事務所から異業種に転職、おすすめの転職先は?

一般企業の知財部

一般企業の知財部と、特許事務所勤務では、同じ弁理士でも業務内容が異なるため、特許事務所から企業の知財部に転職しようと考える人は多くはありません。
でも、明細書を作成する業務や、特許等の発明者との面談経験、クライアント企業との会議の経験といった弁理士の経験やスキルを活かすことができます。
そのため、転職後に企業と特許事務所の体制にある程度のギャップは感じることもありますが、上記の一部業務については転職後のミスマッチもなく勤務することができます。

さらに企業の知財部では、福利厚生が充実していることもあり、女性弁理士は企業知財部に転職して結婚・出産といったライフイベントを乗り越える人もいます。

一般企業の営業職

特許事務所の弁理士は、さまざまな業界の、さまざまな職種の人とのコミュニケーションの中から、特許や意匠の諸手続きを行う都合上、かなり高いコミュニケーション能力幅広い知識が求められるものです。
これらを活かして一般企業の営業職になるという選択肢があります。

営業職では、新規開拓なら相手の懐に入るためのコミュニケーション能力が求められるとともに、商社・メーカーでは数多い商品知識が求められます。
元・弁理士なら、これらのニーズに応えることができ、さらに特許事務所の弁理士ならではの説明能力によって、効果的に製品・商品を売り出すことができます。

外資系企業の事務職

弁理士のような書類手続きの仕事は好きだけど、残業があるのが辛い…という理由で転職を考えている場合は、外資系企業の事務職になるという方法もあります。
外資系企業では、国内・国外を問わずに社外との取引を行うために、英語やその他の外国語力があると重宝されるものです。

弁理士も、海外の知的財産案件を扱ってきたような弁理士の場合は、クライアント企業や発明者が外国籍の場合もあるため、ある程度の外国語能力を有しています
この語学力と、書類作成能力を活かせば、外資系企業で事務職として活躍することが可能です。
しかも外資系企業の場合は、特許事務所の弁理士に負けるとも劣らない年収も実現でき、企業によっては残業の多い営業職と違って残業時間も少なくて済みます

特許事務所から異業種転職、年収を下げない求人の選び方

現在の年収を維持したままで異業種転職するためには、キャリアと求人のマッチングが最重要課題となります。
ところが、今までの経験やスキルと、転職先が求める条件がマッチしてないと、単なる未経験転職と見なされ、年収が大幅にダウンする人もいるのが現実です。

したがって、求人サイトなどで自力で探すよりも、無料でさまざまな転職支援サービスを提供している転職エージェントのキャリアカウンセリングを受けて、自分のキャリアにマッチする求人を紹介してもらう方が安全です。

転職エージェントでは、求人を紹介して終わり…ではなく、応募書類の添削なども行ってくれるので、未経験からの異業種転職の際に書く内容に困ってしまう志望動機なども、転職先に提出する前によりよいものに仕上がります。

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企業は、より良い人材を求めて、非公開にしている求人情報がたくさんあり、キャリアアドバイザーとの直の交渉によりそれらの求人情報を提供してもらうことができます。キャリアアドバイザーは、求められる人材と求める仕事のマッチングをしっかり行ってくれるので、転職後のミスマッチを防ぐことにもつながります。

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まとめ

現在特許事務所の弁理士として働いているものの、異業種転職を希望している場合は、自分のスキルやキャリアとマッチングしていることを確認した上で、以下のような仕事がおすすめです。

・知的財産や特許の実務経験が活かせて、福利厚生にも恵まれている一般企業の知財部
コミュニケーション能力、書類作成能力、説明能力が活かせる一般企業の営業職
・海外取引で培った語学力書類作成能力が活かせて高収入外資系企業の事務職

自力では自分のスキル・キャリアとマッチングする企業を見つけるのが難しい場合は、転職エージェントを活用して効率的に弁理士の経験を有利に活かせる求人を紹介してもらうことがおすすめです。