将来安泰といわれていた銀行員になったけれど、現実は、厳しいノルマや複雑な人間関係に悩まされている人も少なくありません。
今後の昇格や昇給も不確定で、将来に希望が持てないのも不安ですよね。
ここでは、銀行員から転職する場合のおすすめの転職先についてまとめています。
また、銀行員を辞めたいと思う理由と上司への仕返しは可能かについて解説し、銀行員というキャリアは転職有利になるか検証しています。
将来安泰なんて嘘!銀行員を辞めたい理由11選
①古い体質で営業ノルマや出世競争が厳しい
銀行員は収入の高さや安定性で就活生にも、その親にも人気があります。しかしその実態は体育系の古い体質で、未だにアルコールハラスメントが存在します。基本的に村社会なので飲み会を断ることもできず、派閥争いや出世競争も激しい世界です。
特に男性を中心とする人間関係は嫉妬にまみれたドロドロしたものです。
営業ノルマもブラック企業並みに厳しく、休憩時間の返上や長時間の残業も日常茶飯事です。さらに、40~50代で出世コースから外されてしまうことも多く、何年キャリアを重ねても、常に左遷の恐怖と向き合い続けなければなりません。法律上の規制や制約なども多く、独創性が高い人だとルールの多さも苦痛になってしまいます。
②トップにいる人間は王様扱い
メガバンクはその名の通り巨大な組織です。支店勤務の営業マンや一般職の女性がなにか意見できるような雰囲気はないと言っても過言ではありません。もし言えたとしても、スルーされるのが関の山です。
あらゆる決定事項に関して、完全なトップダウンということを理解しておくべきです。何をするにも、トップの顔色を窺わなければならないのは、風通しが悪く窮屈な世界です。
③叱責・怒号におびえる日々
銀行は、名前だけでのうのうと仕事をしていられるだろう、と思うのは安直すぎです。それ故に求められる事柄もレベルも高いですし、ノルマも厳しいです。新規の預金や融資などその地域の経済規模からは考えられないような、ブラック企業並みのノルマを課されることもしばしばです。
外回りに出ても、1時間おきの報告や上司からの叱責に追われることもあります。
理不尽なことばかり要求する上司に辟易
パワハラやノルマの詰め、上司を選べないサラリーマンなら避けられない障害です。そんなクソ上司を成敗する、胸のすくようなドラマがありますが、現実はそう簡単にはいかないものです。
銀行では派閥争いも激しく、立ち振る舞い方を誤ると昇進が望めなくなったり、異動に響いたり、ということもあります。
その他の面でも、銀行はとにかく人間関係が面倒という問題があります。本人だけではなく、社宅での面倒な付き合いを家族が嫌がるというケースもあります。
④転勤が異常に多い
お金を扱う仕事なので、顧客との癒着などを防ぐためにも転勤が多い職種です。メガバンクは拠点も多いので、自動的に転勤の数も多くなります。
その土地に慣れた頃には次の土地というように、大体2~3年に一度全国を飛び回り、実績を上げれば本店や本部内に入れますが、そうでなければある程度の年齢になっても地方を転々とする、というのが現実です。
⑤一般職は仕事がつまらない
銀行の一般職は一般的に、テラーと呼ばれる窓口業務を担当します。他の業種と比べて給料も悪くないし、銀行なら福利厚生も手厚いので人気の職種です。
ただ、ルーティンワークがほとんどで、 仕事のための仕事がとにかく多く決められた書類や手続きが煩雑なことから、仕事が単調でつまらない、やりがいがないと捉えられることもあります。
⑥昇給しない
銀行は、総じて年収レンジが高い業界です。ただし、入社時の給料は高いですが、昨今の経済事情からなかなか昇給は厳しいという現実もあります。また、基本給が低く抑えられていて、各種手当や能力給・グレード給といった項目をプラスすることで給与総額が設定されています。
そのため、基本給をベースに算定される賞与や残業代が安くなったり、退職金や昇給も少なくなったりするデメリットもあります。
⑦サービス残業当たり前
特に融資や渉外担当の営業になると、サービス残業も当たり前に存在します。顧客の都合に合わせて外回りをする必要がるほか、ノルマがあげられないとひたすら案件探しという現実も待っています。
残業をするな、という上司からの厳しい指示はあるものの仕事が終わるわけもなく、当然残業を付けられるような雰囲気もなく、PCを消してから事務仕事に取り掛かる日々も当たり前にあります。
⑧次から次へと資格試験が続く
銀行業務は多角化しています。保険や証券などの資産運用、不動産やローン、税務・相続などライフイベントには必ずと言っていいほど銀行は関わっていきます。金融にかかるあらゆる事柄についての知識が求められるため、その都度資格試験が待っています。
