転職サイト・転職エージェントのビジネス(仕組み)を知る

転職活動をする上で活用される「転職ビジネス」とはどのようなものなのでしょうか?最近では、インターネット上のサービスを利用した転職サイトや転職エージェントなどの転職ビジネスを活用した方法がメインとなっています。

転職サイトは、豊富な求人情報をはじめ、転職に役立つコンテンツや最新の転職市場動向など転職に役立つ情報を提供する媒体です。一方、転職エージェントは、キャリアアドバイザーによる求人の紹介や転職に関する幅広いサポートを受けられるサービスです。

転職サイトと転職エージェント、両者とも転職活動をスムーズにすすめるために非常に便利なサービスですが、転職希望者が無料登録した後、どんなにサービスを利用してもすべて無料となっています。

では、なぜこんなに便利なサービスがすべて無料なのでしょうか?その理由は、転職サイト・転職エージェントのビジネスモデル、つまり利益収益のシステムにあります。

転職サイト・転職エージェントのビジネスモデルには大きく分けて、広告掲載型と成果報酬型の2つのタイプがあり、それぞれ違った収益モデルとなっています。以下にそれぞれのタイプの特徴について説明します。

広告掲載型の収益モデル

広告掲載型の転職サイト・エージェントは、求人掲載をする企業から「広告料金」を貰うことで利益を得る従来型の収益モデルです。代表的なところで、「リクナビネクスト」や「マイナビ」、「doda」などSEOや認知度が高い大手企業に多いビジネスモデルです。

広告掲載型の場合、採用の有無に関わらず企業側から広告媒体会社(転職サイト・転職エージェント)に一定の掲載料金が支払われます。このため、広告を掲載しても採用者がゼロで、結果的に成果がなかった場合も企業は広告媒体会社に高額な広告掲載料金を支払わなければならず、掛け捨てになってしまうリスクもあります。

ただ、広告媒体会社側は高額な広告掲載費を払ってもらうため、できれば企業と長期的な契約を取りたいのが本音です。このため高額な広告掲載費を払ってくれる企業に対しては、魅力的な求人内容に仕上げるために専門スタッフによる取材、ビデオ撮影の他、専門のライターによる記事の掲載など手厚いサービスを提供するため、求職者の集客力アップにつながります。

掲載費は、掲載期間や掲載ページの量によってもかなり異なりますが、一般的な求人サイトの4週間程度の掲載料金の設定は以下の通りです。

求人1種類掲載につき50万円〜150万円(DM・スカウトメールが送れる特典が付いていることも)
通常、一般企業では複数のポジションの求人を掲載するので1回で数百万円の広告掲載料が相場です。
セミナーに関する情報や説明を追加掲載することで料金も追加されます。

成果報酬型の収益モデル

最近、GreenやQlear、ジョブセンスのように大手転職サイトの中でも成果報酬型が増加しています。成功報酬型の求人サイトは、求人広告の掲載自体は無料ですが、転職希望者の採用が決まると初めて報酬料金が発生するシステムとなっています。そして、成果報酬の金額の中から内定者にお祝い金が贈呈されます。

その報酬額は、求職者の年収の30%〜40%と設定されています。例えば、年収が500万円だったら150万円〜200万円、年収が600万円だったら180万円〜240万円といったように、採用者1人に対して高額な報酬が企業側から広告媒体会社に支払われます。

ただ、内定が決まっても、すぐに辞めてしまった場合、報酬は支払われません。最低でも3か月以上、半年から1年継続勤務できたときに初めて報酬が支払われるシステムとなっています。

Green

月額固定型などその他の収益モデルの特徴

月額固定型は、月額一定料金の広告掲載料金を支払うことで、求人広告を出し放題で掲載でき、上記の2つに比べ少ないパターンです。

上記のタイプ以外にもビジネスモデルはありますが、ほとんどの転職サイト・エージェントは広告掲載型もしくは成果報酬型のタイプのビジネスモデルを取り入れています。

転職サイト・エージェントが無料で利用できる理由

以上、転職サイト・エージェントは、それぞれのタイプにより収益方法は違いますが、いずれも企業側から高額な手数料として大きな収益を得ている転職ビジネスです。その利幅は非常に大きいため、利用者に無料でサービスを提供してもまったく不利益は生じません。

逆に転職希望者にはどんどんシステムを活用してもらい、1人でも多くの内定を獲得することでより高額な報酬を得られるので、利用者に無料で手厚いサービスを提供するのも当然のことと言えます。

