コロナ禍の中高年の転職活動
新型コロナウイルスが世界中で脅威となっている中で、一部の経済活動が停止したり、多くの企業の将来が見えない状況下で求人市場にも大きな影響が及んでいます。業種・職種に関係なく全体的な求人数が減少している証拠として、就職のしやすさを示す目安となる有効求人倍率(厚労省発表)は、2020年8月時点で1.04倍と去年の同月を大きく下回っています。
このような事情から、転職したいと思っている人の中にも、コロナ禍の影響で今すぐには求人が見つからないのではないかという印象があるかもしれません。
確かに一部の企業では採用を中止したり、先送りにしたりしているところもありますが、今まで通り採用を行っている企業は意外と多いのです。実際のところ、上記の有効求人倍率はハローワークでの求人求職活動を元にして計算されているため、ハローワーク以外の求人サイトや求人雑誌、企業ホームページなどを通した就職活動は含まれていないという事実もあります。
また、有効求人倍率は正社員だけではなく、派遣や契約社員のような形の雇用も含んで算出されています。そのため、有効求人倍率が正確に就職のしやすさや景気を表しているかに関しては議論がなされるところですが、全体的な傾向を見る上での目安とはなります。
確かにこのようなコロナ禍の状況の中では、転職に関しても将来的な見通しが立てにくいと言えますが、それでも将来を見据えて地道な情報集めをしておくことは大切です。
気になる中高年の転職理由とは
では、転職をしようとしている人の中でも、中高年世代の人たちは一体どんな理由で転職しているのでしょうか。転職する理由はもちろん人それぞれですが、ミドル世代はキャリアがあるからこその退職理由がよく聞かれます。たとえば、会社の考え方や社風など方向性の違い、部下や上司などとの人間関係がうまくいっていない、会社の将来が不透明であるなどの理由が挙げられます。
他にも、自分のスキルを試すため、またさらなるキャリアアップを目指す人もいるようです。特に中高年になると、もうこれが最後のチャンス!という気持ちが転職を後押しすることがあります。また、40代50代で転職しようとする理由には、老齢の親の介護問題や自分の体力が衰えてくるという問題も少なからずあるようです。
特に、女性の転職には、家族の都合がきっかけとなる場合が、全体の30%にも達するというデータもあります。
コロナ禍で転職に成功している中高年の特徴
再就職が困難と感じる人が多い状況の中で、転職に成功しているのは果たしてどんな人なのでしょうか。特別な能力に秀でた一握りの選ばれし人だけが職を手にしているのでしょうか。もちろんそのような特別なスキル等は転職に役立つかもしれませんが、実はコロナ禍の中で転職に成功している人には「職の探し方」に特徴が見られます。
まず一つ目の特徴は、人手不足の業界に目を向けて応募しているという点です。つまり、もともと持っているスキルや経験にこだわらず、異業種であってもとにかく人手が必要な職場に挑戦した結果、就職できた人たちなのです。たとえば、介護業界や建設業などは慢性的な人手不足と言える業界です。そうした今までとは違う業界にも目を向けることがおすすめです。
こうした業界は激務というマイナスの印象があるかもしれませんが、介護の仕事でも病院に併設されているような勤務先を選べば思うほど激務ではなかった、というパターンがあるかもしれません。また、建設の業界であったとしても、意外と事務の仕事などで過去の職歴で培ってきた仕事の進め方や、コミュニケーションスキルといった共通点を活用できることに驚く人もいます。
コロナ禍で成功している人の別の特徴は、コロナに感染することを恐れすぎないという点です。中にはコロナ前までは観光業に携わって、外国人客の集まる施設やガイド業などで接客していた人もおられます。そういうこともあり、精神的な免疫ができているというのも大きいかもしれません。コロナ禍のミドル・シニア世代の転職にはエージェント利用がおすすめ? 40代50代最新転職事情
もっとも、コロナ対策として推奨されているような手洗いやマスクをしっかり着用するなどの習慣を守るのは必要なことですが、かといって必要以上に怖がってできるだけ人と接触しない職種を、と考えている人は再就職に苦労する可能性が高いです。面接の時に、会社側に徹底した社員のコロナ対策を求める、またはリモートワークの希望を前面に押し出したような態度では、採用のハードルが上がってしまいます。