また、法令や税制は変わっていくので、資格取得後も継続的な勉強が必要です。向上心が乏しい人には不向きな職種と言えます。
⑨セクハラやパワハラが横行していることもある
銀行は上下関係が厳しく、支店長や部長などの管理職の存在は絶対です。本人にその意識は全く無いけれど、明らかにセクハラ発言があったり、パワハラが横行したりしています。
人事部に匿名で相談できるホットラインを設置しているケースもありますが、それに悩んで退職する人も少なくありません。
上司を崇め、奉ることが求められる
神様レベルに丁寧に上司を扱い、とにかく気に入られなければ仕事がやりにくいのが銀行員です。上司のやり方に逆らえば、長時間の詰め・怒声を浴びることもしばしばですし、理不尽な詰めに耐えかねて最終的に心の病にかかってしまい、仕事ができなくなる人も少なくありません。
そんな風になってしまったら、早めに転職をして、少しでもまともな生活を送る選択をするのが懸命です。
⑩銀行の体質に自分が合わず1年目で退職する人も
1年目で銀行員を退職する人の理由で多いのは、銀行の体質に自分が合わないというものです。
銀行は、お金や有価証券を扱うので、コンプライアンスにとても厳しく、何事も厳格なルールに基づいて実施する必要があります。そういう環境を窮屈に感じる人は、まず続きません。
また、銀行員は税務や年金、相続など幅広い知識が必要で、日々勉強が欠かせません。入社して間もなくは資格試験などに追われ、プライベートな時間を楽しむ暇もありません。
⑪職種ごとに違う、銀行員を辞めたい理由
銀行員を辞めたい理由は、人それぞれです。石の上にも三年、という言葉がありますが、勤続年数が浅い3年未満で退職する人が多いのも特徴です。
また、銀行員は人事異動が多い職場でもあります。職種によっても求められる能力や置かれる環境が大きく異なるため、異動先で思うような仕事ができず、退職していく人もいます。
退職理由について、それぞれの特徴をみてみます。
営業
銀行の営業職は、預金のほか、投資信託や保険などの金融商品を提案するため外回りをします。規制緩和に伴い銀行で扱う商品が飛躍的に増えたことで、元本リスクを伴う商品も多く、高度な知識や正しい商品説明などが求められます。もちろんノルマもありますし、暑い夏も寒い冬も外回りをしなければならないので、体力的にもハードです。
保険外交員や証券会社の営業と異なり、給料が歩合制で成績によって大きく変動することは少ないですが、ノルマが未達だと将来的な昇進に響きますし、上司からの叱責も強くなります。そのようなストレスやプレッシャーに耐えきれず、退職を考えるようになります。
出納
銀行の出納係とは、窓口での現金の出し入れを管理する後方事務の仕事です。事務的で楽な仕事だと思われがちですが、重い現金を運ぶ力仕事もあったり、窓口の一般職と同様に少なからずノルマがあったりするので、出納係だから楽、ということはありません。
銀行で扱う現金は、1円たりとも間違うことは許されないので、毎日プレッシャーとの闘いでストレスフルな生活に疲れて、退職を考える人もいます。
一般職
銀行の一般職は、主に窓口業務を担当していますが、身だしなみにはとても厳しいのが銀行です。おしゃれもしたい年頃なのにヘアスタイルも決まっていて、髪を染めるのもネイルもダメ、メイクも地味でなければならない、というのが嫌になる人もいます。
また、女性が多い一般職では、女性ならではの人間関係や上下関係の悩みから、辞めたい、という人もいます。
総合職
ノルマが厳しいのが総合職です。預金額からカードの契約件数、保険や投信の販売件数・金額などさまざまな数字を求められます。ノルマを達成しているかどうかで人間性を評価されるという側面もあり、ストレスから辞めたいという人が多いのが総合職の特徴です。
銀行の総合職は異動が多いことでも知られています。転勤を伴う異動も多く、家族がいる人は特に大きな問題です。
融資担当
融資担当は銀行営業の花形とも言えますが、客先の経営に直接的に関わるため、責任の大きな仕事です。高いコミュニケーション能力や、時には厳しく冷静な判断を求められるなど、銀行にとってトラブルになり得ることを事前に回避する能力も必要です。経営者と直接やりとりすることも多いので、適切なマナーや気遣いも必要です。
当然、ノルマも厳しいので、それに耐えかねて退職をしていく人も多いですし、同業他社により条件の良い環境を求めて退職する人もいます。
銀行員は転職に有利って本当?
