現在は違う仕事をしているけれど、高収入で安定している医薬品・製薬会社に転職したいと考えていませんか?しかし、医学的知識がなくてもよいのか、また製薬会社でどんな職種に転職できるのか分からずに、本格的に転職活動に踏み切れていない人も多いのではないでしょうか。
この記事では、医薬品・製薬会社の仕事内容や年収、未経験から医薬品・製薬会社に転職する方法と、失敗しない求人の選び方を紹介します。
医薬品・製薬会社の仕事内容・年収・将来性は?
医薬品・製薬会社の職種別仕事内容
営業(MR:医薬情報担当者)
製薬会社の営業ともいわれるMR(医薬情報担当者)は、医療機関の医師などに自社が開発した新薬等に関する効能や使用法に関する情報を提供することが主な仕事です。営業の立ち位置にはいますが、MRは価格交渉と納品を行いません。
価格交渉と納品を行うのは医薬品卸売業者であって、製薬会社のMRの仕事ではないからです。MRは1日にいくつもの病院をまわり、このような情報提供を行っています。出張も多く、医師との面会時間が早朝や深夜に限られる場合は、MRもその予定に合わせて行動します。
出張後には報告書をまとめて日報、月報を出すのですが、飛行機や新幹線などの移動時間を使って報告書を作成できなければ、深夜まで会社に残って作成することもあるのです。
研究開発
製薬会社において、販売する新薬やジェネリック(後発医薬品)のメカニズムを解析し、合成するのが研究開発職です。未開発の領域や、薬効が認められないと考えられていた病に効能が見られる新薬を開発するために、長ければ10年以上かけて1つの薬品開発に挑んでいます。
製薬会社の中では、研究開発職が開発した医薬品を元に営業や臨床開発が動いていることもあり、社会貢献だけではなく製薬会社の中でも自分のやりがいを感じられる仕事でもあります。
臨床開発
自社の研究開発職が開発した医薬品を販売した際、一般の人が安全性を保って使用できるかを研究するのが臨床開発職です。具体的には、動物実験を行ったり、試験管の中などで得られた効果が、人体に投与しても同等の効果を得られるかどうかについて、医療機関や協力者(被験者)の協力のもと、医薬品の臨床試験を行います。
この段階で起こり得る副作用反応を確認し、さらに研究開発を重ねて、極めて安全性の高い状態で世の中に医薬品を送り出す仕事です。
品質管理
研究開発職が開発し、臨床開発職によって臨床試験のデータで一定の効果が認められた医薬品が、どのような環境でも同一の効果を示すとは限りません。管理される湿度、温度、期間、保存方法など、開発された医薬品が一定基準を満たした品質を保てるように管理するのが、品質管理の仕事です。
一定期間条件をかえて保管した医薬品の品質が保たれることが確認できなければ、一般的に販売することができません。何度も何度も品質管理の検査を行い、医薬品の品質安定性を確認しながら医薬品の開発過程の妥当性、信頼性、有効性をチェックすることがメインの業務となります。
ロジスティクス(物流管理業務)
上記のようなプロセスを経て開発された自社の医薬品が、実際に患者の手元に渡るまでの物流を計画・管理するのがロジスティクスの仕事です。新薬の販売開始にともなって、新しく物流網を開発したり、国内生産ではなく海外生産にする場合はグローバルな物流網を構築するなど、ロジスティクスの設計の段階にあたる仕事が多くなっています。
原材料の納入計画を立てたり、搬送会社への手配などの具体的かつ実際的な作業については、非正規雇用の社員が担当し、上記のようなロジスティクスの設計は正社員が行うという棲み分けがされている製薬会社もあります。
製薬会社の年収
製薬会社はどの職種も専門性が高く、それに伴って高収入となっています。研究開発職・臨床開発職の場合、30代の平均年収は547万円です。しかし、研究職の場合は内資系か外資系かで年収がかなり異なります。内資系でも上記年収は確実ですが、外資系の場合は800~1,000万円を超えることもあるのです。