このため、転職サイト・エージェントを利用する際は、単に転職ビジネスの商品として利用されるのではなく、転職ビジネスのシステムをしっかりと理解した上で、転職に関する知識や必要情報、ノウハウについてもしっかりと学び取るなど逆にシステムを使いこなすことで有意義に転職活動をすすめていきましょう。

転職活動の心強い味方、転職エージェント・転職サイト

転職活動に慣れている、という方は少ないでしょう。慣れている人も好きで慣れているわけではなく、できれば長く働き続けられる仕事に就きたいと思っているはずです。また、ビジネスシーンの変化・進化が目まぐるしく進むようになったことで、転職活動についてもその時々の状況・動向を踏まえた上で行っていく必要が出てきています。5年前に何度か転職した経験があるからといって、その時のノウハウが現在の活動で活きるとは限らないわけです。

特に、テレワーク・リモートワークが導入される動きが加速していることで、転職活動にも大きな影響が出ています。例えば、面接もオンライン上で行う企業も出てきていますし、テレワーク・リモートワークを前提に遠距離に住んでいる人材を採用する企業も出てきています。求人探しから面接対策まで、転職活動全体を改めて見直した上で準備・対策を行っていく必要できているのです。

しかし、こうした状況での転職活動となると、誰でも不安を感じるものです。ネット上の1〜2年前の転職に関する情報が今でも本当に役立つのか未知数ですし、現在の転職市場の動向について的確なアドバイスができる人が身近にいない点も不安をかき立てます。自分一人で転職の準備を行うとなると、何もかもが手探りの状態で続けていかなければならないケースも出てくるのです。

そんな時に心強い味方となってくれるのが転職エージェント・転職サイトです。どちらもそのサービスに登録することで転職に関するさまざまなサポートを受けることができます。これまでも転職活動に必須と言われることが多かったのですが、ビジネスシーン・転職市場両方の変化もあり、これまで以上にその重要性とメリットが高まっていると言えるでしょう。

自分ではカバーしきれない部分、よくわからない部分、不安な点などをサポートしてもらいながら職探しを行っていけば、より効率よく求人を探せますし、不安や疑問点を解消しつつ、自信をもって面接対策などを行っていくこともできるでしょう。

転職エージェント・転職サイトは併用が基本

そんな転職エージェント・転職サイトを利用していく上でのポイントは、複数の業者をうまく併用していくことです。ほとんどの業者は無料で登録・利用することができますから、いくつのサイトに登録しても出費がかさむといったことはありません。

一つの転職エージェントしか使わない場合、入手できる求人の情報が偏ってしまうことがある上、直接サポートしてくれる専任のコンサルタントとの相性に問題があって十分なサポートを受けられない可能性も出てきます。複数のサイトを併用することでより幅広い求人をチェックでき、情報を入手できますし、各サイトやコンサルタントの比較をすることで良し悪しを判断しやすくなります。

この転職エージェント・転職サイトの併用にはいくつかのポイントがあります。あまりたくさんのサイトに登録するのではなく、いくつかに絞った上で利用することです。それぞれのサイトから求人をはじめとした転職に役立つ情報を提供してもらうことができますが、あまりたくさんのサイトに登録していると、一つ一つの情報に目が行き届かなくなってしまいかねません。

あらかじめ希望の職種や就業環境などを設定した上で、それに合った求人情報を提供してもらえるのも転職エージェントのメリットの一つです。ですから、せっかく自分で求人をチェックする手間を省くことができるのに、たくさんのサイトからたくさんの求人が送られてくる状況では、そのメリットが大きく損なわれてしまうのです。いくつのサイトを併用するべきなのかは個人差もあるので一概には言えませんが、3〜4社程度が理想的だと一般的には言われています。

もう一つのポイントは、転職エージェント・転職サイトごとの特色を活かした上で、それぞれの長所を活かしつつ、短所を補い合えるような使い方を心がけることです。

例えば、A社では営業職の求人に強く、B社ではIT関連の求人が多い場合、両方を利用することでIT系と営業職に求人を効率よく探していくことができます。 また、C社は非公開求人が充実しており、D社は面接対策などのサポートが充実している場合、D社で転職の準備・対策をしっかり行った上でC社の非公開求人に応募する、といったことができます。このように、あるサイトで弱い部分を別のサイトで補うことができれば、理想的な環境を手に入れることができるわけです。

特化型転職エージェントとは?そのメリット・デメリット

転職エージェント・転職サイトごとの特色をチェックする上でポイントとなってくるのが、総合型と特化型の違いです。総合型とは業種・職種を特に絞らず、広く求人情報を扱っているサイトのことです。大手にこのタイプが多く、豊富な求人数を誇っているのが特徴です。