銀行員のキャリアは転職市場で高く評価される
近年、銀行員の仕事の幅はますます広がっています。幅広い金融知識が求められ、異動が多く、系列会社に出向ということも少なくありません。体力的にも精神的にもハードな仕事です。しかし、役立つ資格を持っていることや営業経験など貴重な即戦力として重宝される人材でもあります。
銀行員として働いた期間に身につけた知識や資格を活かせば、より有利な転職活動を進めることができます。
銀行員というだけで社会的な信用も高い
銀行員は、規律を求められ、何事にも誠実な姿勢と高いコンプランス意識が養われています。「銀行員」という職歴は、社会的な信用度も高く、それだけで評価される材料になります。
そして、銀行では研修をしっかりと行っているので、即戦力としての活躍を期待される人材でもあります。
銀行から銀行はおすすめできない
銀行での業務経験があるといっても、銀行は中途採用自体が少ないです。
また、メガバンクから都市銀行に転職すると、年収・待遇は確実に悪くなるので、おすすめできません。
銀行員の何が不満なのかを明確にしておこう
何が嫌で銀行員を辞めたいのかをハッキリさせておかないと、次も同じような条件の仕事を選んでしまいかねません。
「数字の計算ばかりでつまらない」「下戸なので体質的に辛い」、あるいは「左遷の恐怖から解放されたい」など色々な理由があるかと思いますが、「どうしてもこれは嫌」というのが何かを明確に整理しておきましょう。
また、現職の不満点を整理するだけでなく、自分が仕事に何を求めているのかも明確にしておく必要があります。
「人間関係が穏やかで食べていければ、仕事の内容はこだわらない」、「自分で考えて工夫できる仕事がしたい」など、仕事に何を求めているのか、その中でどうしても譲れない部分はどこかを煮詰めることで、自分に合った仕事が見えてきます。
銀行員から転職、おすすめの転職先は?
転職活動を成功させるには、企業選びが最も大切です。そして、自分が求める条件に見合う求人を見つけるには、自分がどのような働き方をしたいのかをハッキリさせることが重要です。企業選びで失敗しないためには、できるだけ企業の内情を知り、情報を集めることがポイントになります。
金融業界
証券会社やクレジットカード会社、保険会社などの金融業は、業務内容はメガバンクなどとは違いますが、仕事の性格的には銀行員と似ているので適応しやすいです。銀行員という社会的信用のある肩書きも転職に有利な業界です。
保険会社
銀行でも保険は扱うので、メガバンク時代に取得した資格をそのまま活かすことができる仕事です。保険会社は、銀行よりも扱う商品の幅が限定されるので、転職しやすいというメリットもあります。
証券会社
メガバンクは証券会社も系列に持っていますが、独立系の証券会社へ転職する人も少なくありません。メガバンクで学んだ金融知識により専門的な知識を加え、証券会社の様々な部署で活躍できます。銀行系の証券会社なら、IPO案件も多く扱えます。
不動産業界
銀行員として培った、融資などお金の知識が活かせます。銀行員としての知識をベースにしながらスキルアップできるので、銀行員からの転職で人気の職業です。
コンサルティング業界
お金にまつわる専門的な意見が求められるので、銀行員の経歴を持つ人材は好まれます。メガバンクでの財務分析経験者であれば、大手企業のコンサルティングも対応できます。
外資系企業・ベンチャー企業
外資系企業やベンチャー企業の経営管理ポジションでは、メガバンク出身の若手をポテンシャル採用することも多いため、入社5年くらいまでの銀行員は転職しやすいです。
経営管理ポジションの他に、財務ポジションでもメガバンク出身者が歓迎されやすいです。
公務員
銀行員になる人は安定志向が強い人が多いため、公務員に転職する人も多いです。公務員試験のための勉強が必要になりますが、銀行員はスキルアップのための学習を続けてきているので、知識の吸収が苦にならない強みがあります。