逆に、コロナへの不安などネガティブ面には触れすぎずに、会社に貢献したいという気持ちを示す方が、転職も成功しやすいといえます。
中高年が転職を成功させるコツ
中高年になってからの転職は難しいと言われますが、転職を成功させるためにはいくつかのコツがあります。
1.転職エージェントに登録
転職活動を始めるには、転職エージェントに登録するのが一番の近道です。まずは、転職にまつわる不安な点や質問を転職のプロに相談したり、自分が気になっている求人や業界の最新情報をチェックすることから始めましょう。コロナ禍の中で自分に合う仕事を探すのは至難の業となっています。
そんな時だからこそ、転職業界で長年にわたる経験を積んでいるスタッフの方に助けていただくのが、成功への近道であるといえるのではないでしょうか。
2.自分の経験やスキルを分析
自分にぴったりの仕事を見つけるためには、今までどんな経験やスキルを身につけてきたのかを、メモ帳などにリストアップすることもおすすめです。自分の得意分野やセールスポイントを把握するとともに、弱点にも改めて目を向けることで自己分析ができますし、今後の就職活動の中での方向性を決める助けにもなります。
自分の分析が終わったなら、希望する転職先の現状やこれから先の動向などに関してもリサーチしておくことが大切です。今はネットである程度、会社の情報や経営状況、理念などを調べることが可能です。それで焦らずに、面接に申し込む前に、転職しようとする先の会社についての分析も終わらせておくようにしましょう。
3.転職の目的を明確に
転職しようとする目的を明確にしておくことも大切です。とはいえ、いざ転職しようとしても、自分のやりたいことが浮かばない、ビジョンがないという方も少なからずおられます。その点で助けとなるのが、今の職場をやめたいと思っている理由をはっきりさせること。
そうすることで、おのずと転職先が絞り込めることがありますし、自分の中での優先順位も分かってきます。辞めたい理由=転職理由と考えると、転職先の条件も決めやすくなります。
4.オンライン環境を整える
コロナ禍で一気に広まったのがリモートワークです。以前から在宅ワークと呼ばれる種類の働き方はありましたが、コロナの影響で世の中はオンライン化が進み、多くの企業が働き方改革をはじめています。ウェブ面接が導入されたり、多くの作業がリモートで行われるようになると、いつまでもアナログ派では再就職が難しくなることは容易に想像できます。
そのため、パソコンやタブレットの導入を検討することや、通信環境の見直し、リモートワークで使われているアプリやツールの準備など、今からできることを始めていくようにしましょう。ミドル世代でありながらこうした最新のビジネスツールに通じていることで、再就職先の幅が拡がるかもしれません。
中高年の転職には転職エージェントがおすすめ
転職エージェントとは、人材紹介サービスの1つで、厚生労働大臣から認可を受けた会社のみが転職エージェントとして活動することができます。転職エージェントに登録すると、キャリアコンサルタント、キャリアアドバイザーなど転職の道のプロが、1人1人にぴったりの求人情報を探して紹介してくれます。ほかにも、応募書類の添削や面接時の対策、採用に当たっての条件等を企業と交渉する、などのサポートが含まれています。
転職エージェントに求められるのは、転職を考えている人が効率よくスムーズに新しい会社に入れるよう援助することですが、その目的はただ職を得ることではなく、転職して良かったと思えるような満足いく結果に結びつけることです。
そのため、求職者がまだ仕事を続けている状態なら、まずは現状での不満や転職に求めることなどを把握した上で、仕事を今後どうするかアドバイスしてくれることもあります。また、企業側にとってもメリットとなり信頼関係を築けるよう、ふさわしい人材を紹介する努力がなされています。
転職エージェントを利用する際の流れとは
転職エージェントは国内だけでも10,000社を超える業者が活動しているため、利用する方法もさまざまといえます。ここでは、国内大手のエージェントの例を挙げて、利用の際の全体的な流れを紹介しています。
1.ウェブサイト上での登録
まずは選んだエージェントのサイト上でユーザー登録をします。最近はスマートフォンやタブレットなどからでも、簡単に登録できるサイトが多くなっています。登録の際に求められる入力内容はさまざまですが、メールアドレスとプロフィールは基本的に求められることが多いです。他にも、現在の職種や転職希望時期を記入することもあれば、年収や最終学歴の選択が求められることもあります。
