新型コロナの影響による解雇や雇い止め、コロナ失職累積10万人超え

2020年初頭にじわじわと始まったコロナウイルスの感染ですが、3月にはその猛威がただごとでないことが分かり、日本でもすぐに最初の緊急事態宣言が出されるにいたりました。人々は会社に出社せずにリモートワークへと移行しましたが、リモートでは仕事にならない現場仕事の人たちは、ただただ仕事ができない、またはなくなったことへの焦りと不安にさいなまれていました。

特に、飲食店はコロナ感染の主たる原因と位置づけられ、営業自粛、営業時間の短縮要請など、1年間を通して次から次に行政の指導や要請を受けてきました。その結果、客足が鈍ったことにより売上の減少に歯止めをかけられず、多くの飲食店が営業を終了しました。それにともない、多くの人が働き口を失い、他業種も含めるとその総計は既に10万人を超えているという統計もあります。

観光業は政府の発案のGoToキャンペーンによって、一時的に急激な需要の増加を受けたことで、満足なサービスを提供することが難しく、忙しさの余りに退職していく人が増えました。さらに、突然のGoToキャンペーンの中止により、今度は再び閑古鳥が鳴く状況に追い込まれるなど、最初から最後まで振り回されっぱなしでした。

他にも、以前は花形の職業であった飛行機の客室乗務員も、外国との国境が封鎖され、飛行機が飛べない状況が続いたことで、その接客力が買われて、コールセンターの仕事の受注などによって糊口をしのいでいます。

このように社会全体が大きく地殻変動を起こしている中、客室乗務員にシフトしてしまったコールセンターの仕事から、あぶれてしまった従来の派遣社員などもいるわけです。仕事ができると言われている人やこれまでの高い実績に裏打ちされている人たちによって、ところてん式に今の仕事から追い出されてしまった、いわば椅子取りゲームで、急にいくつも椅子の数を減らされた状態で、ゲームに負けてしまった人たちが大勢出てきているのです。

もしも最悪のケースで家賃を払えなくなったら

既に家族がいて、妻と子供達と暮らしている持ち家がある人が、リストラなどにより、突然収入を失った場合はどうでしょう。既にそのようなケースが続出していますが、毎月の住宅ローンが払えなくなってしまったら、対策を考える必要が生じます。

できるだけ早く転職先を見つけて再就職できればいいのですが、このコロナ禍で中高年の転職は当然、簡単ではありません。コロナ禍であろうがなかろうが、実績も経験もある社会人は転職してキャリアアップまで可能ですが、さしたる実績のない人たちは苦戦を強いられています。

まだ独身の若い社会人にとっても、就職して正社員として働いているから安泰だと思っている人は少ないのでしょう。第二新卒での転職も頻繁に起こっていることからも、自分の身は自分で守ろうという様子がうかがえます。しかし、いつまでも転職先が見つからず、面接まで進めても落ち続ける状況が続くと、自己肯定感が薄くなり、自信をなくし、その様子がますます面接に受からなくさせる悪循環に陥ってしまいます。

そうなると、もはや貯金があればそれを切り崩しながら細々と生活していかなければならず、最悪のケースでは未納により電気やガスの供給を止められ、家賃も払えないため、強制退去という事態にもなりかねません。

近年になって聞く表現で、ネットカフェ難民という言葉があります。こうした人たちは住むところ、または帰れる場所を失い、ネットカフェが提供する深夜帯のパッケージ料金を利用して夜を明かします。パソコンも使えますから仕事の求人情報を参照できますし、飲食やシャワーを浴びることも可能です。ですので、とにかく寝る場所を確保するために、毎晩ネットカフェに戻ってくる生活になります。

一見、ギリギリの状態を続けられてはいるように思えますが、職探しにおいて大きな弊害が一点あります。それは、住所がない人たちからの応募を採用しない企業が多いということです。アルバイトという立場であれば、寮や借り上げの住宅に住み込みで働く仕事もあるでしょう。スキルがあれば在宅ワークと同じ働き方で、リモートワークも可能でしょう。

しかし、スキルもなく若くもない人たちが正社員として採用されるハードルは、相当な高さであると推察できます。そうであれば、転職活動には時間もかかり、その間を食いつなげる貯金が尽きたら、もうネットカフェにも泊まれません。自分の車があれば車中泊か、車もなければいわゆるホームレスとなって、公園などで寝るようになっていくのでしょう。

国や地方自治体のサービス・補助を受ける

では、そのような住居なしの状態になったら、もう転職を諦めるしかないのでしょうか。「車の中で転職活動できる?」という質問には、どう答えていくべきでしょう。日本国憲法では、国民の誰もが人間として最低限の生活を送れることを保証されています。

つまり、政府がなにかしらの救済措置を取る、もしくは既に取っているはずの方法です。住居なしの状態にまでなってしまっている人たちはもちろん、まだ踏みとどまっているけれども、精神的にも肉体的にももう限界であると思う人もいるでしょう。

そういう住む場所に関する困難を抱えている人は、まずは地域の福祉事務所を訪れて、支援が受けられるか確認してみましょう。各都道府県の自治体では、お金がない、そして住む場所もないという人たちを自立支援させるための法律に基づく、住居確保給付金の制度を持っています。

リストラなどで仕事を失った人を対象に、自治体が提供する就労サービスを受けること、退職または解雇から2年以内であること、現在収入があっても一定基準以下であること、既に家賃滞納で追い出された、またはこれから住む場所を失う可能性があることなどが条件ですが、3カ月分の家賃を支給してくれます。

簡単に言えば、自治体のチェックを受けながら就職活動を続けるなら支援しますよ、という意味です。実際に働く能力がない人たちは、いわゆる生活保護を受け、働くことに支障のない人たちは住居確保給付金を受け取るという住み分けがなされています。

また、日本には特有の敷金や礼金といった制度もあり、一般的に初期費用が高額です。新しい住居に入居したいけれども、個人の力では審査に通らず住む家を決められないという人たちには、無利子または低利子で自治体が貸し付けを行う生活福祉資金という制度もあります。

その貸付金の中から家賃を支払い、住居がある状態で転職活動を行えるようにサポートしてくれます。こうした自治体が提供するサービスを知らない人が多いため、いざ自分が窮地に陥った時に途方にくれてしまいがちです。しかし、実際には急場しのぎのものであっても、転職活動を行う上で、すくなくとも落とされてしまう理由の一つ「住居がないから」は心配しなくて済むようになります。これだけでも、きっと大きな気持ちの余裕を持って転職活動に臨めるはずです。

まとめ

結論としては、まだ仕事を失っていない状態で、かつ直近で住居を失う可能性があれば、生活福祉資金からお金を借りて住居を確保します。

一方、すでにリストラや自主退職している場合で、かつ住む家がある場合には、住居確保給付金で3カ月分の家賃の支給を受けられます。

自分の状況をよく考え、どちらの申請が可能かについて、よく検討して支援を受けましょう。ある程度の書類作業は生じますが、転職の機会を住居なしのために不採用となるのではもったいないでしょう。


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