ただし、公務員は資格によって受験に年齢制限があり、民間企業での職歴の制限も自治体によって異なるため、退職前にきちんと調べておきましょう。
また、以下の理由で転職を考えている人は、公務員は避けた方が無難です。
・仕事にやりがいを求めている
・閉鎖的な人間関係が苦手
・職業上の、理不尽で合理性に欠けるルールが不満
・個人プレーの方が働きやすい
これらの不満は公務員にも共通するからです。
経理・事務
窓口業務や裏での事務業務をしていた人におすすめの職種です。後方事務でお金を扱っていた経験は、正確性を求められる経理や事務の仕事にぴったりです。
営業職
メガバンクで営業職をした経験は、金融機関をはじめさまざまな業種で活かせます。メガバンクから営業職として転職するなら商社がおすすめです。
安定性が高い商社は、人気が高い転職先の一つです。年収レンジが高いのも魅力の一つです。特に、ファイナンスの業務経験がある人は商社への転職に強みがあります。
販売・サービス
販売やサービスは、直接お客様と対面する職種なので、窓口業務をしていた女性におすすめの職種です。身だしなみや礼儀はもちろん、クレームなど臨機応変な対応が求められる状況にも慣れているので経験を生かせる仕事です。
ソリューション営業
RMの業務経験が豊富で営業成績のよいメガバンク出身者は、財務的な視点を必要とするソリューション営業でも歓迎されます。
中小企業の財務
銀行員からの転職が歓迎されやすく、銀行員から転職後数年で役員まで出世する人も多いです。特に融資の業務経験がある人は有利です。
ちなみに銀行員からの転職というと経理が有利ではないかと考えがちですが、経理は実務経験者のみが求められる傾向が強く、中小企業の経理でも他の職種からの転職は難しいです。銀行員の経歴があっても、中途採用で経理職に就くのは困難です。
製造・サービス業の経営職
お金の流れに関する知識を活かせます。銀行の中で経営陣の役職を狙うよりも、低い難易度で経営に携われます。
Web・IT業界
銀行員からWeb・IT業界に転職する人も多いです。銀行員は入行後の勉強量が多く、学習するための下地ができているため、Web・IT業界に必要な知識も習得しやすいです。
Web・IT業界はトレンドの移り変わりが早く、経験が長い人と中途採用で後から入社した人の差が開きにくい業界でもあります。
本気で転職するなら転職エージェントを活用しよう
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本当に銀行員を辞めて後悔しないのか?
銀行員の仕事が、自分では向いていないから辞めたい、と思っていても、性格的には向いている人もいますし、もちろんその逆もいます。銀行員に向いている人・向いていない人とはそれぞれどういう人なのでしょうか。
辞めるべき人
銀行員は日々勉強が欠かせません。資格取得のためだけでなく、客先で話すためにもネタが必要です。真面目に勉強するのが苦手な人は長続きしないか、銀行員としての成長は難しいので、辞めるべきです。
また、特に営業ではお客さんに断られても嫌な顔をされても折れずに、時に「しつこく」提案や交渉を続けなければなりません。それができない、何事もあっさりした諦めの早い人も不向きです。
辞めないほうがいい人
逆に言うと、上に挙げたような性格ではなく、コツコツ努力を続けることができる人なら、特別な事情がない限り銀行員を辞めることもありません。
それでも辞めたいなら、転職エージェントを利用するなどして効率的な転職活動をする必要があります。
まとめ
銀行は体質が古く、厳しいノルマや人間関係が原因で、銀行から転職したいと考える人が多いです。
銀行からの転職先は多岐に渡り、資格やスキルを活かせる転職先を選べば、銀行員のキャリアは高く売れます。
金融業界・保険会社・証券会社・不動産業界などが、銀行からの転職先で人気があります。
ただし、転職先選びには内部事情のリサーチが必須なので、志望先の社風や勤務条件などを詳しく知るために転職エージェントのサポートを利用するのがおすすめです。