街を丸ごとデザインできるスケール感に惹かれ、三井不動産や野村不動産、東急不動産などの不動産デベロッパーに異業種から転職を希望する人も多いです。

ここでは、不動産デベロッパーの仕事内容・年収・将来性についてまとめ、未経験から不動産デベロッパーに転職する方法と、不動産デベロッパーへの転職で求人選びに失敗しない方法を紹介します。

不動産デベロッパーへの転職に有利な資格も紹介するので、未経験から不動産デベロッパーに転職したい人は参考にしてください。

不動産デベロッパーの仕事内容・年収・将来性は?

不動産デベロッパーとは開発業者のこと

不動産デベロッパーとは開発業者のことで、「ディベロッパー」と呼ばれることもあります。宅地造成からリゾート開発、駅前の再開発、オフィスビル建設やマンション分譲などの事業の主体となる企業や団体を指します。

不動産デベロッパーには大まかに、「公的デベロッパー」と「民間デベロッパー」があります。公的デベロッパーは、都市開発や基盤整備などを行う公共団体や公社です。

それに対して、民間デベロッパーは民間資本で運営される、宅地造成業者などを指します。

民間デベロッパーは開発する対象によって種類が分かれている

民間デベロッパーは、開発する対象によって次のように分かれています。

・総合デベロッパー:総合施設や文化施設、商業施設など、さまざまな建物を開発し、大規模な街作りに携わる
・マンションデベロッパー:マンション開発
・一戸建てデベロッパー:一戸建ての開発
・オフィスデベロッパー:オフィスビルの開発
・鉄道系デベロッパー:鉄道沿線の土地開発

不動産デベロッパーの仕事は開発の工程全般

不動産デベロッパーの仕事は、ひと言でいえば開発の「監督・プロデューサー」です。事業用地の確保から施設コンセプトなどの事業プランの構築、建物の設計、施工管理まで、工程全般に携わります。土地の所有者との交渉などもデベロッパーの仕事です。

施工自体はゼネコンなどが行いますが、必要な品質を確保できるよう、最終責任を担うのが不動産デベロッパーの立場です。

マンションや戸建て住宅の開発を行う場合は、販売まで自社で行うこともあります。

不動産デベロッパーの平均年収は約600万円

不動産デベロッパーの平均年収は、600万円程度です。日本の給与所得者の平均年収440万円に比べて、年収が高めの人が多い業界です。

残業は意外に少ないが、年間休日日数はやや少なめ

不動産デベロッパーの1ヶ月の残業時間は、平均33時間程度です。不動産業界のきついイメージに比べると、意外に残業は少ないです。

ただし、年間休日日数はやや少なめで、118日程度です。

マンション・一戸建ての販売を行うデベロッパーはノルマがある

不動産デベロッパーの社員の6割は営業職です。マンションや一戸建ての販売を行うデベロッパーの場合は売上ノルマがあり、休日出勤も多いです。

大手デベロッパーは安定性が見込めるが、中小は右肩下がりの可能性あり

デベロッパーの事業は動く金額が大きいため、再開発事業など大規模なプロジェクトは、大手デベロッパーの独壇場になっています。

したがって、大手デベロッパーであれば将来的にも安定性が見込めますが、中小のデベロッパーは業績が右肩下がりになっていく可能性もあります。

未経験から不動産デベロッパーに転職する方法

学歴フィルターが掛かる企業が多く、無名大学出身だと大手は厳しい

三井不動産や森ビルといった大手不動産デベロッパーはかなりの難関で、東大や早稲田出身者でも落ちる人の方が多く、March出身者などは論外なのが現状です。

一方、中小の不動産デベロッパーなら、学歴不問の求人もあるので、学歴が低い人の場合は、中小の不動産デベロッパーを狙っていくことになります。

不動産デベロッパーへの転職は不動産知識が必須

不動産デベロッパーへの転職では、以下のスキルが必要になります。

・不動産知識
・TOEIC800点以上
・コミュニケーション能力・交渉力
・探究心

特に、最低限の不動産知識は、新卒であっても求められるので、転職に必須です。また、大手デベロッパーはグローバル事業も手掛けているため、英語力も必要です。

コミュニケーション能力と交渉力も重要です。デベロッパーでは、ゼネコンなどとの交渉をスムーズに進め、工事を円滑に進めることも大切な仕事だからです。土地の所有者との、お家事情に絡んだ交渉なども行わなければなりません。目当ての土地が他社に買われそうなときも、交渉力が必要になります。

そして、住みよい街や物件を作っていくための探究心も重視されます。

不動産デベロッパーへの転職に有利な資格

不動産デベロッパーへの転職に有利で、実務経験がなくても取得できる資格を紹介します。

宅地建物取引主任者

通称「宅建」と呼ばれる資格で、不動産の売り貸しに必要な国家資格です。不動産デベロッパーは、5人に1人の割合で宅地建物取引主任者を置かなければならないため、不動産関係の資格ではもっとも有利です。

合格率16~17%程度で、不動産の知識がない人には難易度が高い資格ですが、取得しておく価値はあります。

不動産鑑定士

不動産の価値を鑑定するために必要な国家資格です。難易度が非常に高く、2~3%しか合格できないので、持っていると人材としての価値が高まります。

土地家屋調査士

登記を目的とした測量と、登記を行える国家資格です。合格率は8.5%前後ですが、在職中の受験者がほとんどのため、勉強不足で落ちる人が多いようです。

筆記試験と口述試験がありますが、測量士(補)または建築士の資格を持つ人は筆記試験は免除されます。残った口述試験に関しては、それほど難しくありません。

測量士(補)の方が簡単に取得できるため、測量士(補)の資格を取ってから、筆記試験免除で土地家屋調査士を受験するのが一般的です。

管理業務主任者

マンション管理組合などに、管理委託契約についての重要事項の説明や、管理事務報告を行うための国家資格です。

マンション管理業務を行う事務所には、国土交通省が指定する人数の管理業務主任者を置かなければいけないため、マンションの運営を行うデベロッパーに高いニーズがあります。未経験からの転職でも、非常に有利です。