いずれにしても、最初登録の際に記入する情報が、エージェント側が自分のことを判断する材料になりますので、転職をスムーズに進めたいならここでしっかりと記入しておきましょう。
2.エージェントの担当者と面談する
転職エージェントに登録が済んだら、担当コンサルタント(キャリアカウンセラー)から連絡があり、面接の日程を設定します。エージェント側から連絡がくるまでの期間はエージェントによって違いますが、早いと登録後すぐに連絡が来ることもあります。
日程が決まればいよいよ面談ですが、面談はエージェントに出向いて行うこともあれば、指定のカフェやその他都合のよい場所で行うこともありますが、現在は新型コロナ対策のため電話やオンライン面談が主流になっています。
もし都合でオンライン(skypeやzoom、iPhoneならFacetimeなど)での面談が不可能であれば、エージェントに電話での面談をお願いすることもできますが、できればオンラインで話をする方がおすすめです。エージェントによっては、仕事が終わった後や、19時以降または昼休みなど、空いている時間帯に面談をしてくれるところもあります。面談時間は1時間から1時間半ほどですが、時間が限られている場合は、事前にタイムリミットを伝えておくようにしましょう。
3.求人紹介を受け応募する企業を選択
面談のあとはいよいよ求人情報を紹介してもらい、マッチングされた企業の中から応募する企業を決めることになります。エージェントによってはこの段階で多くの提案をしたり、たくさん応募することを勧めるかもしれませんが、どの会社に応募するかは自分次第です。
多くの会社に応募するのも1つの手ですが、やみくもに応募して面接を繰り返すと、時間も体力も奪われることになるかもしれません。応募する企業の選択の際には、自分なりの基準を考えておくことをおすすめします。
4.面接に必要な書類の準備
ここまで来たら、次はいよいよ面接に向けて、必要書類の準備に取りかかる必要があります。必ず必要な書類とは履歴書と職務経歴書です。また、エージェントによっては推薦状を用意してくれるところもあります。こうした書類の準備に際しても、アドバイザーに相談し、添削をお願いすることができます。書類で落とされると、その後の面接までたどり着けませんので、ここはしっかりと転職エージェントの力を借りたいところです。
5.企業での面接
書類選考に通過したら、エージェントと企業との間で面接の日程調整が行われ、その指示に基づいて実際に企業に出向くことになります。企業によって面接に必要な持ち物が指定されることがあります、現在はカウンセリング同様にオンライン面接の利用も多くなっています。
オンライン面接は独特のタイミング、照明、表情、仕草対策など新しい面談対策が必要になってきます。また企業ごとの面接でのポイントも異なりますので、アドバイザーによく相談してサポートしてもらうようにしてください。
エージェントによっては、模擬WEB面接を行ってくれるところもありますので、不安な方は模擬面接を実施しているエージェントに絞って探すのも手です。模擬WEB面接では、面接の際によく聞かれる質問やWEB面接用セッティング、オンライン映えする服装、オンラインマナーなどを教えてもらえます。
中高年がエージェントを利用するメリットとは
現在の求人市場は日々変化しています。働き方や価値観の変化に伴い、企業が求める人物像だけでなく、働く側が企業に求める基準も多様化しているといえます。そのため、中高年やミドル・シニアといわれる世代の方が、転職のプロである転職エージェントを利用することには多くのメリットがあります。
まず最初に挙げたいメリットは、事務手続きから各種アドバイス、対策まで手厚くサポートしてもらえるという点です。自分で転職活動するとなると、転職先の企業探しから手続き、企業との連絡などすべて自分で行わなければなりません。特に転職経験が少ない人にとっては不安も多いと思います。その点転職のプロがアドバイスや手続き代行などしてくれると思えば、非常に心強いですね。
別のメリットとしては、非公開求人の枠の仕事に出会えるチャンスがあるということです。企業があえて一般に公開していない情報をエージェントなら持っていることがあるので、これまで探しても見つからなかったような種類の求人情報に出会える可能性が高まります。そうすると結果的に、自分で探すよりもスピーディーに転職を成功させることができるかもしれません。