転職先の業種や職種を絞っていない人はこのタイプが適しているでしょう。さまざまな業種についての情報や転職の動向を知る機会に恵まれますし、コンサルタントとのカウンセリングや適正検査を通して、今まで自分では気づかなった業種・職種との相性の良さを見つける機会も得られます。

それに対して、近年増えているのが特化型の転職エージェントです。特定の業種・職種に絞って求人を扱っているタイプのサイトで、文字通り「狭いけれども深い」サービスを提供しています。

特定の分野に絞って求人を扱っているので、当然その分野への転職を考えていない方にはほとんどメリットがないわけですが、逆に転職を希望する人にとっては深い情報を入手するチャンスが得られます。特化している分、情報の質も高く、他では得られない耳寄りな情報や他のサイトでは扱っていない非公開求人なども探しやすいのです。

コンサルタントの特定の分野に絞って情報収集を行っているため、ピンポイントのアドバイスを得られやすい傾向があります。また、情報収集のために訪問する会社の範囲も狭くなるので、一つ一つの企業との結びつきが強くなります。その分、職場の人間関係や就業環境など、内部情報を提供してもらえるチャンスも多くなります。

これまで培ってきたキャリアを継続した上で転職したい、あるいは以前から夢だった分野や転職したい場合には、この特化型が適しているでしょう。

ただ、特化型にもいくつかのデメリットや注意点があります。例えば、ジャンルによっては求人を扱っているエリアが狭い可能性があります。特に、IT業界やエンタメ業界は東京をはじめとした都市部に企業が集中していますから、地方ではなかなか求人を見つけられないかもしれません。

それから、特化型の転職エージェントそのものの歴史がまだ浅いため、実績豊富な総合型の大手に比べると、ノウハウに欠けていたり、コンサルタントの質の面で見劣りしたりするケースも見られます。

ですから、総合型と特化型を併用し、総合型で幅広い業種・職種にアンテナを張って、充実したコンサルタントのサポートを受けつつ、特化型で自分が働きたい分野の求人を探していくといった転職活動を行うと、双方のメリットを活かしやすくなります。併用することで、どちらが自分に向いているのかを見極めていくこともできるでしょう。

大手の転職サイトの中には総合型と特化型の両方のサイトを運営していることもあるので、こちらを利用してみるのも一つの選択肢です。これから転職エージェント・サイトの利用を検討している方は、この点も意識した上で、まず登録するサイトを選んでみてはいかがでしょうか。

転職エージェントで受けられるサポートとは?

登録することでネットで手軽に求人情報や転職に関するさまざまな情報を入手できる転職エージェントは、現代の転職市場では利用が不可欠とも言われています。何しろほとんどの転職エージェントでは会員でなければ知ることができない非公開求人を擁していますから、誰でもチェックできる公開型の求人情報サイトだけで転職活動をしている人は、転職エージェントを利用している人に比べて不利な立場に置かれてしまう恐れがあるのです。

そうなると、転職エージェントを利用するのはもちろん、いかにうまく利用できるかが転職の成否を握る鍵となってきます。そのためには転職エージェントで何ができるのか、どんなサポートを受けられるのかを知っておきましょう。

登録すると担当コンサルタントがついて、さまざまなサポートを受けられることはよく知られています。コンサルタントは本人の希望に合った求人を探して情報提供するだけでなく、転職全般に関わる幅広いサポートを行います。面接対策や求人元との条件交渉の代行などはその代表的な例として挙げられるでしょう。

こうした転職エージェントで得られるサポートの土台となっているのが事前のカウンセリングです。

ネットだけでサービスを利用するイメージも強い転職エージェントですが、実際にはコンサルタントと直接対話したり、電話・メール・リモート/オンラインで話し合ったりする機会もあります。特に重要なのが、登録して最初に行われるコンサルタントとの面接です。ここでカウンセリングが行われ、本人の希望や適正などをチェックしていくことになります。

転職エージェントのカウンセリングでのポイントは?

カウンセリングで自分の希望や条件をしっかり伝えておくことができないと、見当違いの求人情報ばかりが送られてくることになりかねません。また、最初の面接・カウンセリングの段階でそのコンサルタントと相性が良いか、自分の希望や事情にきちんと耳を傾けてくれるかなどを見極めることもできます。

なお、カウンセリングではキャリアプランの作成が行われることもあります。収入や勤務環境といった表面的な条件だけでなく、将来的なキャリアアップも視野に入れた上で適切な求人を探していく必要があるからです。

採用時の収入が高くても専門的な知識・スキルを身につける機会が少ないところよりも、収入がやや低めでも本人のキャリアプランにあったスキル・知識を身につける機会がある職場の方がよい、といったことは十分に考えられます。ですから、面談・カウンセリングの段階でこの点を確認しておくことが重要になってきます。

