「残業が多すぎる」「残業代が出ない」と悩む保育士は多いです。

保育士のサービス残業が多いのは、「保育士不足」や「帰りづらい雰囲気」が理由です。公立保育園や企業内保育所は、残業が少なく残業代が出ます

ここでは保育士の残業の実態と、サービス残業から抜け出す方法をまとめてありますので参考にしてください。

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保育士の残業が多い理由

常に人手不足

保育士は離職率の高い職種の一つです。厚生労働省の発表によると、保育士の平均残業時間は月4時間とされていますが、実態とは大きく異なっています。その仕事内容の過酷さから、せっかく保育士になっても離職してしまう人が後を絶ちません

子供を預かっていない時間はサービス残業代とみなされる

保育園は親の出勤時間帯に対応できるように朝早くから夜遅くまで保育時間が設定されています。そのため、保育士の勤務は早番・中番・遅番のシフト制になっていて、8時間労働が基本となっています。

保育士の仕事は園児を保育するだけでなく、事務作業や行事の準備も含まれています。しかし、開園から閉園までの時間帯は園児がいるので、8時間の労働時間のほとんどは、園児と接する時間に当てられてしまいます。当然、1人の保育士が抱えている仕事量は到底8時間で収まることは、ほぼありません

ここで問題なのが、保育士業界の慣習です。「子供を預かっている時間=勤務時間」という考え方が根強く残っていて、園児が帰った後の時間は、勤務時間外とみなされてしまい、残業手当がつかないことがほとんどです。その結果、多くの作業がサービス残業でまかなわれる結果となっています。イベント前など忙しい時期などはサービス残業が80時間になることもあります。

人手不足、厳しい労働環境、離職率高い

保育士の仕事は、仕事量が多いのにも関わらず、サービス残業が多くなってしまうという厳しい労働環境におかれています。そのため、希望をもって保育士になったとしても、その環境に耐えられず、離職してしまう人が多いのです。

そのため、保育士は慢性的な人手不足という問題を抱えていて、残った人の仕事が増えてしまうという悪循環になっています。

帰りづらい職場の空気

女性同士の人間関係は独特なものです。派閥やグループができやすく、年功序列がある職場では、上司や先輩より早く帰れない雰囲気があります。特に、新人の頃は自分の意思とは関係なく帰りづらくて残ってしまう、なんて場面もあるでしょう。

子供のために残業するという意識

園児たちと日々接していると、だんだんと自分の子供のように可愛く思えてくるものです。保育士の仕事をする上で園児に愛情を持って接するというのは、とても素晴らしいことですが、「この子たちのためなら、残業したって構わない」と思ってしまうのは、少し危険です。いつのまにか、残業があたりまえという考えが定着してしまい、気づかぬうちに心身が疲弊することに繋がりかねません

経営者の意識を変えることが必要

仲間意識が強い、女性がほとんどの職場で、「サービス残業は当たり前でない」と自分だけが主張することは大変難しいことだと思います。裏目に出ると、孤立してしまうなど新たなストレスの種を蒔きかねません。

保育士業界で蔓延している「当たり前のサービス残業」という意識を、経営者自らが「当たり前でない」という意識に変えることが必要です。

保育士は持ち帰り仕事も多い

長時間労働、休憩ゼロの、持ち帰りあり

保育士の書類上での勤務時間は7時~20時の中で正社員とパートが入れ替えで働いています。ほとんどの場合8時間労働で、休憩時間も1時間と定められていますが、実際は書類通りに休憩時間が取得できていない園もあります。

先述した通り、保育士の仕事にはさまざまな事務作業も含まれていますが、それを行う時間を確保できていないことが多々あります。そのため、休憩時間に連絡帳の記入をしたり、打ち合わせが入ったりしてしまうと、休憩時間は実質ゼロになることもあります。それでも、終わらないとサービス残業や持ち帰りでの作業をしなければならなくなってしまいます。

園児が帰ってからもやることは多い

行事の計画、書類作成、ピアノやダンスの練習、工作準備、行事で使う衣装つくりなど、園児が帰ってからもやることはたくさんあります。事務作業などは、園児がいる時間にやれることもありますが、体調不良の子がいたり、園児同士でけんかをしたりなど、しばしば中断されてしまいます。園児が帰った後でないと、まとまった作業時間が確保できないという状況です。

保護者のクレーム対応

保護者からのクレーム対応も保育士の仕事です。園児、親、保育士とも人間なので、悪気はなくとも、認識がずれたり、相手の言葉に傷ついたりすることもあります。ましてや、我が子のこととなると、親は必死なので、時には理不尽なことを要求されることもあり、対応が長引くこともあります

