海外営業といえば、グローバル化が進展する昨今では人気の職種となっています。しかし、人気である反面、狭き門となっているのも事実です。「海外=なんかスキルが身に付いてグローバルに活躍できそう」という安易な考えでは選考を突破できません。今回はそんな海外営業の転職活動について徹底解説します。
実際に未経験の状態から転職活動を行い、海外営業へとキャリアチェンジした方の体験談を踏まえているので、「自分は未経験だけど海外営業への転職はできるのか。」と不安に思うあなたは必見です。
海外営業の実態とは?
海外の販売代理店や自社の現地法人と連携し、営業活動を行う
海外営業のミッションは海外マーケットにおける自社商品の拡販です。自社商品をどれだけ海外のお客様に買ってもらえるかが焦点なので、出張ベースで営業を主導し、海外の現地法人や支社に赴任し駐在員となって海外で営業活動を行うケースがあります。
国内での営業と比べ厳しい価格競争に巻き込まれる
国内の営業に比べると、地場の法人との競争になるので、激しい価格競争や交渉が必要になってくるケースがほとんどです。商習慣や文化の違いによって自社の商品がそのまま海外でも流通するということはなく、現地に合わせたビジネス展開を求められます。
平均年収513万円(20代→432万円、30代→599万円)
海外営業の平均年収は高くなる傾向にあります。なぜなら、海外におけるビジネス展開はハードになることが多く、その分の手当て(駐在手当や福利厚生)が厚くなる傾向にあるからです。
【海外営業になるには】転職事情
競争率が非常に高い
海外系の求人は高待遇になることがほとんどです。それゆえに、高待遇での勤務を望む候補者が求人に殺到して1枠の求人を数百人から数千人が応募する事態となります。駐在案件や外資系案件は元々のベースが高い上に各種手当がついてくるのでベース給与と福利厚生が手厚くなり、高待遇となります。
経験値が要求される場合が多く、未経験での転職はかなり厳しい
海外営業では高い営業・ビジネススキルが求められる
未経験者にとっては非常に難しい転職活動となることが多いでしょう。なぜなら、海外営業では、国内営業以上に高い営業スキル(交渉力、マーケットへの理解)が求められるとともに、英語を中心としたコミュニケーション能力、外国の人たちとそん色なく働くためのダイバーシティへの理解が求められるからです。加えて、海外における現地法人社長との折衝、日系企業で赴任してきている役員クラスの役職者への対応も高度なビジネススキルが求められます。それゆえ、国内での蓄積された営業経験も求められます。
未経験でも海外営業の門戸は開かれている
最近の傾向として、20代後半までであれば、育成枠での採用をはじめる中小企業も徐々に増えてきています。特に中小企業ではコストを抑える為にも即戦力が求められ、猛スピードでの成長を要求されるので注意しましょう。育成枠で入ったつもりなのに、即戦力としてのプレッシャーに耐えられないというケースも散見されます。
海外営業の市場はやや流動化しつつある
海外営業職の人材は流動化しており、20代の転職機会はそれなりにあります。しかし企業では、海外営業職が十分に経験を積む前に辞めてしまい、ベテランが育ちにくいことが多いため、一度海外営業職に就くと異動はほとんど無い状態になっています。それゆえ海外営業職の担当者は高齢化し、採用も経験重視の中途採用が多くなっている傾向にあります。
それゆえ、人材の年齢リフレッシュ・リプレイスメントという観点から海外営業の育成枠募集を開始した企業も出始めています。地域としては、成長著しいアジア圏を中心とした海外営業のニーズが増えている状態です。アジア新興国の旺盛な需要を獲得するための海外営業要員増強という背景のようです。
【海外営業になるには】ハードルの高い転職を有利にする知っておくべきこと
海外営業職への転職に成功する確率が高まる場合(経験・未経験問わず)
海外営業職への転職確率が高まるケースとしては、あなたのこれまでのキャリアと営業スタイルが志望する海外営業職と合致する場合です。
【海外営業と前職キャリアが合っている事例】
これまでのキャリアと営業スタイル | 海外営業の業種・求められているキャリア |
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通信業界・個人営業・営業リーダーの経験あり | 通信業界 地場営業スタッフへの教育 個人営業の経験あり |
金融業界・法人営業 | 金融業界 育成枠採用 法人営業経験数年で可 |
自分が今まで積み上げてきたキャリアと経験が海外営業職の業務内容とどれだけ親和性があるかが重要なのです。人事担当者としても要件を全てそろえている100%な人材が必ず採用できるとは思っていないので、理想に近い人材を採用します。それゆえ、海外求人で求められている要件と自分のキャリアを比べて検証してみることが重要です。
海外営業職の必要スキル
海外営業では、日本とは異なる環境下でも数字を出して結果に残すことができるかが重要となってきます。それゆえ、国内で培った営業力はもちろんのこと、異文化圏でのビジネス遂行能力が求められています。
営業力
営業として先方との信頼関係を構築する力が求められています。
コミュニケーション力
商習慣や文化などが異なる人と理解を深めながら仕事を進めていく必要があるため、高度なコミュニケーション能力が求められます。
情報収集能力
その国特有の商習慣や文化を理解し、ローカルな取引先との関係も構築していく必要があります。
タフネスさ
異文化圏で生活して慣れる能力が必要です。
輸出入の知識
海外顧客との取引となると、交渉時に輸送費や貿易条件などは重要な要素となるため、輸出入に関わる貿易の知識・ルール等の理解は必須です。
社内調整力
国内のみならず海外にもステイクホルダーが広がるので、調整力が必要となってきます。
代金回収の能力
日本と比べて代金回収の難易度が跳ね上がるので、根気よく代金回収する粘り強さが求められます。
キャッシュフロー管理
キャッシュフロー管理をしっかりしていないと、後々発覚した1件の未回収で会社の経営が危なくなる危険性もあります。
最低限の語学力
TOEIC最低750点は必要です。語学はあくまでも手段でしかないので、外国語はできて当たり前という認識でいましょう。
海外営業に転職、転職理由・志望動機は?
