個人投資家に注目が集まったり、小口資金から投資することができるようになったりしたこともきっかけとなり、近年、資産運用に対する敷居が随分下がってきました。
それに伴い、給料も高そうでカッコいいビジネスマンのイメージがある証券会社で働くことへの関心も高まりつつあります。一方で、証券会社に転職を考えているけれど、専門知識や特別な資格が必要そうな気がして、イマイチ踏み出せない、と言った人も少なくありません。ましてや、未経験から証券会社に転職なんてできるの?といった疑問もあります。
こちらでは、未経験でも転職可能な職種はあるか、どんな会社があってそれぞれどんな特徴があるかなど、証券会社への転職を考えている人に役立つ情報をまとめてみました。ぜひ参考にしてみてください。
激務だけどやりがいある証券会社の実態
支店なら営業、本部なら専門職もある
証券会社といえば、ノルマに追われる営業マンのイメージが強いですが、確かに支店に勤める営業マンは、リテール・ホール問わずノルマを必死でこなす日々が待っています。
一方、本社勤務だと、引受業務やディーラー・トレーダー、投資銀行業務など幅広い職種があり、それぞれが高い専門知識を持った上で業務にあたっています。
年収レンジの高い金融業界の中でも上位にある証券業界
証券会社の待遇は、全業界の中でも高いレベルにあります。業界全体の平均年収でも約760万円、大手証券会社だと年収1000万円を超えるレベルにあり、激務とは言え、それなりの待遇があるから辞められない、という実態も窺えます。同じ証券会社でも大手と中堅ではかなりの差があります。
証券外務員Ⅰ種・Ⅱ種は必須資格、FPや保険の資格も
証券会社で仕事をするにあたり必須の資格といえば、証券外務員です。Ⅰ種とⅡ種があり、まずはⅡ種を取得します。これは、新卒なら入社前に取得するように言われる会社も多いですが、テキストできちんと勉強すれば取得できます。次に、Ⅰ種を取得します。Ⅰ種を取得すると信用やデリバティブ商品の売買も可能になります。仕事をしながら勉強し、取得するケースが多いです。
必須ではありませんが、FPや保険、宅建などの資格も営業をする上で役立つので、働きながら勉強し、取得する人が多い資格です。
景気に左右される業界なので、将来性も不透明
証券会社は、株式や債券、為替相場の影響をまともに受ける業界なので、景気とともに浮き沈みの激しい業界です。相場が好調のときは良いですが、不況になると階段を転がり落ちるように収益が落ち込み、業績が悪くなってしまいます。人員削減のためリストラが進むこともあり、業界全体でハイリスク・ハイリターンという傾向は否めません。
どこまで知ってる?証券会社を分類してみる
獅子奮迅の国内大手独立系
銀行や財閥との直接的な関係を持たない独立系の証券会社に、野村證券・大和証券があります。グループに属していないため、経営戦略を自由に取ることができるのが特徴です。また、扱う商品や顧客企業にも銀行のしがらみはなく、自由度が高いのがメリットです。銀行系のように顧客の基盤はないため、自力で顧客を開拓する気質が求められます。
スマートでスピーディーな連携がウリの銀行系
メガバンクや外資系銀行など銀行の傘下、もしくは同じグループに属する、銀行系証券会社には、SMBC日興・みずほ証券・三菱UFJ証券が大手として挙げられます。銀行の資本基盤があるため財務面が強固で、安心感があります。証券会社側は銀行の顧客基盤を活用でき、顧客も銀行・証券・信託など業態を超えてさまざまな金融商品を活用できるという双方にメリットがあります。ただし、人事面ではグループ会社への出向や兼職など厳しさもあり、派閥などしがらみが生まれやすい体質と言えます。
将来性を模索している準大手・中堅
準大手・中堅といわれるのが、岡三・東海東京・SMBCフレンドなどの証券会社です。これらは株式の売買手数料を主な収益としているため、手数料の安いネット証券などの参入により先行きが厳しくなっています。また、企業規模からいっても投資銀行業務に力を入れることは難しいので、リストラや収益の見直しなどによって体裁を保っていかなければなりません。
機関投資家相手に国内でも存在感を示してきた外資系
日本国内で知名度が高い外資系証券会社には、ゴールドマン・サックス、モルガンスタンレーグループ、バークレイズなどがあります。日本国内での営業で言えば、外資系証券会社の顧客は主に機関投資家で、投資銀行業務に力を入れています。
外資系は実力主義で、優秀な人材には手厚い待遇がありますが、そうでなければあっさりクビを切られるリスクも高くなります。また、合併など組織の変化が大きくスピーディーなのも特徴です。
気軽さと手数料の安さならネット証券
SBI証券・楽天証券・GMOクリック証券をはじめとするネット証券の登場は、個人投資家の爆発的な増加に一役買いました。窓口を持たず、営業マンもいないネット証券は、手数料の安さがウリです。自分で情報収集して自己責任で売買し、営業マンからの押し売りもない、気軽さもメリットです。株式売買だけでなく、債券の売買やIPO、為替取引など、一般的な証券会社と変わらない商品やサービスを展開しています。
証券会社への転職は未経験でも可能?