残業なしの保育士求人を見分ける方法

私立より公立の方が残業が少ない

一般的な公立保育園の勤務はシフトにもよりますが、8:30~17:15くらいのところが多いです。土日祝日が休日のところもあります。私立の保育園に比べ、保育サービスが限定されているので、その分人手不足が解消され、残業が少ないという特徴があります。

公立保育園の保育士は公務員となるので、私立の保育園に比べると勤務時間などはしっかりと決められているので、比較的働きやすい職場と言えます。また、給与も地方公務員に準じているので、昇給やボーナスがあるのもメリットです。

経営者や園長次第では認可保育園でも残業が少ない場合も

最近では、保育士の離職率の高さを解決しようと、残業や持ち帰り仕事なしを謳っている認可保育園も出てきました。しかし、これは前述したとおり、経営者や園長がどれだけ意識的に取り組んでいるかによるところが大きいので、職場見学などできちんと確認することが大切です。

保育園以外の仕事の方が残業が少ない

保育園以外でも保育士の資格を行かせる職場はあります。企業内保育所や院内保育所などは、保育士の資格を行かしながらも、残業が少ない職場です。企業や病院がそこで働く女性をサポートするために設置した保育所です。

こういった保育所は大きなイベントが少ない、企業によっては土日休みとなっているので、残業少なくなります。大手企業なら高待遇、給与アップ、昇給ありも期待できます。さらに、院内保育所は保育する子どもの人数が少ないため、残業が発生する機会も少ないと言われています。

保育士の未払い残業代は請求できる?

最後に、現在サービス残業が発生してしまっている人の未払い残業について紹介します。「残業代は出ない」と言われてしまった人は、ぜひ参考にしてください。

労働基準監督署や弁護士を通じて請求できる

労働時間が1日に8時間以上なら法律上は時間外労働となり、その分の残業代労働基準監督署や弁護士を通じて請求することができます。残業代が払われないなどは労働基準法違反なので、改善させることができるのです。

「介護・保育ユニオン」に相談しよう

労働基準監督署を動かすには、残業未払いの証拠を揃えたり、記録を取ったりといくつかのポイントがあります。このポイントをクリアするためには、専門家のアドバイスを得ることが近道です。

労働組合の「介護・保育ユニオン」には、このような問題の相談を受け付けている無料労働相談ホットラインがあります。残業代はもちろん、保育士という仕事をあきらめてしまう前に、一度相談するのもおすすめです。

持ち帰り仕事は残業とみなされるのか?

現在の法律では、持ち帰り仕事は残業とはみなされないということになっています。残業とは、使用者の指示・命令があって行うものとされているからです。実際に、現場で「家で作業しなさい」と命令されることはほとんどなく、自分の判断で、または、暗黙の了解で持ち帰り仕事をしているのが現状だと思います。

しかし、仕事が膨大にあるにもかかわらず、残業を認められないなど持ち帰り仕事をせざるを得ないような職場環境にある場合などは、「介護・保育ユニオン」など専門機関に相談してみましょう。

転職前に残業がどのくらいあるのかチェックする方法

保育士専門求人サイトを利用して転職前に職場を見学する

保育士求人サイトで求人を探して、気になる園があったら、事前に職場見学をしましょう。求人票だけでは分からない、職場の雰囲気や園児たちの様子を知ることができます。

また、壁面の飾りつけや子供たちの制作物を見ることで、保育士が下準備にどのくらいの時間をかけているのか、推測することができます

キャリアコンサルタントを通じて実態を把握

転職エージェントを利用して転職活動を行うと、その園の内情に詳しいキャリアコンサルタントから、園の内情を聞くことができます。キャリアコンサルタントは、園との信頼関係を築いているので、残業の実態なども把握していることがほとんどです。

残業なしや休憩時間がしっかり取れるかは、きちんとした勤務体制が築かれているかどうかに関わってきます。勤務体制がしっかりしているかどうかは、実際に勤務してみないと知ることのできない情報ですが、転職エージェントを利用すれば、事前にキャリアコンサルタントを通じて知ることができます

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面接対策や、職場見学の日程調整や連絡も専任のコンサルタントが行ってくれます。転職決定後も転職時期・雇用条件の交渉などまでサポートしてくれます。

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まとめ

サービス残業地獄から抜け出すには、以下の職場がおすすめです。

・公立保育園
・企業内保育所、院内保育所など

ただし職場によっては残業が多いところもあるので、保育士専門サイトを利用して転職前に残業の実態をチェックするのが重要です。