合格率が20%なので難しめですが、宅建を取得している人の場合は、宅建と試験範囲が被るので合格しやすいです。

司法書士

登記や供託の代行などを行うための国家資格です。合格率3%程度で、司法試験に次いで難しいといわれていますが、不合格になる人の中には、ほとんど勉強せず記念受験的に受験する人も多いため、実際は世間でイメージされるほどは難しくありません。

きちんと勉強すれば合格できますが、覚えることが多いので、勉強時間は2,000~3,000時間くらい必要です。

ですが、そこまでやれる人は少ないので、取得しておくと転職に有利です。

行政書士

建築業許可申請など、観光所に提出する書類の作成などに必要な国家資格です。不動産デベロッパーなどへの転職に活用する他に、開業する人もいます。

合格率は10%程度で、宅建より難しいです。しかし、合格者でもっとも多いのは30代なので、やる気があれば在職中でも取得可能です。

未経験から不動産デベロッパーに転職できるのは30歳までが基本

営業職の経験がなく、他業種から転職する場合は、30歳を超えると難しいです。30歳以上の転職では、即戦力を求められる傾向が強いからです。

ですが、現職が他業種でも、営業職の人の場合は、35歳まで不動産デベロッパーに転職可能です。

35歳以上の人の場合は、ハウスメーカーの営業から一戸建てデベロッパーに転職するなど、現職のスキルをそのまま活かせて、なおかつ即戦力が高い人でないと厳しいです。

未経験から不動産デベロッパーに転職、失敗しない転職先の選び方

不動産デベロッパーからブラック企業を見分ける方法

いつも同じ求人を出している

同じ内容の求人が頻繁に出ている・中小の不動産デベロッパーが大量採用している求人は、離職率が高いブラック企業の可能性が高く、注意が必要です。

ですが、大きなプロジェクトをスタートさせるために大幅増員する場合もあるので、求人企業の事業計画を調べてみるとよいです。

「夢」「希望」などの抽象的な前向きワードが多い

洗脳研修を行うブラック企業などは、求人にも抽象的な前向きワードが散りばめられていることが多いです。

特に、仕事内容など、応募者に知らせるべき情報が曖昧な求人に、前向きワードが多用されていたら要注意です。

年収例が異常に高い、昇給について触れていない

不動産デベロッパーの中には、ノルマのある企業もあります。特に、物件の販売・分譲を手掛けるデベロッパーで、異常に高い年収例が掲載されている場合は、ノルマが厳しい可能性が高いです。

また、ノルマがないデベロッパーでも、昇給について書かれていない求人は注意が必要です。勤続年数が長くなっても、給料が上がらない可能性があるからです。

不動産デベロッパーからホワイト企業を見分ける方法

社員全体の年収が高い

特定の社員の年収例ではなく、社員全体の年収が高い不動産デベロッパーはホワイト企業の可能性が高いです。

ホワイト企業は従業員を大事にするので、年収が高いことが多いからです。

福利厚生が充実している

従業員を大事にする企業は、福利厚生も可能な限り充実させています。特に、以下の4つは正社員に加入させることが法律で義務付けられているので、全部揃っているか確認しましょう。

・労災保険
・雇用保険
・健康保険
・厚生年金

パート・アルバイトの場合も、労働時間などによっては加入させる必要があります。

年間休日日数は120日以上が目安

土日祝休みで、GW休暇などの休暇がある場合、一年間の休日日数は約120日になります。したがって、年間休日日数は120日を目安に判断すると、無理のない働き方をしやすいです。

また、それとは別に、産休や育児休暇など、自分に必要な休暇の取得実績の有無もチェックしておくと安心です。

育成制度が整っている

従業員が無理なく仕事についてこられるよう、ホワイト企業は研修などの育成制度が整っていることが多いです。

採用ステップが長い

採用ステップが長い求人は、人間性に問題がある応募者がふるい落とされていくので、人間関係を円満に構築できる人が集まりやすく、雰囲気のよい職場であることが多いです。

志望先の業績も調べておく

どんなに優良求人でも、途中で倒産したのでは意味がありません。応募したい求人が見つかったら、求人企業の業績も調べておくと安心です。

未経験OKで優良な不動産デベロッパーを探す方法

ハローワークや転職サイトなどは嘘の求人もあり、特に未経験歓迎の求人はブラック企業も多いので、未経験OKの優良求人を見極めるのが難しいです。

そこで、本当に未経験OKの優良な不動産デベロッパーを探すには、転職エージェントで非公開求人を紹介してもらう方法が、もっとも確実で効率もよいです。

転職エージェントなら求人企業の内部情報を熟知できる立場で、求人の審査も厳しいので、ブラック企業に当たる心配がなく、入社後のミスマッチも防げます。特に非公開求人は、条件のよい求人が多いです。

さらに、選考通過のためのサポートも受けられるので、不利になりがちな未経験転職も、自分だけで進めるより内定を得やすいです。

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まとめ

未経験から不動産デベロッパーへの転職は、基本的に学歴ありきになります。また、未経験でも最低限の不動産知識は求められるので、宅地建物取引主任者などの不動産関係の資格を取得しながら勉強しておきましょう。

不動産デベロッパーの中には、ノルマが厳しいブラック企業などもあるので、優良求人を見極めることも大切です。

未経験OKで優良な不動産デベロッパーを探すには、転職エージェントで非公開求人を紹介してもらう方法が、もっとも確実で効率もよいです。