続いて、海外転職において有利になるための転職理由・志望動機の作成の仕方を解説します。単なるグローバル志向や帰国子女アピールといったものでは選考に通過できないので、なぜ海外営業でなければならないのかに重点を置いた内容にしましょう。
その企業でなければダメな理由を志望動機に盛り込む
必然性と呼ばれるもので、なぜその企業でなければいけないのかを明確にしなければ他社でもよいと人事担当者に判定されてしまいます。
グローバル視点での強み・長所を志望動機に書く
海外営業の職種なので海外目線で見た時に自分の経験で何ができてどのようなアウトプットが実現できるのか表現する必要があります。そして、海外営業を通じて何を成し遂げたいのか目的意識が明確かどうかも求められます。
「海外」「営業」両方からアプローチする
なぜ海外なのか?なぜ営業なのか?この両方を掛け合わせて、海外営業で働きたい理由を明確にしましょう。両方あって初めて整合性のとれる理由となります。
その志望動機が転職理由の解決になっているか
重要なのは転職理由の課題意識を海外営業職によって解決できているかということです。単にグローバルを感じたいという理由ならば海外営業職ではなく留学でもよいはずといったように、転職活動をしようと思った理由を海外営業によって本当に解決できるのか論証しましょう。
海外営業への転職活動における自己PRは?
海外営業へ転職するための自己PRについてもコツが必要です。通常の営業職アピールでは不足です。グローバルな視点を持って活躍できるという主張を補強できる経験やスキルを重点的にピックアップして自分の経験を棚卸していきましょう。
語学力
TOEICやTOEFLなどの保有資格で語学力を客観的にアピールすることは重要です。ビジネスシーンで英語使用経験のない場合は留学やスキル向上を目的とした取り組みをしていることで前向きな姿勢を示して、異文化でもコミュニケーションを行うことができる点を強調していきましょう。重要なのは母国語以外へのアレルギーがないことを説明することです。
交渉力、社内での調整力のアピール
国内のみならず海外との調整も必要になりますので、どんな相手でも妥協しない交渉が出来るという点を強調しましょう。
精神的・肉体的なタフさをアピール
どんな環境でもビジネスを展開できる気概をしめしましょう。
【海外営業になるには】転職活動であったら有利な資格
関連する資格を取得すれば内定に一歩近づく
海外営業への転職は「海外」に関連している難易度の高い資格を取得すればするほど、近くなっていくと言えるでしょう。なぜなら、これらの資格を取得していることによって海外営業への高い志望度をアピールすることができるからです。
資格リスト
・TOEIC
・中国語検定
・MBA
・日照簿記検定
・貿易実務検定®
・マーケティング・ビジネス実務検定
【海外営業になるには】未経験で転職するためにすべきこと
自分の希望するスタイルに合った、質の高い求人を見つける事が大事
ミスマッチを防ぐために、自分のスタイルに合う会社を探しましょう。企業の選択軸で営業スタイルについて詳細に分析を掛けることでどんな働き方とどんな営業手法を使って事業展開しているか把握しましょう。
一番早いのは中で働いている人にヒアリングをするのが一番です。リンクトインなどの情報ツールでコンタクトを取ってみるのも一つの手段です。加えて、自分一人ではコネがないと難しいですが、転職エージェントを利用すると、企業の内部情報に精通したキャリアコンサルタントから詳しい話を聞くことが出来ます。
エージェントを活用する中で、非公開求人によって優先的に自分に合ったオファーをもらうのがベストでしょう。ハロワや転職サイトでは非公開求人は見ることが出来ないが、転職エージェントを利用することで非公開求人にも応募することができ、マッチングした企業を紹介してもらうことで、転職の成功率が上がります。
未経験から海外営業職を目指すのにおすすめの転職サイト・転職エージェント
世界最大級60年の実績ハイクラスエージェント ランスタッド
ランスタッドは独立系のエージェントとして全世界に拠点を展開して、海外系求人は一定数のデータベースに定評があります。強みとしては企業担当と転職者向けコンサル担当が同じになっており、マッチングにおいて抜群の精度を発揮する点です。企業サイドとの交渉も最後まで顔の見えるところまでやってくれるので心強いパートナーと言えるでしょう。
※日本国内でも急拡大中で北海道から九州まで全国各地に117拠点があります。
※マネジメント経験を生かしたい20代後半〜50代までおすすめです。
営業職への転職に役立つ転職エージェント・サイトを比較し、ランキング形式でまとめています。また、転職目的別におすすめの転職エージェントや、転職エージェントの活用法も紹介しています。転職エージェント選びに悩んでいる人は、参考にしてください。
【まとめ】海外営業に未経験で転職するなら転職エージェントを利用しよう
海外営業への未経験からの転職は狭き門ではありますが、これまでのキャリアや経験をいかした企業を狙い、必要スキルや資格を有効に使い、海外営業職にマッチした志望動機・職務経歴書等を準備することが重要となります。
自分一人では大変な作業ですが、転職エージェントの力を借り、さらに優良求人を紹介してもらうことで狭き門を突破することは可能になります。自分に合った優良企業の海外営業職への転職を叶えましょう。