MRの場合は、30代の平均年収が699万円となっています。ただしMRの場合、基本給にプラスしてインセンティブ(成果給)も計上されますから、本人の実力次第ではさらに上がることも考えられます。品質管理の場合、30代の平均年収は445万円となっています。製薬会社の中では比較的低い年収になっていますが、残業も少なく働きやすい点でカバーされています。
ロジクティクスの場合、30代の平均年収は650万円ですが、管理職ともなると1,000万円を超えるケースも多々あります。
製薬会社の将来性
リーマンショックで多くの企業が倒産に追い込まれた中、製薬会社は軒並み業績を維持しました。実は、製薬会社は世の中の景気に左右されず、人間が生きていく中で誰もが必要とするものであるため、世界情勢にも左右されにくいという特徴があるのです。
2010年には、医薬品の特許が切れることで開発した製薬会社以外でもジェネリック医薬品が開発できるようになる問題が発生しました。
さすがの製薬会社も大打撃を受けるか…と予想されていましたが、影響を受けたのは一部の中堅製薬会社のみで、大手はほぼ影響を受けずに新薬開発を武器にして2010年を乗り越えています。
中小製薬会社も、むしろジェネリック医薬品の製造ができる規模のところは、業績を伸ばしており、今後も医薬品・製薬会社の将来性は心配ないといえます。
未経験から医薬品・製薬会社に転職する方法
医薬品・製薬会社に求められるスキル
MRに必須!コミュニケーション能力
MRは1日に何十棟という病院、クリニックをまわって、医師とのコミュニケーションを図りながら、医薬品の説明を行います。
もちろん最初から話をきいてくれる医師は少なく、しかも多忙な医師の時間を数分でももらって医薬品の説明をするのは至難の業です。
それでも、コミュニケーション能力を活かして医師の足をとめ、自分よりもはるかに医学的知識がある医師相手にひるまず医薬品の説明を行えるだけのコミュニケーション能力があれば、MRとして大成できるでしょう。
研究開発に必須!集中力
新薬開発は一朝一夕に成せるものではなく、10年スパンで取り組むのが普通という世界です。そのため、長期にわたって集中力を発揮できなければ、同一研究を成し遂げることはできません。
元々大学院でも研究室にこもって日夜試験、追試などに励んできた経験がある人なら、未経験でも違和感なく業務遂行できるでしょう。
品質管理に必須!問題発見能力
品質管理の仕事では、毎日繰り返す品質テストから、医薬品が抱える問題点を発見することが仕事です。
そのため、少しの違いにも敏感であり、なおかつ違いが何によって生じるものなのかを瞬時に見分ける問題発見能力が必要です。
【職種別】医薬品・製薬会社へのキャリアパス
研究職なら大学院卒が有利
研究開発職や臨床開発職になるためには、最低でも大卒、より転職成功率を高めるには、理系の大学院修士課程・博士課程修了の学歴が必要です。
医学部、薬学部、理学部、理工学部など、幅広い分野の出身者が研究職として活躍していますが、やはり大学院修士課程以上であると就職・転職成功率がアップします。
MR・ロジスティクスは異業種からの転職もしやすい
MRは異業種からの転職者が多く、前職が教員、営業職、事務職、医療系専門職など、非常に門戸は開かれた仕事です。
特に資格も必要なく、研究職のように理系出身者以外でも活躍しているMRは多くいます。
ロジスティクスは前職が物流系管理職の場合、非常に転職には有利であり、業種が医療以外でも物流を担当していたにとってはなじみやすい仕事でもあります。
未経験者はMRなら年齢制限なし
MRは前述したように異業種からの転職者が多く、しかも年齢制限もないため、40代にしてMRになる人も少なくないのです。
研究職は大学院修士あるいは博士課程を修了していれば、その間に他の仕事を経験していても採用されることがあります。
研究職も同じく年齢制限をかけられることはあまりないため、年齢の壁は低いといえるでしょう。
未経験から製薬会社に転職、失敗しない転職先の選び方
選んではいけない求人の見分け方
「全国で活躍できます」は転居を伴う転勤多発の可能性