また、たとえ転職エージェントに求人情報を紹介してもらえなかったとしても、エージェントを利用してみる価値はあります。なぜなら、エージェントにアプローチすることで求人市場における自分の価値を客観的に分析する助けになるからです。もし複数の人材紹介会社に連絡を取ってみても、登録してくれない、面談すらしてくれない場合は、自分の市場価値が高くないという現実に目を向けるべきなのかもしれません。
逆に、転職エージェントが積極的に登録やその後の企業への紹介を進めてくれるなら、自分の市場価値が十分に高いといえます。いわゆる「買い手がつきやすい人材」ということです。自分の価値についての現状が分かったなら、あとは今の自分に合った仕方で今後の戦略を立てていくことができます。
中高年に多くの求人を紹介してくれるリクルートエージェント
案件総数・内定決定数ともにNo.1の国内最大手の転職エージェントです。ミドル・シニアの管理部門案件からエキスパート・ハイキャリア層まで幅広いユーザーからの支持を集めています。
リクルートエージェントが取り扱う求人数のうち、非公開求人数は20万件以上あります。その中から、各業界に精通したキャリアアドバイザーが希望やスキルにあった求人を厳選して紹介してくれます。
提出書類の添削、面接対策に加え、独自に分析した業界・企業情報の提供など、転職サポートが充実しているのも魅力です。企業から収集した情報をもとに、独自の求人票・企業レポートを作成しているので、優良企業に出会えるチャンスがぐっと広がります。
ミドル・シニア世代がメインで使いたい王道エージェントです。
中高年OKのハイクラスエージェント ランスタッド
オランダで創業した世界最大級の総合人材会社でグローバルに60年間、毎年約20万人の転職サポート実績をもつランスタッド。ハイクラス求人は、S&P500企業からスタートアップまで独自のポジションが200件以上揃っています。
ベテランのキャリアコンサルタントが多数在籍しています。50代であってもハイスペックな人材なら、満足できる質の高いサポートが受けられるでしょう。語学力があったり、高学歴、海外勤務経験や技術的に特定スキルを擁しているなど、市場価値が高い人ほど有利といえる転職エージェントです。
※日本国内でも急拡大中で北海道から九州まで全国各地に117拠点があります。
※マネジメント経験を生かしたい40代までおすすめです。
40代にも強いSpring転職エージェント
世界シェアNo.1のアデコが運営する転職エージェントです。面談希望者を断らない転職エージェントなので年齢がネックとなりがちな中高年にもおすすめ。積極的に求める人には、サポートも手厚いです。人材シェア世界No.1のアデコが運営しており、外資系企業の求人に強く、内資系大手企業の求人も扱っています。首都圏だけでなく、地方の求人や海外求人もあります。
特に強い分野および業界は、外資系企業全般、国内企業の海外営業職、管理部門、MR、ITエンジニアなど
※20代〜40代で、一都三県、東海地方、関西地方の転職者限定です。
まとめ
転職先の企業がもう決まっている場合や、年齢やその他の条件に合わないと分かっているけどチャレンジしたい企業があるなどのケースでは、直接企業と交渉を進める方が早く結果が分かることもありますので、もう決まっている場合は直接応募してチャンレンジをする。
転職エージェント経由の場合、一社の転職エージェントだけに頼っていて大丈夫なのでしょうか。転職サイトは情報が豊富で応募しやすいので便利なツールといえます。ですが、転職活動を転職サイトに頼りっきりになると混乱したり、転職活動が無駄に長引いてしまう可能性があります。
また、担当のキャリアコンサルタントの力量によるところが大きいのも事実です。転職エージェントを初めて利用するなら大手・中堅2〜3社に登録してみるといいでしょう。キャリアコンサルトと沢山出会うことで、自分に合ったエージェントを選択しやすくなります。
若いコンサルタントで「使えないな…。」と不安を感じながら利用するよりも転職活動自体もスムーズに進みます。転職エージェントごとに独占している非公開求人もあるため、多くの求人に出会え、理想の企業に就職できる可能性も高まります。
大手総合型エージェント2社と特化型エージェントの中小2社を併用して登録することで、それぞれのメリットとデメリットを補てんし合うことが可能といえます。