新型コロナウイルス感染症などの影響もあり、経済情勢は今までにないほどの大きな変化を見せています。倒産したり事業を大幅に縮小したりした企業も多く、全体的に厳しい状況となっています。当然、こうした経済面の落ち込みは転職市場にも悪影響を及ぼすことになります。
とはいえ、業界による違いもあることから、企業による差が大きくなっていくことも予想されています。2024年における製造業や電気・機械エンジニア系の転職事情を考えてみましょう。
2024年の製造業の転職市場の予測は?
製造業は大手メーカーを中心に、2023年から2024年にかけて転職市場は良い状態を維持すると見られています。特に医薬品メーカーなどのジャンルでは、後発医薬品の開発と製造体制を強化している企業がいくつも見られますので、求人もそれに伴い活発化すると考えられます。また、機械工業などの面でも現状維持から向上を見せると予測できます。
新型コロナウイルス感染症の影響で、市場におけるニーズはあるものの半導体不足などの問題で生産ラインを縮小せざるを得なかった企業が多かったからです。その分を取り戻すために、2023年の後半から2024年にかけてはより多くの生産高を計画している企業が増えるはずです。
これは自動車や家電製品を始めとする幅広い分野で見られる傾向と言えます。コロナ渦が明けることで、さらに需要が増えることも予想されますので製造業の活況も同時に起こると考えられるからです。
製造業の中でも、とりわけIoT技術を中心としたデジタル化を促進しているメーカー、もしくはジャンルではその伸び率が高くなります。より安価かつ汎用性の高い技術やパーツでも、IoT製品が作られるようになっていますので中小企業でも開発が進んでいます。
このジャンルにおける技術や経験がある人の募集は多くなり、大企業だけでなく小さめのメーカーでも求人のすそ野が広がるわけです。どの業界でもDXの波が来ていますので、それに伴って業務システムやツールの刷新が様々なシーンで行われています。当然、関連するデジタル技術を用いた製品の製造にも熱が入ることになり、転職市場にも好影響を与えるでしょう。
2024年の電気・機械エンジニアの転職市場の予測
ミドルクラスのエンジニアの採用が活発
電気・機械エンジニアの分野についても、転職市場は上向き傾向が続くと予測されます。2022年までは世界中でかなり深刻な半導体不足が生じていて、電気・機械エンジニア関連の企業でも業務範囲が狭まっている状態が見られます。
ウィズコロナの政策に転換した政府も多く、これからは十分なパーツ供給がなされると期待されていますので、それに従って製品販売も増えます。そうなると設備や機械の取り付けの機会も多くなりますので、電気・機械エンジニアが求められるシーンが出てくるというわけです。
転職市場の中を詳しく分析してみると、特に経験年数が10年を超えるようなミドルクラスのエンジニアの採用が活発になされると考えられます。先端技術を用いた製品が多くなっていますので、それを扱える十分なスキルを持ったエンジニアが必要とされるからです。
未経験者のエンジニア募集が増える
また、コロナ禍においても電気・機械関連の企業はそれほど業績を落としていないところが多く、人材登用に資金をかけられる体力を残しています。そのため、強い戦力となる経験者を抱えることで、サービスの質を向上させられます。こうした考えもあり、中途採用によるエンジニアの募集が引き続き進んでいくと考えられるのです。
同時に、未経験者の育成という点でも力を入れている企業が多くなっていることも特徴です。この業界では、全体として人材不足の傾向が強くなっています。また、企業によっては技術者の高年齢化が進んでいるところもあります。
10年、20年後を見据えて企業の人材力を高めるためには、未経験であっても若手を採用して、しっかりとした教育を行うことが求められているのです。さらに、DXが早い勢いで進んでいますので、新しい技術に柔軟に順応できる若手を新たに教育した方が効率が良いと見る向きもあります。
中小企業でも大きなプロジェクトに参入できる
他にも、電気・機械エンジニア関連では、アウトソーシングのシェアが大きくなっていることにも注目できます。一社ですべての業務を行うというよりも、専門的な技術やノウハウを持つ他社に一部業務を任せるわけです。これには、製品やサービスのハイテク化が進んでいることや、一社で様々な業務をこなすための人員を確保するのが難しくなっていることが関係しています。
そのため、大手企業だけでなく、中小企業においても幅広い業務、場合によっては大きなプロジェクトに参入できるチャンスが広がっています。こうしたアウトソーシングを請ける企業では、市場が拡大している状況にあるという点を見て、経験年数が少ないエンジニア、中には未経験者も積極的に採用することが考えられます。
このように、電気・機械エンジニア関連では、ミドルクラスのエンジニアであれば好条件かつ、選択肢の多い転職のチャンスがあります。経験が少ない、もしくは未経験者であっても、先端技術を扱っている企業やアウトソーシング業務をメインとする企業では比較的転職の機会を見つけやすいと言えるでしょう。
全体的に転職市場は追い風が吹く可能性が高い
上記のように、製造業や電気・機械業界でも転職市場には好条件がそろっていることが分かります。この傾向は他の業界でも同じで、全体的に追い風となり求人の母数も質も向上すると考えられています。やはりコロナの収束が予測される中、各企業が積極的な設備投資や人材登用に力を入れるからです。
これは、収束に伴い消費者が活発に購買行動を始めるため、収支が上向きになることが影響しています。
幅広い業界でデジタル人材のニーズが高い
とりわけ、高いスキルと経験を持つ人についての採用に力が入れられるでしょう。IT技術を組み込んだ製品がこれからさらに増えますので、従来のアナログ的なスキルではなく、デジタル技術を持った人材のニーズが高まります。たとえば、組み込みソフトウェアやAIを使った制御などのシステムを扱える経験者は、どの業界でも必要とされています。
これらの技術は、今までは精密機器やコンピューター関連の製造でのみ利用されていました。しかし、今では一般家庭用の家電や、オフィスや様々な施設で使われる機器にも普通に利用されるようになっています。それだけに、横断的に業界をまたいで人材が転職できるようになっています。
こうしたことから、半導体装置メーカーで働いていた人が、家電メーカーや電機エンジニアとしての転職をするといったケースも増えていくでしょう。一つの技術が業界にとらわれず幅広い分野で活用されるという事情を考えると、転職希望者としても業界にこだわらず自分の経験とスキルを活かせる企業を見つけることが大事になってきます。
業界を変えることで、より良い条件の求人を見つけやすくなったり、採用の確率がぐっと上がったりすることも予測されます。より良い転職をするためには、広い視野を持つことがカギとなるわけです。
未経験者にとっても、新しい技術を促進しようと考えている企業への転職のチャンスが得られます。こうした企業では軸となるミドルクラスの経験者と共に、未経験者を研修して将来を担う人材を確保したいと考えているからです。全体的に活発になると見られる2024年は、幅広い層の人たちにとって転職しやすいタイミングとなるでしょう。
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