未経験で応募するなら20代後半まで
証券会社の求人で未経験OKかどうかは、会社によって異なります。未経験を歓迎しているところもあれば、「外務員資格必須」や「営業経験がある人」といった条件がある場合もあります。また、証券会社によっては未経験の場合の年齢制限を課している場合もあるので、求人の内容をしっかり確認して下さい。証券会社は未経験でも、同じ金融業界である銀行で勤務経験があったり、他業種でも営業経験があったりすればチャンスは広がります。ただし、未経験からの転職の場合は基本的に20代の後半が限界です。年齢が若ければチャンスはあるので、早めのチャレンジがおすすめです。
欲しいのは即戦力、営業なら未経験でも可能性あり
特にリテール営業職は離職率も高く、人材不足が常態化している会社が多いので、未経験者歓迎で積極的に採用活動を行っているケースもあります。ただし、営業職以外は資格・経験が必須条件という場合が多く、即戦力になりうる人材を求めています。職務上、専門的な知識とキャリアを求められるようなディーラーやアナリストなど、主に本社勤務になるような職種はかなり狭き門といえます。
未経験から狙える職種に絞れば転職可能
個人顧客を対象にしたリテール営業
証券リテール営業は個人の富裕層がお客様です。お客様の方が株式売買などの経験が豊富、というケースもしばしばです。その場合、未経験ならではの新しい発想が好まれることもあるので、経験だけでなく、相性や相場観などが重要視される部分もあります。
未経験でも同じ金融業界での経験がある人や営業経験がある人は転職しやすいので、証券会社への転職を考えているなら、計画的に金融系の専門的な資格を取得しておくと、有利です。
ファイナンシャル・アドバイザー
日本ではまだ馴染みがないですが、「IFA=独立系ファイナンシャル・アドバイザー」という存在も注目されつつあります。これは、金融機関から独立した資産運用アドバイザーで、提案のみならず、提携している金融機関で商品を選び、売買の仲介まで行ってくれるのが特徴です。IFAは、正社員ではなく、単年度契約の契約社員などという身分の場合が多く、安定性に欠けるのが難点です。もちろん、数字を上げないと契約打ち切りというリスクもあります。
高給で人気の証券会社。求人なんて出回るの?
不況の後に求人が出る傾向あり
証券会社は、景気の波をまともに受ける業種です。そのため、景気が良いときは人も仕事も増えるけれど、業績が悪化すると一転し、リストラを進めることもしばしばです。そのため、不況を抜け出す時期がチャンスです。ちょうど、景気が上向くのに合わせて人を増やす必要が出てくるので、求人が出るタイミングを逃さないようにしてください。
景気に関係なく、営業職は求人が常に出ている
証券会社は、損得があからさまにわかる世界なので、いつも顧客に利益を与えられるかと言われれば絶対ではありません。良いときも悪いときもあるのが相場です。そのため、ノルマがきつく、数字に追われる日々に耐えかね、平均を上回る高い離職率となっています。また、1年以内の離職が一番多く、その分の補充が都度されるので、営業職の求人は常に出ている、と言っても過言ではありません。
未経験からでも転職可能な求人を探し出すには
企業のホームページをチェックする
ピンポイントで狙っている証券会社があるなら、ホームページのこまめなチェックは欠かせません。ただし、自分の希望企業でいつ出るかわからない求人を待ってばかりはいられません。求人が無かった場合に次ぎの手だてがないと困るので、この方法だけで転職活動を進めるのは厳しいです。
転職サイトで調べる
膨大な量の求人の中から自力で探さなければならず、時間がかかります。また、求人票に書かれている内容だけでは判断できないことも多く、結果的にミスマッチを引き起こすリスクも高まります。求人量・雇用条件など情報収集をして動向を把握しておくためには役立ちますが、本格的に転職活動をはじめると、やはり自力では限界があります。
転職エージェントから非公開求人を紹介してもらう
優良求人は公開されず、非公開求人になっていることがあります。非公開求人を紹介してもらうためには、まず、転職エージェントに登録しておきます。そうすることで、キャリアコンサルタントが、非公開求人も含めた中から自分に合った求人を紹介してくれるので、タイミングを逃す心配もありません。
キャリアコンサルタントは業界だけでなく企業にも精通しており、日頃から様々な情報収集をして動向を把握しています。そのため、内情を知ることができ、企業ごとの志望動機等の面接対策ができるというメリットもあります。
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、転職業界でもNo.1の転職成功実績を誇る転職エージェントです。幅広い業種と職種の求人を扱っていますが、20代~30代の若い世代をターゲットに営業職の求人の割合は大きく、未経験から転職したいと考えている人にも応募できる求人も豊富に扱っています。
未経験の業界でも、専任のキャリアコンサルタントが豊富な経験を活かしたアドバイスをしてくれます。業界の動向を知る上でも、扱う求人数が他社を圧倒しているリクルートエージェントには登録しておくことをおすすめします。
拠点も全国主要都市に19箇所あり全国を網羅しており、転職サポートの流れもスピーディーなので、今すぐ転職したい人も頼りになります。土日の相談が可能なのも利用しやすいです。
金融業界向けの転職エージェントをまとめています。年収アップ転職におすすめの転職エージェント、金融業界への未経験転職におすすめの転職エージェント、金融業界から異業種に転職したい人におすすめの転職エージェントを紹介しています。
まとめ
未経験から証券会社への転職を狙うなら、求人数が豊富な営業職が狙い目です。そして、キャリアやスキルを持ち合わせていない場合、未経験から証券会社への転職は20代後半がリミットといえます。また、年収レンジは高いものの、景気に大きく左右される業界であること、ノルマが厳しいことなど、覚悟の上でチャレンジして下さい。
転職には、マーケットが良い時やピンとくる求人が出た時など、タイミングも重要です。よい求人に巡り会えるよう、日頃からアンテナを高く上げておくことが大切です。タイミングを逃さず、自分の目指す証券会社への転職を成功させてください。