特にMRの求人で見かけるのが「全国的に活躍できます」などの表記です。規模の大きな仕事を任せてもらえるというポジティブなとらえ方をする人もいるかもしれませんが、出張・転勤が多く、働きやすい環境とは言えない可能性があります。
ただでさえMRは出張も多いのですが、製薬会社の人事配置の問題で転勤になることもよくあります。
特に家庭を持っていたり、子どもがいる場合は、単身赴任等で家に帰れない日々が続くかもしれません。
ロジスティクスは非正規雇用が多い
製薬会社のロジスティクスは、そもそも物流の企画・管理の仕事がメインであり、その後の具体的手配や手続き等は非正規雇用の社員が請け負っています。
大手製薬会社の求人に釣られて、正社員かどうかよく確認しないと、後から契約更新のない契約社員だった…ということもあります。
また、物流管理に携わりたいと思っても、非正規雇用ではタッチできない仕事もあるため、ロジスティクスに転職する場合は雇用形態を転職時によく確認するようにしましょう。
おすすめ求人の特徴
首都圏なら家賃補助で1万で暮らせる求人も
製薬会社では福利厚生もしっかりしており、大手ではなくとも給与面以外で厚遇されることがよくあります。
たとえば家賃補助なら、一般的には家賃の3分の1、半額までなどの金額指定があるところ、都内23区内に家賃1万円程度で1Kのマンションに住めるなどの高待遇です。
給与面は目を皿のようにして確認する人も多いと思いますが、こういった福利厚生も充実している求人は、手元に残るお金も多いためにおすすめです。
基本給が高く安定している
MR求人の中には、年収表記のみの求人もありますが、必ず基本給を確認しましょう。
インセンティブが高く設定されていれば、個人の業績が伸びなければ低い基本給のみで生活することになります。
また、賞与が上乗せされて年収表記されているため、賞与カットなどの事態になった場合、ローン返済計画などに大きな穴が開くことになります。
未経験OKかつ条件の良い製薬会社の求人を見つける方法
ハローワークや求人サイトでは、未経験可の優良求人を見つけるのは難しいものです。
転職エージェントに登録することで、好条件の非公開求人を紹介してもらうことができます。
キャリアコンサルタントに転職活動をサポートしてもらえるので、不利になりがちな未経験転職も上手に進めていくことができるのでおすすめです。
さらにエージェント経由で転職先の内部情報を得ることができるので、転職後のミスマッチを防ぐこともでき、安心して転職活動を進めることができます。
リクルートエージェント
リクルートエージェントは、転職成功率ナンバーワンの大手総合型転職エージェントです。
希少性の高い求人を含む非公開求人を常時20万件以上保有していることから、未経験転職では求人が出難い医薬品・製薬会社求人も紹介してもらうことができます。
また、転職先を受験した後も採用担当者にあなたを採用する後押しをしてくれるため、転職が成功しやすいのです。
未経験転職では不安なこともありますが、各地で転職者向けセミナーを開催しており、転職経験のない人や、初めての業界で何をしたらよいかわからないという人へのサポートも万全です。
拠点も全国主要都市に19箇所あり全国を網羅しており、転職サポートの流れもスピーディーなので、今すぐ転職したい人も頼りになります。土日の相談が可能なのも利用しやすいです。
まとめ
未経験で医薬品・製薬会社に転職する場合、職種によってコミュニケーション能力、集中力、問題発見能力が求められます。これらのスキルを身に着けた上で、以下のような基準で求人を探すようにしましょう。
・「全国で活躍」は出張、転勤が多く働きにくい可能性あり
・ロジスティクスで裁量の大きな管理系の仕事は非正規雇用では難しい
・製薬会社特有の給与以外の福利厚生重視で家賃はかからず手元に残るお金が増える
・年収額に騙されず、インセンティブより基本給重視で安定した高収入可能
未経験可の医薬品・製薬会社の求人は見つかりにくいため、転職エージェントを利用して非公開求人に応募するという方法もおすすめです。