このように、いかに自分の希望・条件、さらに将来的な目標・夢をコンサルタントに伝えることができるかが面談・カウンセリングのポイントです。カウンセリングの際には必ずヒアリングが行われますから、その際に自分の経歴や実績、強みを伝えられるようにしましょう。

それから、転職理由の確認も行われます。何が理由で前の職場を離職するに至ったのか、その理由・原因を共有しておくことで二の舞を避けられ、職場を探しやすくなるわけです。例えば、人間関係の悩みで退職した場合には、職場の雰囲気も重視した上でコンサルタントが求人を探してくれるでしょう。

人間関係の悩みや就業時間への不満から退職した場合、なかなか理由を冷静にしっかりと伝えるのが難しいものですが、カウンセリングの場ではそれができるようにしたいものです。企業の面接ではないので本当の理由を隠してうまく装う必要はなく、直接の理由をはっきりと伝えるのがポイントです。

ただし、前の職場に不満を感じていたからといって、愚痴や不平不満をひたすら並べ立てるのは避けましょう。コンサルタントに「厄介な人」と思われてしまうと、よい求人を回してもらえなくなる可能性があります。コンサルタントの側としても、せっかく紹介したのにその人が転職先でトラブルを起こしてしまうようなことがあると、評判に傷がついてしまう恐れがあります。

求人を掲載した側から「どうしてあんな厄介な人間を紹介したんだ」といったクレームがついてしまうわけです。その心配から、不平不満・愚痴が多い人にはとっておきの情報を教えない可能性が出てきます。

このように、カウンセリングの際には必ず自分の希望を伝えること、そしてコンサルタントと信頼関係を築けるよう心がけながら話を進めていくことが重要です。いくらサービスを利用する「お客さま」の立場だからといって、一方的に自分の都合ばかりを並べ立てるようなことは避けたいものです。

カウンセリングの際には、コンサルタントからのアドバイスももらえます。中にはその人のキャリアやスキルを考慮して、より現実的な提案をしてくることもあるでしょう。その際に、無理に自分の都合を押し通そうとしたり、「余計なお世話だ」と言わんばかりの態度を取ったりするのも避けましょう。こうした現実的なアドバイスをするにはそれなりの理由があるわけですから、きちんと耳を傾けて参考にしましょう。

電話面談でのポイント

直接会って面接をするのが前提ですが、住んでいる場所などの事情によっては電話面談が行われることもあります。直接会って面接する場合と勝手が違う部分もあるので、この点も考慮した上で、うまくカウンセリングを済ませるための準備や対策なども必要になってくるでしょう。

ここでも対面の面談・カウンセリングと基本的な部分では共通しています。電話越しに話をすることになるので、「言葉でしっかり伝えること」が大事です。希望や条件はもちろん、退職理由などもわかりやすく伝えられるようにしましょう。電話ではとっさに話すとなると緊張して言葉に詰まってしまうことが多いもの、事前にある程度整理した上で落ち着いて話せる環境を用意しておくと良いかもしれません。

基本中の基本ですが、通話をしっかり聞き取れるよう通話環境を整えておくことも大事です。電話の受話器を持った状態では、片手がふさがっているので途中でメモをとるのが難しい面もあります。これは携帯電話やスマホでも共通しています。ですから、イヤフォンをつけ、両手をフリーの状態で会話ができる環境も検討してみるとよいかもしれません。メモをと取りやすくなるのはもちろん、事前に希望や転職理由をまとめておいた紙や転職のための資料のチェックもしやすくなります。

面談・カウンセリングの前に準備しておきたいこと

繰り返しになってしまいますが、希望や条件、退職理由などはカウンセリングの際にスムーズに伝えられるように、あらかじめ文章にまとめておくとよいでしょう。文章化する過程で自分の考えを整理して、条件はどこまで譲れないのか、どこまでなら譲歩できるのかなどを明確していくこともできるでしょう。曖昧さを排除できればできるほど、自分に合った求人をコンサルタントに紹介してもらえるようになるはずです。

また、面談の前に履歴書や職務経歴書を送っておくこと、それもできるだけ詳細に書いたものを送っておくことも重要です。あらかじめコンサルタントがその人の環境を把握できていればカウンセリングもスムーズに行くものですし、有益なアドバイスをもらうことができるでしょう。

この面談・カウンセリング・キャリアプランをしっかり行うことで、初めて転職エージェントを有効に利用できると言っても過言ではありません。複数のエージェントを併用する場合は少々面倒に感じるかもしれませんが、転職を成功させるための第一歩として、適切な形で臨むようにしたいものです。

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