商社勤務といえば人生の勝ち組のイメージですが、実際には「激務すぎてもう無理」、「体育会系の社風についていけない」などの理由から、他の業界への転職を希望する人が急増しています。

商社から転職したい場合、どの業界なら有利なのでしょうか?ここでは、商社からの転職におすすめの業界を紹介します。なるべく年収を下げずに転職できる方法も伝授します。総合商社を辞めたい人専門商社を辞めたい人は、ぜひ参考にしてください。

商社を辞めたい理由とは?

長時間労働は当たり前

商社は海外とのやり取りもあるので、早朝から深夜に及ぶ長時間労働は当たり前です。出張もしょっちゅうです。やりがいがある反面、かなりの激務になるため、体力的・精神的な限界を感じて退職を考える人も多いです。

いつ日本に帰れるかわからない海外転勤

総合商社の場合は海外転勤も多く、いつ帰って来られるか分からないまま出向かなければならないケースがほとんどです。会社からの期待度が高い人であれば、本人の希望もある程度は考慮してもらえますが、ほとんどの人は国や時期も本人の意思では選べません

そのため、ライフプランを立てにくい不自由さがあり、体調不良や家族の事情が辞令と重なったのを機に退職を考える人もいます。

体育会系のノリじゃないとやっていけない

特に旧財閥系の大手総合商社の場合は企業体質が古いため、ムダに上下関係が厳しく、お酒の席も多いです。文系気質の人にはストレスを感じやすい環境といえます。

組織が保守的すぎる

総合商社は、営業方法も昔ながらの泥臭いやり方です。お酒の席での旧体質な接待は当たり前、建築資材などを扱っていれば、ヘルメットを被って現場にも入ります。

入社前に多くの人が想像する、「世界を股に掛けてバリバリ働くクールなビジネスマン」のイメージからは、大きく掛け離れているので、「思ったのと違う…」と感じて辞める人も多いです。

人間関係に疲れた

企業規模が大きければ大きいほど、社員数も多く、人間関係が複雑になります。また、上層部は愛社精神が非常に強いことも多く、社畜化したくない人にとっては、非常にやりにくいです。

自分の裁量で仕事がしたい

大手総合商社で働く=日本の古い企業なので、大きな組織に順応するだけで、個人の裁量で動けることは少ないです。仕事ができるようになってくると、その点に物足りなさを感じる人も出てきます。

そこで、総合商社での事業投資の経験を活かして独立するために退職する人もいます。

専門商社は仕事量のわりに給料が安い

専門商社の社員の仕事内容は総合商社とほぼ同じですが、給料は総合商社より安いです。総合商社と同等の仕事量のわりに給料が安いので、そこに不満を感じて退職する人も多いです。

年収ランキング上位に食い込むような企業の場合は、専門商社でも日本の平均年収よりはるかに高給ですが、ほとんどの専門商社は、知名度の低い中小企業で給料も安いです。

専門商社からの転職におすすめの転職先は?

年収アップを狙うなら総合商社にチャレンジ

単純に年収アップだけが目的であれば、総合商社を狙ってみるのがおすすめです。商社経験はあるので、比較的有利に転職できます。

商社自体が嫌ならメーカールート営業

商社自体が嫌で転職したい場合は、メーカーのルート営業に転職するのがおすすめです。商社での営業経験が活かせるので転職しやすく、取引先企業の営業日に合わせて活動するので、休日がしっかり取れます。

持っている専門性を活かせる業界・業種

商社自体が嫌な場合は、現職の専門性を活かせる業界・業種を狙う方法もあります。専門商社出身者だと、ニッチでかなり偏った知識しか持っていない場合が多いですが、自分の専門分野に特化した業界では、現在の知識が大きな強みになります。

総合商社からの転職におすすめの転職先は?

以下の3つは、総合商社でのスキルが活かせるので転職しやすいです。縦社会がなく、比較的ワークバランスが整っている企業も多いです。

戦略コンサルティングファーム

総合商社の、相手の懐に深く入り込んでいく営業スキルが活かせます。また、総合商社では新規事業に参入する際に、パートナー企業との交渉や調整、投資先企業の業績管理といった「経営業務」を行うため、それらの経営業務に関わるスキルを持つ商社マンは、戦略コンサルティングファームの仕事との整合性も高いです。

外資系投資銀行

外資系投資ファンドなら英語力が活かせ、財務関連資料の作成、企業評価などのスキルも評価されやすいです。

ベンチャー企業

上記2つに比べると、給料が安く、ワークライフバランスがイマイチの企業も多いです。しかし、大手企業の古い体質が合わない人や、自由な環境で働きたい人にはおすすめです。また、「組織の歯車ではなく、全体を見ながら働きたい」というタイプの人にもおすすめです。

ベンチャー企業の弱みとなりやすい、コンプライアンス対応ベンチャーキャピタルからの資金調達のスキルも歓迎されます。

商社からの異業種転職で年収を下げないためには

商社から異業種への転職は、年収が下がるケースがほとんどです。たいていの企業は、総合商社のような資本力がないからです。

大手外資系企業などに転職できれば、年収を下げずに済む可能性がありますが、商社と同様の年収が出せる企業は、仕事のハードさも商社と同様の場合がほとんどです。

なるべく年収を落とさずに、商社から他の業界に転職したいなら、「自分のスキルをもっとも高く売れる求人」を転職エージェントで提案してもらうのがおすすめです。本当に良質な求人は、一般では見ることのできない非公開求人に集まりますが、転職エージェントなら非公開求人も紹介してもらえます。

また、年収交渉もプロのキャリアコンサルタントが代行してくれるので、自力で応募するよりも転職成功しやすいです。

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まとめ

商社からの転職におすすめの業界は、現職が総合商社なのか専門商社なのかで違ってきます。いずれの場合も、英語力や経営業務のスキル、営業スキルなど、現職のスキルや知識を活かせる業界を選ぶのが有利です。現職と関係のない業界に行きたい場合は、若いうちでないと実現が難しくなるので、なるべくすぐに転職しましょう。

商社からの転職で懸念材料となるのが、ほぼ確実に年収が下がることです。なるべく年収を下げずに他の業界に転職したいのであれば、転職エージェントを利用するのがおすすめです。