今後の飲食/外食産業の転職市場動向はどうなる？ 【2024年転職市場予測】

飲食/外食産業と物流業界の現状と展望

フードサービス物流業界はITの導入促進により、生産性が高くなると見込まれています。コロナ禍による巣ごもり需要により、大幅に規模を拡大したフードデリバリー（食品宅配）などで宅配便の数が純粋に増えたことも、さらなる成長の加速につながると見られます。

平時であれば何年もかかっていたであろうテクノロジーの導入が、コロナ禍という未曽有の危機によってわずかな期間で実現しており、デジタル技術の専門性を有する人材の採用は今後も増していく傾向にあります。

コロナ禍による緊急事態宣言やそれに伴う外出自粛によって大きく低迷した外食業界では、今後も厳しい状況が続くと予測されます。しかし、今後の生き残りをかけて各企業が活発な動きを見せており、新しいビジネスモデルの構築に伴った採用、特にIT業界からの採用には積極的な動きが見られます。

フードデリバリーやサブスクリプションを新たに導入したり、これまで未出店だったエリアへの新規出店や店舗運営の自動化を模索したりなど、活路を見出す動きが盛んになっており、それに伴う求人も増加傾向です。

IT部門の積極採用、その他業種からも採用に意欲

2024年転職市場予測として、新店舗出店や新規事業が活発になっていることに伴い、幅広い業種からの採用が増加傾向にあります。また、地域限定社員を新設するなど、転職者に合った働き方を提供しようとする動きも見られてきています。

コロナ禍により大きな変革を余儀なくされた飲食/外食産業では、コロナ禍というピンチをチャンスに変えられる企業でないと、生き残りは難しいというのが現状です。ただ、積極的にこの変化に対応しようとしている企業も多くあり、デジタル技術の導入や新店舗の出店などで採用意欲も高く、他業種からも積極的に採用をしている点が特徴です。

デジタル人材が採用意欲が高い

とりわけ、IT部門からの採用に関してはその動きが顕著に見られます。コロナ禍によって店舗型を中心としたサービスは窮地に立たされ、大きな転換が急務となっています。これまでアウトソーシングに任せていた社内システムやアプリを自社で構築する動きも見られ、専門の新組織を立ち上げるなどして、対応している企業が多数あります。

そういった中で飲食/外食産業では、ITやデジタルに強い人材、つまりIT業界といった他業種からの採用に対して非常に意欲が高まっており、求人数の規模も大きくなっています。

これまで駅前などの都市部の店舗を中心に売り上げを伸ばしてきた企業では、コロナ禍によって苦戦を強いられることになりました。そのため、未進出の場所にも新店舗を広く出店することで、新たな活路を見出そうとする動きがあります。

出店数が増加することによって、店舗開発や出店開発の仕事を担う人材の採用も必要になります。さらに、出店場所の特徴や風土に合った新商品の開発や新店舗との物流の確立も必要となるため、IT部門以外の求人も多く出されています。

飲食/外食産業で求められる人材

飲食/外食産業では、上記で述べたように、他業種からの転職にも積極的です。2024年転職市場予測では、コロナ禍への対応のため、IT部門の強化が急務となっており、IT業界からの転職者は多く求められると見られています。

飲食/外食産業でもシステムエンジニアなどの専門職が活躍する部署はあり、アプリ開発を担ったり、POSデータや顧客情報の収集・分析を行ったりできる人材として、エンジニアやデータサイエンティストの需要はますます高まっています。

もちろんIT業界に限らず、様々な分野の知識やスキルを持った経験者が求められています。新店舗の出店をする際には、不動産や流通に関する知識・経験を有する人材が必要だったり、新メニューを開発する際には食品や料理についての専門家が必要だったりと、幅広い分野の経験者が活躍できる機会が多くあります。

顧客視点のある人材

ただし、どの業界からの転職であったとしても、顧客の視点や店舗への視点は常に求められる要素となります。とりわけ外食業界はB to Cであるため、顧客視点がないまま仕事を進めてしまうと、店舗サービスの低下が引き起こされて、客足が遠のくといったことになりかねません。

優れた専門性を備えていたとしても、採用選考時に顧客視点がないと見なされたら魅力的に映らないので、注意が必要です。飲食/外食産業への転職を検討する場合、大前提として必要となる能力は柔軟性です。飲食/外食産業はコロナ禍でなくとも変化の波が激しい業界で、様々な変化に対応していく柔軟性が重要となります。

柔軟性と並んで、重要になる能力はスピード感です。店舗では次々に商売が動き、ニーズの変化なども激しいです。目まぐるしく変わっていくスピードについていけるよう、「動きながら策を考える」といったスピード感が欠かせません。

飲食/外食産業では管理職・幹部職への採用も可能

飲食/外食産業では、管理職・幹部職の求人も増えていくことが見込まれます。管理職や幹部職への道もあり、経営に参画したり、収入も大幅にアップしたりすることも不可能ではありません。新しく立ち上げた事業やブランドが成長することによって、事業部から独立して子会社となることもあり、その経営を担うといった例があります。

収入に関しては、他業種と比べて飲食/外食産業は全体的に高い水準にあるとは言えませんが、業界内では積極採用の動きが活発化しているため、これまでよりは収入アップが見込めるようになりました。

管理職や幹部職への転職を目指すのであれば、数字を読み解き、課題の把握・解決ができる能力が必要となります。飲食/外食産業は他の業界と比べて、業績が数字としてわかりやすく表れてきます。そのため、この数字が何を表しているのか、何が課題なのかというように数字を分析し、成果を出すための打ち手を導き出す能力が大切です。

また、飲食/外食産業に限ったことではありませんが、自身の専門以外の分野にもアンテナを張り、積極的に導入を進めているデジタル技術から、新たなビジネスアイデアを発想して実現していくスキルも欠かせません。

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飲食/外食産業 2024年転職市場予測まとめ

今後の飲食/外食産業の転職市場動向では、顧客の多様な志向に即した新たな付加価値の創造が求められています。デジタル技術を駆使した活動は必須であり、これまでは競争関係になかった業種との競争も必至です。

そういった中で求められる人材は、多種多様な価値観を持った人材やIT関連に専門の知識を有した人材です。コロナ禍によって変化した消費行動に合わせて、各種業界で急速なデジタル化が進められてきました。このデジタル化に即した「デジタル技術を活用し、成果を上げられる人材」が今、一番に求められています。

ただし、求められているのはIT部門の人材だけではありません。新店舗出店・事業拡大に伴う増員により、店長職の求人はもちろん、新店舗出店・事業拡大に必要とされる知識やスキルを持った経験者の採用も活発になっています。海外展開やEC強化などの事業拡大にあたり、幅広い分野の採用も増加しており、管理職・幹部職の採用も増えています。

各企業とも人材獲得に熱意があり、転職者の希望に沿った条件を提示できるような動きも見られます。全国転勤が当たり前だった企業も、地域限定社員を募集したり、収入面も向上が見られたりと、良い人材を確保しようと躍起になっています。今後もリベンジ消費を見据え、さらなる盛んな採用活動が見込まれます。